交野市星田西|西日で色あせた外壁と屋根を塗り替え|方角で違う劣化の進み方


「西側だけ色が抜けていて、同じ家なのに変ですよね」——交野市星田西のお客様が、玄関の前で最初におっしゃった一言です。ご近所が次々と足場を組みはじめたこと、そして建てたハウスメーカーの定期点検で塗り替えを勧められたことが重なって、ようやく重い腰を上げられたところでした。
ただ、ご本人が引っかかっていたのは工事そのものより「なぜ西側だけなのか」でした。同じ日に建てて、同じ塗料が塗られていて、同じ年数が経っている。それなのに、東側の壁はまだきれいで、西側だけが白っぽく抜けている。これは不良ではなく、外壁塗装の世界ではごく当たり前に起きることです。ただ、その理由をきちんと説明されないまま「そろそろ塗り替えを」と言われても、納得はできませんよね。
この記事は、その「なぜ西側だけ」に正面から答える一本です。交野市星田西の築15年・積水ハウスのお住まいで、実際に西面と東面を並べて撮った写真をお見せしながら、方角によって外壁の傷み方がどう変わるのか、そして一面だけ塗り替えるという選択が現実的なのかどうかまで、正直にお話しします。
工事の基本情報
| 施工エリア | 大阪府交野市星田西 |
|---|---|
| 施工内容 | 外壁塗装/屋根塗装/シーリング打ち替え/擁壁塗装/付帯部塗装 |
| 建物 | 戸建住宅(積水ハウスで建てられたお住まい) |
| 築年数 | 15年 |
| 使用材料(外壁・屋根) | KFケミカル シェアルドSi(ラジカル制御型シリコン) |
| 使用材料(軒天) | 日本ペイント 水性ケンエース |
| 使用材料(擁壁) | アステックペイント エクスファイン(艶消し) |
| 施工期間 | 3週間 |
| 保証年数 | 5年 |
なお、この現場の工事費用は公開していません。建物の大きさ、足場の掛け方、傷んでいる箇所の数で金額は大きく変わりますので、金額の目安が知りたい方は現地調査でお出しするお見積りをご覧ください。ここで無責任な数字を並べるより、実際に見てからお伝えしたいと考えています。
なぜ西側と南側から先に傷むのか?

外壁の劣化を「経過年数」だけで語ると、必ずこの疑問にぶつかります。同じ15年でも、面によって残り時間が違うからです。
日が当たっている「時間」ではなく「角度」の問題
南面は、一日を通してもっとも長く日射を受けます。これは分かりやすい話です。ところが実際に現場を回っていると、南面と同じか、それ以上に西面が傷んでいる家が非常に多い。理由は太陽の高さにあります。
真昼の南の太陽は、頭のほぼ真上にあります。このとき壁は太陽をほぼ真横から見ている状態で、光は壁面を浅い角度でかすめていきます。ところが午後、太陽が西に傾くと話が変わります。低い位置から、壁の正面を狙い撃ちするように光が差し込む。壁が受け取るエネルギーは、光が面に対してどれだけ真正面から当たるかで決まりますから、西面は午後のあいだずっと「正面から浴び続ける」状態になります。
しかもこの状態が、夏場なら16時、17時と長く続きます。庇(ひさし)は上からの光を遮るためのものですから、低い角度から水平に近く差し込む西日にはほとんど効きません。南面は庇に守られる時間があるのに対し、西面は守るものがないまま壁がむき出しになる——これが、西面が先に消耗していく最大の理由です。
午後は「暑い時間」でもある
もう一つ、見落とされがちな要素が温度です。一日の気温がもっとも高くなるのは正午ではなく、午後2時から3時ごろ。つまり西日が壁を正面から照らす時間帯と、気温のピークが重なります。
塗膜は、気温が高いほど柔らかくなり、日が落ちれば冷えて縮みます。この伸び縮みが毎日繰り返されるうちに、塗膜は少しずつ弾力を失っていきます。加えて夕立や打ち水で急に冷やされれば、その負荷はさらに大きくなります。西面は「光」と「熱」の両方を、一日でいちばん厳しい時間帯にまとめて受け止めている面なのです。
実際に、どれくらい差が出ていたか
今回のお住まいで、まず西面を見上げたときの写真です。玄関扉のある西面は日当たりが良く、外壁全体に色むらが浮き、屋根も白く乾いた質感に変わっていました。遠目にも「あそこだけ色が違う」と分かるほどでした。

同じ日に、同じカメラで撮った東面がこちらです。同じ壁材、同じ塗料、同じ15年。それでも表情がまったく違います。東面は朝日を受ける面ですが、朝は気温が低く、日射の時間も短い。結果として、色の抜けがはるかに穏やかに収まっていました。

この2枚を並べてお見せしたとき、お客様が「なるほど、うちが特別おかしいわけじゃないんですね」と少しほっとされたのが印象に残っています。方角による差は、施工不良でも塗料の欠陥でもなく、建物が置かれた環境の差がそのまま出ているだけです。
屋根にも「傷みやすい面」があります
方角による差は、外壁だけの話ではありません。屋根も面によって進み方が変わります。ただし外壁とは条件が違い、屋根は最初から空に向かって傾いているぶん、どの面も外壁より多くの日射を受けます。そのうえで、南向きの屋根面がもっとも長く日を浴び、西向きの面が午後の熱を抱え込む——という順序になります。
今回のお住まいでも、西面を見上げたときに屋根の色が抜けていることが同じ写真の中に写り込んでいました。外壁の色あせが気になり出した家は、たいてい屋根も同じくらい進んでいます。屋根は普段見えないぶん気付くのが遅れるだけで、劣化が遅いわけではありません。足場を架けたときに屋根まで確認するのは、このためです。
では北側は傷まないのか?

「じゃあ日が当たらない北側は無傷ですね」と言われることがありますが、そうではありません。北面は傷まないのではなく、傷み方の種類が違うだけです。
日が当たらないということは、濡れたら乾かないということでもあります。雨や朝露で湿った壁が半日以上濡れたままになると、そこに苔や藻、カビが定着します。西面が「乾いて色が抜ける」劣化だとすれば、北面は「湿って緑や黒に汚れる」劣化です。どちらも塗膜の防水性が落ちているサインという点では同じで、放置すれば壁材そのものが水を吸うようになります。原因が「日射」ではなく「乾きにくさ」である以上、北面の対策は西面とは別の考え方になります。
今回の現場では、建物の北側よりも、敷地を取り囲む擁壁(ようへき/土を支えるコンクリートの壁)のほうに黒い筋汚れが目立っていました。擁壁は雨を遮るものが何もなく、常に雨ざらしになる場所です。

傷んでいる西面だけ塗り替えることはできる?

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。「東側はきれいなんだから、西側だけ塗ればいいのでは」——ごく自然な発想ですし、実際によくいただくご相談です。結論から言うと、技術的には可能ですが、多くの場合おすすめしていません。
理由1:足場は結局、家をぐるりと囲うことになる
足場は、塗る面の前にだけ立てて済むものではありません。組み立てにも解体にも、四方から人と材料が回れる動線が要ります。加えて、隣家への飛散を防ぐメッシュシートは全体を覆う前提です。「一面だけ」と言っても、足場だけは家一軒ぶんが必要になることがほとんどです。工事全体の中で足場が占める割合は小さくありませんから、一面だけにしても費用がその面積の比率まで下がるわけではないのです。
理由2:新しく塗った面と、塗らない面で色が揃わない
まったく同じ品番の塗料を使っても、隣り合った面の色は揃いません。塗らない面はすでに何年ぶんも退色していますから、新しく塗った面だけが濃く、鮮やかに浮きます。角を曲がった瞬間に色が変わる家になってしまう、と言ったほうが想像しやすいでしょうか。
そして厄介なのは、この差が年々広がる方向にしか進まないことです。塗った西面はこれからまた退色を始めますが、塗らなかった面も同時に退色を続けます。数年後に「やっぱり全体を」となったとき、今度は西面だけがまだ新しい、という逆の色ムラを抱えることになります。
理由3:洗浄も養生もシーリングも、面で切り分けにくい
塗装工事は、塗る作業だけで成り立っているわけではありません。高圧洗浄の水は隣の面へ回り込みますし、窓やサッシまわりの養生は面の境目でぴたりと止まりません。とくにシーリングは、建物の継ぎ目を一周ぐるりとつないで初めて防水として意味を持ちます。西面の継ぎ目だけ新品にしても、角を曲がった先の継ぎ目が切れていれば、そこから水は入ります。
もう一つ、保証の問題もあります。私たちは塗った範囲について保証をお出ししますが、隣接する未施工面の劣化が原因で不具合が出た場合、その切り分けは現実的に困難です。結果として、部分施工では保証の内容がどうしても限定的にならざるを得ません。
それでも「一面だけ」が成立する場面
公平のために書いておくと、部分施工が有効なケースもあります。台風で一面だけ物が当たって傷んだ場合、増築部分だけが明らかに新しい場合、もともと面ごとに色を塗り分けている家で片方だけを変えたい場合。「他の面がまだ十分に健康で、しかも近い将来に全体を塗る予定がない」ときに限って、部分施工は選択肢になります。ただ、築15年前後で西面が色あせているという今回のようなケースは、他の面もほぼ同じ時計を刻んでいます。数年遅れているだけで、止まっているわけではありません。
西面の劣化を、少しでも遅らせる考え方

塗り替えても、その家の西面が西を向いているという事実は変わりません。だからこそ、次の塗り替えまでの時間をどう伸ばすかを、工事の前に考えておく価値があります。
色の選び方で差が出る
退色の目立ちやすさは、色によってはっきり違います。赤・オレンジ・鮮やかな青といった彩度の高い色は、抜けたときの落差が大きく、「色あせた」という印象になりやすい。反対に、ベージュ、グレージュ、薄いグレーのように彩度が低く明度が中間の色は、多少退色しても見た目の変化が穏やかです。今回のお住まいも、もともとのベージュ系を活かした配色にしています。
また、同じ家の中で面ごとに色を変える手も使えます。西面だけを一段落ち着いた色にしておけば、数年後に差が出てもそれが「元の設計」に見える、という考え方です。
塗料のグレードを、面ではなく家全体で考える
今回は、ご予算とのバランスを検討した結果、ラジカル制御型のシリコン塗料(KFシェアルドSi)をお選びいただきました。より長寿命な塗料もご提案しましたが、塗料選びは「西面が持つかどうか」だけで決めるものではありません。その家にあと何年住むのか、次の塗り替えを何歳のときに迎えるのか、そこから逆算するのが本筋です。西面だけグレードを上げるという発想もありますが、同じ家に二種類の塗料を使うと、次の塗り替え時期が面ごとにずれて管理が複雑になります。家全体で一つの寿命に揃えるほうが、結果的に扱いやすくなります。
庇・植栽・すだれという物理的な手段
意外と効くのが、壁に光を当てない工夫です。西側にシンボルツリーや低木を植える、二階の窓に外付けのシェードを付ける、カーポートの屋根を延ばす。壁面に落ちる影が増えれば、それだけ塗膜が受ける負荷は減ります。ただし、壁のすぐ近くに植栽を寄せすぎると、今度は風が抜けず湿気がこもって北面と同じ問題が出ます。壁から少し離す、というのが実務上のコツです。
現地調査では、必ず全面を見ます
ここまでお読みいただくと、なぜ現地調査で家の周りを一周する必要があるのかが伝わるかと思います。正面(多くの場合、道路に面した一面)だけを見て判断すると、いちばん傷んでいる面を見落とします。
道路が北側にある家では、正面の北面はきれいに見えても、裏の南西面がぼろぼろということが普通にあります。逆に西向きの玄関なら、いちばん傷んだ面が真っ先に目に入るぶん、判断を誤りにくい。お客様ご自身が「うちの外壁、まだ大丈夫かな」と気にされるときも、ぜひ一度、家の周りをぐるりと歩いてみてください。手で壁を触って粉が付く面と付かない面があれば、その差がそのまま日当たりの差です。
調査でやっていることは、実はそれほど特別ではありません。四面それぞれの色を、同じ距離・同じ高さから見比べる。日陰になっている時間帯が長い面には、苔や藻が出ていないかを確認する。継ぎ目の防水材は、面ごとに硬さと縮み方が違うので、一周ぐるりと触って回る。この「面ごとに見る」という手順を踏まないと、正面の印象だけで工事の要不要を決めてしまうことになります。今回のお住まいでも、道路から見える範囲だけでは、屋根の退色にも擁壁の汚れにも気付けませんでした。
今回の現地調査でも、西面の色あせ・屋根の退色に加えて、外壁ボードの継ぎ目に入ったパッキン(継ぎ目をふさぐ防水材)の黒ずみと浮き、そして擁壁の汚れという、見え方の違う3つの劣化が見つかりました。

工事の様子
継ぎ目の防水をつくり直す
最初に手を付けたのは継ぎ目です。硬くなって縮んだ古い防水材を取り除き、両側にまっすぐな線を出すためのテープを貼り、新しいシーリング材を充填してヘラで押さえる。この繰り返しです。縦の目地、窓まわり、見上げないと気付かない高い位置の継ぎ目まで含めると、継ぎ目の工事だけで丸3日かかりました。

高圧洗浄
次が高圧洗浄です。汚れを落とすためだと思われがちですが、本当の目的は脆くなった古い塗膜を洗い流して、新しい塗料が食いつく下地をつくることにあります。ここが甘いと、どれだけ良い塗料を使っても数年で浮いてきます。

外壁は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗り
洗浄後、窓や土間を養生してから塗装に入ります。1回目は下地と塗料をつなぐ水性の浸透シーラー、2回目から色が付き、3回目で塗り残しを確認しながら仕上げます。塗料メーカーが定めた希釈率と乾燥時間を守ることが、カタログどおりの性能を出す唯一の方法です。


色むらと、触ると付いてくる粉っぽさが消え、しっとりとした艶が戻りました。新築時はマットな仕上がりのお住まいが多いので、塗り替え後は「まったく別の家みたい」と驚かれることがよくあります。
屋根も同じ3回塗り
屋根は、外壁以上に日射と雨を受け続ける場所です。今回はセメント系の厚みのある瓦でしたので、面の広いところはローラー、瓦の段差や重なりの隙間は刷毛と、道具を使い分けて塗り重ねました。


「屋根なんて見えないから何色でもいい」とおっしゃる方もいます。近くから見上げれば確かに見えません。ただ、道路の向かい側まで下がって家全体を眺めると、屋根の色は建物の印象を決める大きな要素です。外壁と同じくらい真剣に選んでいただきたい部分です。
擁壁も同じ工程で
敷地を囲う擁壁は、洗浄後に3回塗り重ねました。高さがあって脚立も入らない箇所は、柄の長いローラーで一枚ずつ塗り進めています。

使ったのはブロック塀や擁壁向けの艶消しタイプ(アステックペイント エクスファイン)です。外壁や屋根と違って光沢を出さないため、落ち着いたマットな表情に仕上がります。

この擁壁は歩道に面していて、お客様が出入りのたびに気にされていた場所でした。黒い筋が消えたときの喜ばれ方は、正直、外壁より大きかったかもしれません。
付帯部——軒天・シャッターボックス・樋・笠木
軒天(のきてん/建物を下から見上げたときの天井部分)には、外壁と同じ塗料は使いません。軒天は家の中の湿気を逃がす役割を持っているため、外壁用の塗料で塞いでしまうと湿気がこもります。今回は湿気を通すタイプの日本ペイント 水性ケンエースで仕上げました。部位ごとに塗料を選び分けることが、カビや傷みを防ぐ地味な要点です。

シャッターボックスは鉄部ですので、ケレン(研磨)で錆と汚れを落とし、錆止めを下塗りしてから2回塗り重ねます。なお「シャッター本体も塗ってほしい」というご要望はよくいただきますが、シャッターは巻き取って収納される構造のため、塗ると擦れて傷が入り、厚みで上げ下ろしが重くなります。基本的にはおすすめしていません。

雨樋は塩ビ製で、放置すると日射で変形していきます。ケレンで表面を整えてから2回塗り。ベランダの笠木(かさぎ/手すり壁の上を覆う部材)は水が回って塗膜が剥離していたため、パテで下地を作り直し、ケレンを繰り返してから塗装しました。

正直に書いておきます——塗り替えても、西面が先に傷みます
この記事を締めるにあたって、都合の悪いことも書いておきます。今回の塗り替えで、この家の西面が「他の面と同じペースで劣化するようになった」わけではありません。方角は変えられませんし、午後の太陽が低い角度から差し込むという条件も変わりません。新しい塗膜も、やはり西面から先に消耗していきます。
私たちにできるのは、そのペースを緩めることと、次に手を入れるべきタイミングを見誤らないようにすることだけです。だから塗り替えの後も、点検はまず西面から見てください。西面の状態が、その家の外壁全体の「先行指標」になります。西面に色の抜けや粉っぽさが出はじめたら、他の面はまだきれいでも、数年以内に同じ状態になると考えて準備を始めるのが現実的です。
逆に言えば、方角の違いを知っていれば、外壁は驚くほど計画的に管理できます。「一面だけ傷んでいる=おかしい」ではなく、「一面が先に教えてくれている」と受け取っていただければ、それがいちばん健全な付き合い方だと思っています。
まとめ
工事が終わった日、お客様は「西側だけ色が抜けていて、同じ家なのに変ですよね」とおっしゃったあの場所に立って、今度は「これで全部そろいましたね」と笑っておられました。面ごとにばらばらだった色が一本の線でつながると、家は思っていた以上に整って見えます。
外壁の劣化は、家全体で均一には進みません。西と南が先に色を失い、北は湿って汚れる。それぞれ違う顔で、同じ「塗膜が寿命に近づいている」という事実を教えてくれています。もし今、お住まいのどこか一面だけが気になっているなら、それは家全体からの最初の合図かもしれません。
みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、交野市を含む北河内エリアでも施工しています。まだ工事を決めていない段階で構いません。気になる面の写真を送っていただければ、その傷み方が方角によるものなのか、それとも別の原因があるのかを、無料で診断してお伝えします。
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よくある質問
西面だけが傷んでいるとき、その面の状態で家全体を判断してよいのですか?
西面は家の中でいちばん条件が厳しい面なので、「もっとも進んだ状態」として見るのが正しい読み方です。西面が色あせているからといって、家全体が同じ状態とは限りません。ただし他の面も同じ塗膜が同じ年数を過ごしていますから、方向としては必ず追いかけてきます。私たちが現地調査で全面を確認するのは、西面という先行指標と、他の面の実際の進み具合の差を測るためです。この差が小さければ全体が寿命に近く、大きければまだ余裕がある、という判断材料になります。
家の向きは変えられません。西向きの家はどうしても不利ですか?
塗膜への負荷という一点で見れば、西面を持つ家は不利です。これは正直にお伝えしています。ただし不利なのは「一面だけ」であって、家全体の寿命が大きく縮むわけではありません。対策としては、退色が目立ちにくい色を西面に使う、西側に日除けとなる植栽や外付けシェードを設ける、点検を西面から始める習慣をつける、という三つが現実的です。逆に西向きの家は、いちばん傷んだ面が生活動線から見えることが多く、劣化に早く気付けるという利点もあります。
濃い色と薄い色では、西面ではどちらが色あせが目立ちませんか?
目立ちにくいのは、彩度(色の鮮やかさ)が低く、明度が中間の色です。ベージュ、グレージュ、薄いグレー、淡いブラウンなどが代表格になります。「濃いか薄いか」よりも「鮮やかかどうか」が効いてきます。真っ赤やビビッドなブルーのように彩度の高い色は、少し抜けただけで印象が大きく変わります。逆に真っ白も、汚れとの対比が出やすいという別の弱点があります。西面に強い色を使いたい場合は、色そのものを諦めるのではなく、面ごとに色を分けて西面を一段落ち着かせる、という設計の逃げ道があります。
足場を組むなら、まだ傷んでいない北面も塗ったほうがいいですか?
基本的には塗ることをおすすめします。足場は工事費のなかで小さくない割合を占めますし、その足場を一度解体してしまうと、次に北面を塗るときにもう一度同じ費用が発生します。加えて、北面は色あせこそ少ないものの、苔やカビで塗膜の防水性が落ちていることが多く、「きれいに見えるだけ」というケースが珍しくありません。足場が架かっている間に全面を仕上げるのが、長い目で見ていちばん無駄がない選び方です。
今回は西面だけ、数年後に残りを塗る——という順番はどうですか?
おすすめしていません。まず足場が二度必要になります。そして数年後に残りを塗るとき、先に塗った西面はすでに退色を始めていますから、今度は西面が古く見えるという逆転が起きます。色を合わせようとすれば、結局は西面も塗り直すことになりかねません。家計の都合で工事を分けたいというご相談であれば、面で分けるのではなく、外壁を先に・屋根を次に、といった部位での分割のほうがまだ現実的です。とはいえ足場の二重負担は変わりませんので、まずは一度ご相談ください。
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