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柏原市本郷|築16年コロニアルNEO屋根を屋根カバー工法でリフォーム|塗れない屋根材の見分け方

BEFORE 施工前
柏原市本郷の築16年戸建て、施工前のコロニアルNEO屋根の全景
AFTER 施工後
屋根カバー工法で葺き替えたガルバリウム鋼板屋根の施工後全景


柏原市本郷の築16年戸建て、施工前のコロニアルNEO屋根の全景
柏原市本郷の築16年戸建て、施工前のコロニアルNEO屋根の全景
施工前の屋根面。スレート全体が色あせて白っぽくなっている状態
施工前の屋根面。本来の色が抜け、全体が白っぽく退色していました。ここまでは「よくある屋根」です。
スレート屋根の小口が層状に欠け、表面が剥離している様子
屋根材の重なり部分。表層がめくれ、小口が層状に欠けています。これは塗膜が劣化したのではなく、板そのものが分かれています。
施工前、天窓まわりのスレート屋根と足場養生シート
施工前の天窓まわり。屋根材の表面がざらつき、細かい欠けが点在していました。
既存の天窓(トップライト)の枠まわりの施工前の状態
既存の天窓。カバー工法では、この枠まわりの板金を一から作り直します。
屋根カバー工法の最初の工程、既存の棟板金を取り外した様子
工事の最初は既存の棟板金の取り外しから。
棟板金の下にあった木製の下地を撤去した状態
棟板金の下の木下地も撤去します。ここを残して使い回すことはしません。
既存屋根の上に改質アスファルトルーフィングを敷き込んだ状態
既存屋根の上に改質アスファルトルーフィングを敷き込みました。実際に雨水を止めているのはこの層です。
天窓の枠に沿って防水シートを立ち上げて張った様子
天窓の枠に沿って防水シートを立ち上げます。平場よりも雨仕舞いがシビアな部分です。
屋根の側面にケラバ板金(水切り)を取り付けている様子
屋根の側面にケラバの水切り板金を取り付けます。屋根材より先に付ける順番が重要です。
外側から見たケラバ板金。既存より深く巻き込んだ納まり
外から見たケラバ板金。既存より深く巻き込み、横殴りの雨が入りにくい納まりにしています。
軒先側から棟に向かって金属屋根材を重ね葺きしていく工程
屋根材は軒先から棟へ向かって重ねていきます。上の板が下の板に必ずかぶる向きです。
天窓の下端に水切り板金を取り付けている様子
天窓の周囲に水切りを取り付けます。防水シートの立ち上げと二重で雨水を受けます。
屋根形状に合わせて加工した天窓まわりの板金の納まり
天窓まわりの板金に既製品はありません。屋根の形状に合わせて板金職人が一枚ずつ加工します。
金属屋根材を葺き上げ、棟の手前まで進んだ屋根面
屋根材を葺き上げたところ。残すは棟の納まりだけになりました。
棟板金を留めるための新しい木下地を取り付けた状態
棟には新しい木下地を入れ直します。ここが板金を固定する土台になります。
最後の工程として棟板金を取り付けている様子
最後に棟板金を取り付けます。屋根のてっぺんを塞ぐ、いちばん風を受ける部材です。
棟板金のジョイント部分にシーリングを充填した仕上げ
棟板金の継ぎ目はシーリングで埋めます。板金は必ずどこかで継ぐので、その処理で差が出ます。
施工後の金属屋根の屋根面。縦のラインが通った仕上がり
施工後の屋根面。縦のラインが通り、雨水が滞りなく軒先へ流れる形になりました。
施工後の天窓まわり。板金で納めたトップライト周囲
施工後の天窓まわり。加工した板金でぐるりと囲い、屋根面と段差なく納まりました。
屋根カバー工法で葺き替えたガルバリウム鋼板屋根の施工後全景
屋根カバー工法で葺き替えたガルバリウム鋼板屋根の施工後全景

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「屋根も一緒に塗ってもらおうと思っていたんです。でも、うちの屋根は塗れない種類やと言われまして……ほかにどんなやり方があるのか、見てもらえませんか」

柏原市本郷にお住まいのお客様から、こんなご相談をいただきました。お知り合いが塗り替えたのを見て、うちもそろそろかと動き出した。ところが調べていくうちに「塗ってはいけない屋根材」という言葉に行き当たって、足が止まってしまった。そんな経緯でした。

結論から書きます。屋根材のなかには、どれだけ良い塗料を使っても、どれだけ丁寧に下地を作っても、塗装という工事そのものが答えにならないものが存在します。今回のお宅の屋根に使われていた「コロニアルNEO」は、そのひとつとして知られている製品です。

この記事では、柏原市本郷の屋根カバー工法(築16年・工期7日間)の全工程をお見せしながら、なぜ塗装では解決しないのか/自分の家の屋根がそれかどうかをどう確かめるのか/塗装・カバー工法・葺き替えのどれを選ぶのかを順番に整理していきます。

工事の基本情報|築16年・屋根カバー工法・工期7日間

施工エリア 大阪府柏原市本郷
施工内容 屋根カバー工法(重ね葺き)
既存屋根材 スレート屋根(図面にコロニアルNEOの記載)
使用材料 SGL鋼板屋根材 スーパーガルテクト/改質アスファルトルーフィング(カスタムライト)
築年数 築16年
施工期間 7日間
保証年数 塗膜保証15年
工事費用 現地調査後にお見積り
この事例は工事記録に金額の記載がないため、費用を掲載していません。屋根の面積・形状・天窓や設備の有無で金額が大きく変わる工事なので、目安の数字だけが一人歩きしないよう、現地を見てからお伝えしています。

コロニアルNEOとは?なぜ「塗ってはいけない屋根材」と呼ばれるのか

コロニアルNEO系の屋根で、色あせではなく小口の層割れや割れ方を確認する図解
すべての屋根が同じではなく、現地で割れ方を確認します

アスベストが使えなくなった時期に生まれた屋根材です

日本の住宅で長く使われてきたスレート屋根(化粧スレート、カラーベストなどと呼ばれるもの)は、セメントを主材にした薄い板です。かつては、この板の強度を支える繊維としてアスベストが混ぜられていました。5mm前後の薄さで人が乗っても割れない板が作れたのは、この繊維のおかげです。

そのアスベストが健康被害を理由に規制され、建材に使えなくなりました。各メーカーはアスベストに代わる繊維を使った「ノンアスベスト」のスレートを急いで開発し、市場に出します。コロニアルNEOは、2000年代の初めごろから2000年代の後半にかけて流通したとされる、その世代の製品のひとつです。

先にお伝えしておくと、これは特定のメーカーを責めるための話ではありません。規制は待ってくれず、代替繊維の長期的な耐候性を確かめる時間も十分にはありませんでした。当時の技術的な制約のなかで起きたことで、同じ時期に各社が出したノンアスベスト系スレートには、程度の差はあれ似た報告があります。私たちが現場で見ているのは「良い・悪い」ではなく、「この材料はこう傷むので、この直し方になる」という事実だけです。

起きるのは「色あせ」ではなく「層のはがれ」です

普通のスレート屋根の劣化は、まず塗膜の色あせ、次に苔や藻、そして防水性の低下という順番で進みます。表面の膜が痩せていく劣化なので、塗り替えれば膜が戻り、屋根材の寿命を延ばせます。

ところがノンアスベスト系スレートの一部では、それとは種類の違う傷み方が報告されています。板そのものが層状にめくれる(層間剥離)、小口が欠ける、不規則なひび割れが入る——表面の膜ではなく、板の中身が分かれてくる劣化です。

施工前の屋根面。スレート全体が色あせて白っぽくなっている状態
施工前の屋根面。本来の色が抜け、全体が白っぽく退色していました。ここまでは「よくある屋根」です。

実際、今回の屋根も遠目には「そろそろ塗り替えどきの屋根」に見えました。判断が変わったのは、近づいて一枚ずつ見てからです。

スレート屋根の小口が層状に欠け、表面が剥離している様子
屋根材の重なり部分。表層がめくれ、小口が層状に欠けています。これは塗膜が劣化したのではなく、板そのものが分かれています。

写真の欠けた部分を見てください。剥がれているのは色のついた塗膜ではなく、白っぽい板の中身です。塗膜が剥がれたなら下から屋根材の地肌が出てきますが、ここでは屋根材そのものが薄皮のようにめくれています。これが、塗装という選択肢が消える決定的な理由でした。

念のため書いておきますが、「この屋根材なら全部こうなる」という話ではありません。ロットの差、屋根の向き、日射と雨がかり、周囲の建物の影、勾配、補修の履歴——同じ製品でも状態は一軒ごとにまったく違います。北面だけひどい家もあれば、16年経ってもほとんど症状が出ていない家もあります。だからこそ製品名だけで結論を出さず、必ず実物を見ます。

なぜ塗装では解決しないのか?塗膜は補強材ではないからです

塗料は0.1mmの膜、屋根材は5mmの板

「割れているなら、塗料で埋めて固めればいいのでは」と思われることがあります。気持ちはよく分かるのですが、寸法を並べるとイメージが変わるはずです。

屋根塗装で下塗り・中塗り・上塗りと重ねてできる膜の厚みは、合計してもコンマ数ミリの世界。対して屋根材は5mm前後の板です。0.1mm台の膜は、5mmの板の強度を肩代わりできません。塗料は「防水性を持たせる膜」であって、「板を接着して補強する材料」ではないからです。

外壁のヘアクラックなら、下地調整材で埋めて塗れば実用上ふさがります。しかし屋根材の層間剥離は「表面に入った線」ではなく「板が2枚に分かれかけている」状態なので、上から膜をかけても分かれた面は分かれたままです。

踏むだけで割れる、という現実

もうひとつ、施工そのものが成立しにくいという問題があります。屋根塗装は必ず職人が屋根に上がり、高圧洗浄をして、屋根の上を歩き回りながら塗ります。強度が落ちた屋根材は、その作業に耐えられずに割れることがあります。洗浄の水圧で表層がめくれる、足を乗せた瞬間に「パキッ」といく、タスペーサー(縁切り部材)を差し込もうとして欠ける、既存の釘穴の周りから放射状に割れる。塗るために上がったのに、上がるほど傷むという逆転が起きてしまいます。割れた分を差し替えようにも、生産が終わった製品と同じ形状の板は手に入りません。

「塗ってから数年でまた割れた」が起きる理由

そして仮に無事に塗り終えたとしても、数年でまた症状が出てきます。塗装したのは表面だけで、板の中で進んでいる分離は止まっていないからです。膜の下で板が動けば、膜は必ずそこで切れます。

屋根塗装が施工の品質不良で剥がれるケース(洗浄不足、下塗りの選定ミスなど)とは、原因の層が違う話です。職人の腕でどうにかなる問題ではなく、材料側の条件で選択肢が決まっている——ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

うちの屋根はコロニアルNEOかもしれない?確かめ方の4ステップ

屋根材を築年数、図面や書類、割れ方、自分で屋根に上がらないことの4ステップで確かめる図解
写真と書類を合わせて、屋根材を慎重に判断します

ここまで読んで「うちも同じ時期に建てた家だ」と気になった方に向けて、順番に確かめる方法を書いておきます。

ステップ1|築年数から当たりをつける

まず、建てた年を確認してください。ノンアスベスト系スレートが各社から出そろっていたのは、おおむね2000年代の初めから2000年代の終わりごろにかけてとされています。今回のお宅は築16年。逆算すると、ちょうどこの時期に建てられた家ということになります。

ただし築年数はあくまで入口です。この時期の家の屋根がすべてノンアスベスト系スレートというわけではなく、瓦や金属屋根の家もたくさんあります。年数だけで不安になる必要はありません。

ステップ2|引き渡し書類と図面を探す

いちばん確実なのはこれです。今回のお客様も、建築時の図面を出してきてくださり、屋根の仕様欄に製品名の記載がありました。そこで方針がはっきり決まりました。

探していただきたいのは、新築時の引き渡し書類一式です。設計図書(仕上表)、住宅性能評価書、確認申請の副本、建築会社からもらった仕様書の控え。屋根の欄に「化粧スレート」とだけ書かれている場合もありますが、多くは製品名まで入っています。

ステップ3|割れ方の「顔」を見る

書類が見つからない場合は、傷み方の特徴から推測します。ポイントは「線」なのか「層」なのかです。

  • 一本の線でスパッと割れている……凍害や物が当たった衝撃、経年での単純な割れであることが多い
  • 小口(板の先端の断面)がミルフィーユのように分かれている……層間剥離が疑われる
  • 表面が薄皮のようにめくれ、下から白い地肌が見える……塗膜ではなく板本体の剥離が疑われる
  • 釘穴の周りから欠けが広がっている……板の強度低下のサイン

色あせや苔だけであれば、多くの屋根に共通する劣化で、塗装で対応できる範囲かどうかの判断になります。スレート屋根の劣化診断と「塗装で直せる境界線」は松原市の屋根塗装|スレートの見極めや東大阪市の屋根塗装|劣化サイン・屋根材別の判断で詳しく書いています。

ステップ4|屋根の上には自分で上がらない

強度が落ちている可能性のある屋根に、装備なしで上がらないでください。踏み抜きと転落の危険があるだけでなく、上がったこと自体で屋根を傷めます。

地上から望遠で撮る、脚立で軒先だけ確認する、高所カメラで撮るといった方法があります。ご自身では、スマホで撮れる範囲の写真を送っていただければ十分です。

施工前、天窓まわりのスレート屋根と足場養生シート
施工前の天窓まわり。屋根材の表面がざらつき、細かい欠けが点在していました。

塗装・カバー工法・葺き替え、何がどう違う?

屋根の塗装、カバー工法、葺き替えの違いを表面保護、重ねる、屋根材を外すで比較した図解
屋根材の状態によって、選べる工法は変わります

「塗れない」と分かったあと、選択肢は大きく2つになります。カバー工法(重ね葺き)と葺き替えです。3つの工法を、金額ではなく「何を触るのか」という構造で並べてみます。

触る範囲がまったく違います

工法 触る範囲 成立する条件
屋根塗装 屋根材の表面の膜だけ 屋根材そのものが健全であること
カバー工法 既存屋根の上に防水層と新しい屋根材を足す 下地(野地板・垂木)が健全で、雨漏りが起きていないこと
葺き替え 既存屋根をすべて撤去し、下地から作り直す 下地の傷みや雨漏りがあっても対応できる

塗装は「膜を作り直す工事」、カバー工法は「防水層を足す工事」、葺き替えは「屋根を作り直す工事」。触る深さが一段ずつ違います。今回のように屋根材本体が傷んでいる場合、いちばん浅い層しか触れない塗装では届きません。

工期と暮らしへの影響

カバー工法が選ばれる理由として大きいのが、既存屋根を剥がさないことによる工期のメリットです。今回の工期は7日間。葺き替えの場合、既存屋根の撤去と廃材の搬出・処分という工程がまるごと加わります。

撤去がないということは、屋根が一時的に野地板だけの状態になる時間がないということでもあります。天候の急変に対する不安が小さく、住みながらの工事との相性が良いのは確かです。一方で、後述するとおりカバー工法にもはっきりした弱点があります。

重さの話

カバー工法は既存屋根を残すので、その分だけ屋根が重くなります。ここを軽視してはいけません。だからこそ、カバー工法で使う屋根材は金属が基本になります。今回使用したスーパーガルテクトのような金属屋根材は、スレートや瓦と比べてかなり軽い部類の材料です。「重い屋根の上に、さらに重い屋根を載せる」わけではない、というのが実際のところです。

とはいえ増えることは増えます。建物の耐震性がもともとぎりぎりの場合や、増改築を繰り返している建物では、あえて葺き替えを選んで屋根全体を軽くするほうが合理的なこともあります。このあたりは八尾市の屋根 葺き替え vs カバー工法 完全比較と平野区の屋根塗装・カバー工法・葺き替えで判断の軸を整理しています。

カバー工法ができない屋根もあります

「塗れないならカバー工法で」と単純にはいきません。次のような場合、カバー工法は選べない、あるいは選ぶべきではないと判断します。

  • 下地(野地板)の劣化が進んでいる……カバー工法は既存屋根と野地板にビスを効かせて新しい屋根材を留めます。土台が傷んでいれば、そもそも留まりません。
  • すでに雨漏りが起きている……どこから入ってどこを通っているかを突き止めないまま上から蓋をすると、原因が見えなくなります。葺き替えを選ぶ判断になることがあります。
  • すでに一度カバー工法をしている……重ねられるのは基本的に一度までです。
  • 屋根の形状が複雑すぎる……面が細かく分かれている、谷が多い、段差が多い屋根は、板金の納まりが増えるほど雨仕舞いのリスクが上がります。
  • 屋根の上に設備がある……太陽光パネルなどがある場合、脱着の可否と費用を含めて別途検討が必要です。

今回の柏原市本郷の現場は、屋根裏と軒先から確認した限り野地板が健全で、雨漏りの形跡もありませんでした。屋根の形はシンプルな切妻。ただし天窓(トップライト)がひとつあり、ここだけは板金の加工が必要になる——それが調査の結論でした。

既存の天窓(トップライト)の枠まわりの施工前の状態
既存の天窓。カバー工法では、この枠まわりの板金を一から作り直します。

柏原市本郷の現場|屋根カバー工法の全工程

ここからは実際の工程です。写真の順に見ていただくと、カバー工法が「上から新しい屋根を置くだけの工事」ではないことが伝わると思います。

工程1|既存の棟板金と、その下の木下地を撤去する

カバー工法は既存屋根を残しますが、棟板金だけは必ず外します。屋根のてっぺんに出っ張ったままでは、新しい屋根材を平らに重ねられないからです。

屋根カバー工法の最初の工程、既存の棟板金を取り外した様子
工事の最初は既存の棟板金の取り外しから。

板金を外すと、その下から木の下地(貫板)が出てきます。ここも撤去します。棟板金が飛ばされる事故の多くは、この木下地が腐って釘が効かなくなったことが引き金です。

棟板金の下にあった木製の下地を撤去した状態
棟板金の下の木下地も撤去します。ここを残して使い回すことはしません。

工程2|改質アスファルトルーフィングを敷き込む

ここが、この工事のいちばんの核心です。

屋根で実際に雨水を止めているのは、屋根材ではありません。屋根材はあくまで一次防水で、強い雨や風で吹き込んだ水は必ず屋根材の下に回ります。その水を最終的に受け止めて軒先へ流しているのが、下に敷かれた防水シート(ルーフィング)です。

既存屋根の上に改質アスファルトルーフィングを敷き込んだ状態
既存屋根の上に改質アスファルトルーフィングを敷き込みました。実際に雨水を止めているのはこの層です。

今回使ったのは改質アスファルトルーフィングの「カスタムライト」(日新工業)です。表層に合成繊維の不織布と特殊合成樹脂を使うことで高温時のべたつきを抑えた製品で、裏面の粘着層によってシート同士の水密性が上がります。

カバー工法の本当の価値は「新しい屋根材が載ること」よりも、ここで防水層が一枚まるごと新品になることにあります。

工程3|天窓まわりの防水を立ち上げる

平場(平らな屋根面)にシートを敷くのは、慣れた職人ならそう難しくありません。差が出るのは、こういう「穴が開いている場所」です。

天窓の枠に沿って防水シートを立ち上げて張った様子
天窓の枠に沿って防水シートを立ち上げます。平場よりも雨仕舞いがシビアな部分です。

天窓の枠に沿って、防水シートを縦方向に立ち上げて貼ります。屋根面と同じ高さで切ってしまうと、そこが水の入り口になります。雨漏りが屋根の真ん中で起きることはほとんどなく、ほぼすべてが「取り合い」——天窓、壁との際、換気フード、屋根と屋根が交わる谷で起きます。

工程4|ケラバに水切り板金を回す

ケラバとは、屋根の妻側(雨樋のない側面)の端部です。ここには水切り板金を先に取り付けます。屋根材より先、という順番が大事で、逆にすると水が板金の裏に回ります。

屋根の側面にケラバ板金(水切り)を取り付けている様子
屋根の側面にケラバの水切り板金を取り付けます。屋根材より先に付ける順番が重要です。

外から見ると、こう納まっています。

外側から見たケラバ板金。既存より深く巻き込んだ納まり
外から見たケラバ板金。既存より深く巻き込み、横殴りの雨が入りにくい納まりにしています。

既存の板金よりも深く外壁側へ巻き込ませています。ケラバは台風時に風の巻き上げをまともに受ける場所なので、ここを深く取っておくかどうかで10年後の差が出ます。

工程5|軒先から棟へ、屋根材を重ねていく

下地が整ったら、いよいよ本体です。屋根材は必ず軒先(下)から棟(上)へ向かって葺き上げていきます。上の板が下の板にかぶさる向きになるので、水は継ぎ目を越えずに表面を流れ落ちます。

軒先側から棟に向かって金属屋根材を重ね葺きしていく工程
屋根材は軒先から棟へ向かって重ねていきます。上の板が下の板に必ずかぶる向きです。

並行して天窓まわりの板金を納めます。天窓の下端に水切りを取り付け、防水シートの立ち上げと二重で雨水を受ける形にします。

天窓の下端に水切り板金を取り付けている様子
天窓の周囲に水切りを取り付けます。防水シートの立ち上げと二重で雨水を受けます。

ここで知っておいていただきたいのは、天窓まわりの板金に「そのまま使える既製品」は存在しないということです。天窓のサイズも屋根の勾配も家ごとに違うため、板金職人がその場で寸法を取り、平板を折り曲げて一枚ずつ加工します。

屋根形状に合わせて加工した天窓まわりの板金の納まり
天窓まわりの板金に既製品はありません。屋根の形状に合わせて板金職人が一枚ずつ加工します。

屋根材が棟の手前まで葺き上がりました。

金属屋根材を葺き上げ、棟の手前まで進んだ屋根面
屋根材を葺き上げたところ。残すは棟の納まりだけになりました。

工程6|棟板金を納めて、継ぎ目をシーリングする

最後は棟です。工程1で撤去した木下地を、新しいものに入れ替えて取り付けます。

棟板金を留めるための新しい木下地を取り付けた状態
棟には新しい木下地を入れ直します。ここが板金を固定する土台になります。

その上から棟板金を被せて固定します。

最後の工程として棟板金を取り付けている様子
最後に棟板金を取り付けます。屋根のてっぺんを塞ぐ、いちばん風を受ける部材です。

棟板金は必ずどこかで継ぎます。その継ぎ目はシーリングで埋めます。地味な工程ですが、ここを省いた屋根は数年後に継ぎ目から傷みます。

棟板金のジョイント部分にシーリングを充填した仕上げ
棟板金の継ぎ目はシーリングで埋めます。板金は必ずどこかで継ぐので、その処理で差が出ます。

使った材料|スーパーガルテクトと改質アスファルトルーフィング

既存屋根、防水ルーフィング、金属屋根材、棟板金とシーリングを重ねる屋根カバー工法の層構造図
既存屋根の上に、防水層と新しい屋根材を重ねます

屋根材はアイジー工業の「スーパーガルテクト」を使用しました。屋根材と断熱材を一体化した金属屋根材で、表面材にはガルバリウム鋼板をさらに改良した超高耐久ガルバ(SGL鋼板)が採用されています。選ぶ理由は大きく3つあります。

  1. 軽い……カバー工法では重量増が避けられないため、載せる側が軽いことが前提条件になります。
  2. 断熱材が一体になっている……金属屋根は熱を伝えやすいという弱点があります。裏に断熱材が付いていることで、夏場の小屋裏への熱の伝わりと、雨音の響きの両方が抑えられます。
  3. 錆に強い……金属屋根で最終的に寿命を決めるのは錆です。

この屋根材と改質アスファルトルーフィングの組み合わせが、カバー工法の標準的な構成です。金属屋根材のメンテナンスについてはガルバリウム外壁のメンテナンスもあわせてご覧ください。

カバー工法のデメリットも正直に書きます

ここまでカバー工法の話をしてきましたが、良いことばかりの工法ではありません。ご依頼を検討される前に、必ず知っておいていただきたい弱点が3つあります。

1|屋根は確実に重くなります

既存屋根を残すのですから当然です。金属屋根材は軽いとはいえ、防水シートと板金を含めれば重量は増えます。建物の耐震性能を優先するなら、葺き替えて屋根を軽くするほうが理にかなっています。「カバー工法のほうが安いから」という理由だけで選ぶべきではありません。

2|既存屋根の状態が、二度と見えなくなります

上から蓋をした瞬間、古い屋根材と古い防水シートは点検できなくなります。だからこそ工事前の調査がすべてです。野地板が本当に健全か、雨漏りの形跡がないか、小屋裏に染みがないか。ここを省いて上から被せる業者がいたら、それは工期短縮ではなく手抜きです。

3|将来の葺き替えは、その分だけ大がかりになります

いつか屋根を作り直す日が来たとき、撤去する屋根が2層になっています。廃材の量も処分費も増えます。将来のコストを少し先送りしている面がある——そのことも、お客様にははっきりお伝えしています。

費用はどう決まる?金額より先に知ってほしいこと

この事例は工事記録に金額の記載がないため、費用を掲載していません。相場らしき数字を後付けで書くことはしません。代わりに、屋根カバー工法の見積もりで金額が動く要素を挙げておきます。ご自身の見積書を読むときの手がかりにしてください。

  • 屋根の面積と勾配……勾配が急になるほど、足場や安全対策の手間が増えます。
  • 屋根の形状……切妻(2面)か寄棟(4面)か、谷や段差がいくつあるか。板金の加工箇所の数がそのまま手間になります。
  • 天窓や設備の有無……天窓があると加工の手間が加わり、太陽光パネルがあれば脱着費が別途かかります。
  • 棟の長さ……棟板金と木下地の数量です。
  • 足場……敷地に余裕があるか、隣家との距離が近いか、道路使用許可が要るか。外壁塗装と同時なら足場代は1回分で済みます。
  • 下地補修の有無……調査で野地板の傷みが見つかれば、部分的な補強が加わります。

逆に言えば、屋根を見ずに「◯◯万円です」と言い切れる工事ではありません。見積書は総額よりも「屋根材の製品名」「防水シートの製品名」「棟の木下地の交換が入っているか」「板金の加工がどこまで含まれるか」を見てください。ここが「一式」の見積書は、中身が読めません。

完成|ビフォーアフター

7日間で、屋根はこう変わりました。

施工後の金属屋根の屋根面。縦のラインが通った仕上がり
施工後の屋根面。縦のラインが通り、雨水が滞りなく軒先へ流れる形になりました。

色あせて白っぽかった屋根面が、深い色の金属屋根に変わりました。ただ、私たちが本当に変わったと思っているのはこの下に新品の防水層が一枚入ったことです。

施工後の天窓まわり。板金で納めたトップライト周囲
施工後の天窓まわり。加工した板金でぐるりと囲い、屋根面と段差なく納まりました。

いちばん不安だった天窓まわりも、板金でぐるりと囲って屋根面と段差なく納まりました。

保証は塗膜保証15年をお付けしています。

柏原市という土地のこと

柏原市は大阪府の東寄り、生駒山地の南端と大和川に挟まれた市です。今回の現場でも、足場の上に立つと山並みが見えました。ぶどうの産地としても知られる土地です。

本郷の現場周辺は、2階建ての戸建てが軒を接するように並ぶ住宅地でした。今回はカバー工法だったため既存屋根の撤去がなく、搬出する廃材が棟板金とその木下地だけで済んでいます。近隣への影響が小さいというのは、密集した住宅地では地味に大きなメリットです。

私たちは大阪市平野区に事務所を構えていて、柏原市は隣接する八尾市を挟んですぐの施工エリアです。何かあったときにすぐ伺える距離にあるというのは、10年、15年と付き合っていく屋根の工事では、けっこう大事なことだと思っています。

よくあるご質問

Q1. 建築時の図面が手元にありません。屋根材の種類を調べる方法はありますか?

まず新築時の建築会社や販売した不動産会社に問い合わせると、仕様書が残っていることがあります。中古で購入された場合は、売買時の重要事項説明書や付属書類に建物仕様の記載があることが多いです。それでも分からない場合は屋根材の実物から判断します。1枚あたりの寸法、働き幅、表面の模様、裏面の刻印、小口の断面の見え方で、ある程度まで絞り込めます。ただし製品名を断定できないケースもあり、その場合は「製品名が何であれ、この状態なら塗装は選べない」という現在の状態を基準にご提案します。

Q2. コロニアルNEOでも、まだ割れていなければ塗装できますか?

状態次第ですが、正直に申し上げるとおすすめしていません。今この瞬間に割れていなくても、高圧洗浄と屋根の上の歩行という塗装工事の必須工程そのものが負担になるからです。また塗装の耐用年数は一般に10年前後で、その間に層間剥離が進めば塗り替え代が結果的に無駄になります。ただし症状がまったく出ておらず、資金計画の都合で数年先送りしたいというご事情はあると思います。その場合は「無理に塗らずに点検の間隔を短くして様子を見る」という選択肢もご提案しています。塗るか工事するかの二択ではありません。

Q3. カバー工法で屋根が重くなると、地震に弱くなりませんか?

重くなるのは事実なので、そこは正直にお伝えします。ただ、載せる屋根材が金属で、スレートや瓦と比べてかなり軽い部類であることは前提条件として押さえてください。「重い屋根の上に重い屋根を載せる」工事ではありません。そのうえで、耐震性を最優先されるなら、既存屋根を撤去して屋根全体を軽くする葺き替えが正解になります。判断の分かれ目は、建物の構造、これまでの増改築の履歴、耐震診断を受けたことがあるかどうかです。ご不安があれば、その点も含めて現地でご相談ください。

Q4. 天窓(トップライト)がある屋根でもカバー工法はできますか?

できます。今回の柏原市本郷の現場がまさにそうでした。ただし天窓のまわりは屋根のなかでも雨漏りが起きやすい場所なので、手間は確実に増えます。防水シートを枠に沿って立ち上げ、その上から屋根の形状に合わせて加工した水切り板金を回します。既製品では納まらないため板金職人の加工が必要です。見積もりを比べるときは、天窓まわりの板金加工が項目として入っているかを必ず確認してください。天窓そのものの防水パッキンやガラスが劣化している場合は、屋根工事と同時に交換や補修を検討したほうが結果的に安く済みます。

Q5. カバー工法をしたあと、点検やメンテナンスは必要ですか?

必要です。金属屋根は塗り替えの周期が長い部類ですが、「一生なにもしなくていい屋根」ではありません。見るべきは3か所。棟板金のビスは熱による伸縮を繰り返すうちに少しずつ緩みます。ジョイントのシーリングは屋根材より先に痩せます。雨樋と軒先は、落ち葉や土が溜まると水がオーバーフローして外壁を汚します。目安として工事から5年ほどで一度見せていただき、以降は台風の後などに気になったタイミングでご連絡いただくのが現実的です。

「塗れない」と言われても、打つ手はあります

最初のご相談は、「屋根も一緒に塗ってもらおうと思っていたんですが」という一言から始まりました。

塗り替えのつもりで動き出したのに、調べれば調べるほど「塗ってはいけない」という話が出てきて、何をどう頼めばいいのか分からなくなる。お会いしたときも、そこがいちばんの不安でいらっしゃいました。

でも、図面で製品名が分かり、実物を見て、下地が健全だと確認できた時点で、やることは一本に決まりました。「塗れない」は行き止まりではなく、道が分岐しているだけです。塗装で膜を作り直す道が使えないなら、防水層ごと新しくする道がある。今回はそれがカバー工法でした。下地が傷んでいたら、葺き替えという別の道を選んでいたはずです。

柏原市・八尾市・大阪市平野区とその周辺で、「うちの屋根は塗れるのか、塗れないのか」が分からずに止まっている方。スマホで撮った屋根の写真と、もし手元にあれば建築時の図面の屋根の欄。この2つがあれば、かなりのところまでお答えできます。今すぐ工事すべきか、まだ待てるのかも含めて、正直にお伝えします。

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