松原市別所|スレート屋根に遮熱塗料を使った施工事例|効果と限界を正直に


「屋根に遮熱塗料を塗ったら、夏は涼しくなりますか」
毎年、初夏になると必ずいただくご質問です。正直にお答えすると、答えは「条件によります」になります。効く家もあれば、ほとんど体感が変わらない家もあるからです。それでも私たちは、この松原市別所のお宅のスレート屋根に、遮熱塗料であるシャネツテックⅡSiを使いました。
苔と藻で全面が黒ずみ、塗膜としての役目をとうに終えていた屋根です。足場が外れた日、その屋根はダークブラウンの均一な面に変わり、外壁は淡いピンクに塗り替わっていました。ただしお客様に「これで涼しくなります」とは申し上げていません。言えることと、言えないことがあるからです。
この記事は、その約三週間の記録です。外壁塗装、屋根塗装、シーリング工事、外壁補修まで含めて、同等の内容を現在の価格でお見積りすると145万円前後になります。
遮熱塗料は何を抑えているのか。効きやすい家と効きにくい家はどこが違うのか。なぜ「何度下がる」と言えないのか。そして効果は何年もつのか。遮熱塗料の効果と限界を誇張せずに書いたうえで、全工程を写真21枚で公開します。
工事データ
| 施工エリア | 大阪府松原市別所 |
|---|---|
| 築年数 | 25年(工事記録の基本情報による) |
| 建物 | 戸建て住宅/モルタル外壁+スレート屋根 |
| 施工内容 | 外壁塗装/屋根塗装(遮熱塗料)/シーリング工事/外壁補修/付帯部塗装 |
| 使用塗料 | 外壁:KFシェアルドF(フッ素/KFケミカル) 屋根:シャネツテックⅡSi(遮熱シリコン) |
| 工期 | 約3週間 |
| 保証 | 外壁10年・屋根5年 |
| 参考価格 | 145万円前後(税込) 同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・屋根面積・下地の状態により変動します。 |
「そろそろやらないと」から始まったご相談
松原市別所の、築20年を超えたモルタル外壁のお住まいです。最初のご相談は、屋根でも暑さでもなく「そろそろ塗り替えないといけないと思っているが、どこに頼めばいいかわからない」という、業者選びのお悩みでした。
現地調査に伺うと、外壁は全体が色褪せ、手で触れると白い粉が付くチョーキングが出ていました。塗膜の樹脂が紫外線で分解され、防水の役目を終えているサインです。あわせて複数箇所のひび割れと、取り合い部のシーリングの破断も確認できました。
そして屋根です。スレートの表面は苔と藻で全面が黒ずみ、雨のあと水がいつまでも引かない状態でした。ここまで来ると、屋根は見た目の問題ではなく、屋根材そのものが水を吸い込み続けている状態です。
お出しした提案は、外壁をフッ素系のKFシェアルドFで、屋根を遮熱シリコンのシャネツテックⅡSiで塗り替え、その前段としてシーリングとひび割れの処置を行う、という内容でした。屋根に遮熱タイプを選んだ理由は、このあと正直に書きます。「涼しくなりますよ」という一言では、選定理由の説明になっていないと考えているからです。
遮熱塗料を使うと本当に涼しくなる?

まず仕組みからです。屋根に降り注ぐ太陽光のうち、屋根材の温度を押し上げているのは主に赤外線の成分です。遮熱塗料は、この赤外線を反射しやすい顔料を使うことで、屋根材が受け取る熱の量そのものを減らします。結果として、夏場の屋根表面の温度上昇がゆるやかになります。
ここで大事なのは、遮熱塗料が直接抑えているのは屋根表面の温度だという点です。室温ではありません。屋根の熱が室内の暑さになるまでには、屋根材から野地板へ、野地板から小屋裏の空気へ、小屋裏から天井の断熱材を通って室内へ、という道のりがあります。遮熱塗料はこの道のりの、いちばん入口を細くする役割です。
「室温が◯℃下がる」と言えない理由
広告では、遮熱塗料の効果を具体的な温度で表現しているものを見かけます。当社ではその書き方をしません。理由は単純で、入口を細くしたあとの道のりが、家ごとにまったく違うからです。
- 天井裏に入っている断熱材の量と、その施工状態
- 小屋裏に軒天換気や棟換気があるかどうか
- 勾配天井やロフトで、屋根と居室のあいだに空気層がほとんどない造りかどうか
- 窓の大きさと向き。屋根より窓からの日射のほうが支配的な家もあります
- 日中に人がいるかどうか、エアコンをどう使うかという生活のパターン
屋根表面の温度が同じだけ下がっても、この先の条件が違えば体感は変わります。逆に言えば、条件を伏せたまま数字だけを提示する説明は、その数字がどんな家で測られたものかを語っていないということです。私たちが屋根塗装でお約束できるのは、屋根表面の温度上昇を抑える方向に働く塗料を、規定どおりに施工することまでです。
遮熱と断熱は何が違う?

この二つは、混同されたまま話が進むことがとても多い言葉です。
- 遮熱=入ってくる熱を、表面で反射して減らす。熱の入口を細くする考え方。
- 断熱=入ってきた熱が伝わる速度を遅らせる。熱の通り道を詰まらせる考え方。
遮熱塗料は前者です。そして塗膜の厚みは、下塗り・中塗り・上塗りを重ねても一ミリに届きません。この厚みで断熱材の代わりが務まることはありません。天井裏の断熱材が薄い家に遮熱塗料を塗っても、断熱材を入れ直したのと同じ結果にはならない、ということです。
逆方向の話もしておきます。遮熱塗料は日射を反射するため、理屈のうえでは冬に屋根から取り込む日射も減ります。ただし冬は太陽の高度が低く日照時間も短いため、夏の影響と同じ大きさで効いてくるわけではありません。この点を過度に心配して遮熱をやめる必要はない、というのが当社の考えです。
遮熱塗料が効きやすい家・効きにくい家

ここが、遮熱塗料をおすすめするかどうかの分かれ目です。現地調査では、屋根の状態と一緒にこのあたりを見ています。
効果を感じやすい家
- 天井裏の断熱が薄い、または入っていない家。入口を細くした効果が、そのまま室内側に届きやすい状態です。
- 二階や最上階の部屋が、昼過ぎから夕方にかけて暑くなる家。屋根に溜まった熱が居室に届いている典型的なパターンです。
- 屋根が黒やこげ茶などの濃色の家。もともと日射をよく吸収しているぶん、反射させる意味が大きくなります。
- 勾配天井やロフトがあり、屋根と居室のあいだの空気層が薄い家。熱が緩衝されずに伝わるためです。
効果を感じにくい家
- 天井裏にしっかりと断熱材が入っている家。すでに通り道が詰まっているので、入口を細くしても差が出にくくなります。
- 軒天換気や棟換気があり、小屋裏の通気が確保されている家。熱が滞留せずに抜けていくため、もともと室内に届きにくい状態です。
- もともと屋根が明るい色の家。すでにある程度は反射している状態からの上乗せになります。
- 暑さの主因が窓からの日射である家。この場合は屋根よりも、窓側の対策のほうが体感は変わります。
お客様のお住まいがどちらに寄っているかは、点検口から小屋裏を見せていただければ、断熱材の状態と換気の有無でおおよその見当がつきます。見もせずに「遮熱にすれば涼しくなります」と言うことはできません。
遮熱効果はどのくらい持続する?
反射は塗膜の表面で起きています。ということは、その表面が汚れれば反射率は落ちます。砂ぼこり、大気中の油分、そして苔や藻。どれも反射を妨げる方向に働きます。
つまり遮熱性能は、施工直後がいちばん高く、そこから年数とともにゆるやかに下がっていきます。塗り替えて十年経った屋根が、一年目と同じ反射性能を保っているということはありません。これは製品の良し悪しではなく、屋外にある塗膜である以上、避けられない性質です。
あわせてお伝えしているのが保証の中身です。この工事の屋根五年保証は、塗膜そのものに対する保証であって、遮熱性能を五年間維持することを保証するものではありません。ここを曖昧にしたまま契約に進むと、あとで話が食い違います。
それでも遮熱塗料を選ぶ価値があるのはどんなときか
ここまで限界ばかり書いてきましたが、私たちは遮熱塗料を否定していません。判断の基準は次のように考えています。
- どのみち屋根を塗り替えるなら。同じ樹脂グレードのなかで遮熱タイプを選ぶ場合、塗料単価は上がりますが、工事総額の大半は足場と下地の処置です。差額が限定的なら、選ばない理由のほうが薄くなります。
- 屋根を濃い色で仕上げたいなら。色の希望を優先しつつ、表面温度の上がり方をゆるめられます。
- すでに二階の暑さを自覚しているなら。ただしこの場合は、遮熱塗料を「解決策」ではなく「一手」として位置づけてください。
逆に、絶対にしてほしくない判断があります。「遮熱塗料を塗るから、天井の断熱や換気の相談はしなくていい」という考え方です。暑さを本気で変えたいなら本命は断熱と通気で、遮熱塗料はそこに足すものです。そして屋根塗装の第一の目的は、あくまで屋根材を紫外線と雨から守り、寿命を延ばすことにあります。遮熱はその工事に付いてくる、意味のある性質だとお考えいただくのが、いちばん誤解のない理解だと思います。
施工の全工程
ここからは、実際の三週間の流れです。
1|足場設置と高圧洗浄
初日は足場の設置と近隣の皆様へのご挨拶から始まります。続いて高圧洗浄で、外壁のチョーキングの粉と、屋根に広がった苔・藻を洗い落としました。屋根については、この洗浄を省くと塗料が苔の上に乗ることになり、どれだけ良い塗料を使っても密着しません。遮熱塗料も例外ではなく、汚れの上に塗った膜では反射性能どころか塗膜の寿命そのものが短くなります。洗浄後は、下地が乾くまで日数を置きました。
2|シーリング工事

外壁の取り合い部のシーリングが痩せ、切れている状態でした。ここは雨水が外壁の内部へ直接入れる経路になります。塗装で表面を塗り替えても、この隙間が残っていれば意味がありません。


新しいシーリング材を充填し、ヘラでならして目地に密着させます。シーリングは、外壁が温度で伸び縮みするときのクッションでもあります。充填量とならしの丁寧さが、そのまま防水性能の持ちに出る工程です。
3|外壁のひび割れ補修

モルタル外壁は、温度と湿度の変化で膨張と収縮を繰り返すため、年数とともにひびが入りやすい外壁材です。今回のひび割れは浅いものが中心でしたので、補修材を充填してならす処置を行いました。

浅いうちに埋めておくことが大事です。放置して深いひび割れに育ってしまうと、処置の手間も費用も跳ね上がります。
4|外壁の下塗り・中塗り・上塗り

モルタルは塗料の吸い込みが強い下地です。下塗り材をたっぷりと塗布して吸い込みを止め、上に重ねる塗料が規定の膜厚を確保できる状態に整えます。

中塗りと上塗りには、フッ素系のKFシェアルドFを使いました。色は、お客様が色見本を何度も見比べて選ばれた淡いピンクです。

5|屋根の錆止めとタスペーサー設置

洗浄で苔を落としたあとの屋根です。まず棟板金に錆止めを塗布します。金属部は錆が出てから塗っても密着しないため、下塗りの段階で押さえておく必要があります。

続いてタスペーサーの設置です。スレート屋根は屋根材が重なった構造で、その重なりの隙間が、内部に入った雨水と湿気の逃げ道になっています。塗装でこの隙間が塞がると、水の出口がなくなります。


タスペーサーを重なり部分に挟み込むことで、塗装後も排出経路が残ります。遮熱塗料を使うかどうかに関係なく、スレート屋根の塗装では省略できない工程です。
6|屋根の下塗り・中塗り・上塗り

屋根も外壁と同じく三回塗りです。まず下塗りで屋根材の吸い込みを整えます。遮熱塗料は上塗りの膜で赤外線を反射しますから、その膜が規定の厚みで乗る下地を作れているかどうかが、性能を出すための前提になります。下塗りを薄くして上塗りだけ遮熱にしても、狙った膜にはなりません。


中塗り、上塗りと、シャネツテックⅡSiを重ねていきます。仕上げの色はダークブラウン系です。濃色は日射をよく吸収する色ですから、遮熱タイプを選んだ意味が出やすい組み合わせでもあります。


7|付帯部塗装と完了検査
庇、雨樋、門扉といった付帯部も塗装しました。鉄部はケレンで旧塗膜と錆を落とし、錆止めを入れてから上塗りをします。この下ごしらえを省くと、数年で錆が浮いてきます。


全工程が終わったあと、足場を解体する前に現場を一巡して最終確認を行います。足場がなくなってからでは高所の手直しができないため、この順番は動かせません。問題がなければ足場を解体し、清掃をして引き渡しです。
松原市別所の屋根は、何にさらされているのか

松原市は大阪府の南部にあり、海から離れた内陸に位置しています。そのため、沿岸部の住宅で問題になるような潮風による塩害の影響は、比較的小さい地域です。金属部の錆の進行という点では、条件に恵まれているほうだと言えます。
一方で、屋根にとって厳しいのは日射です。別所のあたりは住宅と農地が混在し、屋根に影を落とすような高い建物がそれほど多くありません。つまり、朝から夕方まで日射が屋根にまっすぐ届く時間が長い環境です。塩害が小さいぶん、劣化の主因は紫外線と熱に寄ります。
実際、これまで松原市で点検してきたお住まいでも、傷みが先に出るのは南面と西面です。とくに西面は、一日でいちばん気温が高い時間帯に低い角度から日射を受けるため、色褪せもチョーキングも早く現れます。今回のお宅でも、屋根と外壁の劣化の出方はこの傾向どおりでした。
日射が強く当たり続ける土地で、濃色のスレート屋根を塗り替える。この条件は、遮熱塗料を検討する価値がある側に寄っています。ただし繰り返しになりますが、それが室内の体感にどう出るかは、小屋裏の断熱と通気を見てからでないと申し上げられません。
完工の日
足場のシートが外され、お住まいの全体が姿を現しました。淡いピンクの外壁、ダークブラウンの屋根、黒くまとめた庇と雨樋。色見本を何度も見比べて色を決められたお客様に、イメージどおりに仕上がったと喜んでいただけました。
私たちがこの三週間でやったことを、あらためて並べてみます。切れていたシーリングを打ち直し、ひび割れを埋め、下地の吸い込みを止め、屋根の重なりに逃げ道を確保し、規定の回数と厚みで塗料を重ねた。そのどれもが、屋根と外壁を長持ちさせるための工程です。遮熱という性質は、その工事のなかで屋根に足された一つの機能でした。
よくあるご質問
遮熱塗料を屋根に塗ると、室温は何度下がりますか?
申し訳ありませんが、当社では「何度下がります」という数字をお約束していません。遮熱塗料が直接抑えるのは屋根表面の温度であって、室温はその先にある天井裏の断熱材の量、小屋裏の通気、屋根の形状、窓から入る日射、エアコンの使い方といった条件をすべて通過した結果として決まります。同じ塗料を同じように塗っても、家によって体感は変わります。数字を先に出す説明は、条件のほうを伏せていることが多いとお考えください。
遮熱塗料と断熱材は、同じような効果があるものですか?
別のものです。遮熱は、日射に含まれる赤外線を屋根の表面で反射して、屋根材が受け取る熱そのものを減らす考え方です。断熱は、受け取ってしまった熱が室内側へ伝わる速度を遅らせる考え方です。塗膜の厚みは全工程を重ねても一ミリに満たないため、断熱材の代わりにはなりません。二階の暑さを根本から変えたい場合は、天井裏の断熱と小屋裏の換気が本命で、遮熱塗料はそこに足す一手だとご説明しています。
屋根を濃い色で仕上げたいのですが、遮熱塗料の意味はありますか?
むしろ濃色のほうが差は出やすい部類です。濃い色はもともと日射をよく吸収するため、屋根表面の温度が上がりやすいからです。同じ色味なら、遮熱顔料を使った塗料のほうが表面温度の上がり方はゆるやかになります。ただし、濃色の遮熱塗料が淡色の一般塗料より必ず低温になるわけではありません。色を優先されるなら遮熱タイプを選ぶ価値がある、という順番で考えていただくのが正確です。
遮熱の効果は何年くらい持ちますか?
反射は塗膜の表面で起きるため、その表面が汚れると反射率は落ちていきます。砂ぼこり、大気中の油分、苔や藻の付着はどれも反射性能を下げる方向に働きます。効果がいちばん高いのは施工直後で、そこから年数とともにゆるやかに下がっていくとお考えください。なお当社の屋根五年保証は塗膜そのものに対する保証で、遮熱性能を五年間維持することを保証するものではありません。ここは誤解が生まれやすいので、契約前に必ずご説明しています。
遮熱塗料にすると、工事費はどのくらい高くなりますか?
同じ樹脂グレードどうし、たとえばシリコン系のなかで遮熱タイプと一般タイプを比べると、塗料の単価は上がります。ただし屋根と外壁の塗り替え工事は、費用の大きな部分を足場と下地の処置が占めます。そのため塗料単価の差が工事総額に与える影響は、想像されるほど大きくないことがほとんどです。実際にいくら変わるかは屋根面積と下地の状態で決まりますので、現地調査のうえでお見積りにお出ししています。
「涼しくなりますか」への、私たちの答え
冒頭のご質問に戻ります。「屋根に遮熱塗料を塗ったら、夏は涼しくなりますか」。私たちの答えは、やはり「条件によります」です。天井裏の断熱、小屋裏の通気、屋根の色、暮らし方。そのすべてを見せていただかないかぎり、数字でお答えすることはできません。
それでも、遮熱塗料が屋根表面の温度上昇を抑える方向に働くことは確かです。松原市別所のように日射をまともに受ける土地で、濃色のスレート屋根を塗り替えるなら、選ぶ理由のある塗料だと考えています。効果が経年で落ちること、断熱材の代わりにはならないこと、保証は塗膜に対するものであることを、あらかじめお伝えしたうえでなら。
言えることだけを言う。それが、私たちが遮熱塗料を扱うときのルールです。
屋根の苔や色褪せが気になっている方、二階の暑さに心当たりのある方は、まず小屋裏の状態を見せてください。遮熱塗料をおすすめするかどうかは、そのあとの話です。松原市の外壁塗装・屋根塗装は、大阪市平野区のみのりペイントにご相談ください。
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