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大東市|築18年リシン外壁の雨だれ汚れを塗り替えでリセット|低汚染フッ素で再発を抑える

BEFORE 施工前
塗り替え前の大東市の戸建て住宅 リシン外壁全体がくすみ雨だれの筋が残る正面全景
AFTER 施工後
大東市の築18年モルタルリシン外壁を薄ベージュと濃茶に塗り替えた施工後の正面全景

「洗っても落ちない黒い筋が、窓の下にずっと残っていて」

大東市のお客様から最初にいただいたご相談は、この一言でした。築18年、モルタル下地にリシンを吹き付けた外壁のお宅です。ご本人は「塗り替えはあと2〜3年先でいいかな」と考えておられました。傷みが激しいわけではなく、遠目にはまだきれいな外壁です。それでも毎日気になっていたのが、窓の下と手すり壁の下に縦に伸びる、あの黒っぽい筋でした。

ホースで水をかけても、届く範囲をブラシでこすっても、その筋だけは薄くならない。近所の同じ築年数のお宅の塗り替えを当社で担当させていただいたことがきっかけとなり、今回のご依頼につながりました。

それから25日後。足場のシートが外れた日、お客様は道路の向かい側まで下がってご自宅を眺め、こう言われました。

「筋があった場所が、どこだったか思い出せない」

この記事は、その25日間の記録です。外壁の雨だれ汚れはなぜ縦の筋になるのか。洗って落ちる汚れと落ちない汚れは何が違うのか。塗り替えでリセットできる理屈と、そのうえで再発をどこまで抑えられるのか。26枚の写真で、洗浄から付帯部の仕上げまで全工程を公開します。

工事データ

施工エリア 大阪府大東市
築年数 18年
建物 戸建て住宅/モルタル外壁(リシン吹き付け)+瓦屋根
施工内容 外壁塗装(下塗り+中塗り+上塗りの3回塗り)/鉄部の錆止め/付帯部塗装(雨樋・水切り・庇・シャッターボックス)
使用塗料 外壁上塗り:セミフロンアクア(KFケミカル/1液水性フッ素樹脂塗料)
外壁下塗り:アンダーフィラー弾性エクセル(日本ペイント)
鉄部錆止め:1液ハイポンファインデクロ(日本ペイント)
工期 25日
保証 10年
参考価格 160万円前後(税込)
同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・下地の状態・付帯部の数量により変動します。

「洗っても落ちない」から始まったご相談

外壁のお困りごとで意外に多いのが、ひび割れでも剥がれでもなく汚れです。しかもその大半は、壁全体がまんべんなく汚れているのではなく、決まった場所だけが黒く筋になっているという相談です。

今回の大東市のお宅もそうでした。築18年で一度も塗り替えをしていないモルタル外壁。全体は薄いベージュ系で、パッと見ればまだ十分に整っています。ところが窓の下、ベランダの手すり壁の下、換気フードの下といった限られた場所にだけ、上から下へ流れたような黒い筋が伸びていました。

お客様が繰り返しおっしゃったのは、次のような内容でした。

  • 「壁全体が汚れているなら諦めもつくけれど、筋だけ残るのが気になる」
  • 「洗車のついでにホースで流してみたけれど、まったく変わらなかった」
  • 「これは汚れなのか、それとももう傷んでいるのか判断がつかない」

三つめのご心配が、いちばん本質的です。外壁の雨だれ汚れは、単なる汚れであることもあれば、塗膜の性能が切れかけているサインであることもあります。そしてその見分けは、写真だけでは判断しきれません。実際に手で触り、面ごとに状態を比べて、はじめてどちらなのかが分かります。

ここから先は、現地で確認した事実と、その理由の説明です。

そもそも外壁の雨だれ汚れは、なぜ窓の下だけ黒くなる?

雨だれ汚れが窓下に出る理由として、雨が線で落ち、汚れを集め、凹凸に入り込む様子を示した図解
雨だれは、水の通り道に汚れが集まってできます

まずここを理解していただくと、このあとの工事の意味がすべて通ります。

雨は「面」ではなく「線」で落ちてくる

外壁に降りかかった雨は、壁全体を均一に流れ落ちているわけではありません。壁の途中に横向きの出っぱりがあると、雨水はいったんそこで受け止められます。そして出っぱりの端、いちばん低くなっているところから、まとめて滴り落ちます。

つまり雨水は面から線へ、線から点へと集約されていくのです。壁の広い面に薄く広がっていた水が、庇の先端やサッシの角といった一点に集められ、そこから真下へ落ちる。この「落ちるルート」が固定されているので、汚れも同じ場所に何年もかけて蓄積していきます。

雨だれの筋がまっすぐ縦なのは、水が重力に従ってまっすぐ落ちるからです。そして筋の起点をたどっていくと、必ずその真上に何かの出っぱりがあります。

汚れの起点になりやすい四か所

外壁の雨だれ汚れの起点になりやすい窓下、換気フード下、水切りまわり、配管金具を示した図解
上流の部材を一緒に見ると、汚れの原因が分かりやすくなります

現場で雨だれの筋を追いかけると、起点はだいたい次のどれかに行き当たります。

  • 窓サッシの下端/サッシの左右の角に水が寄り、そこから真下へ落ちます。窓が大きいほど集まる水量も増えます。
  • 庇(ひさし)の先端/庇は雨をよける部材ですが、庇の上に落ちた雨は必ずどこかから下りてきます。水切りの加工が甘いと、庇の裏側を回り込んで壁を伝います。
  • ベランダ・手すり壁の天端/面積が広く、平らで、風で運ばれた土埃がたまりやすい場所です。ここにたまった汚れが雨で溶け出し、そのまま壁を流れ落ちます。
  • 換気フード・エアコン配管の貫通部/壁から突き出している分だけ水がまとまります。フードの内側にたまった汚れも一緒に流れます。

雨だれの筋が黒いのは、水そのものが黒いからではありません。上流の平らな面にたまっていた土埃・排気の粒子・カビや藻の胞子が、雨に溶け込んで壁に運ばれ、そこで乾いて残るからです。ですから、上に平らな面を持つ部材が多い家ほど、雨だれの筋は出やすくなります。

外壁の雨だれ汚れ 手すり壁の下に縦の黒い筋が伸びたリシン外壁の現地調査写真
現地調査|手すり壁の下から縦に伸びる雨だれの筋。起点は必ず真上にある

洗えば落ちる汚れと、洗っても落ちない汚れの違いは?

洗えば落ちる表面の汚れと、凹凸に入り込み洗っても残りやすい汚れを比較した図解
洗浄で落ちるかは、塗膜の状態で変わります

お客様の「洗っても落ちない」という実感は、まったく正しいものでした。外壁の汚れには、はっきり性質の違う二種類があります。

表面に乗っているだけの汚れ

降りかかった土埃や排気の粒子が、塗膜の上に物理的に付着しているだけの状態です。これは水圧で吹き飛ばせます。高圧洗浄で最初にごっそり落ちるのがこの層で、洗った後に壁の色が一段明るくなるのはこの汚れが消えたからです。

凹凸の谷に入り込み、塗膜に染み込んだ汚れ

問題はこちらです。今回のお宅の外壁はリシン吹き付けという仕上げで、砂粒を含んだ塗材を機械で吹き付けてあります。表面は細かい砂利をまいたようにザラザラしていて、無数の小さな山と谷が並んでいる状態です。

この谷の部分は、雨で流されにくく、乾きにくい。汚れが入り込むと、そのまま居座ります。しかも築18年ともなると、表面の塗膜が紫外線と雨で少しずつやせ、目に見えないレベルで多孔質になっています。そこへ汚れの成分が入り込むと、もはや「表面に乗っている」のではなく「材料の一部になっている」状態です。

ここまで来ると、水圧を上げても落ちません。無理に圧力を上げれば、汚れより先に外壁の表面が削れてしまいます。だから外壁の雨だれ汚れは、洗って落とすのではなく、塗り替えて上から覆い直すのが正解になるのです。

ちなみに「洗ってみたけれど落ちなかった」というご経験自体は、決して無駄ではありません。それはすでに塗り替えの段階に入っているという、はっきりした判定結果だからです。

現地調査|築18年のリシン外壁に出ていたサイン

雨だれの筋以外にも、この築年数らしい変化がいくつか出ていました。塗り替えの必要性は、汚れ一つで決めるものではありません。面ごとに違うサインを合わせて判断します。

日の当たらない北面は、汚れではなく苔が出ていた

日の当たらない北面のリシン外壁 緑がかった苔と黒ずみが広がった状態
北面|緑がかった苔。塗膜の防水性が落ちているサイン

南面や東面が雨だれの筋だったのに対し、北面には緑がかった苔が広がっていました。これは意味が違います。

苔は水分が乾かない場所に根を張ります。新しい塗膜は水をはじくので、雨が降っても表面をすべって落ち、すぐ乾きます。ところが塗膜が劣化して防水性が落ちると、外壁が水を含んだままの時間が長くなる。そこへ胞子が着地すると定着してしまいます。

つまり苔は「汚れ」ではなく、塗膜の防水性がもう切れているという通知です。今回のお宅は、南面の雨だれと北面の苔、この二つが同時に出ていました。「あと2〜3年待ってもいい」というご本人の見立てより、実際は塗り替えどきに来ていたというのが、現地での結論です。

水切りと庇には、汚れの「たまり場」ができていた

塗装前の水切り 上から流れ落ちた汚れが帯状にたまったモルタル外壁の下端
施工前の水切り|上から流れてきた汚れが帯状にたまっている
塗装前の庇 天端に汚れがたまり外壁との取り合いに黒い汚れが残る状態
施工前の庇|天端の汚れが、下の壁に流れ出す起点になっていた

外壁の下端を横に走る水切りと、窓の上の庇。どちらも上向きの平らな面を持っています。ここに汚れがたまり、雨のたびに少しずつ下へ流れ出していました。雨だれ汚れの上流にあたるのが、こうした付帯部です。

外壁だけをきれいに塗り替えて付帯部を触らないと、上流に汚れの供給源を残したまま下流だけを掃除することになります。今回、付帯部の塗装を工事に含めたのは、見た目の統一のためだけではありません。

配管の固定金具からは錆が出ていた

外壁に沿う排水管の固定金具から錆が出てリシン外壁に錆汁が垂れた状態
配管を留めている金具の錆。放置すると錆汁が壁に流れる

排水管を壁に固定している金具から、錆が発生していました。錆は金具そのものを弱らせるだけでなく、雨のたびに赤茶色の錆汁を壁に流します。これも一種の雨だれ汚れで、しかも黒い汚れより落ちにくい部類です。錆止めを塗って上から仕上げれば止まります。

屋根は瓦だったので、塗装していません

屋根は瓦葺きでした。粘土瓦は焼き物なので、塗膜で保護する必要がありません。そのため今回は外壁塗装のみのご提案としています。「せっかく足場を組むから屋根も」と言われることはありますが、必要のない工事をお勧めすることはしません。足場を使って瓦のズレや漆喰の状態を確認し、問題がないことをお伝えして終えています。

なぜ塗り替えると、雨だれ汚れはリセットできる?

理屈はシンプルです。汚れを落とすのではなく、汚れごと新しい塗膜で覆い直すからです。

ただし「上から塗ればいい」という単純な話ではありません。汚れの上にそのまま塗料をのせると、塗膜が下地に密着せず、数年で剥がれます。だから塗り替えは、次の三段階で成り立っています。

  1. 洗う/表面に乗っているだけの汚れを、水圧で徹底的に落とす。塗料が下地に食いつくための準備です。
  2. 下塗りで面をつくる/落としきれない染み込んだ汚れを、下塗り材で封じ込め、同時に凹凸の細かい欠けを埋めて平らな下地に整えます。
  3. 仕上げ塗料で覆う/新しい塗膜が、汚れも下塗りも全部その下に閉じ込めます。表面に出てくるのは、まっさらな塗膜だけです。

この三段階を踏むから、18年分の雨だれの筋が「思い出せない」レベルまで消えるのです。逆に言えば、どれか一つを省くと結果は続きません。

施工記録|25日間で行った全工程

高圧洗浄はどこまで落ちる?

外壁の高圧洗浄に使うエンジン式高圧洗浄機を敷地の外に設置したところ
エンジン式の高圧洗浄機。稼働中はそれなりの音が出ます

足場を組んだあと、最初の作業が高圧洗浄です。エンジンでコンプレッサーを回して水圧をつくるため、作業中はかなりの運転音が出ます。近隣のお宅には事前にご挨拶をし、洗浄日と時間帯をお伝えしたうえで進めました。

リシン外壁の高圧洗浄 凹凸の谷に入り込んだ汚れを水圧で洗い流す作業
リシンの凹凸に水を当てる。ノズルの角度と距離で落ち方が変わる

リシン外壁の洗浄は、平らなサイディングより時間がかかります。凹凸の谷に水を届かせるため、ノズルを一方向からだけでなく角度を変えて当てていく必要があるからです。真正面から当てるだけでは、山の陰になった谷の汚れが残ります。

洗浄で落ちるのは、あくまで表面に乗っているだけの汚れです。ここではっきりお伝えしておくと、この段階で雨だれの筋が消えるわけではありません。洗い終わった壁を見て「思ったより変わらないな」と感じられるお客様は多いのですが、それは想定どおりです。洗浄の目的は見た目を良くすることではなく、塗料をしっかり密着させること。ここを省くと、どれだけ高い塗料を使っても早期に剥がれます。

普段は洗えない場所も、足場があるうちに

2階ベランダ上部の雨よけパネル 洗浄前で表面に土埃と汚れが積もった状態
2階ベランダ上部の雨よけパネル(洗浄前)
雨よけパネルの洗浄後 透明感が戻り光が通るようになったベランダ上部
洗浄後。透明感が戻り、ベランダが明るくなった

2階ベランダの上に付いていた雨よけパネルも、ついでに洗いました。足場がなければ手が届かない場所で、日ごろ掃除のしようがありません。ここに積もっていた土埃も、雨のたびに下へ流れる汚れの供給源になっていました。

鉄部は先に錆止めを入れる

鉄部の下塗りに使用した1液型の錆止め塗料 日本ペイントのハイポンファインデクロ
使用した錆止め|日本ペイント 1液ハイポンファインデクロ

水切り、庇、シャッターボックス。お家の中で鉄でできている部分は、濡れたまま放置すれば必ず錆びます。そこで仕上げ塗料の前に、鉄部だけ専用の錆止めを入れます。今回は上に塗る色に合わせて白の錆止めを選びました。錆止めは色によって隠ぺい力が違うので、上塗りの色から逆算して選びます。

外壁下端の水切りに白い錆止め塗料をハケとローラーで塗り込む作業
水切りへの錆止め。細い部材ほどハケの出番が増える
窓上の庇の天端に錆止め塗料をローラーで塗り広げているところ
庇の天端。ここが汚れの起点になるので、丁寧に押さえる
鉄部の錆止め塗装が終わり白い下塗り層で覆われた水切りと庇
錆止め完了。この上に仕上げ色をのせていく

下塗り|リシンの谷までフィラーを押し込む

外壁の下塗りに使用した微弾性フィラー 日本ペイントのアンダーフィラー弾性エクセル
使用した下塗り材|日本ペイント アンダーフィラー弾性エクセル

外壁は下塗り・中塗り・上塗りの計3回塗りで仕上げます。1回目の下塗りは、下地と仕上げ塗料をつなぐ接着剤の役割を持つフィラーです。同時に、外壁表面の細かな凹凸や微細な傷を埋めて、塗装に適した平らな面に整えてくれます。

リシン外壁に白い微弾性フィラーをローラーで凹凸の奥まで押し込むように塗る作業
フィラーは「塗る」より「押し込む」感覚。想像以上に力がいる

リシン外壁の下塗りは、体力を使う工程です。表面がボコボコしているので、ローラーを転がすだけでは谷の底まで材料が届きません。職人は何気なくやっているように見えますが、実際には一定の圧をかけながら押し込むように塗り進めています。ここで手を抜くと、谷の部分だけ塗膜が薄くなり、数年後にそこから劣化が始まります。

下塗りのフィラーを塗り終えて外壁全体が白く均一になった状態
下塗り完了。フィラーは白なので、一度お家全体が白くなる

フィラーは白い材料なので、塗り終えるとお家が一度まっさらな白になります。雨だれの筋が視界から消えるのは、実はこの瞬間です。ここまで来て、ようやく「汚れが下に閉じ込められた」状態になります。

中塗り・上塗り|水性フッ素樹脂塗料で仕上げる

外壁の中塗りと上塗りに使用した1液水性フッ素樹脂塗料セミフロンアクアの缶
使用した仕上げ塗料|KFケミカル セミフロンアクア

仕上げに選んだのは、KFケミカルのセミフロンアクア。1液型の水性フッ素樹脂塗料です。お客様から「どうせやるなら良い品質の塗料で」というご要望があり、高耐候が期待できるフッ素グレードを選んでいただきました。

水性なので臭いが控えめで、1液型なので現場での作業性も安定しています。長期にわたって外壁を保護する塗料です。

塗料のグレードによって、質も金額も変わります。一般には、シリコングレードで1平方メートルあたり2,300〜3,000円前後、フッ素グレードで3,500〜4,500円前後といった数字が語られます。ただしこれは業界で一般的に言われている目安であり、当社の見積金額を示すものではありません。実際の金額は建物の形状・下地の状態・付帯部の数量で変わります。

薄ベージュのフッ素樹脂塗料でリシン外壁の中塗りをローラー施工しているところ
中塗り。上塗りと同じ材料・同じ色で塗り重ねる

中塗りと上塗りは、同じ材料・同じ色で2回塗り重ねます。同じ色を重ねる理由は、塗り漏れを防ぐためではなく規定の塗膜厚を確保するためです。塗料が本来の耐候性を発揮できるのは、決められた厚みが出ているときだけ。1回で厚く塗ろうとすると、乾燥ムラや垂れが起きます。だから薄く2回、乾燥時間をきちんと空けて重ねます。

外壁の上塗りが完了し薄ベージュのなめらかな塗膜に仕上がったリシン外壁
上塗り完了。リシンの表情は残しつつ、面がそろった

付帯部|雨だれの上流を、同時に押さえる

付帯部とは、外壁以外で塗装できる箇所の総称です。今回でいえば雨樋・水切り・庇・シャッターボックス。お家によって種類も数も違いますし、素材によっては塗装できないものもあります。どこまでを塗るのかは、契約前に必ず書面で確認しておくべき項目です。

外壁を伝う縦樋をローラーで塗装している付帯部塗装の作業
縦樋の塗装。壁に接する面は塗り分けが難しい

付帯部は外壁に比べて塗る面積が狭く、その分だけ小さめのローラーやハケを使います。せっかくきれいに仕上げた外壁やサッシに塗料を付けないよう、養生と手元の慎重さが求められる作業です。

外壁下端の水切りを小さめのローラーで塗り分けている付帯部塗装の作業
水切りの塗装。外壁との境目を一直線に通す
塗装が完了した水切り 汚れがたまっていた帯が均一な塗膜に生まれ変わった状態
水切り完成。汚れがたまっていた帯が消えた
窓上の庇を濃茶の塗料で塗装し外壁との境目をまっすぐ通しているところ
庇の塗装。ここは雨だれの起点なので入念に
庇とシャッターボックスの塗装が完了し濃茶で引き締まった窓まわり
庇・シャッターボックス完成。濃茶が窓まわりを引き締める

付帯部は基本的に2回塗りで仕上げます。すべて塗り終えたあと、タッチアップと清掃を行って、25日間の工程は完了しました。

再発を防ぐために、この現場でやったこと

親水性の塗膜で雨が薄く広がり、雨だれ汚れを流しやすくする考え方を示した図解
低汚染塗料は、汚れを完全に防ぐものではなく流しやすくするものです

雨だれ汚れの厄介なところは、塗り替えて消えても、条件が同じならまた同じ場所に出てくることです。だから塗り替えは「消す」だけでなく「出にくくする」設計とセットでなければ意味がありません。

1|低汚染性・親水性という考え方

近年の外壁用塗料には、汚れが付きにくい工夫が組み込まれています。代表的なのが親水性という性質です。

塗膜の表面が水になじみやすいと、降ってきた雨が塗膜と汚れの間に入り込み、汚れを浮かせて一緒に流してくれます。逆に水をはじきすぎる塗膜だと、雨が玉になって転がるだけで、汚れは残ってしまいます。「水をはじくほど汚れにくい」というのは、実は誤解です。

フッ素樹脂塗料は塗膜が緻密で、表面に汚れが入り込む隙間そのものが少ないという特徴があります。汚れが表面に留まりやすい従来品と比べれば、雨で流れ落ちる分が確実に増えます。

2|上流の平らな面を、同時に塗り直す

これが今回いちばん効いた対策です。雨だれの筋は下流の症状にすぎません。上流にある庇の天端、水切りの上面、手すり壁の笠木に汚れがたまり続けている限り、下流には汚れた水が流れ続けます。

付帯部を新しい塗膜で覆い直すと、表面が平滑になり、汚れが引っかかる足場が減ります。結果として、下へ流れ出す汚れの量そのものが減る。外壁だけ塗って付帯部を残すと、この効果が丸ごと失われます。

3|錆の発生源を止める

配管金具の錆は、放置すれば赤茶色の筋を壁に流し続けます。錆止めを入れて仕上げることで、この供給源を止めました。錆汁の筋は黒い雨だれより落としにくいので、先に手当てしておく価値があります。

それでも、雨だれは完全には防げません

ここは正直にお伝えしておきたいところです。

どんな塗料を使っても、外壁の雨だれ汚れがゼロになることはありません。「絶対に汚れない外壁」は存在しません。塗料メーカーが低汚染性をうたっていても、それは汚れにくいのであって、汚れないのではないのです。

特に、次のような条件が重なる家は、塗り替え後も再発しやすい傾向があります。

  • 庇や水切りの出が浅い/雨水が部材の裏側を回り込んで壁を伝いやすく、汚れのルートが固定されます。
  • ベランダや手すり壁の面積が広い/上向きの平らな面が多いほど、土埃のたまり場も増えます。
  • 交通量の多い道路や、粉じんの出る施設が近い/そもそも空気中に含まれる汚れの量が違います。
  • 建物が密集していて風が抜けにくい/壁が乾きにくく、汚れが定着しやすくなります。

大東市は生駒山地の西の裾野にあたり、市街地の多くは寝屋川水系に向かってなだらかに下る低地に広がっています。山側の地区では朝夕に湿気を感じるという声を、現場でよく伺います。壁が乾きにくい環境であれば、北面の苔や汚れの定着はどうしても早まります。これは工事の良し悪しではなく、立地の条件です。

ですから私たちがお約束できるのは、「汚れません」ではなく次の三つです。

  1. 今ある雨だれの筋は、塗り替えでリセットできます。
  2. 汚れの起点になっている付帯部を同時に処理すれば、再発のペースは確実に遅くなります。
  3. それでも数年経てば、条件の厳しい面から少しずつ汚れは戻ってきます。そのとき、どこから出てくるかを事前にお伝えしておきます。

「どこが再発しやすいか」を工事前に説明しておくことは、私たちにとって不利な話です。それでも先にお伝えするのは、あとから「聞いていない」となるほうが、お互いにとって不幸だからです。

費用と工期について

今回の工事は、外壁の3回塗り、鉄部の錆止め、付帯部塗装(雨樋・水切り・庇・シャッターボックス)を含めて25日間。同等の内容を現在の価格でお見積りした場合、160万円前後(税込)が目安になります。保証は10年です。

25日というのは、外壁塗装としては長めの工期です。理由は主に二つあります。ひとつは、リシン外壁の下塗りに時間がかかること。もうひとつは、中塗りと上塗りの間に十分な乾燥時間を取ったことです。工期の短さを売りにする業者もありますが、塗料には必ずメーカー指定の乾燥時間があります。ここを詰めれば工期は縮まりますが、塗膜の性能は出ません。

なお、この金額はこのお宅の建物条件での目安です。外壁の面積、足場の掛けやすさ、付帯部の数量が違えば、金額も変わります。正確な費用は現地調査のうえでのお見積りになります。

大東市で外壁の雨だれ汚れが気になったら

塗り替えのタイミングを判断するとき、雨だれの筋は分かりやすい入口です。ただし筋そのものよりも、その筋が「洗って落ちるか」「北面に苔が出ているか」のほうが、状態を正確に語ってくれます。

今回のお宅も、ご本人の見立ては「あと2〜3年先」でした。実際に伺ってみると、北面には苔が広がり、塗膜の防水性はすでに落ちていました。逆に、見た目が派手に汚れていても中身はまだ持っているというお宅もあります。外から見た印象と、実際の残り寿命は一致しません。

みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、大東市を含む近隣エリアで施工しています。まだ工事を決めていない段階でも構いません。気になっている壁の写真を送っていただければ、その筋が洗って落ちるものなのか、それとも塗り替えの段階に入っているのかを、正直にお伝えします。

よくあるご質問

Q1|外壁の雨だれ汚れは、高圧洗浄だけで落とせますか?

落ちるものと落ちないものがあります。表面に乗っているだけの土埃は水圧で飛びますが、塗膜がやせて汚れが染み込んでいる場合は落ちません。特にリシンのような凹凸のある外壁は、谷の部分に汚れが入り込んでいて、水圧を上げても届きません。無理に圧を上げると外壁の表面が削れます。目安として、築10年を超えていて、ホースで流しても筋が変わらないなら、洗浄では戻らない段階に入っています。

Q2|雨だれの筋が出やすいのは、家のどのあたりですか?

上に横向きの出っぱりがある場所の真下です。具体的には窓サッシの下端(特に左右の角)、庇の先端、ベランダや手すり壁の下、換気フードやエアコン配管の貫通部の下。共通しているのは、その上に「雨をいったん受け止める平らな面」があることです。ご自宅の筋を見つけたら、指でたどって上に視線を上げてみてください。必ず起点になっている部材が見つかります。

Q3|低汚染塗料にすれば、もう雨だれ汚れは出ませんか?

出ます。低汚染性は「汚れにくい」であって「汚れない」ではありません。塗膜が緻密で親水性が高いほど、雨が汚れを洗い流してくれる割合は増えますが、ゼロにはなりません。特に庇の出が浅い、上向きの平らな面が多い、交通量の多い道路に面しているといった条件が重なると、数年で薄い筋が戻ることがあります。塗料選びと同時に、汚れの起点になっている付帯部を処理するほうが、実際の効き目は大きいです。

Q4|雨だれ汚れを放置すると、建物に悪い影響はありますか?

汚れそのものが建物を壊すわけではありませんが、二つの点で注意が必要です。ひとつは、汚れが留まる場所は水分も留まりやすく、苔や藻の温床になること。苔が生えると外壁は乾きにくくなり、劣化が進みやすくなります。もうひとつは、錆汁の筋の場合。これは鉄部の錆が進行しているサインで、放置すれば部材そのものが傷みます。黒い筋か、赤茶色の筋か。色で優先度が変わります。

Q5|筋が気になり始めてから、どのくらいで塗り替えるべきですか?

筋が出ただけでは、すぐに工事が必要とは限りません。判断材料になるのは、同じ建物の北面です。北面に緑がかった苔が出ていれば、塗膜の防水性が落ちている証拠なので、そこから1〜2年以内を目安に検討されることをお勧めします。逆に北面がきれいで、筋も洗えばある程度薄くなるなら、まだ数年は様子を見られます。雨だれの筋は「時計」ではなく「入口」だと考えてください。

25日後に聞いた言葉

冒頭に戻ります。工事のきっかけは「洗っても落ちない黒い筋が、窓の下にずっと残っていて」という一言でした。

25日後、足場が外れた日にいただいたのは「筋があった場所が、どこだったか思い出せない」という言葉です。

私たちがしたことは、汚れを落としたのではありません。18年分の汚れを、新しい塗膜の下に閉じ込めたのです。そして同時に、その汚れを運んできた上流の庇や水切りを塗り直し、供給源そのものを細くしました。

それでも、何年か経てば汚れは戻ってきます。そのときは、また一緒に考えましょう。外壁の雨だれ汚れは、一度きりの敵ではなく、家と付き合っていくうえで定期的に向き合うテーマです。そう思っていただけたら、この記事を書いた意味があります。

写真を送るだけ、スマホで外壁診断

気になる雨だれの筋があれば、お家の写真をLINEで送るだけ。無料で状態を診断し、洗って落ちるのか・塗り替えの段階なのかを正直にお伝えします。

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