四条畷市田原台|築35年サイディングの前回塗装跡を白い下塗りで整えて塗り直し|外壁の塗りムラはなぜ起きる?


「前に塗ってもらったときの跡が、まだ残っているように見えるんです」
外壁のご相談は、雨漏りやひび割れのような分かりやすい不具合から始まるとはかぎりません。壁全体がのっぺりと均一に見えず、面によって濃く見えたり、うっすら筋が入って見えたり、部分的に色が浮いて見えたり。専門的には外壁の塗りムラと呼ばれる現象ですが、住んでいる方の言葉になると「なんとなく気持ち悪い」「塗ったはずなのにきれいに見えない」という見た目の引っかかりとして出てきます。
今回ご紹介するのは、四条畷市田原台にある築35年・2階建てのサイディング住宅です。前回の塗装から約15年が経過し、外壁には前回の塗膜が残ったまま、面ごとに違う見え方をしている状態でした。この記事では、その現場の全工程を追いながら、外壁の塗りムラはなぜ起きるのか、ムラに見えて実はムラではないものは何か、上から塗れば本当に消えるのかを、塗る側の立場から順番に整理していきます。
先にお伝えしておくと、この記事は「誰かの仕事が悪かった」という話ではありません。塗装は、材料・下地・天候・時間という条件が全部そろって初めて狙いどおりに仕上がる仕事です。どの条件が欠けると何が起きるのか——そこだけを、できるだけ正直に書きます。
「前回塗装跡」とは具体的に何を指すのか?
まず、この現場で「前回塗装跡」と呼んでいたものの正体をはっきりさせておきます。結論から言うと、それは約15年前の塗装で塗られた塗膜が、劣化しながらそのまま壁に残っている状態のことです。ペンキがべたっと垂れたような分かりやすい跡ではありません。外壁の表面に前回の塗膜という一枚の層があって、その層の傷み方が場所によって違うために、離れて見たときに濃淡として目に入る——これが「跡が残っている」の中身でした。

傷み方の差が一番はっきり出ていたのが、日の当たらない北側の1階部分です。緑がかった苔が出ており、壁を触ると粉っぽさもありました。塗ったばかりの外壁は水をはじくので苔は付きませんが、年数が経って表面の塗膜の防水性能が落ちると、水分がはじかれずに壁面に留まります。その結果、日当たりの悪い面から先に苔やカビが出てきます。
つまり、同じ家の同じ材料の壁でも、南面と北面では塗膜の減り方がまったく違う。この差が「面ごとに色が違って見える」という見え方をつくっていました。これは施工の良し悪しではなく、日射と雨掛かりの条件差から生まれる、時間の経過そのものが原因の現象です。
もうひとつ、この現場には手がかりがありました。お客様が前回の工事の書類を保管されていて、どんな塗料でどう塗られたのかが分かったのです。前回の仕様が分かると、今回使う塗料との相性、下塗り材の選び方、補修の当て方まで根拠を持って決められます。初回の塗装は比較的標準的な仕様で組めますが、2回目以降は「前に何が乗っているか」で組み立てが変わるので、この書類はそのまま工事の設計図になりました。過去の工事の資料をお持ちの方は、ぜひ捨てずに取っておいてください。
外壁の塗りムラはなぜ起きるのか?

ここからは技術の話です。外壁の塗りムラが起きる原因は、現場で見ているかぎり大きく5つに分かれます。どれも「誰かのせい」という単純な話ではなく、塗料が膜になるまでの物理的な条件がどこかで崩れたときに出るという共通点があります。
塗料の希釈が適切でないとどうなる?
塗料には、メーカーが決めた薄め方(希釈率)があります。缶に対して水やシンナーを何パーセント入れるか、という数字です。暑い日は塗料が乾きやすく伸びが悪くなるので、現場では薄めたくなる場面が出てきます。ですが規定より薄めると、一回で乗る塗料の量が減り、隠ぺい力(下の色を隠す力)が落ちます。結果として、下の色がうっすら透ける場所と透けない場所が出て、それが濃淡として見えます。
逆に薄めなさすぎても、ローラーが重くなって塗料が均一に伸びず、厚い場所と薄い場所の差が残ります。希釈は「好み」ではなく、その塗料が膜になるために必要な条件です。
乾く前に重ねるとどうなる?
塗料には塗り重ね乾燥時間が決められています。「23度で4時間以上」といった具合に、次の一回を乗せるまでに待つべき時間です。ここを待たずに重ねると、下の層がまだ固まりきっていないところに次の層が乗るので、溶剤が下に潜り込んで下の膜を溶かし、表面に斑(まだら)が出ることがあります。
厄介なのは、この症状が塗った直後には見えにくく、乾いて数日経ってから浮き上がってくる場合があることです。工期を詰めると真っ先に削られるのがこの待ち時間なので、「何日で終わるか」より「何日乾かすか」を確認しておくほうが、仕上がりの品質という意味では意味があります。今回の現場も、外壁・屋根・付帯部を合わせて18日間かけています。
ローラーの目が残るのはなぜ?
ローラーには毛の長さの違いがあり、外壁の模様に合わせて使い分けます。凹凸のある壁に毛の短いローラーを使うと、凹の底まで塗料が入らず、凸の部分だけが濃く見える——これがいわゆる「ローラーの目」です。
また、塗る方向をそろえないと、光の当たり方で毛跡の向きが浮き出て見えることがあります。最後にローラーを一定方向に通して整える(ならす)ひと手間があるかどうかで、同じ塗料でも見え方が変わります。これは技術というより、順序と手数の話です。
下地の吸い込みが面によって違うとどうなる?
これが、今回の現場で一番効いていた要素です。劣化した外壁は、スポンジのように塗料を吸い込みます。そして吸い込みの強さは、劣化の進んだ面ほど強い。日射の強い南面と、苔の出ていた北面では、同じ量を塗っても壁が吸う量が違います。
吸い込みが強い面では塗料が下地に持っていかれて表面に残る量が減り、ツヤが落ちて色も沈んで見えます。隣の面はツヤが残る。それが並ぶと「ムラ」に見えるわけです。だから下塗りで吸い込みを止める工程が要る——この話は後ほど詳しく書きます。
補修跡の上から塗るとどう見える?
ひび割れを埋めた樹脂、打ち替えたシーリング、部分的に当てたパテ。これらは元の外壁材とは別の素材なので、吸い込みの強さも表面の状態も違います。補修した部分だけ吸い込みが強ければ、そこだけ色が沈みます。逆に補修材がツルツルなら、そこだけツヤが強く出ます。
補修跡を消したいときは、補修部分に先に下塗りを当てておく(捨て塗り)などの手当てをします。これをせずに全面を同じ工程で流すと、補修した形がそのまま浮いて見えることがあります。
ムラに見えて、実はムラではないものもある

一方で、お客様が「ムラだ」と感じられたものが、塗装の不具合ではないケースも現場ではよくあります。見分けがつかないまま不安を抱えるのはつらいので、代表的な3つを挙げておきます。
下地の色が透けているだけの場合
塗装の途中段階では、下の色が透けて見えるのが普通です。特に下塗りが白で、その上に色を乗せていく工程では、一回目の色を塗った段階では白がうっすら透けます。これは失敗ではなく、まだ回数が足りていないだけの状態です。完成後に透けが残っているなら手当てが必要ですが、途中で見えた透けは、次の一回で消えます。
素材そのものの吸い込み差の場合
サイディングは工場でつくられた板ですが、板ごとに表面の状態が微妙に違います。また、板の中央と継ぎ目付近では劣化の進み方も違います。この差は塗装で完全にゼロにはできないので、近づいてよく見ると板の境目でわずかに見え方が変わることがあります。塗膜としての性能には影響しません。
光の当たり方と面の向きによる場合
同じ色でも、直射日光が当たる面と日陰の面では、目に入る明るさがまったく違います。朝と夕方でも違いますし、曇りの日は色が沈んで見えます。特に外壁は面積が大きいので、面ごとの明るさの差を「色が違う」と感じてしまうことがあります。
判断に迷ったときの目安として、「時間帯を変えて見ても同じ場所が同じように見えるか」を確認してみてください。光の影響なら、時間帯で見え方が変わります。塗膜そのものの問題なら、いつ見ても同じ場所が同じように見えます。
塗りムラは上から塗れば消える?
ここが、この記事で一番お伝えしたいところです。答えは「下地の状態次第」で、残念ながら「必ず消える」とは言い切れません。
整理すると、こうなります。
- 下の色が透けているだけのムラ……塗り回数を増やせば消えます。隠ぺい力の高い色なら2回で、透けやすい色なら3回目で見えなくなります。
- 吸い込みの差から来るムラ……下塗り材(シーラーやフィラー)で吸い込みを止めてから塗れば、ほぼ均一になります。止めずに上塗りだけ重ねても、吸い込みの差はそのまま残ります。
- 下の塗膜そのものが荒れているムラ……上から塗っても凹凸や質感の差は残ります。この場合は削る・埋めるといった下地調整が先に必要です。ここを飛ばして塗り重ねるほど、傷んだ形が塗料の下に閉じ込められて固定されてしまいます。
つまり「塗れば消える」のではなく、消える状態まで下地を整えてから塗るから消えるのです。順番が逆になっているだけで、結果はかなり変わります。
そして正直にお伝えしておくと、築年数が進んだ建物では完全に均一な一枚の面には戻らないこともあります。素材そのものが変形していたり、過去の補修が何層にもなっていたりすると、塗装でならせる範囲には限界があります。そういう場合は「どこまでは揃う、どこからは残る」を工事前にお伝えするようにしています。
下地をそろえる工程——洗浄と下地処理でどこまで整うのか
塗る前に、下地の状態を可能なかぎり均一に戻します。この現場では高圧洗浄から始めました。

洗浄前の壁です。上から下に向かって筋状に汚れが流れているのが分かります。この時点で見えている濃淡の多くは、塗膜のムラではなく汚れの付き方のムラです。

洗浄中の一枚です。水をあてた部分とまだあてていない部分で、色がここまで違います。「うちの壁、色が変わってしまった」と感じておられた濃淡が、実はかなりの割合で汚れだった——ということは珍しくありません。

洗浄後です。汚れが落ちて、下地の色が見えるところまで戻りました。洗浄の目的は見た目をきれいにすることではなく、これから塗る塗料が下地にしっかり食いつく状態をつくることにあります。汚れや粉が残ったまま塗ると密着が悪くなり、塗料が本来の性能を出せません。

雨戸は、前回の塗膜が劣化していたことに加えて部分的に錆が出ていたため、やすりで削り落としてから塗りました。この作業をケレンといいます。どれだけ品質の良い塗料を使っても、下地処理がされていなければ塗料は性能を出せません。現地調査の段階で、どの部位にどの下地処理を当てるかを決めておくことが、仕上がりの均一さを左右します。
なぜ外壁は3回塗るのか?——下塗り・中塗り・上塗りの役割分担
外壁塗装は原則として3回塗りです。「同じ塗料を3回塗る」と思われがちですが、実際は3回とも役割が違います。そして塗りムラの話は、ほぼこの3回の役割分担で説明がつきます。
1回目・下塗り——下地を止めて、色をリセットする

1回目は下塗りです。この現場では日本ペイントのパーフェクトサーフを使いました。この材料は白色なので、塗り進めると家全体が一度白っぽくなります。
ときどきお客様から「うちは白い色を選んでいないよ?」とご質問をいただくのですが、これは下塗りの色であって、仕上げの色ではありません。そして、この白い一層こそが塗りムラ対策の要です。下塗りには2つの仕事があります。
- 吸い込みを止める……劣化して塗料を吸い込む下地を封じ、面ごとの吸い込み差をならします。
- 色をリセットする……前回の塗膜の色ムラや補修跡の色を白で一度覆い、次に乗せる色が均一に発色する土台をつくります。
「前回塗装跡を白で覆う」というのは、まさにこの工程のことです。見た目のためではなく、この上に乗せる色を均一にするために白くしている。ここで規定の缶数と乾燥時間を守れているかどうかが、最終的な仕上がりの均一さをほぼ決めます。
2回目・中塗り——色をつくる

2回目からが仕上げの色です。今回はKFケミカルのシェアルドSi、色番はSC-26を使用しました。
この写真は、色を乗せた面とまだ下塗りのままの面が並んでいる状態です。中塗りが終わった段階では、色によっては下の白が部分的に透けて見えることがあります。ここで「ムラになっている」と感じられる方がいらっしゃいますが、この段階の透けは3回目で隠れます。工事中に壁を見て気になったときは、「これは今どの工程ですか」と一言聞いていただければ、完成形なのか途中なのかがはっきりします。
3回目・上塗り——膜厚を確保して仕上げる


3回目は上塗りです。中塗りの上から同じ塗料をもう一度重ねます。これで2回目に透けていた部分が隠れ、乾くとツヤが出て色も落ち着きます。外壁の最後の一回なので、塗り残しが出ないよう慎重に進める工程です。
ここで大事なのは、3回目は「色を濃くするため」ではなく「膜の厚みを確保するため」に塗っているという点です。色だけなら2回でほぼ付きます。それでも3回塗るのは、次に説明する膜厚のためです。
膜厚という考え方——薄く塗ると色は付いても性能は出ない
塗料の性能は、乾いたあとに残る膜の厚みで決まります。これを膜厚(まくあつ)といい、メーカーは「1平方メートルあたり何キログラム塗るか」という規定塗布量で管理しています。
ここが分かりにくいところなのですが、色が付くことと、性能が出ることは別の話です。薄く伸ばして塗っても、見た目には色が付きます。けれど膜が薄ければ、紫外線を防ぐ力も、水をはじく力も、規定どおりには出ません。塗った直後は同じように見えても、数年後の色あせ方や汚れの付き方で差が出てきます。
そして薄い膜は、塗りムラの原因にもなります。膜が薄いほど下地の状態が表面に出やすくなるからです。吸い込みの差、補修跡、下地の色——厚みで覆い切れていない分だけ、それらが表情として残ります。
塗り回数を1回減らせば、材料費も手間も減ります。ですがその分は仕上がりのムラと、塗膜の寿命の両方に出てきます。3回塗りが標準になっているのは、丁寧さの演出ではなく、それが塗料の性能を出すための設計だからです。
屋根と付帯部も、考え方は同じ

屋根も基本は3回塗りです。この現場では、旧塗膜が劣化していても下地を形成できるスズカファインのベスコロフィラーを下塗りに使いました。屋根は外壁よりも紫外線と雨を直接受けるぶん劣化が進みやすく、吸い込みの差も大きく出ます。だからこそ下塗りの選定が効いてきます。
なお、この建物は屋根の勾配がかなり急だったため、屋根の上にも足場を組んでいます。足元が安定しない状態で塗ると、どうしても手が届く範囲だけ厚くなり、無理な姿勢の場所が薄くなります。足場は安全のためだけでなく、均一に塗るための道具でもあるというのが現場の実感です。

屋根の上塗りです。屋根はお客様が肉眼で確認しにくい場所なので、工事後に写真をできるだけ多く撮ってデータでお渡しするようにしています。見えない場所ほど、記録が信頼の代わりになります。

雨樋などの付帯部も塗装します。雨樋は塩ビ製で、放置すると紫外線で変形したり割れたりします。付帯部は面積が小さいぶん、色や質感の差が目立ちやすい場所でもあります。

ケレンをかけてから塗り直した雨戸です。削って、平らにして、それから塗る。この順番を守った部位は、面で見たときの表情がそろいます。
完成後にムラが気になったら、どうすればいい?

ここも正直に書きます。完成後に気になる箇所が出たとき、直せる範囲と直しにくい範囲があります。
いちばん有効なのは「足場があるうちに伝える」こと
塗装工事でいちばん費用がかかる要素のひとつが足場です。足場が建っているあいだであれば、気になる箇所にもう一度手を入れるのは比較的簡単です。逆に足場を解体してしまうと、同じ直しでも足場の架け直しが必要になり、話が大きくなります。
ですので、工事中に壁を見て「あれ?」と思ったら、遠慮なくその場で職人か担当者に声をかけてください。途中の工程だから透けているのか、直すべき状態なのかは、塗っている本人がいちばん正確に答えられます。「完成してから言おう」と我慢されるのが、お互いにとって一番もったいないパターンです。
どこまで直せるのかの目安
- 塗り残し・薄い箇所……その面にもう一度上塗りを入れれば解消します。
- ローラーの目・方向の不揃い……同じ面を通しでならし直せば揃います。一部だけ触ると境目が出るので、面単位でやり直すのが基本です。
- 下地の凹凸や質感の差……塗装だけでは消えません。この場合は削る・埋めるところからやり直す必要があるので、直せる範囲と残る範囲を先に話し合ってから判断します。
あわせてお伝えしておくと、塗り立ての壁は乾燥が進むにつれてツヤの出方が変わります。完成直後に見えていた差が、2〜3週間ほどで落ち着いて見えなくなることもあります。気になる箇所は写真に撮っておいて、少し時間を置いてからもう一度見比べる——この確認の仕方をおすすめしています。
今回の工事の概要と参考価格

| 施工エリア | 四条畷市田原台 |
|---|---|
| 施工内容 | 外壁塗装/屋根塗装/付帯部塗装 |
| 建物 | 築35年・2階建て・窯業系サイディング外壁/スレート屋根 |
| 使用材料 | 外壁下塗り:日本ペイント パーフェクトサーフ 外壁中塗り・上塗り:KFケミカル シェアルドSi(SC-26) 屋根下塗り:スズカファイン ベスコロフィラー |
| 施工期間 | 18日間 |
| 保証年数 | 5年 |
| 参考価格 | 132万円前後(税込) |
※参考価格は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の形状・階数・劣化状況・足場の架けやすさによって金額は変わります。
よくあるご質問
外壁の塗りムラは、どのくらいの距離で見た判断が正しいですか?
一般的には、道路や庭から建物を見たときの距離——おおよそ3メートルから5メートル程度——で見た状態を基準にします。外壁は本来その距離で見るものであり、塗料メーカーの仕上がり基準もその前提で作られているためです。数十センチまで顔を近づければ、ローラーの跡やサイディングの板ごとの質感差は必ず見えます。ただし、離れて見ても同じ場所が同じように濃く見える、時間帯を変えても同じ形で見える、という場合は塗膜側の問題である可能性が高いので、その距離と時間帯を伝えて業者に確認してもらってください。
塗りムラが心配です。契約前に確認しておくべきことは何ですか?
見積書で確認していただきたいのは3点です。1つ目は塗装が下塗り・中塗り・上塗りの3工程で分けて書かれているか。「外壁塗装一式」だと何回塗るのかが分かりません。2つ目は使用する塗料のメーカー名と製品名、そして使用予定の缶数(塗布量)。3つ目は工期です。乾燥時間を確保するには相応の日数が必要で、極端に短い工期は乾燥時間を削っている可能性があります。この3点が書かれた見積書なら、後から「何回塗ったか」を照らし合わせることができます。
中塗りが終わった段階で下の色が透けています。失敗ですか?
途中段階であれば、失敗ではない可能性が高いです。下塗りが白い場合、色によっては中塗りの段階で白がうっすら透けて見えることがあります。これは上塗りで隠れる前提の状態です。ただし、上塗りまで完了してもまだ透けているのであれば、塗布量が足りていないか、その色の隠ぺい力に対して回数が足りていない可能性があります。心配なときは、工事中に現場で「今どの工程ですか」と聞いてください。足場があるうちなら手当てもしやすく、これがいちばん確実な確認方法です。
塗り回数を2回に減らして費用を下げることはできますか?
技術的には塗れますが、おすすめしていません。色は2回でもほぼ付きますが、3回目は色ではなく膜の厚みを確保するための工程だからです。膜が薄いと、紫外線を防ぐ力も水をはじく力も規定どおりに出ず、下地の状態が表面に出やすくなるので塗りムラも起きやすくなります。塗った直後の見た目は変わらなくても、数年後の色あせ方と汚れの付き方に差が出ます。費用を抑えたい場合は、塗り回数ではなく塗料のグレードや施工範囲で調整するほうが、結果として損が少ない選択になります。
補修した箇所だけ色が違って見えます。どうすれば目立たなくなりますか?
ひび割れを埋めた樹脂やシーリングは、元の外壁材と素材が違うため、塗料の吸い込み方と表面の質感が異なります。そのまま全面を同じ工程で塗ると、補修した形がうっすら浮いて見えることがあります。対策としては、補修部分にだけ先に下塗りを当てておく(捨て塗り)、外壁の模様に合わせて補修面の表面を調整しておく、といった手当てを塗装前に行います。完成後に気づいた場合は、その面をまとめて上塗りし直すと境目が出にくくなります。ただし下地の凹凸そのものが原因の場合は、塗装だけでは完全には消えません。
まとめ——「前に塗った跡」は、消せるものと残るものに分けられる
冒頭の「前に塗ってもらったときの跡が、まだ残っているように見える」というお困りごとに戻ります。
今回の現場でその正体だったのは、約15年前の塗膜が面ごとに違う速さで傷んでいた状態でした。日の当たる面と当たらない面で塗膜の減り方が違い、汚れと苔がそこに乗り、吸い込みの差が生まれ、それが遠目には濃淡として見えていた——ということです。誰かが何かを間違えたという話ではなく、時間が正直に出た結果でした。
そして、その跡は洗って落とせるもの・白い下塗りで止められるもの・塗装では消えないものの3つに分けられます。洗浄で汚れを落とし、下塗りで吸い込みと色をリセットし、中塗りで色をつくり、上塗りで膜厚を確保する。この順番を守れば、多くの「跡」は見えなくなります。一方で、下地そのものが変形しているような場合は、塗装でならせる範囲に限界があります。そこは工事前に正直にお伝えするのが、私たちの仕事だと思っています。
みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、近隣エリアで外壁・屋根の塗装を行っています。「仕上がりがきれいに見えない」「前の塗装の跡が気になる」という段階のご相談でも構いません。お家の写真を送っていただければ、それが塗装で消えるものなのか、下地から手当てが必要なものなのかを診断してお伝えします。
▼ 塗り重ねと仕上がりの品質に関する記事
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