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施工事例紹介

藤井寺市藤が丘|築30年和風住宅の外壁と屋根を塗り替え|元の雰囲気を残す色の決め方と全工程

BEFORE 施工前
藤井寺市藤が丘 築30年の和風住宅 施工前の全景 リシン外壁に黒い雨だれが残る
AFTER 施工後
藤井寺市藤が丘 和風住宅の外壁塗装 施工後の全景 元の色に近い淡いベージュ


藤井寺市藤が丘 築30年の和風住宅 施工前の全景 リシン外壁に黒い雨だれが残る
藤井寺市藤が丘 築30年の和風住宅 施工前の全景 リシン外壁に黒い雨だれが残る
和風住宅の玄関ポーチ 深い軒と木の垂木 銅の雨樋がそのまま残されている
玄関ポーチの深い軒。木の垂木と銅の雨樋は、今回そのまま残す判断をしました
緑青が出た銅板葺きの庇 銅は塗料が密着しないため塗装しない
銅板葺きの庇。緑青が出ていますが、これは銅の保護膜。塗装はしません
リシン外壁の換気フード下に黒い雨だれの筋が伸びている施工前の状態
換気フードの下から、黒い筋が真下に伸びていました
日焼けして上部だけ色が抜けた縦樋と外壁に残る雨筋の跡
縦樋も日当たりのよい上半分だけ色が抜けていました
色あせて白っぽくなったスレート屋根の施工前の状態
色あせて白く粉を吹いたようになったスレート屋根
シーリング補修の前にプライマーを刷毛で塗布しているところ
シーリング材を充填する前に、プライマーを塗布します
サッシまわりの取り合いに専用ガンでシーリング材を充填する作業
サッシまわりの取り合いにシーリング材を充填していきます
換気フードなど貫通部まわりのシーリング補修が完了した状態
換気フードの根元も補修対象です
職人が外壁を高圧洗浄機で洗い表面の汚れと旧塗膜を落としている
外壁の高圧洗浄。凹凸の谷に入った汚れを水圧で押し出します
高圧洗浄を終えて黒ずみが落ちたスレート屋根
洗浄後の屋根。黒ずみと劣化した旧塗膜を落としました
リシンの凹凸に押し込むようにフィラーをローラーで塗り込む下塗り作業
ローラーに圧をかけ、凹凸の奥までフィラーを送り込みます
下塗りのフィラーで外壁全体がいったん白くなった状態
下塗り完了。ここから元の色に近い色を重ねていきます
外壁の上塗り作業 中塗りと同じ色を重ねて塗り残しをなくす
上塗り。中塗りと同じ色を重ね、谷の塗り残しを潰します
塗り替えが終わった外壁 凹凸が残り元の色に近い淡いベージュに仕上がった
外壁塗装完了。ざらついた陰影を残したまま、色が戻りました
スレート屋根の重なりに縁切り部材のタスペーサーを差し込む作業
タスペーサーを差し込み、屋根の通気の逃げ道を確保します
色あせたスレート屋根に中塗りを重ねて色が入っていくところ
主剤の1回目。白く抜けていた屋根に色が戻っていきます
塗装が終わり均一な濃い色に仕上がったスレート屋根
屋根塗装完了。色ムラのない均一な面になりました
日焼けしていた縦樋を小さめのローラーで塗装しているところ
雨樋の塗装。面積が小さいので、小さめのローラーと刷毛を使い分けます
付帯部の塗装まで終わり庇や雨樋がすっきり仕上がった外観
付帯部まで塗り終えた状態。ここまでで塗装の工程は終了です
藤井寺市藤が丘 和風住宅の外壁塗装 施工後の全景 元の色に近い淡いベージュ
藤井寺市藤が丘 和風住宅の外壁塗装 施工後の全景 元の色に近い淡いベージュ

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「今の感じを、変えたくないんです」

藤井寺市藤が丘のお客様から最初にいただいたご希望は、色の名前ではありませんでした。何色にしたいかではなく、今の雰囲気を崩さないでほしい。それが出発点でした。

築30年。モルタルの上にリシンを吹き付けた淡いベージュの外壁に、黒い雨だれの筋が何本も伸びていました。玄関まわりには深い軒が張り出し、木の垂木がむき出しで並び、雨樋は銅。庭木と塀と屋根が、30年かけてちょうどよく馴染んだお宅です。

この状態で「思い切って色を変えましょう」と提案するのは簡単です。けれど、和風住宅ではそれが一番危ない。外壁だけを現代的な色にすると、周りの部材との釣り合いが一気に崩れるからです。

それから24日後。足場のシートが落ちた日、お客様は道路に出て少し離れた場所からご自宅を眺め、こう言われました。

「変わってないように見えるのが、いちばんうれしい」

この記事は、その24日間の記録です。外壁も屋根もフッ素樹脂塗料、色は元の色にできるだけ近づける。和風住宅の外壁塗装で私たちが何を見て、何を塗らないと決めたのかを、写真21枚とあわせて公開します。同等の内容を現在の価格でお見積りすると170万円前後(税込)です。

📍 藤井寺市の費用相場・業者選び・施工実績のまとめは「藤井寺市の外壁塗装|完全ガイド」をご覧ください。

工事データ

施工エリア 大阪府藤井寺市藤が丘
築年数 30年
建物 和風の意匠をもつ2階建て住宅/モルタル+リシン吹き付け外壁+スレート屋根
施工内容 外壁塗装(元の色に近い淡いベージュ)/屋根塗装/シーリング補修/付帯部塗装
使用塗料 外壁:セミフロンアクア(KFケミカル・1液水性フッ素樹脂塗料)
外壁下塗り:アンダーフィラー弾性エクセル(日本ペイント)
屋根:セミフロンルーフⅡ(KFケミカル・2液フッ素樹脂塗料)
屋根下塗り:ファインパーフェクトベスト強化シーラー(日本ペイント)
工期 24日間
保証 外壁10年/屋根5年
参考価格 170万円前後(税込)
同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・下地の状態・付帯部の数により変動します。

和風の家は何色にすべき?──色を変えにくい家がある

和風住宅の外壁塗装で、外壁、屋根、木部や銅、仕上がりを見ながら元の雰囲気を残して整える考え方を示した図解
大きく変えるより、傷んだ印象を戻す選択です

外壁塗装のご相談で「せっかくだから色を変えたい」というお気持ちは、とてもよくわかります。足場を組んで100万円以上をかける工事です。同じ色に戻すだけでは、もったいない気がしてしまう。

ただ、和風住宅の外壁塗装だけは、この考え方が通用しないことがあります。

和風住宅は、なぜ色を変えにくいのですか?

理由はひとつです。和風の家は、外壁が単体で成立していないからです。

洋風のサイディング住宅なら、外壁の面積比率が圧倒的に大きく、外壁の色がそのまま家の印象になります。だから色を変えれば家の印象が変わる。狙いどおりです。

ところが和風住宅は違います。目に入る要素が多いのです。

  • 屋根:面積が大きく、勾配がゆるく、深い軒で外壁の上に長く張り出す
  • 木部:軒裏の垂木、化粧梁、格子、濡れ縁。塗り替えても色を変えないことが多い
  • 塀と門まわり:ブロック塀、板塀、門柱のタイルや石。塗装工事では触らないことが多い
  • 植栽:松や槙、玉砂利、飛び石。これも変わらない

つまり和風住宅では、外壁以外の要素がほとんど固定されているということです。固定された要素と30年かけて釣り合ってきた色を、外壁だけ入れ替える。すると釣り合いが崩れます。

よくあるのが「外壁を白く明るくしたら、木部と瓦だけが妙に重く沈んで見えるようになった」という失敗です。外壁単体で見れば悪くない色なのに、家全体では浮く。和風住宅の色選びが難しいのは、ここです。

このお宅も同じでした。玄関ポーチの深い軒、その下に並ぶ木の垂木、銅の雨樋、タイル張りの柱、レンガ調の壁。外壁の淡いベージュは、それらすべての受け皿として機能していました。

和風住宅の玄関ポーチ 深い軒と木の垂木 銅の雨樋がそのまま残されている
玄関ポーチの深い軒。木の垂木と銅の雨樋は、今回そのまま残す判断をしました

和風住宅の屋根は、いつも瓦とは限りません

和風住宅でも屋根材で判断し、スレート、セメント瓦、モニエル瓦は塗ることがあり、釉薬瓦やいぶし瓦は基本塗らないことを示した図解
この現場の屋根は、和瓦ではなく化粧スレートです

「和風住宅=瓦屋根」と思われがちですが、これは半分だけ正しい話です。

今回のお宅も、外観は和風の意匠でまとまっています。ところが母屋の屋根はスレート(薄い板状の屋根材)でした。ドローンで上から確認して、はっきりしました。1枚1枚が薄く、平らで、重なりのラインがまっすぐ通っています。日本瓦のような厚みと丸みはありません。

ここが分かれ道です。屋根材によって、そもそも塗装するかどうかが変わるからです。ざっくり言うと、こうなります。

  • 釉薬瓦(陶器瓦):表面がガラス質の釉薬で覆われているため、塗装は不要です。塗ってもすぐ剥がれます。傷むのは瓦本体ではなく、棟の漆喰や、瓦を留めている土・銅線のほうです
  • いぶし瓦:釉薬をかけず、いぶして炭素の膜をつくった瓦。これも基本的に塗装しません
  • セメント瓦・モニエル瓦:塗膜で保護されているタイプ。こちらは塗り替えの対象になります
  • スレート:塗膜で保護されているので、塗り替えの対象です

だから和風住宅で屋根の相談をいただいたとき、私たちがまずやるのは「その屋根は塗る屋根なのか、塗らない屋根なのか」を確かめることです。ここを飛ばして「屋根も一緒に塗りましょう」と言う業者には気をつけてください。陶器瓦に塗料をのせても、数年で浮いてきます。

このお宅はスレートでしたから、塗り替えの対象でした。逆に、玄関の庇に葺かれていた銅板は塗りません。銅は塗料が密着しないからです。無理に塗れば、必ず剥がれます。

緑青が出た銅板葺きの庇 銅は塗料が密着しないため塗装しない
銅板葺きの庇。緑青が出ていますが、これは銅の保護膜。塗装はしません

現地調査|築30年の和風住宅に出ていたサイン

色の話に入る前に、建物の状態を確認します。塗装は化粧ではなく、下地を守るための工事だからです。

リシン外壁の黒い筋は、なぜこんなに目立つのですか?

このお宅でいちばん気になっていたのが、外壁を縦に走る黒い筋でした。換気フードの下、窓の下、庇の端。水が流れ落ちるところに、そのまま黒く筋が残っています。

和風住宅でこれが目立つのには、はっきりした理由があります。

ひとつめは、色です。和風住宅の外壁は、白・生成り・薄いベージュ・砂色といった淡い色が圧倒的に多い。土壁やじゅらく壁の風合いを引き継いだ色づかいです。淡い色の上では、わずかな黒ずみでもコントラストが立ちます。同じ量の汚れでも、濃いグレーの外壁ならほとんど見えません。

ふたつめは、深い軒です。和風住宅の軒は長く張り出しています。雨がかりから壁を守ってくれる、ありがたい造りです。ところがその軒先から落ちた水は、決まった位置に集中して落ちます。壁全体がまんべんなく濡れるのではなく、特定のラインだけが繰り返し濡れる。だから筋になります。

みっつめが、リシンの表面です。リシンは細かい粒を吹き付けた仕上げで、表面がざらざらと凹凸しています。この凹凸は陰影が美しい反面、汚れの粒子が引っかかって留まりやすい。雨が流れても、洗い流されずに残るのです。

そしてもうひとつ、見た目の話では終わらない点があります。塗膜の防水性が落ちている家ほど、汚れは残りやすくなるということです。塗膜が生きているうちは水が表面を滑り落ちますが、劣化して水を吸うようになると、汚れは壁の側に取り残されます。黒い筋は、汚れであると同時に、塗り替え時期のサインでもあります。

リシン外壁の換気フード下に黒い雨だれの筋が伸びている施工前の状態
換気フードの下から、黒い筋が真下に伸びていました
日焼けして上部だけ色が抜けた縦樋と外壁に残る雨筋の跡
縦樋も日当たりのよい上半分だけ色が抜けていました

屋根はドローンで確認しました

屋根は上から見なければ状態がわかりません。梯子をかけて足を乗せると、傷んだスレートは踏んだだけで割れることがあります。ですから最初はドローンです。

確認できたのは、全体に白っぽく色が抜けていること。塗膜が寿命を迎え、屋根材の地肌が出はじめている状態でした。スレートは薄いぶん建物への負担が軽い屋根材ですが、その薄さゆえに、塗膜という保護がなくなると素地が水を吸いやすくなります。

幸い、割れや大きな欠けはありませんでした。この段階なら塗装で保護をかけ直せます。

色あせて白っぽくなったスレート屋根の施工前の状態
色あせて白く粉を吹いたようになったスレート屋根

塗らないと決めた場所があります

和風住宅で塗った外壁、化粧スレート屋根、付帯部と、塗らずに残した銅板の庇、銅の雨樋、軒天の木部を分けて示した図解
素材の味を残す場所は、無理に塗らない判断もあります

現地調査は「どこを塗るか」を決める場ですが、和風住宅では「どこを塗らないか」を決める場でもあります。今回、あらかじめ対象から外したのは次の3つです。

  • 玄関まわりの木部(軒裏の垂木・化粧梁):お客様のご希望で、そのまま残しました。木の表情は塗ると必ず変わります。塗装で保護すれば寿命は延びますが、いま気に入っている風合いを失うことになる。どちらを取るかはお住まいの方が決めることです
  • 銅板の庇と銅の雨樋:塗料が密着しないため、そもそも塗れません
  • 屋根の棟板金以外の金物のうち、素材として塗装に向かない部分:無理に塗ると、かえって早く剥がれます

「全部きれいにします」と言うほうが、営業としては簡単です。でも塗れないものを塗ると、2〜3年で剥がれて、かえってみすぼらしくなります。塗らないという判断も、工事の一部です。

「元の雰囲気を再現する」とは、どういう工事ですか?

新品にするのではなく、傷んだところを戻す

今回のお客様のご希望は、はっきりしていました。今の色に近い色で塗り直したい。

これは「何もしない」ということではありません。むしろ考え方としては、こう整理できます。

家を新品に作り替えるのではなく、30年で傷んだところだけを、元の位置まで戻す。

雨だれで黒くなった部分を落とす。色が抜けた屋根に色を戻す。日焼けした雨樋を塗り直す。切れかけたシーリングを打ち直す。そのうえで、外壁の色は元の色に寄せる。

結果として仕上がるのは「新築のような家」ではなく、「30年前からそこにあったように見える家」です。和風住宅では、こちらのほうが価値が高いことが多い。庭木も塀も瓦も、その色に合わせて時間をかけて馴染んできたからです。

まったく同じ色にはなりません──これは正直に申し上げます

ここは誤解のないようにお伝えしておきます。「元と全く同じ色」に塗ることは、厳密には不可能です。

理由は3つあります。

  • いま見えている色は、劣化した後の色だから:30年分の色あせと汚れを含んだ色です。それをそのまま再現しても、また汚れた家になるだけです
  • 塗料の色番号は有限だから:数百色の中からいちばん近いものを選びます。調色もできますが、それでも完全一致ではありません
  • ツヤが変わるから:新しい塗膜には必ずツヤが出ます。同じ色でも、ツヤの有無で明るさの感じ方が変わります

ですから私たちがやるのは「同じ色」ではなく、「同じ雰囲気に見える色」を選ぶことです。今回は元の淡いベージュを基準に、汚れを除いた本来の色味へ寄せた色をご提案しました。仕上がった外壁を見ていただければ、狙いは伝わると思います。

リシンの風合いは、塗ると少し変わります

もうひとつ、和風住宅の外壁塗装で必ずお伝えしていることがあります。吹き付け仕上げの手ざわりは、塗り替えると変わります。

リシンやスタッコの表面は、細かい粒が立った鋭い凹凸です。ここに塗料をのせると、粒の角が塗膜で包まれ、凹凸の輪郭がわずかに丸くなります。加えて新しい塗膜のツヤが出ます。近づいて見れば「前より少ししっとりした」と感じるはずです。

これは避けられません。塗膜をつくる以上、必ず起きます。ただし遠目の印象は大きく変わりません。凹凸そのものが消えるわけではないからです。今回の仕上がり写真を見ていただくと、ざらついた陰影はしっかり残っています。

逆に言えば、この「少し丸くなる」を嫌って塗り替えを先延ばしにすると、下地のモルタルが直接傷みはじめます。風合いを守るために、塗膜という消耗品を定期的に交換する。そう考えていただくのが正確です。

全工程を写真で公開します

ここからは24日間の実際の作業です。

1|シーリング補修(サッシまわり・貫通部)

戸建てで雨漏りが起きやすいのは、外壁とサッシの取り合いです。壁の面ではなく、異なる素材がぶつかる境目から水が入ります。塗装の前に、ここを補修します。

まずサッシ側にマスキングテープを貼り、仕上がりのラインをまっすぐ出します。次にプライマーを塗布。これは下地とシーリング材の接着を確保するための工程で、省くと数年で剥離します。

シーリング補修の前にプライマーを刷毛で塗布しているところ
シーリング材を充填する前に、プライマーを塗布します

プライマーが乾いたら、専用のガンでシーリング材を充填し、ヘラで均します。換気扇まわりなど、壁を貫通している部分も同じように補修します。穴が空いている場所は、すべて水の入口になり得るからです。

サッシまわりの取り合いに専用ガンでシーリング材を充填する作業
サッシまわりの取り合いにシーリング材を充填していきます
換気フードなど貫通部まわりのシーリング補修が完了した状態
換気フードの根元も補修対象です

2|高圧洗浄

シーリングを十分に乾かしてから、高圧洗浄に入ります。順番は屋根が先、外壁が後。上から下へが原則です。屋根を洗った汚れが外壁を伝って落ちるため、逆にすると二度手間になります。

リシンの外壁は、この工程がとくに重要です。凹凸の谷に入り込んだ汚れは、水圧をかけないと出てきません。ここに汚れが残ったまま塗ると、塗膜が下地ではなく汚れの上に乗ることになり、後から剥がれます。

職人が外壁を高圧洗浄機で洗い表面の汚れと旧塗膜を落としている
外壁の高圧洗浄。凹凸の谷に入った汚れを水圧で押し出します

屋根も同様に、苔と劣化した旧塗膜を落とします。洗浄後は黒ずみが取れ、屋根材の地色が見える状態になりました。

高圧洗浄を終えて黒ずみが落ちたスレート屋根
洗浄後の屋根。黒ずみと劣化した旧塗膜を落としました

3|外壁の下塗り(フィラー)

鉄部にさび止めを入れたあと、外壁の下塗りに入ります。使うのは日本ペイントのアンダーフィラー弾性エクセル。細かなひび割れを埋めながら、上塗り塗料がのりやすい下地に整える材料です。

ここが、リシン・スタッコ仕上げの家でいちばん体力を使う工程です。表面が深く凹凸しているため、ローラーを転がすだけでは谷の底に材料が届きません。押し当てて、圧をかけて、奥まで送り込む。面積のわりに時間がかかります。

リシンの凹凸に押し込むようにフィラーをローラーで塗り込む下塗り作業
ローラーに圧をかけ、凹凸の奥までフィラーを送り込みます

フィラーは白い材料なので、塗り終えると家が一度まっさらな白になります。この状態を見て驚かれる方が多いのですが、下塗りですから心配は要りません。

下塗りのフィラーで外壁全体がいったん白くなった状態
下塗り完了。ここから元の色に近い色を重ねていきます

4|外壁の中塗り・上塗り

主剤はKFケミカルのセミフロンアクア。1液水性のフッ素樹脂塗料です。今回はお客様が塗料のグレードとしてフッ素をお選びになりました。色を変えない塗り替えでは、次に塗り替えるまでの年数がそのまま満足度に直結します。同じ色を長く保つという意味で、耐候性の高い塗料は相性がいい選択でした。

中塗りと上塗りは同じ色を2回。1回で仕上げると、凹凸の谷に塗り残しが出ます。

外壁の上塗り作業 中塗りと同じ色を重ねて塗り残しをなくす
上塗り。中塗りと同じ色を重ね、谷の塗り残しを潰します

塗り終えた外壁がこちらです。凹凸の陰影は残ったまま、色は元の淡いベージュに寄せた仕上がりになりました。

塗り替えが終わった外壁 凹凸が残り元の色に近い淡いベージュに仕上がった
外壁塗装完了。ざらついた陰影を残したまま、色が戻りました

5|屋根塗装(縁切りを忘れずに)

屋根も3回塗りです。1回目は日本ペイントのファインパーフェクトベスト強化シーラー。無色の下塗りで、劣化した屋根材に吸い込ませて塗料の密着を確保します。

そして、スレート屋根で絶対に省けないのが縁切りです。スレートは1枚ずつが重なって葺かれており、その重なりにわずかな隙間があります。この隙間は、屋根の中に入った水蒸気や雨水を外へ逃がすための通り道です。

塗装するとこの隙間が塗膜で塞がれてしまうことがあります。塞がれば、水は逃げ場を失って屋根の内側に回ります。そこでタスペーサーという部材を先に差し込み、通り道を確保しておきます。

スレート屋根の重なりに縁切り部材のタスペーサーを差し込む作業
タスペーサーを差し込み、屋根の通気の逃げ道を確保します

下塗りのあとは、KFケミカルのセミフロンルーフⅡ。2液型のフッ素樹脂塗料で、主剤と硬化剤を撹拌して使います。屋根は外壁より紫外線も熱も過酷ですから、外壁と同等以上の耐候性が要ります。

色あせたスレート屋根に中塗りを重ねて色が入っていくところ
主剤の1回目。白く抜けていた屋根に色が戻っていきます

主剤を2回重ねて完成です。棟板金にはあらかじめさび止めを入れてあります。

塗装が終わり均一な濃い色に仕上がったスレート屋根
屋根塗装完了。色ムラのない均一な面になりました

6|付帯部の塗装

付帯部とは、外壁と屋根以外で塗装できる部分の総称です。雨樋、シャッターボックス、水切り、配管カバーなど。和風住宅は、この付帯部の数が多くなりがちです。庇が多く、雨樋の取り回しが長く、格子や小さな造作が随所にあるためです。

今回も、日当たりのよい面の縦樋は上半分だけ色が抜けていました。同じ部材でも、紫外線の当たり方でここまで差が出ます。

日焼けしていた縦樋を小さめのローラーで塗装しているところ
雨樋の塗装。面積が小さいので、小さめのローラーと刷毛を使い分けます

付帯部は2回塗りで仕上げます。塗ったばかりの外壁に付けないよう気を配りながらの作業なので、面積のわりに時間がかかる工程です。

付帯部の塗装まで終わり庇や雨樋がすっきり仕上がった外観
付帯部まで塗り終えた状態。ここまでで塗装の工程は終了です

このあとタッチアップと清掃を行い、足場を解体して完了となりました。

塗装で戻せないものも、正直に書いておきます

塗装で戻せる防水性、色あせ、黒い筋の印象と、戻せないまったく同じ色、元のリシンの質感、素材の経年変化を示した図解
新品にする工事ではなく、傷んだ印象を整える工事です

ここまで「戻す」という言葉を使ってきましたが、塗装で戻せないものもあります。ご検討中の方には、先に知っておいていただきたい部分です。

  • 吹き付けの鋭い風合い:先にも書いたとおり、塗膜をのせる以上、粒の角はわずかに丸くなります。ツヤも出ます。元の質感が100%戻ることはありません
  • 割れた瓦・欠けた屋根材:塗装は表面を保護する工事であって、割れをふさぐ工事ではありません。割れがあれば差し替えや補修が別に必要です
  • 木部の経年変化:日に灼けて銀色がかった木の色は、塗ればなくなります。逆に、残せば守れません。どちらを取るかの選択です
  • 下地そのものの傷み:モルタルの深いひび割れや、雨水が回って傷んだ内部までは、塗装では触れません

できることとできないことをはっきりさせるほうが、結果としてご満足いただけます。「塗れば全部きれいになります」は、和風住宅ではとくに危ない言い方です。

藤井寺市藤が丘で、和風の家を塗るということ

藤井寺市は、大阪府内でもっとも面積の小さい市です。近鉄南大阪線が市の中心を通り、駅からそれほど離れないうちに落ち着いた戸建ての住宅地が広がります。市域には世界文化遺産に登録された古市古墳群が含まれ、住宅地のすぐ隣に古墳の緑がある——そんな距離感の土地です。

今回の現場からも、周囲には瓦屋根の和風住宅が点在していました。街並みとして、和の輪郭が残っている場所です。

この環境で、1軒だけ外壁を鮮やかな色に変えたらどうなるか。想像していただけると思います。建物単体では成立しても、通りの中では浮きます。お客様が「今の感じを変えたくない」とおっしゃった背景には、ご自宅への愛着だけでなく、この街並みへの感覚もあったのだと思います。

私たちみのりペイントは大阪市平野区を拠点に、藤井寺市を含む近隣エリアで施工しています。地元の街並みを見慣れている業者に相談することには、色決めの面でも意味があると考えています。

完工の日

24日間の工事を終えて、足場のシートが落ちました。

外壁は元の色に寄せた淡いベージュ。屋根はムラなく色が戻り、雨樋と庇はすっきりと締まって見えます。玄関ポーチの木の垂木と銅の雨樋は、工事前とまったく同じままです。

冒頭のご希望は「今の感じを、変えたくないんです」でした。そして完工の日にいただいた言葉が、こちらです。

「変わってないように見えるのが、いちばんうれしい」

塗り替え工事としては、これ以上ない評価だと思っています。変わっていないように見えて、防水性は新品に戻っている。和風住宅の外壁塗装が目指すべき地点は、たぶんここです。

よくあるご質問

和風住宅の外壁は、元と同じ色で塗り直せますか?

「同じ雰囲気」までは再現できますが、「まったく同じ色」は厳密には不可能です。いま見えている色は30年分の色あせと汚れを含んだ色ですし、塗料の色番号にも限りがあり、新しい塗膜には必ずツヤが出ます。実務では、汚れを除いた本来の色味を基準に、いちばん近い色を選んで調整します。既存の外壁の目立たない部分を洗ってから色見本を当てると、精度が上がります。逆に、汚れたままの壁に色見本を合わせると、仕上がりが想像より明るく感じられます。

和風住宅の瓦屋根は、外壁と一緒に塗装が必要ですか?

屋根材によります。釉薬瓦(陶器瓦)は表面がガラス質の釉薬で覆われているため塗装は不要で、塗ってもいずれ剥がれます。いぶし瓦も基本的に塗りません。傷むのは瓦本体ではなく、棟の漆喰や、瓦を留めている部分、板金のほうです。一方、セメント瓦・モニエル瓦・スレートは塗膜で保護されている屋根材なので、塗り替えの対象になります。今回のお宅は外観こそ和風でしたが屋根はスレートで、塗装しました。まず「塗る屋根か、塗らない屋根か」を確かめる業者を選んでください。

玄関まわりの木部や銅の雨樋も、一緒に塗るのですか?

木部は「塗る・塗らない」を選べます。塗れば紫外線と水から守れて寿命は延びますが、いま気に入っている木の表情は必ず変わります。今回はお客様のご希望で塗らずに残しました。一方、銅は選択の余地がありません。塗料が密着しないため、塗装できない素材です。緑青は劣化ではなく銅自身がつくる保護膜なので、そのままにしておくのが正解です。和風住宅では、こうした「塗らない部位」を事前に洗い出しておくことが仕上がりを左右します。

リシンや吹き付け仕上げは、塗り替えると質感が変わりますか?

少し変わります。表面の細かい粒の角が塗膜で包まれるため、凹凸の輪郭がわずかに丸くなり、新しい塗膜のツヤも加わります。近くで見れば「前よりしっとりした」と感じるはずです。ただし凹凸そのものが消えるわけではないので、離れて見た印象は大きく変わりません。質感の変化を最小限にしたい場合は、下塗り材の選び方と塗る量、そしてツヤの度合い(ツヤ有り・7分ツヤ・3分ツヤなど)で調整します。ツヤを抑えると、和風住宅らしい落ち着いた見え方に近づきます。

塀や門まわりも、外壁と一緒に塗り替えたほうがいいですか?

必ずしも同時でなくて構いませんが、外壁だけ新しくすると塀の汚れが目立って見えることがあります。とくに和風住宅は塀や門柱の存在感が大きいので、外壁が明るく戻ったぶん、塀の黒ずみが強調されるという現象が起きます。塗装できる塀(塗膜のあるブロック塀など)であれば同時施工が効率的です。一方で石やタイル、洗い出し仕上げの門柱などは塗装に向かないことが多く、その場合は洗浄だけで印象がかなり戻ります。現地調査のときに、外壁とあわせて見ておくことをおすすめします。

和風の家の塗り替えで迷っている方へ

和風住宅の外壁塗装は、色を選ぶ工事というより釣り合いを守る工事です。屋根・木部・塀・植栽という動かせない要素があるぶん、外壁の色は自由なようでいて自由ではありません。だからこそ、いまの雰囲気を残したいというご希望は、決して消極的な選択ではないのです。

そして、雰囲気を残すことと、防水性を新品に戻すことは両立します。今回の工事がまさにそうでした。

「うちは和風だけど、屋根は塗るのだろうか」「木部はどうすればいいのか」——その段階のご相談で構いません。お家の写真を送っていただければ、状態の診断と、その建物で塗るべき部位・塗らないほうがいい部位をお伝えします。

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