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堺市西区浜寺|築22年サイディングの目地の隙間を化粧打ちで補修|打ち替えとの違いと5日間の全工程

出隅部分のシーリングが破断し目地に隙間が開いた施工前の状態
BEFORE 施工前
足場越しに見た出隅の目地の仕上がり
AFTER 施工後

「壁のつなぎ目に隙間が見えてきて、雨が入らないか心配で」

堺市西区浜寺のお客様から最初にいただいたご相談は、この一言でした。築22年、3階建ての窯業系サイディング。建ててから一度も外まわりのメンテナンスをしていないとのことで、外壁の縦の目地に入っているシーリング(コーキング)が、ところどころ完全に切れていました。切れているというより、両側にぱっくり開いて、奥の下地が見えている箇所もありました。

お客様のご要望ははっきりしていました。「今後この家に長く住むと決まったわけではないので、外壁を全部塗り替えるところまではしたくない。ただ、雨漏りだけはさせたくない」。予算を大きくかけずに、雨水の入口だけを確実に止めたい。そういうご相談です。

結論から書くと、外壁塗装は行わず、シーリング工事だけを単独で実施しました。工期は5日間。この「塗装をしないでシーリングだけを打つ工事」が、業界でシーリングの化粧打ちと呼ばれるものです。

ただ、この「化粧打ち」という言葉には、業者によってまったく違う意味で使われているという厄介な事情があります。ある業者が「化粧打ちで直します」と言ったとき、それが何を指しているのかを確かめないまま契約すると、想像していたのとは違う工事になります。

この記事は、その5日間の記録です。化粧打ちとは何なのか、打ち替え・増し打ちと何が違うのか、化粧打ちで済ませていい現場とそうでない現場の線引きはどこにあるのか。14枚の写真とあわせて、正直に書きます。

シーリング補修が完了した堺市西区浜寺の3階建てサイディング外壁の全景
施工後|堺市西区浜寺、築22年3階建てのサイディング外壁

工事データ

施工エリア 大阪府堺市西区浜寺
築年数 22年
建物 3階建て戸建て住宅/窯業系サイディング
施工内容 外壁目地・開口部まわりのシーリング撤去打ち替え(外壁塗装なし=化粧打ち仕上げ)
使用材料 SRシール NB50(変性シリコーン系)/色:ノーブルベージュ
施工期間 5日間(足場架設・解体を含む)
参考価格 44万円前後(税込)/足場代を含む

※「参考価格」は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の大きさ、目地の総延長、足場の掛け方によって金額は変わります。実際のご契約金額をお約束するものではありません。

そもそも「シーリングの化粧打ち」とは何ですか?

シーリングの化粧打ちの定義Aと定義Bを、仕上げ面にする工事と既存の上に薄く被せる工事に分けた図解
同じ言葉でも、工事の中身を先に確認します

最初に、この記事で使う言葉の意味をはっきりさせておきます。「化粧打ち」という用語は業界内で定義が揺れており、大きく分けて二つの使われ方があるからです。ここを曖昧にしたまま読み進めると、あとの説明がすべてズレてしまいます。

定義A:外壁を塗装せず、シーリングそのものを仕上げ面にする工事

ひとつ目は、塗装をしない前提でシーリングを打つ工事を指す使い方です。

通常の外壁塗装工事では、シーリングを打ったあとから上に塗料を塗ります。塗膜がかぶるので、シーリングの色は何色でも構いません。むしろ塗装屋の間では「どうせ塗るから色は気にしない」というのが普通の感覚です。

ところが今回のように塗装をしない場合、打ったシーリングがそのまま外から見える面になります。つまりシーリングが「化粧(=仕上げ)」を兼ねる。だから既存の外壁の色に近い色を選ばなければならず、そのぶん手間がかかる。これが「化粧打ち」という呼び方の由来です。今回の堺市西区浜寺の現場は、この定義Aにあたります。

定義B:既存のシーリングを撤去せず、上から薄く被せる工事

ふたつ目は、既存のシーリングを残したまま、その上や開いた隙間に新しいシーリングを薄く被せて整える工事を指す使い方です。「表面だけ化粧するように直す」というニュアンスで、こちらの意味で「化粧打ち」と言う業者もいます。この意味で使われる場合、実質的には後述する「増し打ち」とほぼ同じ工事を指しています。

同じ言葉なのに、工事の中身も金額もまったく違う

問題は、AとBでは作業量が二倍以上違うことです。Aは既存のシーリングをカッターで切り込んで撤去する工程が入ります。Bは撤去しません。撤去の有無は、そのまま人工(にんく)の差、つまり金額の差になります。

ですから、見積書に「シーリング化粧打ち」と書かれていたら、必ず次の一言を確認してください。

「既存のシーリングは、撤去しますか? それとも上から被せますか?」

この質問にすぐ答えられない業者、あるいは「どちらでも一緒です」と流す業者には、その先の説明も期待できません。逆に、目地を見ながら「ここは撤去、ここは幅が狭いので被せます」と場所ごとに答えられるなら、現場を見て考えている証拠です。

なお、この記事では以降、Aの意味(塗装せずシーリングを仕上げ面にする工事)を「化粧打ち」と呼びます。Bの意味で使う場合は「被せる化粧打ち」と書き分けます。

なぜ外壁のつなぎ目に「隙間」が開くのですか?

お客様が最初におっしゃった「隙間が見えてきた」という状態。これは経年で必ず起きる現象で、原因はひとつではありません。実際の現場では次の要因が重なっています。

サイディングは、一年を通じて動き続けている

窯業系サイディングは、温度と湿度で伸び縮みします。夏の直射日光を受けた壁面は表面温度が50度を超えることもあり、冬の朝との差は相当なものになります。板一枚あたりの伸縮はごくわずかでも、その動きが集まる場所が目地です。シーリングは、この動きを吸収するために入っているゴム状の部材であって、単なる「隙間埋め」ではありません。

シーリングは、痩せる

シーリング材には可塑剤など、柔らかさを保つための成分が含まれています。紫外線と熱を浴び続けると、この成分が少しずつ抜けていきます。抜けた分だけ体積が減り、硬くなる。これが「痩せる」と呼ばれる状態です。

痩せると、まず表面が凹み、次に細かいひび(クラック)が入り、最後には目地の端から剥がれるか、真ん中で裂けるかします。今回の現場は裂けて完全に破断している箇所が多数ありました。築22年で一度もメンテナンスをしていなければ、むしろ自然な経過です。

縦目地のシーリングが縦に裂けて下地が見えている施工前の状態
施工前|縦目地のシーリングが裂け、奥まで割れが通っている

三面接着とバックアップ材

もうひとつ、施工品質に関わる要因があります。シーリングは本来、目地の左右二面にだけ接着させる(二面接着)のが正しい納まりです。奥の底面にまでくっついてしまうと(三面接着)、サイディングが動いたときにシーリングが逃げられず、真ん中から裂けやすくなります。

これを防ぐために、目地の奥にはボンドブレーカー(テープ)やバックアップ材を入れて、底面には接着させないようにします。サイディングの縦目地の場合、多くは「ハットジョイナー」という金物が入っていて、その表面が最初からボンドブレーカーになっています。

撤去してみるまで、この奥がどうなっているかは分かりません。そして、既存を撤去しない「被せる化粧打ち」では、永久に分からないままです。ここが被せる工法の一番の弱点です。

打ち替え・増し打ち・化粧打ちは、どう違うのですか?

シーリングの打ち替え、増し打ち、化粧打ちの違いを断面で比較した図解
目地の状態に合わせて、必要な処置を選びます

三つの言葉を、いちど表で整理します。細かい比較はシーリングの打ち替えと増し打ちの選び方の記事に譲りますので、ここでは違いの骨格だけを押さえてください。

  打ち替え 増し打ち
(被せる化粧打ち)
化粧打ち
(本記事の定義A)
既存の撤去 する しない 状態により判断
(今回は撤去)
確保できる厚み 設計どおり確保しやすい 既存の残り厚みに左右され、薄くなりやすい 撤去すれば打ち替えと同等
上から塗装 する前提が多い する前提が多い しない(シーリングが仕上げ面)
色の扱い 塗るので不問 塗るので不問 外壁色に合わせる必要あり
向いている場所 動きの大きい外壁の縦目地 撤去が難しいサッシまわりなど 塗装をしない/できない建物

ひとことで言えば、打ち替えと増し打ちは「撤去するかどうか」の話、化粧打ちは「塗装するかどうか」の話です。軸が違うので、本来は対立する選択肢ですらありません。ところが現場では両方が「化粧打ち」という一語に混ざって使われているために、話が噛み合わなくなります。

化粧打ちを選んでいい場面、選んではいけない場面

化粧打ちを選べる場面と避けたい場面を、目地の隙間、厚み、外壁の状態で比較した図解
見た目だけでなく、目地の深さと外壁の状態を見ます

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

化粧打ちが選択肢になる場面

  • 外壁の塗膜がまだ生きている——チョーキング(触ると白い粉がつく)が軽度で、色あせも許容範囲。壁そのものはまだ塗り替えなくてよい状態。
  • 傷んでいるのがシーリングだけ——サイディング本体に反り、割れ、欠けがない。
  • 近いうちに手放す、あるいは建て替えの予定がある——長期の資産維持より、当面の雨仕舞いが優先されるケース。
  • 目地の幅と深さが確保できている——後述しますが、これは絶対条件です。

今回の堺市西区浜寺の現場は、この四つがすべて当てはまりました。壁の塗膜はまだ持ちこたえており、傷んでいるのは目地だけ。そして「長く住むとは限らない」というお客様のお話。だから外壁塗装をお勧めしませんでした。

逆に、化粧打ちで済ませてはいけない場面

  • 外壁の塗膜がすでに切れている——手で触ると粉が大量につく、表面がひび割れている。この状態で目地だけ直しても、壁面から水を吸います。目地は入口のひとつに過ぎません。
  • サイディングが反っている、端が欠けている——シーリングでは止まりません。板の固定や張り替えの話になります。
  • 目地に十分な厚みが取れない——ここが技術的な核心です。
  • 動きの大きい目地——3階建ての高い位置、日射の強い南面や西面、大きな開口部の脇など、変形量が大きい箇所を薄い被せで処理するのは無理があります。

「厚みが取れない」とは、どういうことですか?

シーリングは、ゴムのように伸び縮みして建物の動きを吸収します。伸び縮みできる量は、単純に言えば断面の厚みに比例します。薄く塗り伸ばしたゴムと、しっかり厚みのあるゴム。同じ距離を引っ張られたとき、先に切れるのは薄いほうです。

既存のシーリングを撤去せずに上から被せると、残っている既存の厚み分だけ、新しいシーリングの座る場所が浅くなります。目地の幅が10mm、深さが10mmあったところに、既存が7mm残っていれば、新しく打てるのは3mm。この3mmに、本来10mm分に期待されていた追従性能は出せません。

しかも、その3mmは古くて硬くなった既存シーリングの上に乗っているだけです。土台が動けば、上に乗ったものも一緒に動きます。既存が裂ければ、被せた新しいシーリングも同じ場所で裂けます。

「被せる化粧打ちなら安く済みますよ」という提案が悪いわけではありません。撤去が物理的に難しい箇所——サッシまわりの狭い目地など——では、増し打ちのほうが現実的な場面も確かにあります。ただ、外壁の縦目地に、動きの吸収を期待しながら薄く被せるのは、多くの場合おすすめできません。

見た目だけ直って、中身が直っていないことがある

被せる化粧打ちの厄介なところは、仕上がりが非常にきれいに見える点です。隙間はなくなり、目地の線はまっすぐ通り、色も揃っている。お客様から見れば「完全に直った」ように見えます。

しかし奥では、切れた既存シーリングがそのまま残っています。三面接着になっていたかどうかも、バックアップ材が入っていたかどうかも、分からないままです。数年後に同じ場所が切れたとき、次の業者は二層になったシーリングをまとめて撤去することになり、その手間は最初から打ち替えた場合より増えます。

だからこそ、私たちは足場に上がって目地を一本ずつ見てから工法を決めます。写真だけ、あるいは地上から見上げただけで「化粧打ちでいけます」と言うことはしません。

堺市西区浜寺のこの現場では、どう判断しましたか?

現地調査で足場を想定しながら目地を確認したところ、状況はこうでした。

  • 縦目地の多くで、シーリングが中央から裂けて完全に破断。片側が浮いている箇所もあり。
  • 破断部から奥をのぞくと、目地の底に十分な深さが残っている。撤去すれば、新しいシーリングの厚みを確保できる。
  • サイディング本体に反り、欠け、割れは見当たらない。
  • 外壁の塗膜は色あせているが、まだ機能している範囲。
  • 3階建てで、上階ほど日射と風雨を受けている。

この内容から、「被せる化粧打ち」は採用しないと判断しました。理由は単純で、破断した既存シーリングを残したまま上から被せても、同じ場所が同じように裂けると予想できたからです。3階建てで目地の総延長も長く、上階の再施工には再び足場が要ります。数年後にもう一度足場を掛けるくらいなら、今回きちんと撤去したほうが結果的に安く済みます。

お客様には、この理屈をそのままお話ししました。「安く上げる方法として被せる工法もあるが、この目地の状態ではお勧めしない。撤去して打ち直したうえで、外壁塗装のほうを見送りましょう」と。削るのは工法ではなく、塗装工事のほうにするという提案です。ご納得いただき、この方針で進めることになりました。

色をどうやって合わせたのですか?

化粧打ちで最初につまずくのが、色です。塗装をしないので、打ったシーリングの色がそのまま外観になります。

今回は、既存のシーリングを一部カッターで切り取り、それを持ってカラーサンプルに直接当てて照合しました。写真の記憶や色番号だけで決めると、まず外します。実物を並べて、屋外の自然光の下で見比べるのが確実です。

この現場では「ノーブルベージュ」を選びました。材料は変性シリコーン系のSRシール NB50です。変性シリコーン系は、塗装が乗りにくいという性質がある一方、塗装しない化粧打ちでは扱いやすい材料です。なお、シーリング材のグレードや製品ごとの違いについては、シーリング工事の基礎知識のほうで扱っています。

切り取った既存シーリングをカラーサンプルに当てて色を合わせる作業
切り取った既存シーリングをカラーサンプルに当てて色を照合

ひとつ正直に書いておくと、色は完璧には合いません。既存のシーリングは22年ぶん日焼けして色が変わっています。新品のシーリングを既存の「今の色」に合わせると、数年後にはこちらも日焼けしてまた変わります。目指すのは「遠目に違和感がない」ところであって、「同一色」ではありません。ここは事前にお伝えしています。

5日間の工程を、写真で追います

1日目|足場の架設と最終確認

3階建てのため、外壁全周に足場を架設しました。足場が組み上がってから、あらためて全ての目地を上から下まで確認します。地上からは見えなかった上階の目地、庇の裏側、バルコニーの立ち上がりまわり。ここで初めて工事の全体量が確定します。

2日目|既存シーリングの撤去

カッターを目地の両側に入れて切り込み、既存のシーリングを引き出すように撤去していきます。地味ですが、この工程が仕上がりを左右します。撤去が甘くて既存の残骸が壁に残っていると、そこに新しいシーリングが接着してしまい、結局は二層構造になります。

既存のシーリングを撤去し目地の奥のジョイナーが見えている状態
撤去後の目地。奥に見える金物の表面がボンドブレーカーを兼ねている

撤去した目地の奥をのぞくと、ハットジョイナーが入っていることが確認できました。この金物の表面は接着しない仕様になっており、三面接着を防ぐ役割を果たします。撤去したからこそ確認できた情報です。

3日目|養生とプライマー塗布

目地の両側にマスキングテープを貼って養生します。シーリングは、はみ出すと外壁の凹凸に入り込んで取れなくなるため、養生の精度がそのまま仕上がりの直線の美しさになります。今回は塗装をしないので、はみ出しを塗りつぶして隠すことができません。通常の塗装工事より神経を使う工程です。

目地の両側にマスキングテープを貼って養生した状態
目地の両側をマスキングテープで養生

養生が終わったら、シーリング専用のプライマーを刷毛で塗布します。プライマーは、サイディングの小口とシーリングを密着させるための下塗り材です。これを省くと、数年で目地の端からペリペリと剥がれてきます。塗ったかどうかは、外から見ても分かりません。だから写真で残します。

刷毛で目地にシーリング専用プライマーを塗布しているところ
目地の内側にシーリング専用プライマーを刷毛で塗布

4日目|充填とヘラ押さえ

プライマーが乾いたら、シーリングガンで新しいシーリング材を充填します。空気を巻き込まないよう、目地の奥から手前へ押し出すように入れていきます。

シーリングガンで目地に新しいシーリング材を充填しているところ
シーリングガンで目地に新しいシーリング材を充填
充填した直後の、まだヘラでならす前のシーリング
充填した直後の状態。この後ヘラでならす

充填しただけでは、まだ表面がでこぼこしています。ここからヘラで押さえて、シーリングを目地の奥まで密着させながら表面を平らにならします。この「ヘラ押さえ」が、シーリング工事でいちばん技術が出る作業です。押さえが足りないと内部に空隙が残り、押さえすぎると厚みが減ります。

窓やドアなど、開口部のまわりも同じ手順で処理しました。開口部は雨水が集まりやすい場所であり、外壁面の目地よりも優先度が高い箇所です。

窓まわりの開口部を養生してシーリングを充填した状態
窓まわりの開口部を養生して充填

ヘラで押さえ終えたら、シーリングが固まる前に養生テープを剥がします。固まってから剥がすと、シーリングの縁が一緒に持っていかれて縁がギザギザになります。剥がすタイミングも、職人の判断です。

ヘラでならして養生を剥がした後の縦目地の仕上がり
ならして養生を剥がした後の縦目地

5日目|硬化確認と足場解体

翌日、全周をまわって充填漏れ、押さえ不足、はみ出しがないかを確認します。問題がなければ足場を解体して完了です。

窓まわりのシーリングを打ち直した後の仕上がり
窓まわりの仕上がり
見上げた出隅の目地に新しいシーリングが連続して充填された状態
出隅の目地に新しいシーリングが連続して充填された状態

化粧打ちのデメリットを、正直に書きます

化粧打ちの注意点として、外壁劣化、次回の触り直し、足場、持ちを断言できないことを示した図解
安く見える工事ほど、次の工事まで含めて考えます

この工事には、はっきりとしたデメリットがあります。契約前に必ず知っておいていただきたい内容です。

1. 外壁そのものの劣化は、何も解決していない

今回直したのは目地だけです。外壁の塗膜は22年ぶん劣化したまま残っています。塗膜が防水機能を失えば、サイディング本体が水を吸い、凍害や反りにつながります。目地を直したことで、外壁塗装が不要になったわけではありません。先送りにしただけです。

2. 次に外壁を塗るとき、シーリングをもう一度触る可能性がある

将来この建物を塗装する場合、今回打ったシーリングの上に塗料を乗せることになります。変性シリコーン系は塗料が乗りにくい材料なので、そのときの状態によってはもう一度撤去して打ち直す判断になることもあります。そうなると、今回の材料代と手間はそこで一度リセットされます。

これは「化粧打ちが無駄」という意味ではありません。近いうちに塗装する予定があるなら、最初から塗装とシーリングを一緒にやったほうが安い、ということです。今回のように「塗装はしない」という前提がはっきりしている場合にのみ、化粧打ち単独が合理的になります。

3. 足場代が、シーリング工事だけにかかる

3階建ての場合、足場は必須です。外壁塗装と同時なら足場代を両方の工事で分け合えますが、シーリング単独だと足場代を丸ごとこの工事が背負います。今回の参考価格44万円前後にも、足場代が含まれています。金額に占める足場の比率が高くなるのは、シーリング単独工事の構造的な弱点です。

4. 何年もつかは、断言できません

「あと何年もちます」と数字で言い切ることを、私たちはしません。シーリングの寿命は、目地の状態、確保できた厚み、その目地にかかる動きの大きさ、日射の方向で大きく変わります。同じ建物の中でさえ、南面の目地と北面の目地では傷み方が違います。

材料メーカーが示す期待耐用年数はあくまで試験条件下の目安であり、実際の建物での持ちを保証するものではありません。私たちがお約束できるのは、撤去すべきところは撤去し、プライマーを省かず、必要な厚みを確保して打つということまでです。そのうえで、数年おきに目地を見てください、とお伝えしています。

費用はどう考えればいいですか?

今回の工事は、足場代を含めて44万円前後(税込)が参考価格です。3階建て全周の目地と開口部まわりを、撤去したうえで打ち直した金額です。

シーリング工事の見積書では、よく「m(メートル)単価」が使われます。この単価の相場について耳にすることがあるかもしれませんが、それは業界で一般的に言われている目安であり、当社の見積金額を示すものではありません。実際の金額は、目地の総延長、階数、足場の掛けやすさ、撤去の有無、開口部の数で変わります。

見積書で確認していただきたいのは、金額そのものより次の三点です。

  • 撤去の有無が明記されているか——「シーリング工事一式」だけでは、撤去するのかしないのか分かりません。
  • 数量(m)が書かれているか——総延長が書かれていない見積書は、他社と比べようがありません。
  • 使用材料の製品名が書かれているか——「シーリング材」としか書かれていない場合は、何を使うのか聞いてください。

費用の考え方全般については、大阪の外壁塗装 費用相場と業者選びの完全ガイドもあわせてご覧ください。

堺市西区浜寺という土地について

堺市西区の浜寺エリアは、大阪湾に面した臨海部にあります。海に近い地域では、風に乗って運ばれる潮の影響が建材に及ぶことが一般に知られています。金属部の錆や、塗膜表面への塩分の付着などです。

ただし、内陸部と比べてシーリングの傷みが明確に早いかどうかを、この1件の事例から断定することはできません。今回の現場で観察できたのは「築22年、一度もメンテナンスをしていない建物のシーリングが破断していた」という事実までです。臨海部だから特別に早い、とは書きません。

言えるのは、海が近い地域では、目地だけでなく金属部(雨樋の金具、庇、手すり、換気フード)も一緒に見ておく価値があるということです。今回のようにシーリング単独の工事で足場を掛けるときは、せっかくなので金属部の状態も確認しておくと、次の工事の計画が立てやすくなります。堺市西区での外壁メンテナンス全般については、堺市西区の外壁塗装|浜寺・臨海部の塗料選びにまとめています。

よくあるご質問

Q1. 化粧打ちの上から、あとで外壁を塗装することはできますか?

できますが、条件があります。今回使用した変性シリコーン系のシーリングは、塗料が乗りにくい性質を持っています。塗装する場合はシーリング面に専用の下塗りを入れるか、状態によっては撤去して打ち直す判断になります。「あとで塗るかもしれない」という前提が少しでもあるなら、化粧打ちの段階でその旨を業者に伝えてください。材料の選び方が変わります。

Q2. 一部の目地だけ化粧打ちすることはできますか?

物理的には可能ですが、あまりお勧めしていません。理由は二つあります。ひとつは、足場を掛ける以上、一部だけ直しても足場代は同じだけかかること。もうひとつは、同じ時期に施工された目地は同じように傷んでいるため、今切れていない目地も数年以内に切れる可能性が高いことです。「今日切れている所だけ」直すと、次の年にまた足場が要ります。

Q3. ホームセンターで材料を買って、自分で打つのはどうですか?

1階の手が届く範囲で、目地が短く、雨がかりの少ない場所であれば、ご自身で試されること自体は止めません。ただし2階以上は足場なしでは危険ですし、既存の撤去とプライマー塗布を省いた充填は、数年ももたないことが多いです。とくにプライマーは省略されがちですが、これを省くと接着が持ちません。市販のシーリング材とプライマーの相性も確認が必要です。

Q4. 雨の日でも工事はできますか?

できません。シーリングは、目地の内部が濡れている状態で打つと接着しません。プライマーを塗った面が雨に濡れた場合も、乾かして塗り直しになります。今回5日間の工期をいただいたのも、天候による中断を見込んでのことです。「雨でも作業します」と言う業者がいたら、何をするのか具体的に確認してください。

Q5. 隙間が開いていても、雨漏りしていなければ急がなくていいですか?

「雨漏りしていない=水が入っていない」ではありません。窯業系サイディングの多くは、外壁材の裏側に防水シートがあり、そこで受けた水を下へ流す構造になっています。目地から入った水はまずこの層に入り、室内に出てくるまでには時間がかかります。天井にシミが出た時点では、下地の木部が傷んでいることも珍しくありません。目地に指が入るほどの隙間が見えているなら、雨漏りの有無にかかわらず一度見せていただくことをお勧めします。

最後に

足場が外れた日、お客様は道路に出て、少し離れたところからご自宅を見上げてから、こうおっしゃいました。

「隙間が消えて、線が一本まっすぐ通りましたね」

目地というのは、直っていても目立ちません。うまくいけばいくほど、何もしていないように見える工事です。だからこそ、途中の写真を残しています。撤去した目地の奥がどうなっていたか。プライマーをどこまで塗ったか。充填したシーリングをどうならしたか。

「壁のつなぎ目に隙間が見えて、雨が入らないか心配で」——最初のご相談から5日間。外壁の塗り替えは、必要になったときにあらためて考えればいい。今回はそれで正解だったと思っています。

目地の隙間が気になっているけれど、外壁全部を塗るほどではない気がする。そういう段階のご相談こそ、私たちがいちばん役に立てるところです。写真を1枚送っていただくだけでも構いません。

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