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大阪市平野区加美東|築10年の外壁塗装は早すぎる?サイディングと屋根を塗り替えた全工程

BEFORE 施工前
塗装前の外観。築10年の窯業系サイディングと化粧スレート屋根
AFTER 施工後
塗装後の外観。サイディングの色に深みが戻った完工写真


塗装前の外観。築10年の窯業系サイディングと化粧スレート屋根
塗装前の外観。築10年の窯業系サイディングと化粧スレート屋根
窓下のサイディングに縦方向に伸びた雨染み汚れ
窓まわりから下に伸びた雨染み。汚れの筋が定着していました
紫外線で色あせした高意匠サイディングの表面
高意匠サイディングの表層。紫外線で色の深みが抜けていました
日当たり面と日陰で差が出た雨樋の色あせ
雨樋は日が当たる面だけ白っぽく退色していました
ドローンで撮影した化粧スレート屋根の全景
屋根はドローンで撮影して点検しました
近接撮影した化粧スレート屋根の色あせ
近づくと、割れはないものの色あせが進んでいました
打ち替え前のサイディング目地に入っていた既存シーリング
打ち替え前の既存目地。決定的に切れてはいませんでした
既存シーリングを撤去して溝が空いたサイディング目地
古いシーリングを撤去。新しい材料が十分な厚みで入る状態にします
新しいシーリング材を充填したサイディング目地
新しいシーリング材を充填したところ
ヘラで押さえて通りを出したシーリングの仕上がり
ヘラで押さえて通りを整えた仕上がり
高圧洗浄機でレンガ調サイディングの表面を洗い流す様子
外壁の汚れと、脆くなった表層を洗い落とします
玄関ポーチの軒天を高圧洗浄している様子
軒天まわりも洗浄。塗料の密着はここで決まります
駐輪スペースをビニールで養生した状態
自転車置き場もビニールで包みます
玄関ドアまわりをマスキングテープとビニールで養生した状態
玄関まわりの養生。塗らない部分を守る作業です
軒天をローラーで白系に塗装している様子
透湿性のある塗料で白系に塗ります
軒天の入隅をローラーで塗り込んでいる様子
入隅も塗り残しがないように
高意匠サイディングにローラーで下塗り材を塗布している様子
【1回目】下塗り。上に重ねる塗料の密着をつくります
足場の上から外壁の下塗りを進めている様子
面ごとに区切って、順番に進めます
外壁の2回目、中塗りを刷毛とローラーで塗り広げる様子
【2回目】中塗り。濡れ色になっている部分が塗った所です
玄関まわりの外壁を吹き付けで仕上げている様子
【3回目】細かい部分は吹き付けで仕上げます
破風板をローラーで白系に塗装している様子
破風板。白系で塗り分けました
色あせしていた雨樋をローラーで塗装している様子
雨樋も塗装。色あせが一番わかりやすい部材です
外壁沿いの配管を塗装している様子
配管まわりも手を止めずに塗ります
木製の扉を木部用塗料で塗装している様子
木製の扉は木部専用の塗料で
化粧スレート屋根を高圧洗浄している様子
屋根も洗浄から。ここを省くと持ちません
化粧スレート屋根をローラーで塗り進めている様子
塗った面と塗っていない面の差がはっきり出ます
塗り上がった化粧スレート屋根の面
塗り上がった屋根面
塗装後に打つ後打ちシーリングの施工中
クリヤー塗装した面は、塗装後にシーリングを打ちます
後打ちシーリングを仕上げたレンガ調サイディングの出隅
後打ちの仕上がり。外壁の色に合わせた材料を使います
塗装後の外観。サイディングの色に深みが戻った完工写真
塗装後の外観。サイディングの色に深みが戻った完工写真

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大阪市平野区加美東で、こんなお電話をいただきました。

「築10年で塗り替えと聞くんですが、うちはまだきれいに見えるんです」

ご本人は建築関係のお仕事をされていて、「10年」という数字は当然のようにご存じでした。近所で足場が架かっているのを見かけて、ふと気になって電話をくださった。きっかけはそれだけです。雨漏りしているわけでも、壁が割れているわけでもありません。まだきれいに見える家のご相談でした。

この記事は、その築10年の家を実際に調査し、塗り替えを判断し、3週間かけて仕上げるまでの記録です。あわせて、「築10年が塗り替えの目安」という広く言われている話が、どこまで本当で、どこから先は当てにならないのかを、現場で見たものをもとに正直に整理します。

先に結論を書いておきます。築10年は「塗るべき年」ではなく「一度きちんと見るべき年」です。見た結果、まだ塗らなくていい家もあります。逆に築8年でも手を打ったほうがいい家もあります。年数は入口にすぎず、決めるのは状態のほうです。このお宅は、見たうえで「今やる価値がある」と判断した家でした。その判断の中身を、30枚の写真とともに公開します。

そもそも「築10年で外壁塗装」は、どこから来た数字なのか

築10年で外壁塗装と言われる理由をシーリングの寿命、新築時塗料の耐用年数、住宅保証の区切りで示した図解
10年は目安。劣化の出方を見て判断します

外壁塗装の話になると、ほぼ必ず「10年」という数字が出てきます。業者が言うから、というだけの話ではありません。この数字にはきちんとした出どころが三つあります。まずそこを押さえたうえで、その限界を見ていきます。

根拠1|シーリング(コーキング)の寿命が先に来るから

窯業系サイディングの家は、板と板のあいだに必ず目地があり、そこにシーリング材が充填されています。このシーリング材は、外壁材そのものより先に劣化します。紫外線と、季節ごとの伸び縮みを毎日受け続けるからです。硬くなり、痩せ、やがて切れます。

一般的なサイディング住宅で、このシーリングが「まだ大丈夫」と言えなくなり始めるのが、おおよそ7年から10年あたりです。つまり「築10年」という数字は、外壁の塗膜ではなく、目地のシーリングの寿命から逆算された数字という側面が強い。ここが意外と知られていません。

根拠2|新築時に使われる塗料の耐用年数が、だいたい10年前後だから

新築時の外壁は、必ずしも高いグレードの塗料で仕上げられているわけではありません。分譲住宅では特に、コストと工期のバランスで標準的な仕様が選ばれます。その標準的な塗膜が、屋外で色や防水性を保っていられる期間が、おおむね10年前後。だから「10年」なのです。

逆に言えば、新築時にどんな塗料・どんな外壁材が使われたかで、この数字は簡単に前後します。光触媒や無機系の高耐候サイディングであれば、10年ではまだ表層が生きていることもあります。同じ「築10年」でも中身は同じではありません。

根拠3|住宅の保証が10年で一区切りになるから

新築住宅には、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防ぐ部分について、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任があります。住宅設備や外装の各種メーカー保証も、10年を一区切りにしているものが多い。「保証が切れる年=自分で管理を始める年」という意味で、10年は確かに節目です。

ただしこれは「10年で壊れる」という意味ではありません。「10年を過ぎたら、不具合が出たときに自分の費用で直すことになる」という話です。この二つはまったく違います。

この三つの根拠には、共通した限界がある

三つとも、「平均的な家」を前提にした数字だという点です。実際の家は平均ではありません。同じ築10年でも、南西面が一日中日射にさらされる家と、隣家に囲まれてほとんど直射の当たらない家では、塗膜の減り方がまるで違います。海沿いか内陸か、幹線道路沿いか路地の奥か、二階建てか三階建てかでも変わります。

加美東のように、工場や倉庫が点在するエリアの近くで、幹線道路も通っている場所では、粉じんや排気が壁に付着しやすい傾向があります。付着した汚れがそのまま残ると、湿気を含みやすくなり、表層の劣化を早めることがあります。もっとも、これは立地から想定される傾向であって、実際にどうなっているかはその家の壁を見なければわかりません平野区 加美・加美北・加美南・加美鞍作エリアの傾向もあわせてご覧ください。

だから私たちは、年数だけでお返事をしないようにしています。「築10年ですね、そろそろですよ」と電話口で言うのは簡単ですが、それは診断ではなく営業トークです。

築10年でも塗らなくていい家、築8年でも塗ったほうがいい家

築10年でも待てる家と築8年でも塗る家を、シーリング、色あせ、雨染み、苔、色抜けで比較した図解
同じ築年数でも、立地と日当たりで劣化スピードは変わります

年数ではなく状態で決まる、というのを具体的にするために、実際にお伝えしている判断の分かれ目を書きます。

築10年でも「まだ待てます」とお伝えする家

  • 目地のシーリングが柔らかさを保っている。指で押して弾力があり、痩せも切れもない。高耐久のシーリング材が使われている家では珍しくありません。
  • 外壁の表層が生きている。手で触れて白い粉がつかず、水をかけたときに玉になって弾く。高耐候のサイディングや、新築時に良い塗料が使われた家に見られます。
  • 建物が日射や雨を直接受けにくい配置。周囲を建物に囲まれ、軒の出も十分にあり、壁が濡れて乾く回数がそもそも少ない。
  • 屋根に割れ・ズレ・浮きがない。屋根は外壁より過酷な条件なので、屋根が無事なら外壁も余力があることが多い。

こういう家には「あと2〜3年は見送っても大きな損はしません。ただし来年もう一度見せてください」とお伝えします。工事を取らずに帰ることになりますが、そのほうが結果的に信用していただけます。

築8年でも「今のうちに」とお伝えする家

  • シーリングがすでに切れている、または外壁から剥離している。ここから水が入ると、サイディングの裏側と下地が濡れます。塗装より先に水を止める話になります。
  • サイディングの端部(小口)が水を吸って膨れている。窯業系サイディングは水に弱く、吸ってしまうと塗装では戻りません。
  • 南西面だけ極端に色が抜けている。全体ではなく一面だけ進む劣化は、そこから穴が開きます。
  • 屋根の塗膜が失われ、素地がむき出しになっている。スレートは素地が露出すると水を含み、反りや割れにつながります。

劣化がどんな形で表面に出るかについては、平野区で外壁の劣化サイン7選で写真つきに整理しています。本記事ではサインの見分け方には踏み込まず、「年数という数字をどう扱うか」に絞ります。

この家の現地調査では、実際に何を見たのか

では加美東のこのお宅は、どちらだったのか。調査で見たものを順に出します。

窓まわりに雨染みの筋が定着していた

窓下のサイディングに縦方向に伸びた雨染み汚れ
窓まわりから下に伸びた雨染み。汚れの筋が定着していました

雨染みそのものは汚れであって、すぐ壊れるという話ではありません。ただ、洗っても落ちない筋になっているということは、表面が水と汚れを抱え込む状態になっているということです。新品の塗膜であれば、汚れは雨で流れ落ちます。流れずに残るようになったなら、表層の性能が落ちてきた合図と読みます。

高意匠サイディングの色の深みが抜けていた

紫外線で色あせした高意匠サイディングの表面
高意匠サイディングの表層。紫外線で色の深みが抜けていました

このお宅の外壁は、レンガ調と石積み調を組み合わせた高意匠サイディングでした。もともと色に濃淡があり、立体感で見せるタイプの外壁材です。その濃淡が、紫外線で全体的に浅くなっていました。遠目には「まだきれい」なのに、近づくと平板に見える。これが「まだきれいに見えるんです」の正体でした。

雨樋は日の当たる面だけ色が抜けていた

日当たり面と日陰で差が出た雨樋の色あせ
雨樋は日が当たる面だけ白っぽく退色していました

付帯部は、外壁より先に紫外線の影響が出ます。雨樋のように丸い部材は、同じ一本のなかで日向側と日陰側の差がはっきり出るので、「この家がどれだけ日射を受けてきたか」の物差しとして便利です。ここに差が出ているなら、外壁の南西面も同じだけ受けていると考えます。

屋根はドローンで見た

ドローンで撮影した化粧スレート屋根の全景
屋根はドローンで撮影して点検しました
近接撮影した化粧スレート屋根の色あせ
近づくと、割れはないものの色あせが進んでいました

屋根は化粧スレートでした。ドローンで全景を撮り、拡大して確認したところ、割れやズレはなし。ただし色あせは外壁より進んでいて、防水性はかなり落ちている状態でした。屋根は真上から日射と雨を受けるので、外壁より2〜3年ぶん早く進むのが普通です。「外壁はまだ、屋根はもう」という組み合わせは築10年前後によくあります。

目地のシーリングは、まだ切れてはいなかった

打ち替え前のサイディング目地に入っていた既存シーリング
打ち替え前の既存目地。決定的に切れてはいませんでした

正直に書きます。この家のシーリングは、まだ決定的には壊れていませんでした。大きく切れて向こう側が見える、というような状態ではない。ただ、押したときの弾力が明らかに落ちていて、あと数年で切れるだろうという感触でした。

ここが判断の分かれ目です。「まだ切れていないから来年でいい」とも言えますし、「どうせ足場を架けるなら今のうちに」とも言えます。私たちがお伝えしたのは後者でした。理由は次の章に書きます。

早めに塗ると、何が得なのか

外壁塗装を早めに行う利点として下地補修が少ない、工法の選択肢が広がる、クリヤー塗装を残せる可能性を示した図解
傷みが浅いうちなら、直す範囲も選択肢も残ります

下地補修の量が少なくて済む

外壁塗装の見積書は、大きく分けると「足場」「洗浄」「下地補修」「塗料と手間」でできています。このうち家ごとの差が一番大きいのが下地補修です。

シーリングが切れてから何年も経った家では、目地の奥まで水が回り、サイディングの裏側や胴縁が湿気を含んでいることがあります。そうなると、シーリングを打ち替えるだけでは足りず、板の交換や部分張り替えが必要になります。小口が水を吸って膨らんだサイディングも、塗装では元に戻りません。切って、貼り替えるしかない。

逆に、まだ壊れていない段階で手を入れれば、作業は「古いシーリングを撤去して新しく打ち替える」だけで完結します。これがこのお宅の状態でした。板を一枚も交換せずに済んでいます。

ここで「だから何万円得します」という試算はしません。下地補修の量は家ごとに違い、開けてみないとわからない部分もあるので、金額で断言するのは誠実ではないからです。言えるのは「補修の項目が増えないほど、見積の総額は素直になる」という構造だけです。シーリングの打ち替えと増し打ちの違いもご参照ください。

選べる工法の幅が広がる

もう一つ、こちらのほうが大きいかもしれません。状態が良いうちにしか選べない工法があるということです。

このお宅の外壁は、レンガ調・石積み調の高意匠サイディングでした。こういう外壁を単色で塗りつぶしてしまうと、せっかくの立体感と色の濃淡が消えて、のっぺりした壁になります。それが嫌で塗り替えを先延ばしにする方も少なくありません。

そこで採れるのがクリヤー塗装です。色のついていない透明な塗料を上から重ね、既存の柄をそのまま残したまま保護膜だけを作り直す方法です。ただしこれには条件があります。

  • 下地の色あせが軽いこと。すでに色が抜けきっていると、抜けた状態のまま固定されてしまいます。
  • チョーキング(触ると白い粉がつく状態)が進んでいないこと。粉の上に透明な膜を作っても密着しません。
  • ひび割れや欠けの補修跡がないこと。透明なので、補修した跡がそのまま見えてしまいます。

つまりクリヤー塗装は「早めに動いた家だけが選べる工法」です。10年を大きく過ぎて色が抜けきってからでは、もう選択肢に入りません。このお宅は、まさにギリギリ間に合ったタイミングでした。

逆に、早すぎることのデメリットは何か

ここは煽らずに書きます。早ければ早いほど良い、という話ではまったくありません。

生涯の塗り替え回数が増える可能性がある

仮に家に50年住むとして、10年ごとに塗り替えれば4回、15年ごとなら3回です。1回ぶんの差は決して小さくありません。「早めに塗る」を毎回繰り返すと、生涯コストはむしろ上がります。

これを避ける考え方はシンプルで、「早めに塗る回」と「限界まで引っ張る回」を混ぜないことです。1回目に良い塗料で早めに手を入れ、次の周期を長く取る。あるいは1回目は標準的な仕様にして、2回目に備える。どちらでも構いませんが、毎回「そろそろだから」で塗るのが一番もったいない。

まだ性能が残っている塗膜を塗りつぶす無駄

これは金額の話というより、率直に言ってもったいない話です。あと3年は防水性を保てたはずの塗膜を、その3年を使い切らずに上塗りしてしまう。塗膜は消耗品なので、使い切らずに捨てれば、その分は文字どおり無駄になります。

だからこそ、私たちは「築10年になったから塗りましょう」とは言いません。見て、まだ余力があるなら、余力を使い切ってから塗るべきです。加美東のこのお宅で塗ることをおすすめしたのは、雨染みが定着し、色の濃淡が抜けかけ、屋根の防水性が落ち、シーリングの弾力も落ちていた——四つが同時に「そろそろ」を指していたからで、10年だったからではありません。

築10年の家ならではの判断ポイント

初回塗装なので、旧塗膜の相性問題がほとんどない

これは築10年の大きな利点です。塗り替えが2回目・3回目の家では、前回どんな塗料が使われたかがわからないという問題がつきまといます。前回が弾性塗料だった、密着の弱い塗料だった、そもそも下塗りが省略されていた——こうした事情は見た目ではわからず、上から塗った塗料が膨れたり剥がれたりする原因になります。

初回塗装なら、下にあるのはメーカー工場で焼き付けられた新築時の塗膜です。仕様が読めるので、下塗り材の選定で迷いません。工事のリスクが一段低い状態で始められます。

外壁材よりシーリングが先に寿命を迎える

もう一つ、サイディングの家に特有の順番です。板そのものは30年以上もつことも珍しくないのに、目地のシーリングだけが7〜10年で寿命を迎えます。つまり築10年の家では、多くの場合「外壁はまだ元気だが、目地はもう替えどき」という食い違いが起きています。

この食い違いにどう対応するかが、築10年の判断の本体です。選択肢は三つ。

  1. シーリングだけ先に打ち替える。ただし足場代が別に発生し、数年後の塗装でもう一度足場を架けることになります。
  2. 塗装まで待つ。その間にシーリングが切れて水が入るリスクを負います。
  3. 足場を一度で使い切る。シーリング打ち替え・外壁・屋根・付帯部をまとめてやる。

このお宅は3を選ばれました。足場は工事費のなかで決して安くない項目なので、一度架けた足場でどれだけの作業を終わらせるかは、実は塗料のグレード選びよりも総額に効いてきます。

工事の記録|3週間の全工程

築10年前後の外壁塗装でシーリング打ち替え、高圧洗浄、養生、軒天塗装、外壁3回塗り、付帯部、屋根、後打ちシーリング、完工までの工程図
初回塗装は、下地が傷み切る前に整えやすいタイミングです

ここからは実際の工程です。着工から完工まで3週間。順番どおりに追います。

1|シーリング打ち替え(先打ち)

既存シーリングを撤去して溝が空いたサイディング目地
古いシーリングを撤去。新しい材料が十分な厚みで入る状態にします

まず古いシーリングをカッターで切って引き抜きます。増し打ち(古いものの上に重ねる)で済ませる業者もいますが、厚みが確保できず、下の古い材料と一緒に切れるため、打ち替えを基本にしています。

新しいシーリング材を充填したサイディング目地
新しいシーリング材を充填したところ
ヘラで押さえて通りを出したシーリングの仕上がり
ヘラで押さえて通りを整えた仕上がり

両サイドから充填し、ヘラで奥まで押し込んでから表面をならします。押し込みが甘いと中に空気が残り、そこから切れます。仕上がりの直線が通っているかどうかは、この押さえの丁寧さがそのまま出ます。

2|高圧洗浄

高圧洗浄機でレンガ調サイディングの表面を洗い流す様子
外壁の汚れと、脆くなった表層を洗い落とします
玄関ポーチの軒天を高圧洗浄している様子
軒天まわりも洗浄。塗料の密着はここで決まります

洗浄は「きれいにする作業」ではなく「密着をつくる作業」です。汚れと脆くなった表層を残したまま塗れば、塗膜はその弱い層ごと剥がれます。特にクリヤー塗装は透明なので、洗い残しがそのまま透けて見えます。ここは急げません。

3|養生

駐輪スペースをビニールで養生した状態
自転車置き場もビニールで包みます
玄関ドアまわりをマスキングテープとビニールで養生した状態
玄関まわりの養生。塗らない部分を守る作業です

窓、玄関、床、自転車、エアコンの室外機。塗らない場所をすべて覆います。戸建て一軒でおおむね3〜5日は養生された状態が続くので、この期間に開けられない窓が出ます。着工前に生活動線をご確認いただくのはこのためです。

4|軒天塗装

軒天をローラーで白系に塗装している様子
透湿性のある塗料で白系に塗ります
軒天の入隅をローラーで塗り込んでいる様子
入隅も塗り残しがないように

軒天は外壁と塗料を分けます。軒天には湿気を外へ逃がす役割があり、密閉性の高い塗料で塞ぐと内部に湿気がこもるためです。色を白系にしているのは、玄関やガレージの照明をつけたときに光が反射して明るくなるから。このお宅で「白」を使ったのは、軒天・破風板・雨樋といった付帯部です。

5|外壁塗装(3回塗り)

高意匠サイディングにローラーで下塗り材を塗布している様子
【1回目】下塗り。上に重ねる塗料の密着をつくります
足場の上から外壁の下塗りを進めている様子
面ごとに区切って、順番に進めます
外壁の2回目、中塗りを刷毛とローラーで塗り広げる様子
【2回目】中塗り。濡れ色になっている部分が塗った所です
玄関まわりの外壁を吹き付けで仕上げている様子
【3回目】細かい部分は吹き付けで仕上げます

外壁は3回塗りです。1回目の下塗りは接着剤の役割で、これがないと上の塗料が付きません。2回目・3回目で膜厚をつくります。クリヤー塗装の面は色が変わらないため、塗った所と塗っていない所の見分けが「濡れ色」だけという、なかなか神経を使う作業になります。写真の中塗りで、濡れて濃く見えている部分が塗り終えた範囲です。

6|付帯部塗装

破風板をローラーで白系に塗装している様子
破風板。白系で塗り分けました
色あせしていた雨樋をローラーで塗装している様子
雨樋も塗装。色あせが一番わかりやすい部材です
外壁沿いの配管を塗装している様子
配管まわりも手を止めずに塗ります
木製の扉を木部用塗料で塗装している様子
木製の扉は木部専用の塗料で

破風板、雨樋、配管、木製の扉。付帯部は面積が小さいわりに手間がかかる部分ですが、ここが色あせたままだと、外壁だけきれいでも古く見えます。木部は吸い込みが違うので、木部専用の塗料を使います。付帯部を外壁と一緒に塗るべき理由もあわせてどうぞ。

7|屋根塗装

化粧スレート屋根を高圧洗浄している様子
屋根も洗浄から。ここを省くと持ちません
化粧スレート屋根をローラーで塗り進めている様子
塗った面と塗っていない面の差がはっきり出ます
塗り上がった化粧スレート屋根の面
塗り上がった屋根面

屋根も洗浄から始めます。写真の中塗りを見ていただくと、塗った部分と未塗装部分の差が一目でわかります。左下の色が抜けた部分が、10年ぶんの紫外線を受けた素の状態です。屋根は足場がなければ触れないので、外壁工事のタイミングでしか手を入れられません。屋根塗装・カバー工法・葺き替えの選び方も参考にしてください。

8|後打ちシーリング

塗装後に打つ後打ちシーリングの施工中
クリヤー塗装した面は、塗装後にシーリングを打ちます
後打ちシーリングを仕上げたレンガ調サイディングの出隅
後打ちの仕上がり。外壁の色に合わせた材料を使います

シーリングには「先打ち」と「後打ち」があります。塗装の前に打つのが先打ち、後に打つのが後打ちです。通常は先打ちにして上から塗料をかぶせますが、クリヤー塗装の面は透明なので、上から塗ってもシーリングの色が隠れません。そこで塗装を終えてから、外壁の色に合わせた色付きの材料を後打ちします。この使い分けは、クリヤー塗装を選んだ家に特有の段取りです。

9|完工

3週間で足場が外れました。壁の色そのものは、塗る前と塗った後で「別の色」になったわけではありません。それがクリヤー塗装です。変わったのは色の深みと、艶と、これから10年ぶんの防水性能です。

工事データ

施工エリア 大阪府大阪市平野区加美東
築年数 10年
建物 戸建て住宅/高意匠サイディング+化粧スレート屋根
施工内容 外壁塗装(クリヤー塗装)/屋根塗装/シーリング打ち替え/付帯部塗装
使用材料 KFワールドセラグランツ/KFシェアルドF(フッ素)/ファインパーフェクトベスト
工期 3週間
保証年数 外壁10年/屋根5年
参考価格 140万円前後(税込)

※「参考価格」は、同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の大きさ・形状・下地の状態・足場の架けやすさによって変わります。正確な金額は現地調査後のお見積りでご確認ください。

よくあるご質問

Q1.築10年で、まだ何ともないように見えます。点検だけお願いすることはできますか?

もちろんできます。むしろ築10年でいちばん多いご依頼がそれです。見たうえで「あと2〜3年は待てます」とお伝えして終わることもよくあります。工事のご契約を前提にした点検ではありませんので、お気軽にどうぞ。写真をお送りいただくだけの簡易診断もお受けしています。

Q2.築10年で塗るのと、築15年まで待つのとでは、工事の中身はどう変わりますか?

変わるのは主に「下地補修の量」と「選べる工法」です。築10年なら目地の打ち替えだけで済むことが多く、外壁材そのものに手を入れる必要はほとんどありません。築15年になると、サイディングの小口の膨れや反り、ひび割れの補修が加わることがあります。また、既存の柄を残すクリヤー塗装は色あせが進むと選べなくなるため、待つほど「単色に塗りつぶす」以外の道が減っていきます。どちらが良いかは家の状態次第で、待つこと自体が悪いわけではありません。

Q3.サイディングのクリヤー塗装は、築10年なら必ずできますか?

いいえ、年数では決まりません。条件は三つあります。表面を触って白い粉がつかないこと、色あせが軽いこと、ひび割れや欠けの補修跡がないことです。透明な塗料なので、下地の状態がそのまま残ります。色あせた状態でクリヤーをかけると「色あせた状態のまま艶が出る」だけになってしまいます。築8年でも南西面が焼けていればできませんし、築13年でも条件が揃えばできます。判断は必ず現地で行います。

Q4.シーリングだけ先に打ち替えて、外壁塗装は数年後にする、というのはできますか?

技術的には可能です。ただし足場を2回架けることになる点はご承知おきください。2階建て以上では足場が費用の大きな部分を占めるため、数年のうちに2回架けるのは効率が良くありません。「今すぐ切れそうな目地だけ部分的に手を入れて、全体は数年後にまとめる」という進め方をご提案することもあります。どこまで急ぐべきかは目地の状態次第なので、まず見せてください。

Q5.新築時のハウスメーカー保証と、塗装工事の保証はどういう関係になりますか?

別のものです。新築時の保証は建物の構造や雨水の浸入に関するもので、引き渡しから10年を一区切りとしている場合が多くあります。一方、塗装工事の保証は、その工事で施工した塗膜に対するものです。このお宅では外壁10年・屋根5年でお引き受けしました。塗装をしたからといって新築時の保証が延びるわけではありませんし、逆に他社で塗装したことで新築時の保証条件に影響が出る場合もあるため、まだ保証期間内であれば一度メーカーにご確認いただくのが確実です。

「まだきれいに見える」は、正しい観察でした

最初にいただいた言葉に戻ります。

「築10年で塗り替えと聞くんですが、うちはまだきれいに見えるんです」

この見立ては、間違っていませんでした。実際、壁は割れていませんでしたし、目地も切れてはいませんでした。「まだきれい」は正しい観察です。私たちが申し上げたのは、「まだきれいだからこそ、今なら柄を残したまま塗れます」ということだけでした。

もしこのお宅の色あせがあと3年ぶん進んでいたら、選べたのは単色で塗りつぶす方法だけだったはずです。逆に、もしシーリングにまだ十分な弾力が残っていて、屋根の色あせも軽かったなら、私たちは「来年もう一度見せてください」と言って帰っていました。

築10年は、塗る年ではありません。見る年です。見た結果として、塗る家と待てる家に分かれる。それだけの話です。数字を理由に急かされたら、一度立ち止まってください。

みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、加美・長吉・喜連から八尾市・東大阪市・松原市まで施工しています。築10年を迎えたお宅で「うちはどっちだろう」と思われたら、写真を1枚お送りいただくだけでも構いません。塗るべきか、まだ待てるかを、正直にお伝えします。

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