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大阪市平野区|外壁を濃茶×薄ベージュ、屋根も同時に塗り替え|屋根と外壁の色の組み合わせの考え方

BEFORE 施工前
大阪市平野区 築16年で色あせた外壁と黒ずんだ屋根の施工前の全景
AFTER 施工後
大阪市平野区 外壁を濃茶と薄ベージュのツートンに塗り替え屋根も同時に塗装した施工後の全景

「外壁の色は、だいたい決まったんです。でも屋根はどうしたらいいんでしょう」

大阪市平野区のこのお宅で、最初の現地調査のときにお客様からいただいた言葉です。手元には外壁塗料のカタログがあり、付箋が何枚も貼ってありました。ベージュ系、グレー系、茶系。どれも悪くない。ただ、屋根のページだけは付箋が一枚も貼られていませんでした。

これは、決して珍しいことではありません。外壁は毎日目に入ります。玄関を出れば触れる距離にあるし、道路から家を見たときにいちばん面積を占めるのも外壁です。一方で屋根は、真下からはほとんど見えません。自分の家の屋根が今どんな色をしているか、正確に答えられる方のほうが少ないくらいです。

けれども、家を外から見たときの印象は、外壁だけで決まっているわけではありません。屋根と外壁は、必ずセットで目に入ります。そして厄介なことに、屋根の色は外壁ほど自由に選べません。この順番のねじれが、色選びをややこしくしています。

この記事は、大阪市平野区で築16年のお宅の外壁と屋根を同時に塗り替えた工事の記録です。外壁は濃い茶色と薄いベージュの2色、屋根はこげ茶。仕上がりまでの22日間で、どう色を決めていったのかを、屋根と外壁の関係という一点にしぼってお話しします。

📍 平野区の費用相場・業者選び・施工実績のまとめは「平野区の外壁塗装|完全ガイド」をご覧ください。

大阪市平野区・築16年の外壁と屋根を同時に塗り替えた工事の概要

施工前の写真では、外壁はほぼ一色に見えます。よく見ると、石積み調のパネル部分がやや白っぽく、平らな面はうっすらと茶色を帯びていました。もともと2色で塗り分けられてはいたのですが、16年のあいだに両方とも色が抜けて、遠目にはほとんど差がなくなっていたのです。

施工後は、この差をはっきりつけました。もともと薄い茶色だった面を薄ベージュに、もともと白っぽかった面を濃い茶色に。つまり明暗を入れ替える形になっています。そして屋根も同じタイミングでこげ茶に塗り替えました。

施工エリア 大阪市平野区
築年数 16年
施工内容 外壁塗装/屋根塗装/シーリング打ち替え・増し打ち/付帯部塗装
使用材料 外壁:KFケミカル KFシェアルドF(1液水性フッ素)
屋根:日本ペイント ファインパーフェクトベスト(下塗りは強化シーラー)
配色 外壁:濃い茶色 × 薄ベージュ/屋根:こげ茶(ダークチョコレート)
施工期間 22日間
保証年数 外壁10年/屋根5年
参考価格 143万円前後(税込)

※参考価格は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の大きさ、劣化の程度、足場のかけやすさ、付帯部の量によって金額は変わります。正確な金額は現地調査のうえでお出しします。

屋根の色はどう決める?まず「選べる色が少ない」という前提から

色の話をするとき、私たちはたいてい屋根から入ります。理由は単純で、屋根のほうが選択肢が狭いからです。狭いほうを先に決めて、広いほうを合わせる。パズルと同じ考え方です。

屋根用の塗料はなぜ濃い色ばかりなのか

スレート屋根用の塗料をカタログで開くと、外壁用とは明らかに雰囲気が違います。並んでいるのは、黒に近いグレー、こげ茶、濃い緑、赤茶、濃紺、少し明るくてもチャコールグレーやモスグリーンといったあたり。真っ白や淡いクリーム色は、標準色にはまず入っていません。

これはメーカーの好みではなく、屋根という部位の事情によるものです。

ひとつは汚れです。屋根は雨が当たる面であると同時に、雨水の通り道でもあります。大気中のちりや排気、鳥の落とし物、周囲の木からの落ち葉が、雨のたびに屋根の上を流れます。外壁と違って、汚れが下に落ちきらず筋になって残りやすい。明るい色を使うと、この筋がそのまま模様のように見えてしまいます。しかも屋根の汚れは、外壁のように手の届く高さで洗い流せません。

もうひとつは熱です。屋根は一日じゅう日射を受け続けます。色が濃いほど熱を吸収するので、本来なら明るい色のほうが有利です。ただ現実には、屋根用塗料の色数そのものが少なく、明るい色を望む場合は遮熱タイプの限られた色から選ぶことになります。つまり「明るい色にしたい」という希望は、選べる製品を一気に絞ってしまうのです。

屋根に使用した日本ペイントのファインパーフェクトベスト ダークチョコレート
屋根に使用したファインパーフェクトベスト。色はダークチョコレート

このお宅で使ったのは、日本ペイントのファインパーフェクトベスト、色はダークチョコレートです。名前のとおり、黒よりはやわらかく、赤茶よりは落ち着いた、濃い茶色。屋根用の色としては、比較的よく選ばれる部類に入ります。

今の屋根の色は、選択肢のヒントになる

もうひとつお伝えしておきたいのは、今ついている屋根の色が、そのまま有力な候補になるということです。

新築のときの屋根色は、住宅メーカーや設計者が外壁と一緒に選んでいます。少なくとも当時は「合っている」と判断された組み合わせです。16年経って両方とも色あせているだけで、関係そのものが壊れているわけではありません。

ドローンで撮影した白っぽく色あせたスレート屋根
ドローンで確認した屋根。全体に白っぽく、素地が浮き上がっている

この現場でも、まずドローンを飛ばして屋根の状態を確認しました。写真のとおり、表面は全体に白っぽくなっています。これは色が薄くなったというより、塗膜がやせて素地が見えている状態です。防水性はすでに切れていました。

ここで大事なのは、白っぽく見えているこの色は「現在の色」ではあっても「もとの色」ではないということです。屋根の色を判断するときに、劣化して褪せた状態を基準にしてしまうと、必ず読み違えます。軒先の裏側や、太陽が当たりにくい面の色を見て、もとの色を確認しておく必要があります。

外壁と屋根、どちらから決める?

屋根は選べる色が少ないため、屋根色から外壁色と付帯部を合わせる順番を示した図解
色の相性に絶対の正解はなく、先に制約を整理します

結論から言えば、屋根を先に決めて、外壁を合わせるほうが失敗しにくいと考えています。

先ほど書いたとおり、屋根の色は選べる幅が狭い。狭いほうを後回しにすると、「外壁がこの色だから、屋根はこの色にしたい。でもその色は屋根用の塗料にない」という行き止まりに突き当たります。そこから外壁を決め直すことになると、結局スタートに戻るだけです。

このお宅で実際にたどった順番

今回は、こういう順番で決めていきました。

1.屋根を、もとの系統である濃い茶色で確定させる。 既存の屋根はもともと濃い色で、周囲の家並みからも浮いていませんでした。ここを大きく変える理由がなかったので、同系統のダークチョコレートに決めました。この時点で、家全体の「いちばん濃い色」が決まったことになります。

2.屋根に近い濃さの茶色を、外壁の一部に使う。 外壁の平らな面を、屋根と同じ茶系の濃い色にしました。屋根とまったく同じ色ではなく、外壁のほうがわずかに明るく、赤みも少し違います。ここは意図的です。

3.残りを薄ベージュにして、明るさの逃げ場をつくる。 石積み調のパネル部分は、はっきりと明るい薄ベージュにしました。濃い色だけで構成すると重くなりすぎるので、光が当たったときに白く返る面を確保しています。

4.付帯部を、どちらかに寄せる。 雨樋、破風板、水切りなど。これらをどちらの色に寄せるかで、全体のまとまり方が変わります。今回は濃い側にそろえました。

屋根と外壁が同時に見えるドローン撮影の近景
屋根と外壁が同時に写るアングル。実際に地上から見えるのは、この関係の一部だけ

屋根を塗り替えない場合はどうなる?

外壁だけを塗り替えるお宅も、もちろんあります。屋根がまだ新しい場合や、すでにカバー工法や葺き替えが済んでいる場合です。

その場合、順番は変わりません。変えられないもの(既存の屋根色)を起点にして、外壁を合わせるという考え方は同じです。むしろ、屋根が固定されているぶん条件は厳しくなります。

ここで気をつけたいのが、既存の屋根色を「見た目の記憶」で判断してしまうことです。劣化した屋根は、もとの色より白っぽく、彩度が落ちて見えます。その褪せた状態に合わせて外壁を選ぶと、家全体がぼんやりした印象になりがちです。屋根を塗らないなら、なおさら屋根に近づいて色を確認する必要があります。梯子をかけて、あるいはドローンで、一度実物を見ておく価値はあります。

屋根と外壁の相性は何で決まるのか

屋根と外壁の相性を見る手がかりとして、明度差、同系色、付帯部の寄せ方を示した図解
外壁だけでなく、屋根・付帯部まで並べて見ます

「この色とこの色は合いますか」と聞かれることがよくあります。正直にお答えすると、絶対の正解はありません。同じ組み合わせでも、屋根の面積、勾配、外壁の見える範囲、隣の家との距離によって、印象はかなり変わります。

そのうえで、判断の手がかりになるものが3つあります。

手がかり1:明度差をどれだけつけるか

明度とは色の明るさのことです。屋根と外壁のあいだにどれだけ明るさの差をつけるか。これが、印象を決めるいちばん大きな要素だと考えています。

差が小さいと、屋根と外壁が一体に見えます。落ち着いた、まとまりのある外観になりますが、やりすぎるとのっぺりします。差が大きいと、屋根の輪郭がくっきり出て、家の形が強調されます。メリハリは出ますが、屋根だけが浮いて見えることもあります。

今回は、屋根と外壁の濃い側で明度差を小さく、外壁の薄ベージュとのあいだで明度差を大きく取りました。つまり、家の中に「差の小さいペア」と「差の大きいペア」を両方つくった形です。全体が重くなりすぎず、かといってバラバラにもならない落としどころを狙いました。

手がかり2:同系色でまとめるか、対比させるか

屋根と外壁を同じ色相の系統でそろえるか、あえて違う系統でぶつけるか。大きく分けるとこの2択です。

同系色でまとめる場合、失敗の幅は小さくなります。茶系の屋根に茶系・ベージュ系の外壁、グレー系の屋根にグレー系・白系の外壁。統一感は出ますし、周囲の家並みからも浮きにくい。今回のお宅はこちらです。

対比させる場合は、印象が強くなります。こげ茶の屋根に白い外壁、濃紺の屋根にグレーの外壁など。うまくいけば見応えのある外観になりますが、片方が「浮いている」と感じられるリスクも上がります。判断が難しいのは、この浮くかどうかが建物の形にかなり左右されるためです。屋根が大きく見える形の家ほど、対比は強く出ます。

どちらが良い悪いではありません。ただ、初めての塗り替えで、しかも実物を試せないという条件のもとでは、同系色寄りのほうが後悔しにくいのは確かです。

手がかり3:付帯部をどちらに寄せるか

意外に効いてくるのが、雨樋・破風板・水切り・軒天といった付帯部です。面積は小さいのに、家の輪郭に沿って線として入るため、目立ちます。

濃い茶色の外壁に合わせて雨樋を塗装している付帯部工程
雨樋の塗装。縦に走る線なので、色の寄せ方で外観の印象が変わる
屋根の色に合わせて濃い茶色で仕上げた破風板
破風板は屋根の縁に沿う部材。屋根側の濃さに寄せるとつながりが出る

破風板は屋根のふちに沿っている部材なので、屋根側の色に寄せると、屋根と外壁の境目が自然につながります。逆に外壁の明るい色に寄せると、屋根が独立した「帽子」のように見えます。

雨樋は縦に落ちる線です。ここを濃い色にすると、家の縦のラインが締まります。明るい色にすると存在が消えます。今回は屋根と外壁の濃い側にそろえたので、屋根から破風、雨樋へと濃い色が連続する形になりました。

見る距離で印象が変わる:道路からの全景と、玄関先の近景

道路からの全景と玄関先の近景で、屋根と外壁の見え方が変わることを示した図解
遠くから見る色、近くで見る色を分けて確認します

色を検討するとき、多くの方は色見本を手元で見ます。膝の上か、テーブルの上。距離にして30センチほどです。ところが実際にその色が完成したあと、いちばん長く目にするのは、まったく別の距離からの景色になります。

道路から見た全景では、屋根と外壁が同時に入る

家の前の道路に立って振り返ると、屋根と外壁が一度に視界に入ります。ここでは、細かい色味の違いはほとんど分かりません。分かるのは、明るいか暗いか、どの面がどのくらいの面積を占めているか、屋根がどれだけ見えているか。つまり明度と面積のバランスだけです。

屋根と外壁の相性が問われるのは、主にこの距離です。ここで違和感が出ると、毎日家に帰るたびに気になります。

濃い茶色に塗り替えが終わったスレート屋根
塗り替えが終わった屋根。この距離まで近づける機会は、住んでいてもほとんどない

玄関先の近景では、屋根はほぼ見えない

一方、玄関の前まで来ると、屋根は視界から消えます。軒に隠れて、真上を見上げないかぎり見えません。ここで見えているのは外壁の質感、目地の線、色の細かなムラ、そして光の当たり方です。

薄ベージュで仕上がった石積み調サイディング外壁の近景
薄ベージュで仕上げた石積み調の面。近づくと凹凸の陰影が強く出る
濃い茶色で仕上がった横ラインのサイディング外壁の近景
濃い茶色で仕上げた面。横のラインが影を落とし、実際の色より深く見える

この2枚を見比べると分かりますが、同じ塗料でも凹凸の形によって見え方がまるで違います。石積み調の面は陰影が細かく散るので、色が明るく感じられます。横ラインの面は影が線になって並ぶので、色が沈んで見えます。

ここで正直にお伝えしておきたいのは、この見え方の差は、色見本ではまず予測できないということです。色見本は平らな紙やプレートです。凹凸のある外壁に同じ色を塗ると、必ず違って見えます。私たちも「見本より少し濃く出ます」とはお伝えしますが、どのくらい濃く出るかは建物ごとに違います。

だからこそ、可能な場合は実際に塗る塗料でできるだけ大きい塗り板をつくり、屋外の自然光の下で、離れた位置と近い位置の両方から見ていただくようにしています。それでも完全には一致しません。この点は、事前に承知しておいていただきたい部分です。

屋根と外壁の色で、失敗しやすいのはどんなときか

屋根と外壁の色で失敗しやすい見方として、外壁だけ先に決める、屋根を塗らずに大きく変える、汚れ方を想像しない、家並みから浮くを示した図解
色選びは、好みだけでなく見え方の条件を整理します

これまでの現場で見てきた「後から気になった」というパターンを挙げます。

外壁だけ先に決めてしまい、屋根が置き去りになる

いちばん多いのがこれです。外壁の色に何週間もかけて悩み、決まったところで「屋根はどうしますか」と聞かれて、その場で選ぶ。屋根は選択肢が少ないので、話が早く終わってしまうのです。結果として、外壁だけが計画された色で、屋根はなりゆきの色になります。

冒頭でご紹介したお客様の言葉も、まさにこの状況でした。悪いことではありません。多くの方が同じ順番で考えます。ただ、屋根の話を先に片づけておくと、外壁の検討そのものが楽になります。

屋根を塗り替えないのに、外壁を大きく変えてしまう

既存の屋根がそのまま残るのに、外壁の系統をがらりと変えるケースです。たとえば赤茶系の屋根が残っているところに、青みの強いグレーの外壁を合わせる。それぞれ単体では悪くない色ですが、並ぶと互いに濁って見えることがあります。

屋根を触らないなら、外壁は既存の屋根色と喧嘩しない範囲で選ぶ。これは制約ではありますが、判断の軸がひとつ決まっているという意味では、むしろ楽な条件でもあります。

汚れの出方まで想像していなかった

色の相性が良くても、時間が経つと関係が変わることがあります。屋根は雨筋が出やすく、外壁は下部から汚れます。明るい色ほど汚れは目立ちますが、真っ黒に近い色も、白っぽい粉じんや雨だれの跡が意外に目立ちます。中間の濃さの色が、汚れに関してはいちばん扱いやすい。今回の濃い茶色は、この意味でも無難な選択でした。

近所の家並みから浮いてしまう

自分の家だけを見て決めると、街並みの中に置いたときの見え方が抜け落ちます。とくに家が近接して建っている地域では、隣家の壁が視界の端に常に入ります。色を検討するときは、家の前の道路に立って、両隣を含めた景色として一度見ておくことをおすすめします。

屋根を同時に塗ると、色の自由度はどう変わるか

屋根を同時に塗り替えるかどうかは、色の観点からも意味があります。

屋根を塗らない場合、選べるのは外壁の色だけです。しかも既存の屋根色という固定条件がついた状態で選ぶことになります。組み合わせとしては、屋根色に合う範囲のなかから選ぶことになります。

屋根も塗る場合、2つの色を同時に動かせます。「屋根を濃い茶にするなら外壁はこう」「屋根をチャコールにするなら外壁はこう」と、ペアで検討できるようになります。屋根用の色数自体は少ないままですが、組み合わせとして考えられる幅は明らかに広がります。

ローラーで屋根の中塗りを進めている様子
屋根の中塗り。外壁と違い、屋根はローラーで塗り進める

今回のお宅では、屋根を先に濃い茶で固定したうえで外壁の2色を決めました。もし屋根を触らずに外壁だけを塗り替えていたら、劣化して白っぽくなった屋根に合わせることになり、外壁の候補はもっと限られていたはずです。

工事の記録:色が決まってから完成まで

色が決まったあとの工程を、順を追って記録しておきます。工期は22日間でした。

現地調査:外壁も屋根も、防水性が切れていた

外壁を手でこすると白い粉が付くチョーキング現象
外壁に手を当てると白い粉が付く。チョーキングと呼ばれる劣化のサイン

外壁は、手で触れると粉が付く状態でした。塗膜の樹脂が紫外線で分解され、顔料が粉になって表面に浮いている状態です。この段階になると、外壁は湿気を吸いやすくなっています。放置すると外壁材そのものが反ったり膨れたりして、塗装では対応できなくなります。

色あせて見えていたのも、実はこのチョーキングが原因の一部です。表面に白い粉の層があるため、もとの色が白く濁って見えていました。

屋根はドローンで確認しました。表面の白っぽさは、素地が露出しているサインです。外壁と同じく、防水性はすでに失われていました。

シーリング打ち替え:色を塗る前の、見えない下地

外壁材どうしの継ぎ目にあるシーリングは、既存材をカッターで切り込んで撤去し、新しく打ち替えました。撤去したシーリング材は、一般的な戸建てで土のう袋1〜2袋分になります。

プライマーを塗ってから、ノンブリードタイプの変成シリコンを充填し、ヘラで押さえて仕上げます。サッシまわりは撤去せず、上から増し打ちで補強しました。この工事だけで2〜3日かかります。

色の話とは直接関係がないように見えますが、ここを省くと、どんなに良い色に塗っても数年で目地から劣化がはじまります。ノンブリードタイプを使うのも、可塑剤が塗膜表面ににじみ出て目地に沿って黒い筋が浮くのを防ぐためです。せっかく決めた色を守る工程だとお考えください。

高圧洗浄:屋根から外壁へ、上から順に

高圧洗浄で汚れと旧塗膜を落としたスレート屋根
洗浄後の屋根。旧塗膜と汚れが落ち、素地の白っぽさが浮き上がる

屋根、外壁の上部、外壁の下部の順で洗浄します。上から落ちてくる汚水で下を汚さないための順番です。今回はベランダの床も同時に洗いました。

洗浄後の屋根の写真を見ると、劣化した旧塗膜が落ちて、素地の白っぽい色がはっきり出ています。この状態が、屋根の本当の下地です。この上に濃い茶色をのせていくことになります。

高圧洗浄はエンジンを回すため音が出ます。足場の組み立て・解体と並んで、工事中でいちばん音が出る工程です。近隣の方への事前のご挨拶と、当日の時間帯の配慮が欠かせません。

鉄部のケレンと錆止め

水切り、雨戸ボックス、板金など鉄部は、塗る前に表面を研磨して錆や旧塗膜を落とし、錆止めを入れます。錆止めを塗った箇所は白く見えるので、施工中の写真では色が違って見えますが、この上に仕上げの色をのせます。

外壁塗装:シーラーから中塗り、上塗りへ

凹凸のあるサイディング外壁にシーラーを吹き付けた下塗り後の状態
下塗りのシーラー。色は付かないが、つやが出て吸い込みが止まる

外壁は3回塗りです。1回目のシーラーは、下地と仕上げ塗料を密着させる接着剤の役割を果たします。色は付きません。写真でつやが出ているのは、劣化した下地への吸い込みが止まった状態です。

このお宅は外壁の凹凸が深かったため、ローラーではなくエアレスによる吹き付けで施工しました。凹凸の谷の部分までしっかり塗料を届かせるためです。吹き付けは飛散しやすいので、養生の範囲と精度が仕上がりを左右します。

薄ベージュの主剤をエアレスで吹き付けている外壁の中塗り
中塗りから色が付く。ここで初めて、決めた色が実物として現れる

2回目の中塗りから、色が付きます。使用したのはKFケミカルのKFシェアルドF。1液水性のフッ素塗料で、水性のためにおいが比較的おさえられます。フッ素樹脂なので、耐候性は高い部類に入ります。

色を決めたお客様にとって、この中塗りの日がいちばん緊張する日です。カタログの小さな色票でしか見ていなかった色が、家一軒の面積で目の前に現れます。実際、「思っていたより濃い」「思っていたより明るい」という感想は、この段階でよく出ます。今回は事前に、凹凸のある面では見本より深く見えることをお伝えしていました。

中塗りを十分に乾かしてから、同じ色で上塗りをします。中塗りと上塗りが同じ色なので、塗り残しが分かりにくくなります。日の当たり方を変えながら、面ごとに確認して進めました。

屋根塗装:強化シーラーを吸わせてから

屋根も3回塗りです。下塗りには、日本ペイントのファインパーフェクトベスト強化シーラーを使いました。劣化したスレートはシーラーを大量に吸い込むため、塗った箇所の色がはっきり濃く変わります。吸い込みが激しい部分には、追加で塗り重ねます。

屋根は外壁と違い、ローラーで塗ります。足元が斜めで、しかも塗ったばかりの面を踏めないため、塗り進める順序に段取りが要ります。

中塗り、上塗りとダークチョコレートを重ねると、白っぽく素地の出ていた屋根が、深い茶色に戻ります。この時点で、家全体の「いちばん濃い色」が確定します。

付帯部塗装、そして仕上げ

雨樋、破風板、水切り、雨戸ボックスなどの付帯部を塗ります。付帯部は基本的に2回塗りです。今回はすべて濃い側の色にそろえました。

最後にタッチアップと清掃をして完了です。足場を解体して、初めて家全体を離れた位置から見ることができます。この瞬間まで、お客様も私たちも、道路から見た全体像を確認できません。

平野区で色を考えるとき、頭に置いておきたいこと

平野区は、住宅と工場・倉庫が近い距離で混在している地域です。加美や長吉のあたりでは、幹線道路が生活圏を横切っています。

こうした環境では、大気中のちりや車の排気による汚れが外壁に付きやすいと考えられます。実際に私たちが現場で見るかぎり、幹線道路に面した側の外壁は、反対側よりも黒ずみが早く出る傾向があります。ただし、どの程度の差が出るかは、道路との距離、風向き、建物の向き、庇の出方によって変わります。一律に「幹線道路沿いだから何年で汚れる」と言えるものではありません。

色の観点では、真っ白に近い色や、彩度の高い淡い色は、汚れの筋が見えやすくなります。逆に真っ黒に近い色は、白っぽい粉じんが目立ちます。今回のような中〜濃の茶系は、この意味では扱いやすい範囲に入ります。

もうひとつ、平野区には住宅が密集している一帯があります。家と家の距離が近いと、隣家の壁の色が自分の家の見え方に影響します。濃い色の家が隣に建っていれば、自分の家の薄い色はより明るく見えますし、その逆もあります。色を検討する段階で、家の前に立って、両隣を含めた景色として確認しておくと、判断の材料がひとつ増えます。

費用と保証について

この工事の参考価格は143万円前後(税込)です。外壁塗装、屋根塗装、シーリング打ち替え・増し打ち、付帯部塗装を含みます。

※参考価格は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の大きさ、外壁材の種類、劣化の程度、足場の架けやすさ、付帯部の量によって金額は変わります。

保証は外壁10年、屋根5年としています。外壁と屋根で年数が違うのは、置かれている環境が違うためです。屋根は一日じゅう直射日光と雨を受け続けます。同じ塗料の等級であっても、屋根のほうが条件は厳しくなります。

色に関しては、経年による変化があります。どんな塗料でも、10年後にまったく同じ色ということはありません。一般に、濃い色や彩度の高い色ほど、色あせは分かりやすく出ます。今回のような茶系の濃色も、少しずつ明るく、彩度が落ちていきます。これは不具合ではなく、塗膜の自然な変化です。

よくあるご質問

屋根の色は、実際どれくらいの種類から選べますか?

製品によりますが、標準色で10色前後というのが一つの目安です。外壁用の塗料が調色を含めて事実上ほぼ無限に選べるのと比べると、桁が違います。しかも内訳は、黒に近いグレー、こげ茶、赤茶、濃緑、濃紺といった濃色が中心で、明るい色は数えるほどしかありません。遮熱タイプを選べば少し明るい色も出てきますが、それでも外壁ほどの幅はありません。まず屋根から決めることをおすすめするのは、この事情によります。

屋根と外壁を同じ系統の色でそろえると、地味になりませんか?

同系色でそろえること自体は、地味さの原因になりません。地味に見えるのは、明るさの差が足りないときです。同じ茶系でも、屋根と外壁の濃い面をほぼ同じ濃さにし、さらに残りの面もその中間の濃さにしてしまうと、全体がぼんやりします。今回のお宅は同系色でまとめていますが、薄ベージュの面をはっきり明るくすることで、めりはりを確保しました。系統をそろえるかどうかと、明るさの差をつけるかどうかは、別々に決められる要素です。

今の屋根の色と違う色に塗り替えることはできますか?

できます。屋根塗装は、下塗りのシーラーを挟んだうえで新しい色をのせるので、もとの色より明るい色にすることも可能です。ただし、下地の色が濃く、上にのせたい色が明るい場合は、塗り重ねの回数が増えることがあります。また、塗り替えのたびに屋根の色を大きく変えると、そのつど外壁との関係を組み直すことになります。既存の色から離れるほど、外壁側も含めた検討が必要になるとお考えください。

屋根と外壁の色の相性は、シミュレーション画像でどこまで分かりますか?

全体のバランスをつかむには役に立ちます。屋根と外壁の明るさの差、どの面が濃くなるか、付帯部を寄せたときの印象。こうした「配置」の確認には向いています。一方で、実際の色そのものは再現しきれません。画面の色は使う機器によって違いますし、屋外の光の下でどう見えるかまでは分かりません。外壁の凹凸が生む陰影も、シミュレーションではほとんど表現できません。配置はシミュレーションで、色そのものは実際の塗料でつくった塗り板を屋外で見て、と役割を分けるのが現実的です。

屋根が見えにくい家でも、屋根の色を気にする必要がありますか?

あります。真下からは見えなくても、少し離れた道路や、坂の上、隣家の2階からは見えています。ご自身がいちばん見ないのが自分の家の屋根で、周囲からはよく見えている、というのが実情です。ただし、屋根がほとんど見えない形の建物であれば、外壁の色を優先して決め、屋根はその外壁に無理なく合う濃色から選ぶ、という進め方も成り立ちます。どの角度からどれだけ屋根が見えるかは、現地で建物を見て判断します。

おわりに

冒頭のお客様の言葉に戻ります。「外壁の色は、だいたい決まったんです。でも屋根はどうしたらいいんでしょう」

この問いに対する私たちの答えは、順番を入れ替えましょう、というものでした。屋根から決めて、外壁を合わせる。狭いほうを先に決めれば、広いほうは自由に動かせます。

足場を解体した日、道路の向こう側から家を見たお客様は、しばらく黙って眺めてから「屋根がちゃんと家の一部になっている」とおっしゃいました。屋根の色を先に決めたことで、外壁の濃い面が屋根とつながり、薄ベージュの面がそこに明るさを足す。屋根が独立した帽子ではなく、家全体の一部として見える。狙っていたのは、まさにそこでした。

色の相性に、絶対の正解はありません。同じ組み合わせでも、建物の形が違えば見え方は変わります。カタログで見た色と、家一軒に塗った色は必ず違います。私たちにできるのは、その差がどちらに出やすいかをお伝えすることと、判断の材料をできるだけ多くお渡しすることだけです。

みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、平野区とその周辺で施工しています。まだ工事を決めていない段階でも構いません。お家の写真を送っていただければ、外壁と屋根の状態を診断したうえで、その建物ならどういう色の組み合わせが成り立つのかを、具体的にお伝えします。

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