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施工事例紹介

柏原市高井田|築60年古民家の内装を漆喰風塗装でギャラリーに|室内塗装の下地とパテ埋め6日間

BEFORE 施工前
下地処理を終えた室内全景 塗装前の平滑な壁
AFTER 施工後
パテ埋めとやすり掛けを終えた室内の壁面


下地処理を終えた室内全景 塗装前の平滑な壁
下地処理を終えた室内全景 塗装前の平滑な壁
漆喰風のマットな白に仕上がった築60年古民家の室内全景
施工後|つや消しの白で仕上げた室内。古材の柱と梁はそのまま残しました
築60年古民家の室内 大工が組んだ木下地と古い梁
施工前|大工さんが木下地を組んだ状態。奥に古材の梁が見えます
室内の天井まわりの下地組み 古民家の丸太梁が見える状態
天井まわりの下地。古材はそのまま残す方針でした
内装の壁下地に使う石膏ボード
内装の壁下地となる石膏ボード
石膏ボードを張り終えた室内の壁面
石膏ボードを張り終えた状態。この継ぎ目とビス頭を、これから平らにしていきます
継ぎ目の補強に使うファイバーテープ
継ぎ目の補強に使うファイバーテープ
石膏ボードの継ぎ目に貼ったファイバーテープ
ボードの継ぎ目に沿ってテープを貼ります
室内の壁の継ぎ目にファイバーテープを貼る作業
高い位置は足場と脚立を使って作業します
1回目のパテ埋めで使う厚付け用のパテ
1回目に使う厚付け用のパテ
1回目のパテ埋めに使う刃幅の狭いパテベラ
1回目に使う刃幅の狭いパテベラ
パテベラで継ぎ目にパテを詰めていく1回目の作業
継ぎ目にパテを押し込んでいきます
1回目のパテ埋め後 ファイバーテープの型が残る壁面
1回目が終わった状態。テープの型はまだ残っていますが、溝は埋まりました
2回目3回目の仕上げに使う薄付け用のパテ
2回目・3回目に使う薄付け用のパテ
刃幅を使い分けるパテベラとパテ用の道具
パテベラは刃幅で使い分けます
パテ埋めを重ねた室内の壁 継ぎ目とビス頭が白く見える
パテを重ねた壁面。継ぎ目とビス頭が白く浮かんで見えます
ローラーでつや消し塗料を室内の壁に塗る様子
ローラーでつや消し塗料を塗っていきます
パテ埋めとやすり掛けを終えた室内の壁面
パテ埋めとやすり掛けを終えた室内の壁面

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「この古い家を、人が集まる場所にしたくて」

柏原市高井田のお客様から、最初にいただいた言葉です。築60年の日本家屋。以前に別の工事でお世話になったお客様で、今回は「古民家をギャラリースペースに改装したいので、内装の塗装をお願いしたい」というご依頼でした。

私たちはふだん、足場を組んで屋根と外壁を塗っている会社です。ただ塗装屋にはもう一つの顔があって、室内の壁を塗る仕事もしています。この記事は、その表に出てくることの少ないほうの仕事の記録です。

ご要望は「漆喰(しっくい)のような雰囲気にしたい」。外壁部の漆喰の風合いに色を合わせ、つや消しの塗料でマットに仕上げる。漆喰風塗装という選択でした。

ここで先に、いちばん大事なことを書いておきます。これは漆喰そのものではありません。漆喰風に「見える」ように、塗料で仕上げたものです。左官職人がコテで塗る本物の漆喰とは、材料も、工期も、質感も、その後の手入れの仕方も違います。その違いを曖昧にしたまま「漆喰にしました」と言うつもりはありません。

工期は6日間。石膏ボードの継ぎ目を埋めるパテ作業を3回に分けた、下地が9割の工事でした。全工程を18枚の写真で公開します。

漆喰風のマットな白に仕上がった築60年古民家の室内全景
施工後|つや消しの白で仕上げた室内。古材の柱と梁はそのまま残しました

📍 柏原市の費用相場・業者選び・施工実績のまとめは「柏原市の外壁塗装|完全ガイド」をご覧ください。

工事データ

施工エリア 大阪府柏原市高井田
築年数 60年
建物 木造の日本家屋(古民家)/ギャラリースペースへの改装
施工内容 室内塗装(漆喰風・つや消し仕上げ)/パテ埋め/外壁塗装
使用材料 内装:ケンエース(日本ペイント)
外装:ファインパーフェクトトップ(日本ペイント)
工期 6日間
参考価格 現地調査後にお見積り
この工事の金額は公開していません。室内塗装は面積と下地の状態で大きく変わるため、実際に壁を見てからのお見積りになります。

「人が集まる場所にしたい」から始まりました

古い家をそのまま住まいとして使い続けるのではなく、人を迎える場所に変える。今回のご相談は、そういう内容でした。私たちが呼ばれたのは、そのうちの「壁をどう仕上げるか」という部分です。

建物にはもともと、太い古材の柱と、赤みを帯びた丸太の梁がありました。お客様はそれを残したいとお考えでした。ということは、新しくつくる壁の側が、その古材に合わせにいかなければなりません。つやのある壁にすると古材が浮いてしまう。かといって色を濁らせると、作品を掛けたときに背景として重くなる。

そこで出てきたのが「外壁部の漆喰の風合いに合わせる」という方向でした。もともと外側にある漆喰の色味を基準にして、内側の壁をそこへ寄せる。同じ建物の内と外で色の系統を揃える、という考え方です。

漆喰と漆喰風は、何が違う?

本物の漆喰と漆喰風塗装の違いを、材料そのもの、左官仕上げ、塗料で質感を出すこと、手直ししやすさで比較した図解
似た見た目でも、材料と工法は別ものです

ここは正直に、細かく書きます。この記事を読んでおられる方が知りたいのは、まさにここだと思うからです。

材料が違います

本物の漆喰は、消石灰を主成分とした左官材料です。壁にコテで塗り付けて、材料そのものの厚みで面をつくります。施工するのは左官職人です。

漆喰風塗装は、塗料です。つや消しタイプの塗料を、ローラーや刷毛で薄く塗り重ねます。施工するのは塗装職人です。厚みは塗膜の厚み、つまりごくわずかしかありません。

見た目が似ていても、壁の上にあるものはまったく別の材料だということです。

効果を混同しないでください

漆喰について語られる性質を、漆喰風塗装の効果として説明する業者がいます。私たちはそれをしません。材料が違う以上、材料に由来する性質も違います。

漆喰風塗装でお約束できるのは、つやを抑えたマットな見え方と、色の調整のしやすさ、そして塗り重ねによる手直しのしやすさまでです。それ以上のことを効果として並べるのは、お客様に対して不誠実だと考えています。

工期と手直しのしやすさ

左官工事は、材料そのものを厚く塗るぶん、下地の乾燥や養生に日数がかかります。塗装は塗膜が薄いので、工程としては短くなります。ただし塗装は下地の粗が出るため、その手前のパテ作業に日数が移るだけで、トータルではそれほど劇的に短いわけではありません。今回も6日間のうち、塗るのは終盤だけでした。

手直しについては、塗装のほうが気楽です。汚れたところ、傷が付いたところに、同じ塗料をもう一度塗れば戻ります。左官の壁は、部分的に直すとその部分だけコテむらの表情が変わってしまうことがあります。

こういう方には、漆喰風塗装は向きません

包み隠さず書きます。次のような場合、私たちは漆喰風塗装をおすすめしません。

  • 材料そのものの質感を求めている方。コテの跡や、手仕事の厚みが欲しいのであれば、塗装では出せません。左官工事をご検討ください。
  • 漆喰という材料に期待する性質そのものが目的の方。塗料は塗料であって、漆喰の代わりにはなりません。
  • 下地の状態が悪く、平滑が出せない場合。塗装は下地を隠せません。ゆがみや段差が残ったまま塗ると、つや消しであってもそれは見えます。この場合は下地からつくり直すか、厚みのある別の仕上げを選ぶことになります。
築60年古民家の室内 大工が組んだ木下地と古い梁
施工前|大工さんが木下地を組んだ状態。奥に古材の梁が見えます
室内の天井まわりの下地組み 古民家の丸太梁が見える状態
天井まわりの下地。古材はそのまま残す方針でした

クロス(壁紙)と塗装は、何が違う?

クロスと室内塗装の違いを、継ぎ目、貼り替え、部分補修のしやすさで比較した図解
どちらが上ではなく、使う部屋と目的で選びます

室内の壁の仕上げを考えるとき、多くの方が最初に比べるのはこの2つだと思います。工事のたびに聞かれる質問なので、現場の実感で整理します。

継ぎ目が出るか、出ないか

クロスはロール状の材料を貼っていくので、必ずどこかに継ぎ目ができます。貼った直後はほとんど見えませんが、年数が経つと継ぎ目が開いてくることがあります。

塗装は液体を塗るので、面としては一枚につながります。角も、細かい入隅も、途切れずに回り込みます。今回のように古材の柱が壁の中に立っていて、壁がその柱で区切られているような部屋では、この差がはっきり出ます。

部分的な補修のしやすさ

人が出入りする空間では、壁は必ず汚れます。荷物が当たる、手が触れる、何かを立てかける。

塗装の壁は、その部分にもう一度塗料を塗れば戻ります。同じ塗料が残っていれば、後からでも同じ色で直せます。クロスは、一部分だけ貼り替えると、その面だけ色が新しくなって浮いてしまうことがあります。

逆に、塗装が不利な点

ここも書いておきます。

ひとつは、下地の粗がそのまま出ること。クロスには紙やビニールの厚みがあり、下地の小さな凹凸をある程度吸収してくれます。塗装にはその厚みがありません。石膏ボードの継ぎ目も、ビスの頭も、パテで平らにしておかないと仕上げたあとに影として浮いて見えます。

もうひとつは、乾燥時間が要ること。パテを埋めては乾かし、また埋めては乾かし、を繰り返します。この待ち時間は縮められません。

つまり塗装を選ぶということは、下地づくりに時間をかけることを選ぶということです。今回の工事は、まさにそれを地でいく内容でした。

古い建物の内装を塗るとき、下地はどうなる?

古い内装を塗装するときに砂壁や繊維壁、板壁、アクやシミ、下地作りを確認する図解
塗る前に、吸い込み・動き・シミを確認します

築年数の経った建物の内装には、いろいろな壁があります。砂壁、繊維壁、板壁、古いクロス。それぞれに考え方が違います。一般論として、私たちが現場でどう判断しているかを書きます。

砂壁・繊維壁は、そのままでは塗れません

手でこすると粉が付いてくるような壁は、そのまま塗ってはいけません。塗料の膜は、下にある層が弱いと、その層ごと剥がれます。表面を固める下塗り材を入れるか、その壁を撤去して下地からつくり直すか、どちらかの判断が要ります。触ってみないと決められない部分です。

板壁は、木の動きを見ます

板を張った壁は、季節によって伸び縮みします。継ぎ目をパテで固めても、動いて切れてくることがあります。板の目地を活かしたまま塗るのか、面として平らにするのか。ここは仕上がりの好みと、割れが出たときにどう見えるかの両方で決めます。

アク・ヤニ・シミは、塗るだけでは隠れません

古い建物では、雨染みの跡、たばこのヤニ、木からにじみ出るアクといったものに出会います。これらは厄介で、上から白い塗料を塗っても、時間が経つと下から浮き上がってきます。ヤニやアクを止める専用の下塗り材を入れるのが基本です。「塗れば見えなくなる」と思って上塗りだけしてしまうと、数か月後に茶色いシミが浮いてきます。

今回の現場は「下地をつくり直す」判断でした

柏原市高井田のこの現場では、既存の壁を活かすのではなく、新しく下地をつくり直す方法が採られました。大工さんが室内に木下地を組み、そこへ石膏ボードを張っています。

ギャラリーとして人を迎える空間にするなら、壁は平らであってほしい。作品を掛ける前提であれば、壁の凹凸は背景として邪魔になります。既存の壁を補修しながら平滑を出すよりも、下地から新しくしたほうが確実だという判断です。

だから私たちの出番は、ボードが張り終わってからでした。ここから先が、塗装屋の仕事です。

内装の壁下地に使う石膏ボード
内装の壁下地となる石膏ボード
石膏ボードを張り終えた室内の壁面
石膏ボードを張り終えた状態。この継ぎ目とビス頭を、これから平らにしていきます

全工程を写真で公開します

室内塗装でファイバーテープ、パテ1回目、乾燥、パテ2回目と3回目、つや消し2回塗り、完成までの工程を示した図解
塗る時間より、下地を整える時間が仕上がりを左右します

1|継ぎ目にファイバーテープを貼る

まず、溝の深いジョイント部分に専用のファイバーテープを貼ります。今回使ったのはニットーのスリムファイバー36mmです。

なぜテープを貼るのか。パテは乾燥すると「やせる」からです。埋めた直後は平らでも、乾くと体積が減って、わずかにへこみます。そこにテープが入っていると、ひび割れを軽減してくれます。地震などで建物が揺れたときの影響もやわらげてくれます。

この一手間を省くと、数年後に継ぎ目のラインが壁に浮いて見えてきます。真っ白なマットな壁ほど、その線は目立ちます。

継ぎ目の補強に使うファイバーテープ
継ぎ目の補強に使うファイバーテープ
石膏ボードの継ぎ目に貼ったファイバーテープ
ボードの継ぎ目に沿ってテープを貼ります
室内の壁の継ぎ目にファイバーテープを貼る作業
高い位置は足場と脚立を使って作業します

2|パテ埋め1回目(厚付け)

1回目は、厚付け用のパテを使います。深い溝をしっかり埋めるのが目的です。

このときのパテベラは、刃幅の狭いものを使います。狭いほうが力が一点に集まるので、溝の奥までパテを押し込めるからです。

1回目のパテ埋めで使う厚付け用のパテ
1回目に使う厚付け用のパテ
1回目のパテ埋めに使う刃幅の狭いパテベラ
1回目に使う刃幅の狭いパテベラ
パテベラで継ぎ目にパテを詰めていく1回目の作業
継ぎ目にパテを押し込んでいきます
1回目のパテ埋め後 ファイバーテープの型が残る壁面
1回目が終わった状態。テープの型はまだ残っていますが、溝は埋まりました

3|乾燥を待つ

ここが工期に効いてくる工程です。

1回目のパテが乾くと、やせます。やせきってから次を重ねるのが原則です。乾ききる前に2回目を乗せると、あとから下のパテがやせて、上に乗せたパテごとへこみます。仕上げてから継ぎ目のラインが浮いてくるのは、たいていこれが原因です。

急かされてこの時間を削ると、その分は必ずあとから請求されます。仕上がりという形で。

4|パテ埋め2回目・3回目(薄付け)

2回目・3回目は薄付け用のパテに切り替えます。狙いは「埋める」ことではなく「段差をなくす」ことに変わります。

パテベラも刃幅の広いものに持ち替えます。広い刃で一気になでることで、パテ埋め部分と周りの壁面との境目に段差が出ないようにするためです。

この現場ではパテを3回に分けて重ねました。最後にペーパーやすりをかけて、手のひらで触っても継ぎ目の位置がわからないところまでならしていきます。

2回目3回目の仕上げに使う薄付け用のパテ
2回目・3回目に使う薄付け用のパテ
刃幅を使い分けるパテベラとパテ用の道具
パテベラは刃幅で使い分けます
パテ埋めを重ねた室内の壁 継ぎ目とビス頭が白く見える
パテを重ねた壁面。継ぎ目とビス頭が白く浮かんで見えます

5|塗装(つや消しで2回塗り)

ここでようやく塗装です。

使ったのは日本ペイントのケンエース。室内の壁や天井、住宅の軒天などに使われるつや消しタイプの塗料で、私たちも外装工事の軒天塗装で日常的に扱っている材料です。汚れを拭き取りやすい性質があるとされ、室内でよく使われます。詳しい性能や適用範囲については、メーカーが公表している製品情報が一次情報になりますので、そちらをご確認ください。ここでは、私たちが現場で扱ってきた範囲のことだけを書いています。

色は、外壁部の漆喰の風合いに合わせた白。つや消しで2回塗り重ねました。

つやのあるなしは、部屋の印象をかなり変えます。つやがあると光を強く返すので、壁の凹凸やゆがみが見えやすくなります。つや消しは光を拡散させるので、面が穏やかに見えます。日本家屋のように、木の質感が主役になる空間では、壁が控えめなほうが収まります。

ローラーでつや消し塗料を室内の壁に塗る様子
ローラーでつや消し塗料を塗っていきます

6|完成

白が映えて、落ち着いた面になりました。古材の柱と梁がそのまま残っているので、白の面がその背景として効いています。

なお、この建物では外装の塗装も行っており、外壁にはファインパーフェクトトップを使いました。外装の話は本題から外れるので、ここでは触れるにとどめます。

この記事の冒頭に載せた写真が、その完成した室内です。

室内塗装の段取りは、外壁と何が違う?

外壁は屋外の作業ですが、室内塗装はお客様の生活空間の中に入っていく仕事です。段取りの考え方がまるで違います。

養生の範囲が広くなります

外壁塗装の養生は、窓やドア、植木といった「塗らないところ」を守るのが中心です。室内では、床、建具、窓枠、コンセント、照明、残っている家具、そして塗らない壁面まで、視界に入るほぼすべてを覆います。

古い建物では、ここに神経を使います。古材の柱や梁は、養生テープの粘着で表面が傷むことがあります。テープを直接貼らずに、下に紙を挟むといった手当てをします。今回の現場のように古材を見せたまま残す場合、この配慮が仕上がりの印象を左右します。

においと換気の計画

室内塗装でいちばんよく聞かれるのが、においのことです。

水性か溶剤系かで、においの強さはまったく違います。溶剤系はにおいが強く出るため、窓を開けて風を通す計画を立てておく必要があります。同じ建物の中で別の部屋を使いながらの工事なら、扉を閉めるだけでなく、隙間をどうふさぐかまで決めておきます。

私たちは、工事前に「何日目のどの作業でにおいが出るか」を先にお伝えするようにしています。あとから「聞いていない」となるのが、いちばんお互いにとって良くないからです。

家具の移動と、住みながらの工事

塗る部屋の家具は、外に出すか、部屋の中央に寄せてビニールで覆います。壁ぎわに何も置けない状態になるので、その部屋は工事中は使えないと考えてください。

住みながらの工事も、部屋を区切って一部屋ずつ進めれば可能です。ただし生活の動線はかなり制限されますし、乾燥待ちの日も部屋は使えません。工期を1日でも短くしたいのか、生活の負担を減らしたいのか。ここは最初にご相談させていただく部分です。

今回のように改装中で、まだ人が住んでいない状態であれば、この制約はありません。作業としては、そのほうが段取りは組みやすくなります。

人が集まる空間だから、考えたこと

住まいの壁と、人を迎える空間の壁では、考えるポイントが少し変わります。

艶をどう決めたか

ギャラリーのように何かを掛けたり置いたりする空間では、壁は主役ではありません。背景です。

つやのある壁は、光源の位置によっては反射が入ります。何かを見に来た人が、壁の反射で見づらくなるのは避けたい。つや消しを選んだのは、漆喰風の質感を出すためだけではなく、背景として静かであってほしかったからでもあります。

汚れの拭き取りやすさ

人の出入りがある空間では、壁に手が触れます。荷物が当たります。

室内用の塗料には、汚れを拭き取りやすい性質を持つものがあります。今回使ったケンエースもそうした用途で室内に使われる塗料です。ただし、つや消しはつやのある塗膜に比べて表面が細かく凹凸しているため、強くこすると跡が残ることはあります。汚れが付いたら早めに、やわらかい布で軽く拭く。これが基本です。

そしてもうひとつ、塗装の壁の強みがここで効きます。どうしても取れない汚れが付いても、同じ塗料をもう一度塗れば元に戻るということです。人が集まる場所は必ず汚れます。汚れることを前提に、直せる仕上げを選んでおく。これは長く使う建物では大きな違いになります。

柏原市高井田という土地で

柏原市は大阪府の東部、大和川に沿って広がる街です。ぶどうの産地として知られていて、市内を車で走ると斜面にぶどう畑が見えます。高井田はその市の北側、JR大和路線の高井田駅がある一帯です。

私たちは柏原市の現場によくうかがいます。今回の一帯にも、木造の古い民家が残っていました。築60年、あるいはそれ以上という建物が現役で建っている地域です。

そうした建物を、住まいとしてではなく別の使い方で残していく。今回のご依頼はその一つでした。壁を塗るという仕事は、その中のごく一部分にすぎません。ただ、人が入ってきて最初に目に入る面をつくる仕事でもあります。そう思うと、パテを3回重ねる時間の意味も少し変わってきます。

完工の日

6日目。養生をはがして、部屋に光が入りました。

マットな白の面と、そのままの古材。新しくつくった壁のほうが、古い柱に寄り添うように収まっていました。

お客様は部屋の真ん中に立って、しばらく壁を見ておられました。それから、こう言われました。

「これなら、人を呼べる」

この古い家を、人が集まる場所にしたくて。最初にうかがったその一言に、6日間で私たちができたことが、少しでも返せていればと思います。

よくあるご質問

漆喰風塗装と本物の漆喰は、いちばん何が違いますか?

材料そのものが違います。本物の漆喰は消石灰を主成分とした左官材料で、左官職人がコテで壁に塗り付けて厚みをつくります。漆喰風塗装は、つや消しタイプの塗料をローラーや刷毛で塗って、漆喰に似たマットな見え方に仕上げたものです。したがって、漆喰が持つとされる性質を漆喰風塗装が持つわけではありません。私たちがお約束できるのは「見え方」と「手入れのしやすさ」までで、それ以上のことは申し上げません。厚みのあるコテむらや、材料そのものの質感を求めておられるなら、左官工事のほうをおすすめします。

室内の壁は、クロスと塗装のどちらがいいですか?

求めるものによります。塗装が向くのは、継ぎ目のない一枚の面にしたい場合、部分的な汚れや傷をその都度直しながら長く使いたい場合、そして壁の色を自分で決めたい場合です。クロスが向くのは、工期を短くしたい場合、下地の凹凸を厚みのある材料で隠したい場合、そして模様や質感の選択肢を既製品から選びたい場合です。塗装は下地の粗さがそのまま出るので、下地づくりに手間と日数がかかります。今回の工事で6日間のうち大半をパテ埋めに使ったのは、そのためです。

砂壁や繊維壁の上から、そのまま塗装できますか?

そのまま塗ることはおすすめしていません。砂壁や繊維壁は表面がもろく、粉状に落ちてくることがあります。その上に塗料をのせても、塗膜ごと剥がれてしまう可能性があります。現場では、シーラーで表面を固めてから塗る、下地を補修してから塗る、あるいは今回のように新しく下地をつくり直す、といった判断をします。どれが適切かは、実際に壁を触ってみないと決められません。手でこすって粉が付くか、押して浮きがないか、そこを見てからのご提案になります。

室内塗装は住みながらでもできますか?においは残りますか?

部屋を空けられるかどうかで変わります。塗る部屋の家具は動かすか、部屋の中央に寄せてビニールで覆う必要があります。作業中はその部屋を使えないので、一部屋ずつ区切って進めれば住みながらでも可能ですが、生活の動線はかなり制限されます。においについては、水性か溶剤系かで大きく違います。溶剤系はにおいが強く出るため、換気の計画が必要です。工事前に、どの塗料を使うか、換気をどうするか、何日目のどの時間帯がにおいのピークになるかを、あらかじめお伝えするようにしています。

室内の壁を塗るのに、どれくらいの日数がかかりますか?

面積と下地の状態しだいですが、今回の柏原市高井田の現場は6日間でした。うち塗装そのものに使ったのは終盤だけで、前半はほとんどが下地づくりです。パテは1回埋めるごとに乾燥を待たなければならず、乾くと少しやせるので、それを見てから次を重ねます。この待ち時間を縮めようとすると、あとから継ぎ目の線が浮いて出てきます。日数の見積もりを聞かれたとき、私たちが「乾燥待ちの日」を必ず含めてお伝えするのはこのためです。

室内の壁で迷っている段階でも、ご相談ください

室内を塗るか、クロスにするか。漆喰風にするか、本物の漆喰にするか。この判断は、実際に壁を見てからでないと責任を持ってお答えできません。手でこすったときに粉が付くか、押したときに浮きがないか、シミやヤニが出ていないか。そこを確かめてからのご提案になります。

「塗装屋なのに内装もやるんですか」とよく言われます。やります。外壁の軒天も室内の天井も、同じ塗料を使うことがあるくらいで、私たちにとっては地続きの仕事です。

壁の写真を送っていただければ、状態の見立てと、その部屋に向く仕上げの考え方を一緒にお伝えします。漆喰風塗装が向かないと判断したときは、そう申し上げます。

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