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大東市緑ヶ丘|築40年スレート屋根の塗膜剥離をやり直し塗装|屋根塗装が剥がれる原因を検証

BEFORE 施工前
1階の瓦棒屋根の施工前の状態
AFTER 施工後
瓦棒屋根の塗装が完成した様子


1階の瓦棒屋根の施工前の状態
1階の瓦棒屋根の施工前の状態
スレート屋根の塗膜が板状に剥がれている様子(寄り)
前回塗装から4年で塗膜が板状にめくれていました。素地の色が見えているところが剥離部分です
ドローンで撮影した築40年スレート屋根の全景
屋根全体をドローンで確認。色あせと部分的な白っぽい変色が全面に広がっていました
縁切りがされずスレート瓦の重なりが塗膜でふさがれた状態
瓦の重なり部分に本来あるはずの隙間が、塗膜でふさがれてしまっています
皮すきで浮いた旧塗膜をケレンしている様子
浮いている旧塗膜を工具で一枚ずつ剥がしていきます。手作業でしか進められない工程です
ケレン作業で旧塗膜を剥がした大東市緑ヶ丘の築40年スレート屋根
ケレンで浮いた旧塗膜を剥がした直後の屋根面。剥がれた範囲がまだら模様になって広がっています
塗膜でふさがった瓦の重なりを皮すきで開けている様子
塗膜で貼り付いてしまった瓦同士を、皮すきを差し込んで切り離していきます
スレート屋根にタスペーサーを挿入して縁切りする作業
黒い縁切り部材タスペーサーを瓦の重なりへ差し込み、塗装後も隙間が残るようにします
下塗りに使用したスズカファインのベスコロフィラーHG
下塗りはベスコロフィラーHGのこげ茶。旧塗膜が残る屋根でも下地を整えられる材料です
ケレン後のスレート屋根にフィラーを塗り込む様子
ローラーでフィラーを塗り込みます。吸い込みの強い部分は特にしっかり含ませます
下塗りが完了して屋根全体が下地色になった状態
下塗りが終わった時点。ここで下地の吸い込みムラを止めきることが仕上がりを左右します
瓦棒屋根の鉄部へ錆止めを塗装している様子
金属の瓦棒屋根はスレートとは下地が違うため、下塗りに錆止めを使い分けます
屋根の中塗り・上塗りに使用したファインパーフェクトベスト
上塗り材は日本ペイントのファインパーフェクトベスト。屋根用のラジカル制御型塗料です
スレート屋根の中塗りを行っている様子
中塗り。下塗りの色を覆いながら、規定の量をしっかり配ります
スレート屋根の上塗りを行っている様子
上塗り。中塗りが乾いてから同じ材料・同じ色でもう一度塗り重ねます
庇の鉄部に錆止めを塗装している様子
庇も鉄なので、まず錆止めから。付帯部も下地に合わせて材料を選びます
庇の塗装が完成した様子
庇の仕上がり。2回塗りで色ムラなく仕上げています
塗装前の雨戸の状態
雨戸は塗装前の状態。段差が多く、塗り込みに手間のかかる部位です
塗装が完成した雨戸の寄り
雨戸の仕上がりを近くで。段差の奥まで塗料が入っているかが仕上がりの分かれ目です
外壁に塗料が飛ばないよう1階全体を養生している様子
今回は外壁の塗装がないため、飛散させないよう1階全体を丁寧に養生しました
塗装前の軒天と雨樋の状態
軒天は黒ずみが出ており、雨樋も含めてきれいにし直したいとのご要望でした
軒天の塗装が完成した様子
黒ずんでいた軒天も、透湿性のある専用塗料で塗り替えて明るくなりました
再塗装が完了した大東市緑ヶ丘の築40年スレート屋根
再塗装後の屋根。剥がれのない一枚の面として仕上がりました
瓦棒屋根の塗装が完成した様子
瓦棒屋根の塗装が完成した様子

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「前に塗ったばかりやのに、もう剥がれてきてるんです」

大東市緑ヶ丘にお住まいのお客様から、そんなお電話をいただいたのが最初でした。屋根を塗り替えたのは、そのわずか4年前。足場を組み、それなりの金額を払って、これで当分は安心だと思っていた屋根です。それが、地上から見上げても分かるほど、まだらにめくれ上がっていました。

屋根塗装が剥がれる原因は、塗料そのものの品質より、下地処理と工程管理にあることがほとんどです。この記事では、大東市緑ヶ丘の築40年スレート屋根で実際に何が起きていたのか、どこまで剥がして、どう塗り直したのかを、工程写真とあわせて最後まで公開します。あわせて、剥がれを起こしやすい条件と、やり直しがなぜ新規塗装より大変なのかも、正直にお伝えします。

スレート屋根の塗膜が板状に剥がれている様子(寄り)
前回塗装から4年で塗膜が板状にめくれていました。素地の色が見えているところが剥離部分です

📍 大東市の費用相場・業者選び・施工実績のまとめは「大東市の外壁塗装|完全ガイド」をご覧ください。

工事の基本情報

施工エリア 大阪府大東市緑ヶ丘
築年数 40年
屋根材 スレート屋根(1階部分に金属の瓦棒屋根)
ご相談内容 4年前に行った屋根塗装の塗膜が剥離した
施工内容 屋根の再塗装(ケレン・縁切り含む)/瓦棒屋根塗装/付帯部塗装(庇・雨戸・雨樋)/軒天塗装
使用材料 下塗り:ベスコロフィラーHG(スズカファイン)/上塗り:ファインパーフェクトベスト(日本ペイント)/軒天:水性ケンエース(日本ペイント)
工期 15日間
参考価格 85万円前後(税込)
保証 施工保証なし(理由は本文で詳しくご説明します)

※参考価格は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。屋根の面積・傷み具合・足場の条件で変わりますので、実際の金額は現地調査のうえでお出しします。

塗ったのに剥がれるのはなぜ?現地で確認できた2つの手がかり

屋根塗装が剥がれる手がかりとして下塗り不足と縁切り不足を示した図解
剥がれは、塗る前の工程に原因があることが多いです

まずはドローンを飛ばして、屋根全体の様子を確認しました。地上から見えるのは屋根のごく一部だけなので、面全体でどう傷んでいるかを先に押さえます。

ドローンで撮影した築40年スレート屋根の全景
屋根全体をドローンで確認。色あせと部分的な白っぽい変色が全面に広がっていました

全体に色あせが回っているのは、築40年という年数を考えれば不思議ではありません。問題は、その上に重なっていた白っぽいまだら模様でした。近づいて確認すると、それは色あせではなく、塗膜が板状にめくれて素地が露出している状態でした。

4年でこうなるのは、塗料の耐用年数の問題ではありません。どんなに安価な塗料でも、正しく塗られていれば4年で板状に剥がれることは、まずありません。剥がれ方が「点」ではなく「面」で、しかも塗膜が層ごとぺろっと持ち上がっている。これは塗料と下地がそもそも密着していなかったことを示しています。

手がかり1:下塗りが入っていなかった可能性

屋根塗装は通常、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りで仕上げます。このうち1回目の下塗りは、色をつけるためのものではありません。傷んで塗料を吸い込みやすくなった素地を固め、その上に乗る塗料と手をつなぐ「のり」の役割を持っています。シーラーやフィラーと呼ばれる材料がそれです。

剥がれた塗膜の裏側を見ると、素地の粉が付いてくる箇所がありました。下塗りで素地を固めきれていないと、こうした状態になりやすくなります。下塗りを省いたのか、塗ったけれど量が足りなかったのか、そこまでは現場を見ただけでは断定できません。ただ、密着の土台がつくられていなかった可能性は高いと考えています。

手がかり2:縁切りがされず、瓦の重なりが塗膜でふさがれていた

もうひとつ、はっきりと確認できたことがあります。スレート瓦同士の重なり部分に、本来あるはずの隙間がありませんでした。塗膜で完全にふさがれていたのです。

縁切りがされずスレート瓦の重なりが塗膜でふさがれた状態
瓦の重なり部分に本来あるはずの隙間が、塗膜でふさがれてしまっています

スレート屋根は一枚一枚が薄い板状で、上下に少しずつ重なりながら葺かれています。この重なりのわずかな隙間は、屋根の内側に入った水分や湿気を外へ逃がすための通り道です。塗料は液体ですから、塗れば当然この隙間にも入り込みます。そのまま乾けば、隙間は塞がります。

だから塗装の工程には「縁切り」という作業があります。塗料でふさがった隙間を、意図的に開け直す。あるいは最初から開いたままにしておく。この工程が抜けると、屋根の中に入った水分の逃げ場がなくなります。行き場を失った湿気は塗膜を裏側から押し上げ、素地と塗膜のあいだを引き剥がします。表から見れば「塗装が剥がれた」ですが、実際には内側から押されて浮いている、というケースが少なくありません。

この2つが重なると、剥がれるまでの時間は一気に短くなります。密着が弱いところへ、内側から水蒸気の圧力がかかり続けるわけですから、4年という年数にも説明がつきます。

念のために書き添えておきますが、これはあくまで残っていた塗膜と屋根の状態から読み取った推測です。当時どんな材料が使われ、どんな段取りで工事が進んだのかは、私たちには分かりません。誰が悪かったという話をしたいのではなく、何が起きると屋根の塗装は剥がれるのか、という技術の話としてお読みいただければと思います。

屋根塗装が剥がれる原因には、どんなパターンがある?

屋根塗装が剥がれる主な原因として洗浄不足、下塗り不適合、吸い込み、乾燥不足、湿気、旧塗膜との相性を示した図解
どの原因も、仕上げ前の確認で差が出ます

今回の現場に限らず、塗膜の剥がれには典型的な原因がいくつかあります。私たちが実際に見てきた範囲で整理すると、次のようになります。

1. 高圧洗浄とケレンが足りていない

塗装前の屋根には、砂ぼこり、苔、藻、そして劣化してもろくなった旧塗膜の粉が乗っています。この上に新しい塗料を塗れば、密着するのは「汚れの層」に対してです。汚れごと剥がれるのは時間の問題になります。

高圧洗浄は水圧で汚れを飛ばす作業、ケレンは工具で浮いた塗膜や錆を落とす作業です。どちらも仕上がりの見た目には現れないため、削られやすい工程でもあります。

2. 下塗り材の選定が合っていない

下塗り材は一種類ではありません。素地の種類、劣化の度合い、上に塗る塗料との相性で使い分けます。スレートに使う材料、金属に使う材料、旧塗膜が残っている面に使う材料は、それぞれ違います。「とりあえずシーラー」で済ませると、素地との相性が合わずに界面から剥がれることがあります。

3. 吸い込みの激しい素地に、下塗りを1回で済ませた

長年風雨にさらされたスレートは、乾いたスポンジのように塗料を吸い込みます。1回下塗りを塗っても、塗料がすべて素地に吸われてしまい、表面には膜が残っていない、ということが起こります。この状態で中塗りに進むと、上の塗膜は素地に直接乗っているのと変わりません。

吸い込みが強い面では、下塗りを2回入れる判断が必要になります。材料代と手間は増えますが、ここを省くと後で全部やり直すことになります。

4. 乾燥時間(インターバル)を守っていない

塗料には、次の工程に進むまでに空けるべき時間が決められています。この時間は塗料メーカーが試験して出している数字で、季節や気温によっても変わります。表面が乾いて見えても、内部はまだ溶剤や水分を含んでいることがあり、その状態で上塗りをすると、下の層が閉じ込められて硬化不良や膨れの原因になります。

工期を短く見せる見積書は魅力的に映りますが、乾燥時間は縮められません。屋根と外壁と付帯部をまとめて数日で終わらせる日程には、無理がないか確認したほうがよいと思います。

5. 結露や湿気の残る状態で塗った

屋根は朝方に結露します。夜露が残っている面や、前日の雨が完全に抜けきっていない素地に塗ると、水分が塗膜と素地のあいだに挟まります。冬場の早朝や、雨上がりの午前中は特に注意が必要な時間帯です。塗装は「晴れていればできる」わけではなく、素地が乾いていることが条件になります。

6. 旧塗膜との相性が悪い

塗り替えでは、必ず前回の塗膜の上に塗ることになります。前回何を塗ったかが分からない場合、新しい塗料の溶剤が旧塗膜を溶かしてしまい、縮みや剥離を起こすことがあります。旧塗膜の種類が判断できないときは、相性を選ばない下塗り材を挟んで縁を切る、というのがひとつの対処法です。

今回の屋根で私たちが使った下塗り材も、この考え方に沿って選んでいます。詳しくは工程のところでご説明します。

剥がれた屋根は、どこまで剥がせばいい?

剥がれた屋根を直すとき、最初に決めなければならないのが「既存の塗膜をどこまで撤去するか」です。ここが、やり直し塗装のいちばん難しい判断になります。

理屈だけでいえば、密着していない塗膜は全部剥がしてしまうのが正解です。しかし現実には、屋根一面の塗膜を完全に撤去するのは容易ではありません。スレートは薄く割れやすいので、力任せに削れば屋根材そのものを傷めます。かといって浮いた塗膜を残せば、その部分は新しい塗膜ごと再び剥がれます。

そこで実際には、手で触って浮いている・爪を立てて動く箇所を徹底的に落とし、しっかり密着している旧塗膜は残す、という線引きをします。今回もその方針で進めました。

皮すきで浮いた旧塗膜をケレンしている様子
浮いている旧塗膜を工具で一枚ずつ剥がしていきます。手作業でしか進められない工程です

皮すきを差し込み、浮いた塗膜を一枚ずつめくっていきます。機械で一気に、というわけにはいかない工程です。職人3人がかりで半日かかりました。

ケレン作業で旧塗膜を剥がした大東市緑ヶ丘の築40年スレート屋根
ケレンで浮いた旧塗膜を剥がした直後の屋根面。剥がれた範囲がまだら模様になって広がっています

剥がし終えた屋根がこの状態です。まだら模様に見えているところが、旧塗膜を撤去した範囲。ここまで広い面積で浮いていたということでもあります。

この写真を見ていただくと分かるように、やり直し塗装は「上からもう一度塗る」工事ではありません。まず前の塗膜を取り除くところから始まります。

やり直し塗装は、新しく塗るより高くつく?

結論から申し上げると、同じ屋根でも、やり直しのほうが手間はかかります。

新規の塗り替えなら、高圧洗浄で汚れを落とし、必要な範囲をケレンして下塗りに進みます。ところが剥離が起きた屋根では、その前に旧塗膜の撤去という工程がまるごと1つ増えます。今回は3人で半日、つまり延べ1.5人日ほどがこの作業だけに使われました。さらに、塗膜でくっついてしまった瓦同士を切り離す作業も加わります。

塗膜でふさがった瓦の重なりを皮すきで開けている様子
塗膜で貼り付いてしまった瓦同士を、皮すきを差し込んで切り離していきます

加えて、下地の状態が場所ごとにバラバラになるという難しさがあります。旧塗膜が残っている面、素地が露出した面、その境目。それぞれ吸い込み方が違うので、下塗りの入れ方を面ごとに調整しなければなりません。ムラなく仕上げるための神経の使い方が、まっさらな塗り替えとは違います。

もうひとつ、前回の工事で足場代は一度払っているのに、やり直すならもう一度足場を組まなければならないという点もあります。足場は工事費のなかで小さくない割合を占めます。剥がれによって失われるのは、塗料代だけではありません。

今回の工事は、屋根の再塗装に瓦棒屋根・付帯部・軒天の塗装を加えて、15日間、参考価格で85万円前後(税込)でした。もし剥離がなく、通常の塗り替えとして施工できていたら、下地処理にかかる手間はもっと少なくて済んだはずです。

カバー工法と再塗装、どちらを選ぶ?

剥がれた屋根で再塗装を検討する場合とカバー工法を検討する場合の判断図
塗れる屋根かどうかを先に判断します

現地調査を終えたあと、私たちは2つの選択肢をご提案しました。

ひとつ目は、金属屋根によるカバー工法。既存のスレートの上から防水シートを張り、その上に金属の屋根材を被せる工法です。下地の塗膜がどんな状態でも、その影響を受けません。剥離の心配から完全に解放されるという意味では、最も確実な方法です。ただし費用は再塗装よりかなり大きくなります。

ふたつ目が、剥離箇所をケレンしたうえでの再塗装。費用は抑えられますが、残した旧塗膜が将来また浮いてくる可能性をゼロにはできません。

お客様はご予算を踏まえて、再塗装をお選びになりました。私たちからも、再塗装を選んだ場合に何が起こりうるかを先にお伝えしたうえで、ご判断いただいています。

大東市緑ヶ丘の屋根で、実際に行った工程

縁切り|タスペーサーで隙間を確保する

塗膜でふさがっていた瓦の重なりを開け直したあと、今度は塗装後に同じことが起きないよう、縁切り部材を入れます。

スレート屋根にタスペーサーを挿入して縁切りする作業
黒い縁切り部材タスペーサーを瓦の重なりへ差し込み、塗装後も隙間が残るようにします

タスペーサーという黒い樹脂の部材を、瓦の重なりに差し込んでいきます。これがスペーサーとして働き、塗装しても一定の隙間が残る仕組みです。

タスペーサーがなかった時代は、塗装が乾いたあとに皮すきを入れて、一枚ずつ隙間を切り開いていました。手間がかかるうえに、せっかく塗った塗膜を傷めるリスクもあります。先に部材を入れておけるようになったことで、この工程の確実性は大きく上がりました。

下塗り|旧塗膜が残る面でも使えるフィラーを選ぶ

下塗りに使用したスズカファインのベスコロフィラーHG
下塗りはベスコロフィラーHGのこげ茶。旧塗膜が残る屋根でも下地を整えられる材料です

下塗りには、スズカファインのベスコロフィラーHGを使いました。傷んだスレートの下地を整える目的の材料で、旧塗膜が残っている面でも、上に塗る塗料の種類を選ばずに下地をつくれるという性質があります。

今回のように「前回何が塗られていたか分からない」屋根では、この相性の広さが判断の決め手になりました。前の項で書いた「旧塗膜との相性」への対処です。

ケレン後のスレート屋根にフィラーを塗り込む様子
ローラーでフィラーを塗り込みます。吸い込みの強い部分は特にしっかり含ませます

色はこげ茶。ローラーで塗り込んでいきますが、吸い込みの強い箇所ほどしっかり含ませます。表面をなでるだけでは、下塗りの意味がありません。

下塗りが完了して屋根全体が下地色になった状態
下塗りが終わった時点。ここで下地の吸い込みムラを止めきることが仕上がりを左右します

下塗りが終わると、屋根全体が薄い茶色に染まります。ここが仕上がりを決める土台です。この段階でムラが残っていれば、上に何を塗っても結果は同じことになります。

瓦棒屋根|下地が違えば、下塗りも変える

この家では1階に金属の瓦棒屋根が架かっていました。

瓦棒屋根の鉄部へ錆止めを塗装している様子
金属の瓦棒屋根はスレートとは下地が違うため、下塗りに錆止めを使い分けます

中塗り・上塗り|ファインパーフェクトベストで2回塗り重ねる

屋根の中塗り・上塗りに使用したファインパーフェクトベスト
上塗り材は日本ペイントのファインパーフェクトベスト。屋根用のラジカル制御型塗料です

上塗り材は日本ペイントのファインパーフェクトベストを使いました。屋根用のラジカル制御型塗料です。

スレート屋根の中塗りを行っている様子
中塗り。下塗りの色を覆いながら、規定の量をしっかり配ります

下塗りをしっかり乾かしてから中塗り。

スレート屋根の上塗りを行っている様子
上塗り。中塗りが乾いてから同じ材料・同じ色でもう一度塗り重ねます

そして上塗り。中塗りと上塗りは同じ材料・同じ色で塗り重ねます。同じ色を2回塗るので、どこまで塗ったか分かりにくく、塗り残しが出やすい工程でもあります。屋根は傾斜があるため、常に体を支えながらの作業になります。

瓦棒屋根も、錆止めのうえに2回塗り重ねて仕上げました。

付帯部|庇と雨戸も、下地に合わせて

今回は屋根に加えて、付帯部の塗装もご依頼いただきました。付帯部とは、外壁と屋根以外で塗装できる箇所の総称です。庇、雨樋、雨戸などがこれにあたります。

庇の鉄部に錆止めを塗装している様子
庇も鉄なので、まず錆止めから。付帯部も下地に合わせて材料を選びます

庇は鉄製なので、屋根の瓦棒と同じく錆止めから。乾燥させてから2回塗り重ねます。

庇の塗装が完成した様子
庇の仕上がり。2回塗りで色ムラなく仕上げています
塗装前の雨戸の状態
雨戸は塗装前の状態。段差が多く、塗り込みに手間のかかる部位です

雨戸は段差の連続した形状をしています。表面をなでるように塗ると、段差の奥に塗料が届きません。

塗装が完成した雨戸の寄り
雨戸の仕上がりを近くで。段差の奥まで塗料が入っているかが仕上がりの分かれ目です

近くで見ると、この形状の意味が分かると思います。隙間の奥まで塗料を運べているかどうかが、数年後に差になって現れる部位です。

軒天|通常の塗料を塗ってはいけない場所

今回は外壁の塗装がなかったため、軒天を塗る前に1階全体を養生しました。

外壁に塗料が飛ばないよう1階全体を養生している様子
今回は外壁の塗装がないため、飛散させないよう1階全体を丁寧に養生しました

塗料が外壁に飛べば、そこだけ色が変わって残ります。塗らない場所を守るための作業ですが、1階をぐるりと囲むので、これはこれで大仕事です。

塗装前の軒天と雨樋の状態
軒天は黒ずみが出ており、雨樋も含めてきれいにし直したいとのご要望でした

軒天は、屋根の内側にこもった湿気を外へ逃がす役割を持っています。ここに一般的な塗料を塗ると、湿気の出口をふさぐことになります。塗ったのに内部に湿気が溜まる、という本末転倒な状態になりかねません。

そのため軒天には、透湿性のある専用の塗料を使います。外からの水は防ぎ、内側の湿気は通す。今回は日本ペイントの水性ケンエースで2回塗りました。

軒天の塗装が完成した様子
黒ずんでいた軒天も、透湿性のある専用塗料で塗り替えて明るくなりました

この「湿気の逃げ道をふさがない」という考え方は、冒頭でご説明した縁切りとまったく同じです。屋根も軒天も、閉じ込めると壊れる。塗装は水をはじく仕事であると同時に、湿気を逃がす仕事でもあります。

正直にお伝えしたいこと|やり直し塗装の限界

ここまで工程をご覧いただきましたが、それでもお伝えしなければならないことがあります。

今回の工事に、施工保証はお付けしていません。

理由は単純です。密着している旧塗膜を残している以上、その部分が将来また浮いてくる可能性を、私たちの側で完全には保証できないからです。下地処理は考えられる限り丁寧に行いましたが、残した塗膜の内部でどこまで密着が保たれているかは、外からは見えません。

「保証が付かないなら意味がないのでは」と思われるかもしれません。しかし、出せない理由を伏せたまま工事を受けるほうが不誠実だと考えています。確実性を求めるならカバー工法、費用を抑えるなら再塗装。それぞれに引き受けるリスクが違うことをご理解いただいたうえで選んでいただくのが、いちばん納得のいく形だと思っています。

もうひとつ、屋根材そのものの寿命についてもお伝えしておきます。

スレート屋根は、塗装で表面を保護できる期間があります。しかし屋根材が反ったり、割れたり、手で持ち上げると崩れるほど脆くなっていれば、塗装では解決しません。塗料は屋根材の強度を戻す材料ではないからです。その段階まで進んでいる屋根には、カバー工法か葺き替えをご提案します。

今回の屋根は、剥離こそ広範囲でしたが、スレート自体はまだ塗装で保護できる状態でした。だから再塗装という選択肢が成り立ちました。もし屋根材が限界を迎えていたら、どれだけ丁寧に塗っても持ちません。「塗れるかどうか」は、剥がれの有無だけでは決まらないということです。

塗装した会社と連絡が取れないときは?

今回のケースでは、4年前に工事をした会社がすでに営業を終えており、お客様が連絡を取れる状態ではありませんでした。

塗装工事の保証は、基本的に施工した会社が出すものです。塗料メーカーの保証は塗料そのものの品質に対するもので、施工の不備までは通常カバーされません。つまり、施工した会社が存在しなくなれば、保証書があっても行使する相手がいなくなります。

もし今、同じような状況でお困りでしたら、次の順番で進めてみてください。

  • 契約書・見積書・保証書が手元にあるか確認する(工程や使用材料の記載が、原因を推測する材料になります)
  • 施工した会社が現在も営業しているか確認する。連絡が取れるなら、まず現状を伝えて対応を求める
  • 連絡が取れない、または話が進まない場合は、別の業者に現状を診てもらう
  • 診断は複数社に依頼し、「どこまで剥がすか」「なぜその範囲なのか」を説明してもらう

診てもらう際は、前の工事を批判してくれる業者ではなく、これから何をどうするかを具体的に説明してくれる業者を選んでください。原因の断定は、外から見ただけではできません。断定的に前業者を非難する説明よりも、「ここまでは分かるが、ここから先は推測です」と線を引いてくれる説明のほうが、実際には信頼できます。

剥離のリスクを下げるために、業者選びで確認したい5つのこと

屋根塗装の剥離リスクを下げるための下塗り材、縁切り、ケレン、工期、工程写真の確認項目図
見えなくなる工程ほど、事前に確認しておきます

次の塗り替えで同じことを繰り返さないために、見積もりの段階で確認しておきたい項目をまとめます。

1. 下塗り材の製品名が見積書に書いてあるか

「下塗り」とだけ書かれた見積書では、何が使われるか分かりません。メーカー名と製品名が入っているか、そしてその材料が自分の家の屋根材に合っているかを聞いてください。理由を説明できる業者であれば、少なくとも下地を見て選んでいます。

2. スレート屋根なら、縁切りの方法が明記されているか

タスペーサーを使うのか、塗装後に手作業で縁切りするのか。項目として見積書に入っているかを確認してください。今回の現場のように、この工程が抜けると数年で表面化します。

3. ケレンの範囲と方法をどう考えているか

特に塗り替え2回目以降の屋根では、旧塗膜をどこまで落とすかが結果を分けます。「全部剥がします」も「そのまま塗れます」も、屋根を見ずに言えることではありません。現地で触って確かめたうえでの説明かどうかを見てください。

4. 工期に無理がないか

屋根塗装だけでも、洗浄・乾燥・下地処理・3回塗りと工程が続き、それぞれに乾燥時間が必要です。他社より極端に短い工期を提示された場合は、どの工程をどう縮めるのかを具体的に聞いてみてください。

5. 工程写真を出してもらえるか

屋根は、工事が終わってしまえば施主の方が確認できない場所です。だからこそ、下塗りの状態、縁切りの状態、中塗りの状態を写真で記録して渡す業者を選ぶ意味があります。写真を残す前提で動く業者は、見えない工程を省きにくくなります。

大東市で屋根の剥がれが気になったら

大東市は生駒山地の西の麓にあたり、緑ヶ丘のように高低差のある土地に住宅が並ぶ地域があります。隣の家が大丈夫だから自分の家も大丈夫、とは言い切れません。また、昭和期に造成された住宅地では、今回のような築40年前後のお住まいも珍しくなく、2回目、3回目の塗り替えを迎える家が増えています。

塗り替えの回数が増えるほど旧塗膜の層は厚くなり、下地の判断は難しくなります。剥がれが出ているかどうかにかかわらず、前回の工事から数年しか経っていないのに屋根の様子が気になる、という段階でご相談いただければ、対応の選択肢は広く取れます。

最後に

再塗装が完了した大東市緑ヶ丘の築40年スレート屋根
再塗装後の屋根。剥がれのない一枚の面として仕上がりました

「前に塗ったばかりやのに、もう剥がれてきてるんです」

そう言われて伺った屋根は、15日間の工事を経て、剥がれのない一枚の面に戻りました。工事が終わったあと、お客様は「今度は見えないところを写真で見せてもらえたのが安心やった」とおっしゃっていました。

塗装は、塗った直後はどんな工事でもきれいに見えます。差が出るのは数年後です。そしてその差をつくっているのは、塗る前に何をしたか、という見えない部分でした。今回の屋根は、それをとても分かりやすい形で教えてくれた現場だったと思います。

屋根の塗装が剥がれてきた、前の工事から間もないのに様子がおかしい。そんなときは、まずは状態を診るところからで構いません。塗り直しがいいのか、カバー工法や葺き替えを考えるべきなのか、正直なところをお伝えします。

よくあるご質問

Q. 屋根塗装が数年で剥がれてしまいました。塗り直す以外に方法はありますか?

A. 剥がれの範囲と、屋根材そのものの状態によって選択肢が変わります。屋根材がまだ健全なら、浮いた旧塗膜を落としたうえでの再塗装が成り立ちます。屋根材が反っていたり割れが進んでいたりする場合は、既存の屋根の上に金属屋根を被せるカバー工法や、葺き替えを検討することになります。塗装は屋根材の強度を戻す工事ではないので、下地が限界なら塗り直しても解決しません。まずは剥がれの原因と屋根材の残り体力の両方を見てもらってください。

Q. 剥がれた塗膜は、全部剥がさないといけませんか?

A. 全部剥がすのが理想ですが、現実には難しいことが多いです。スレートは薄く割れやすいので、力任せに削ると屋根材そのものを傷めます。実際には、手で触って浮く箇所・爪を立てて動く箇所を徹底的に落とし、しっかり密着している旧塗膜は残す、という線引きをします。残した部分が将来また浮く可能性はゼロにできないので、その前提を先に説明してくれる業者かどうかが判断材料になります。

Q. 剥がれの原因は、現場を見れば断定できますか?

A. 断定はできません。分かるのは、剥がれ方が面で出ているか点で出ているか、塗膜の裏に素地の粉が付いているか、瓦の重なりが塗膜でふさがれているか、といった残っている痕跡だけです。当時どんな材料をどんな順番で塗ったかは記録がなければ確認できません。だからこそ、原因を断定して前の工事を非難する説明よりも、推測できる範囲と分からない範囲をはっきり分けて話してくれる業者のほうが信頼できます。

Q. やり直しの塗装に、保証は付きますか?

A. 旧塗膜を全部撤去できた場合は保証を出せることがありますが、密着している旧塗膜を残す方法を選んだ場合、施工保証をお出しできないことがあります。残した塗膜が将来浮く可能性を、施工する側で管理できないためです。保証の有無だけで判断せず、なぜ出せるのか・なぜ出せないのかの理由を確認してください。理由を説明せずに保証年数だけを長く提示されるほうが、実際には注意が必要です。

Q. 前に塗った業者と連絡が取れません。どうすればいいですか?

A. まず契約書・見積書・保証書が残っているか確認してください。使用材料や工程の記載があれば、原因を推測する手がかりになります。そのうえで施工会社が営業しているかを確認し、連絡が取れるなら現状を伝えて対応を求めます。会社が存在しない場合、保証書があっても行使する相手がいないため、別の業者に現状を診てもらう流れになります。その際は複数社に依頼し、どこまで剥がすか・なぜその範囲かを説明してもらってください。

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