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施工事例紹介

東大阪市善根寺町|築20年3階建ての木部塗装と天窓の雨漏り修理|工期28日の全工程

BEFORE 施工前
東大阪市善根寺町 築20年3階建て住宅の施工前の全景
AFTER 施工後
東大阪市善根寺町 木部塗装まで仕上げた施工後の全景

「壁より先に、木のところが黒くなってきたんです」

東大阪市善根寺町のお客様から最初にいただいたご相談は、この一言でした。築20年の3階建て。正面に幅広く張られた無垢の木材が、年数とともに黒ずみ、ところどころ木肌がむき出しになっていました。そこに加えて、屋根のトップライト(天窓)と、裏面の換気扇の上から雨漏れが起きているという状態でした。

それから28日後。足場が外れた日、お客様はご自宅の正面に立ち、木の部分をしばらく見上げてから、こう言われました。

「この色にして正解でしたね」

この記事は、その28日間の記録です。外壁は濃紺、屋根はライトグレー、そして木部はお客様のご希望でオレンジ。シーリングの全面打ち替えと雨漏れ箇所の補修まで含めて、同等の内容を現在の価格でお見積りすると132万円前後になります。

現地調査で木部のどこを見たのか、木は他の部分と何が違うのか、天窓の雨漏れをどう止めたのか。全工程を22枚の写真で公開します。

工事データ

施工エリア 大阪府東大阪市善根寺町
築年数 20年
建物 3階建て戸建て/窯業系サイディング(一部ジョリパット吹付)+木部+スレート屋根
施工内容 外壁塗装/屋根塗装/その他の塗装(木部・付帯部)/シーリング打ち替え/トップライト・換気扇上部の雨漏れ補修
使用塗料 外壁:KFシェアルドSi(KFケミカル/シリコン系)
屋根:ファインパーフェクトベスト(日本ペイント)
軒天:水性ケンエース(日本ペイント/透湿性)
工期 28日間
保証 5年
参考価格 132万円前後
※同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です

木部の劣化と雨漏れが同時に出たとき、何から相談すればいい?

お客様がお困りだったのは、ふたつのことでした。

ひとつは雨漏れです。屋根に付いているトップライト(天窓)のまわりと、裏面の換気扇の上部。この2か所から水が入ってきていました。雨漏れは待ってくれませんから、すでに何社かでお見積りを取られていたそうです。

もうひとつが木部の劣化でした。この家の正面には、無垢の木材が横張りで大きく張られています。設計上のいちばんの見せ場です。ところがその木が、20年のあいだに黒く変色し、板によっては表面が毛羽立ち、木肌が白っぽくむき出しになっていました。

「壁の塗り替えは分かるけれど、木はどうすればいいのか」——ここでご相談が止まってしまう方は、決して少なくありません。外壁や屋根の情報はいくらでも出てくるのに、木部だけは判断材料が極端に少ないからです。

私たちがちょうど近くの現場に入っていたご縁で、お見積りのご依頼をいただきました。最初にしたのは金額の話ではなく、木がいま何年目のどの状態にあるのかを、写真で見ていただくことでした。

築20年3階建ての現地調査で何が見つかった?チョーキングと木部の劣化

現地調査で見つかったチョーキング、シーリング劣化、木部劣化、屋根劣化の4つの症状の図解
外壁だけでなく、木部と雨漏りしやすい場所も同時に確認します

足場のない状態でできるところまで見て、屋根はドローンを飛ばして確認しました。3階建ては地上から目視できる範囲が限られるため、上に行くほど「見えていない劣化」がたまっていきます。

チョーキングが出ている外壁は、いま何が起きている?

外壁を手で撫でると粉が付くチョーキング現象
指で撫でると外壁の色の粉が付きました

外壁を指でなぞると、壁の色の粉が手に付きました。チョーキングと呼ばれる現象で、塗り替え時期を判断するもっとも簡単なサインです。

粉が出ているということは、表面の塗膜が紫外線で分解され、防水の役目を終えているということ。ここから先、外壁材は雨や湿気をそのまま吸うようになります。壁が水を含んで膨らみ、乾いて縮む——この動きの繰り返しが、次のひび割れを生みます。実際この家でも、外壁に大きなクラックが出ていました。

継ぎ目のシーリングは、なぜ外壁より先に劣化する?

外壁の継ぎ目で劣化していたシーリング材
サイディングの継ぎ目。シーリングが硬化し痩せていました

サイディングとサイディングの継ぎ目、そしてサッシまわりに詰められているのがシーリング材です。ゴムのように伸び縮みして、板同士の動きを吸収しながら水の侵入を止めるのが役目です。

ところがこの材料は、外壁の塗膜よりも先に寿命が来ます。硬くなって弾力を失い、肉やせして隙間ができる。この家でも継ぎ目とサッシまわりの両方で劣化が進んでいました。シーリングを直さずに壁だけ塗っても、水の入口はふさがりません。

木部の劣化はどこまで進んでいた?

正面に張られた木部(無垢材)の劣化した状態
黒ずみ、木肌が露出し、板の継ぎ目が痩せていました

これがご相談の中心だった正面の木部です。素材は生の木——無垢材でした。

見ていただきたいのは、黒い部分と、白茶けた部分が混在しているところです。黒いのは表面に残った古い塗膜と、そこに乗ったカビ・藻。白茶けているのは、塗膜が完全に飛んで木そのものがむき出しになり、紫外線で灰色化した部分です。

雨が当たる面ほど傷みが進み、板の下端から順に色が抜けていました。指で押すと、表面がわずかに毛羽立って繊維が起きます。幸い、押して沈み込むほどの腐りには至っていませんでした。この一点が、塗装で再生できるかどうかの分かれ目になります。

屋根はドローンで確認|スレート瓦の状態

ドローンで確認したスレート屋根の全体
3階建てのため、屋根はドローンで全面を確認しました

屋根はスレート瓦でした。昔の日本瓦にくらべて軽く、建物への負担が小さいのが利点です。ただし1枚1枚は薄く、表面の塗膜が切れると水を吸って傷みが早く進みます。定期的な塗り替えを前提とした屋根材だとお考えください。

色あせは全面に出ていましたが、割れや欠けは目立ちませんでした。塗装で十分に延命できる状態です。

外壁塗装で木部はどこを塗る?木部の劣化と塗装で知っておくべきこと

ここからが、この記事のいちばんお伝えしたい部分です。

木部は家のどこにある?

「うちに木の部分なんてあったかな」と思われる方も多いのですが、木造・鉄骨を問わず、外まわりには意外と木が使われています。代表的なのは次の場所です。

  • 破風板(はふいた)/屋根の妻側、斜めに走っている板
  • 鼻隠し(はなかくし)/軒先の、雨どいが取り付いている板
  • 軒天(のきてん)/軒の裏側の天井部分
  • 幕板(まくいた)/1階と2階の境を横に走る帯状の板
  • 雨戸の戸袋・霧除け
  • 玄関まわりの化粧材・格子・門柱
  • ウッドデッキ・木製フェンス・濡れ縁
  • 今回のような外壁の意匠木材(板張り)

このうち破風板・鼻隠し・軒天は、家の中でもっとも雨と日射を受ける場所にあります。しかも高所なので、日常的に劣化を見つけられません。「外壁はまだ大丈夫なのに、破風だけ先に傷んでいる」というお宅は本当に多いのです。

木部は他の部分と何が違う?木は「呼吸する」から

木部の塗装がサイディングや鉄部と決定的に違うのは、木が水分を出し入れする素材だという点です。

木は空気が乾けば内部の水分を放出し、湿れば吸い込みます。専門的には「調湿」、現場では「木が呼吸する」と言います。この動きにともなって、木は季節ごとにわずかに膨らんだり縮んだりしています。

ここに、鉄部と同じ発想で硬くて分厚い塗膜をぴったり密閉してしまうと何が起きるか。木の内部に入り込んだ水分が逃げ場を失います。木は乾かないまま湿った状態に置かれ、塗膜の内側で腐朽が進む。やがて水分の圧力で塗膜が浮き、はがれ、はがれた隙間からさらに水が入る——という悪循環に入ります。

木部の塗装で本当に怖いのは、塗らないことではなく、間違った塗り方で密閉してしまうことです。

今回のお宅で軒天に日本ペイントの水性ケンエースを使ったのも、同じ考え方によるものです。この塗料は透湿性——つまり湿気を通す性質を持っています。軒の裏は湿気がこもりやすく、通気を止めない塗料を選ぶ必要があるからです。

造膜タイプと浸透タイプ、どちらを選ぶ?

木部用の塗料は、大きく2つに分かれます。

造膜(ぞうまく)タイプは、木の表面に塗膜をつくって覆う塗り方です。色をしっかり乗せられ、木目を隠して均一な仕上がりになります。紫外線から木を守る力が強く、退色しにくいのが利点。一方で、劣化してくると面ではがれるため、次の塗り替えではケレン(旧塗膜の除去)の手間が大きくなります。

浸透(しんとう)タイプは、木の内部に染み込ませて防腐・防虫成分を効かせる塗り方です。塗膜をつくらないので木の呼吸を妨げず、木目の質感も残せます。劣化するときははがれずに徐々に色が抜けていくので、塗り替えが楽です。ただし塗膜がない分、耐候年数は短く、こまめな塗り直しが前提になります。

選び分けの目安はこうです。

  • 木目を活かしたい/ウッドデッキや濡れ縁など足が触れる場所→浸透タイプ
  • 色をはっきり決めたい/高所で頻繁に塗り替えられない破風・鼻隠し・板張り外壁→造膜タイプ
  • すでに造膜タイプで塗られている木部→旧塗膜を落としきれない限り、原則そのまま造膜タイプ

今回の正面の板張りは、高所かつお客様が色をはっきり決めたい部分でしたので、造膜タイプで仕上げています。

腐った木部は塗装で直る?交換に切り替える判断基準

木部は色あせ黒ずみ、毛羽立ちささくれ、腐り沈みの段階で塗装か交換かを見極める図解
木部は、塗れる段階と交換が必要な段階を分けて判断します

はっきり申し上げます。腐りが進んだ木部は、塗装では直りません。

塗装は木の表面を保護する工事であって、失われた強度を戻す工事ではないからです。腐った木に塗料を乗せると、見た目だけは一時的にきれいになりますが、内側の腐朽は止まらず、数年で塗膜ごと崩れます。しかもその間、劣化が見えなくなる分だけ発見が遅れます。

現場で私たちが交換をおすすめするのは、次のような場合です。

  • ドライバーの柄などで押すと、表面が沈む・めり込む
  • 爪を立てると簡単に食い込む、指でつまむと繊維がぼろぼろ取れる
  • 木が反って浮き上がり、下地との間に隙間ができている
  • 釘やビスがきかず、抜けかけている
  • 白アリの被害痕、キノコ状の菌糸が見える
  • 叩いたときの音が、他と明らかに違って鈍い

逆に、色が抜けている・毛羽立っている・古い塗膜がはがれているだけであれば、これは表面の劣化です。ケレンで整えれば塗装で十分に再生できます。

今回の善根寺町のお宅は、まさに後者でした。黒ずみと毛羽立ちは全面に出ていたものの、木の芯はしっかり残っていた。だからこそ、交換ではなく塗装という判断ができました。この見極めのために、現地調査では必ず木部を押して、叩いて、確かめます。

木部の仕上がりは、ケレンでほぼ決まる

木部のケレン作業で下地を整える
木部のケレン。旧塗膜と毛羽立ちを落として下地を整えます

ケレンとは、ペーパー(研磨紙)や工具で下地を削り、整える作業です。木部では、この工程が仕上がりの大半を決めます。

木部のケレンでやっているのは、次の3つです。

①はがれかけた旧塗膜を落とす。ぐらついた塗膜の上に新しい塗料を乗せても、下ごと一緒にはがれます。

②毛羽立ちを均す。紫外線で傷んだ木の表面は、繊維が起きてささくれています。このまま塗ると塗料を吸い込みすぎてムラになり、手触りもざらつきます。

③塗料の足がかりをつくる。つるつるの面より、細かい傷が付いた面のほうが塗料は密着します。

地味で、写真映えもしない作業です。けれど木部の塗装が数年ではがれる原因のほとんどは、塗料ではなくケレン不足にあります。破風板も同じように、ペーパーをかけてから塗り始めました。

破風板のケレンで旧塗膜と毛羽立ちを落とす
破風板のケレン。木部と同じ手順で下地をつくります

天窓(トップライト)から雨漏りするのはなぜ?換気扇の上からも水が入る理由

この工事のもうひとつの山場が、雨漏れの補修でした。

天窓は「屋根に穴を開けている」から弱い

天窓まわりが水の入口になりやすい理由。開口部、シーリング劣化、板金のすき間を示した図解
塗装の足場があるタイミングで、天窓まわりも点検します
雨漏れが発生していた換気扇フードとトップライト(天窓)まわり
赤丸が換気扇のフード。右上に見えるのがトップライトです

屋根というのは、上から降ってきた水を下へ流すためだけに作られた面です。何もなければ、水は迷わず軒先まで滑り落ちていきます。

ところがトップライトは、その面に意図的に穴を開けて、箱をはめ込んでいる構造物です。水の流れの真ん中に障害物が立っている状態、と考えてください。

雨水は天窓の上側でいったんせき止められ、左右に分かれて回り込みます。この「回り込む場所」=屋根材と天窓枠の取り合いが、屋根でもっとも負荷のかかる部分です。ここは板金とシーリングで水を返していますが、シーリングは紫外線と熱で必ず劣化します。硬化して切れれば、そこが入口になります。

天窓からの雨漏れは、ガラスが割れて起きるものではありません。ほとんどが取り合い部のシーリング切れです。

換気扇の上から雨漏りするのはなぜ?

換気扇のフードや配管、エアコンのスリーブなど、壁を貫通しているもののまわりも同じ理屈です。

外壁材に穴を開けて筒を通し、そのすき間をシーリングでふさいでいる。だからシーリングが切れれば、そこは壁の内側まで一直線につながった穴になります。しかも壁を伝った雨水は、フードの上側にたまってから流れ落ちるため、上側の口が真っ先に狙われます。

「換気扇の上から水が」というご相談は、私たちが平野区や東大阪市でよくいただくパターンのひとつです。原因が分かりやすく、直し方もはっきりしている一方で、足場がないと手が届かない高さにあることが多いのが厄介なところです。

塗装のタイミングでしか直せない場所がある

雨漏れしていた取り合い部の補修が完了した状態
雨漏れしていた取り合い部を補修。サッシまわりや軒天との取り合いも同時に処理しました

今回の雨漏れ箇所は、どちらも3階建ての高所にありました。雨漏れ補修だけを単独で頼むと、その工事のためだけに足場を組むことになります。足場の費用は工事の規模にかかわらずほぼ一定でかかりますから、これは非常にもったいない。

逆に言えば、外壁塗装のために足場を組むタイミングは、高所の雨漏れを直す絶好の機会です。足場が建っている間なら、天窓の取り合い、換気扇の上部、サッシまわり、軒天との取り合い——普段は絶対に手の届かない場所を、まとめて確認して処理できます。

今回もそうしました。ご相談いただいた2か所だけでなく、足場から見て怪しい取り合いはすべて洗い直して補修しています。雨漏れは「今漏れている場所」を止めても、隣の弱点が次に破れれば同じことの繰り返しになるからです。

全工程を公開|工期28日、なぜ1ヶ月近くかかったのか

木部と雨漏り箇所を同時に直す工程。シーリング、高圧洗浄、外壁3回塗り、屋根3回塗り、木部ケレン、木部塗装
木部はケレンで下地を整えてから、木に合う塗料で保護します

この工事は28日間かかりました。外壁のみなら2週間ほど、屋根を同時に行っても3〜4週間が一般的ですから、長めの部類に入ります。理由は最後にご説明します。まずは順を追ってご覧ください。

①シーリングの打ち替え|古いものは全部撤去する

既存シーリングをカッターで切り込み撤去する作業
両サイドにカッターを入れ、ペンチで引き抜きます

継ぎ目の両サイドにカッターで切り込みを入れ、古いシーリングをペンチで引き抜いていきます。既存の上から重ねる「増し打ち」ではなく、全部撤去する「打ち替え」です。古い材料が残っていると、そこから一緒にはがれてしまうためです。

シーリング打ち替え前のプライマー塗布
プライマー塗布。新しいシーリングの密着を確保します

撤去した溝にプライマーを塗ります。下地と新しいシーリング材をつなぐ接着剤にあたる工程で、これを省くと数年で口が開きます。

変性シリコンをガンで充填するシーリング打ち替え
ノンブリードタイプの変性シリコンを充填します

使用したのはノンブリードタイプの変性シリコンです。「ノンブリード」とは、シーリングに含まれる可塑剤が塗膜へにじみ出さないという意味で、これを使わないと打ち替えた線に沿って外壁が黒く汚れてきます。充填したあとヘラで押さえ、マスキングテープを剥がして仕上げます。

②高圧洗浄|塗る前に、全部落とす

高圧洗浄で外壁の汚れと苔を洗い落とす
外壁・屋根の表面の汚れ、苔、カビを洗い落とします

外壁と屋根の表面に付いた汚れ・苔・カビを洗い流します。チョーキングで出ていた粉も、ここで落としきります。汚れの上に塗った塗料は、汚れごとはがれます。地味ですが、塗膜の寿命を左右する工程です。洗浄後は十分に乾燥させてから塗装に入ります。

③外壁の3回塗り|下地が2種類あったので下塗りを分けた

外壁1回目のシーラー塗布
1回目はシーラー。無色なので色は付きません

塗装は原則3回塗りです。1回目はシーラー。無色透明の下塗り材で、塗っても色は変わりません。

このお宅で少し手間だったのが、下地が2種類あったことです。全体は窯業系サイディングでしたが、1階の一部だけジョリパットの吹付仕上げになっていました。この2つは吸い込み方も表面の凹凸も違うため、同じ下塗り材では対応できません。吹付部分にはフィラーという微弾性の下地材を入れ、面を整えてから中塗りに進みました。

KFシェアルドSiによる外壁の中塗り
中塗り。KFシェアルドSiのナスコン色で一気に印象が変わります

下塗りをしっかり乾かしてから中塗りへ。KFケミカルのKFシェアルドSi、色は濃紺のナスコンです。ここで初めて色が乗り、家の印象が大きく変わります。

外壁の上塗りで色ムラなく仕上げる
上塗り。乾いた箇所と塗りたての箇所の色差を見ながら塗り漏れを防ぎます

中塗りの乾燥後、上塗りです。塗料は乾くと色が濃くなる性質があります。塗りたての箇所は、乾いた箇所にくらべて色が薄く見える。この差を目印にして、色の濃い部分をすべて塗り重ねていけば、塗り漏れが残りません。濃色は塗りムラが出やすいので、特に慎重に進めました。

④屋根の3回塗り|夏場の屋根は照り返しとの戦い

ファインパーフェクトベストによる屋根の中塗り
屋根の中塗り。日本ペイントのファインパーフェクトベスト(ライトグレー)

屋根も外壁と同様にシーラーから入ります。劣化した屋根材は下塗り材をよく吸い込むため、塗った箇所は色が濃く変わります。吸い込みが強い部分は追加で入れ、乾燥後に中塗り・上塗りへ。

使用したのは日本ペイントのファインパーフェクトベスト、色はライトグレーです。屋根は傾斜がある上に照り返しが強く、外壁とはまったく別種の体力を使う作業になります。

ライトグレーで塗り上がった屋根
屋根の完成。色あせが消え、面がそろいました

⑤付帯部と木部|この家はここに時間がかかった

付帯部とは、外壁と屋根以外で塗装できる部分の総称です。このお宅では軒天・雨どい・シャッターボックス・水切り・破風板・木部が対象でした。数が多く、しかも素材がすべて違います。

透湿性塗料で塗り替えた軒天
軒天。透湿性の水性ケンエースで2回塗り

軒天は日本ペイントの水性ケンエースで2回塗り。前述のとおり、湿気を通す塗料を選んでいます。普段は見上げない場所ですが、黒い点状の汚れがたまりやすい部分です。

雨どいはペーパーでケレンしてから2回塗り。シャッターボックスと水切りは鉄部なので、まず錆止めを入れます。錆止めは錆の発生を抑えるだけでなく、下地の状態を整えて上塗りの仕上がりを良くする役目もあります。水切りは、お客様のご希望で濃い色から白へ変更しました。

木部の1回目の塗装
ケレン後、木部の1回目。板の重なりの奥まで刷毛を入れます

そして木部です。ケレンで下地を整えたあと、2回塗り重ねました。横張りの板は、板と板の重なり部分に必ず影ができます。ローラーだけでは奥まで入らないため、刷毛で1枚ずつ追いかけていく作業になります。ここを飛ばすと、乾いたときに黒い筋が残ります。

オレンジ色に仕上がった木部
木部の完成。お客様のご希望でオレンジに仕上げました

色は、お客様のご希望でオレンジ。文字だけ読むと相当に思い切った色に感じられると思いますが、事前のカラーシミュレーションどおりの仕上がりです。濃紺の外壁と合わせると、木部が見事にアクセントとして立ち上がりました。

なぜ28日かかった?

理由は4つあります。

①3階建てだから。単純に塗る面積と足場の規模が大きく、職人の移動にも時間がかかります。

②シーリングを全面打ち替えしたから。増し打ちなら数日で終わるところを、撤去・清掃・プライマー・充填・ヘラ押さえと工程を踏みました。

③雨漏れ補修を含んでいるから。天窓と換気扇上部の処理に加え、足場から見える取り合いをすべて点検し直しています。

④付帯部と木部が多かったから。素材ごとに下塗りが違い、そのつど乾燥時間が必要です。とくに木部は、下地の含水が多い状態で塗り重ねると密着不良を起こすため、乾燥を待つ時間を削れません。

塗装工事の日数の大半は、実は「乾かしている時間」です。工程を詰めて日数を短くすることは技術的には可能ですが、その分だけ塗膜の寿命を削ることになります。私たちは日数のほうを取ります。

東大阪市善根寺町はなぜ木部が傷みやすい?生駒山麓という土地の条件

善根寺町は東大阪市の東端、生駒山の西麓にあたる地域です。すぐ背後に山が迫り、坂と緑の多い落ち着いた住宅地が広がっています。

この立地は、住み心地の面ではとても豊かです。ただ、建物の外まわりにとっては、平地よりも条件が厳しくなります。

ひとつは湿気です。山からの冷気が下りてくる山麓部は、朝晩に気温が下がりやすく、夜露が降りやすい。壁や木部の表面が濡れている時間が、平地より長くなります。木部にとって、乾かない時間が長いことは劣化の直行便です。

もうひとつは緑の近さです。樹木が多い環境では、苔や藻の胞子が飛んできて外壁や木部に付着します。とくに北面と、山側で日当たりが弱くなる面は、緑がかった汚れや黒ずみが早く出ます。今回の木部の黒ずみも、この条件と無関係ではありません。

そして山からの吹き下ろしの風。雨をともなうと、通常なら濡れない高さ・向きの面まで水がかかります。天窓や換気扇まわりのような取り合い部にとっては、これがじわじわ効いてきます。

だから善根寺町や日下町のような山麓側のお宅では、「まだ築20年だから」という年数だけの判断は当てになりません。同じ築年数でも、平野部の家より木部と取り合いが先に来ていることがよくあります。年数ではなく、いま現物がどうなっているかで判断してください。

完工の日

28日目、足場を解体しました。

お客様は道の向かい側まで出て、しばらくご自宅を見上げておられました。濃紺になった外壁。ライトグレーの屋根。そして、20年ぶんの黒ずみが消えて鮮やかなオレンジになった正面の木部。

「この色にして正解でしたね」

私たちにとってうれしかったのは、色のことだけではありません。雨漏れが止まったこと、そしてこの家のいちばんの見せ場である木部を、交換せずに残せたことです。

木は、放っておけば必ず終わりが来る素材です。けれど手入れをすれば、驚くほど長く付き合えます。今回のお宅は、ぎりぎり塗装で間に合う側にいました。あと数年遅ければ、板の交換を含む別の工事になっていたはずです。

よくあるご質問

外壁塗装で木部はどこを塗りますか?

破風板・鼻隠し・軒天・幕板・雨戸の戸袋・玄関まわりの化粧材・ウッドデッキ・板張りの外壁などが対象です。ご自宅に木部があるかどうかは、屋根の斜めに走る板(破風板)と、軒先で雨どいが付いている板(鼻隠し)をご覧いただくと分かりやすいです。近年は木部が樹脂製や窯業系に置き換わっている住宅もあり、素材の見極めから現地調査で行います。

木部の塗装は他の部分と何が違うのですか?

木は水分を出し入れする素材だという点が決定的に違います。鉄部と同じように硬い塗膜で密閉すると、内部の水分が逃げられず、塗膜の内側で腐りが進みます。そのため木部では、透湿性のある塗料を選ぶ、あるいは木の内部に染み込ませる浸透タイプを使うなど、呼吸を妨げない塗り方を選びます。塗り替えの周期も外壁より短くなるとお考えください。

腐ってしまった木部は塗装で直りますか?

直りません。塗装は表面を保護する工事で、失われた強度は戻せないからです。押すと沈む、爪が簡単に食い込む、釘がきかない、反って浮いているといった状態であれば交換をおすすめします。一方、色が抜けている・毛羽立っている・古い塗膜がはがれているだけであれば表面の劣化ですので、ケレンで下地を整えれば塗装で再生できます。この見極めは、現地で押して叩いて確認します。

天窓(トップライト)から雨漏りしています。塗装工事と一緒に直せますか?

直せますし、一緒に行うことを強くおすすめします。天窓の雨漏りはガラスではなく、屋根材と天窓枠の取り合い部のシーリング切れが原因であることがほとんどです。補修には足場が必要ですが、雨漏り補修だけのために足場を組むと費用効率が悪くなります。外壁塗装で足場を組むタイミングであれば、換気扇まわりやサッシまわりも含めて、高所の弱点をまとめて処理できます。

木部だけ、雨漏り箇所だけの工事もお願いできますか?

ご依頼いただけます。ただし、その部分が2階以上の高所にある場合は足場が必要になり、足場の費用は工事の規模にあまり関係なくかかります。そのため「木部だけ」「雨漏りだけ」で足場を組むと、割高に感じられることが多いのが実情です。まずは無料の現地調査で、いま急いで直すべき箇所と、次の塗り替えまで待てる箇所を切り分けてご説明します。

「壁より先に、木のところが黒くなってきたんです」——最初のご相談は、この一言から始まりました。

木部は、家の中でいちばん先に傷みが出て、いちばん判断がつきにくい場所です。塗ればいいのか、替えるべきなのか。誰に聞けばいいのか分からないまま、何年も見送られてしまうことがあります。

けれど木部の劣化は、進み方に段階があります。色が抜けただけの段階、毛羽立った段階、押すと沈む段階。どこにいるかが分かれば、やるべきことも、待てるかどうかも決まります。

28日後、オレンジに塗り上がった正面を見上げながら、お客様は「この色にして正解でしたね」と言われました。あの木は、いまも生きています。

ご自宅の木の部分が気になっているなら、まずは写真を1枚撮ってみてください。大阪市平野区のみのりペイントが、その木がいまどの段階にいるのかを、正直にお伝えします。

無料

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