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施工事例紹介

東大阪市豊浦|築20年サイディングを濃グレー×薄ベージュのツートンに|色分けの決め方と全工程

BEFORE 施工前
東大阪市豊浦 築20年サイディング外壁の施工前全景 単色で色あせた外観
AFTER 施工後
東大阪市豊浦 濃グレーと薄ベージュのツートンに塗り替えた施工後全景


東大阪市豊浦 築20年サイディング外壁の施工前全景 単色で色あせた外観
東大阪市豊浦 築20年サイディング外壁の施工前全景 単色で色あせた外観
北面のサイディング外壁に広がった緑色の苔
北面に広がった緑色の苔。日照と乾燥時間が短い面に集中する
外壁表面の苔を近接撮影 塗膜の防水性が落ちたサイン
外壁表面の苔を近接撮影。塗膜の防水性が落ちているサイン
劣化してやせ細った既存シーリング材のひび割れ
やせ細り、ひび割れが入った既存シーリング
サイディング目地から剥離した古いシーリング
目地の片側から剥離しはじめた古いシーリング
ドローンで撮影したスレート屋根の状態 色あせと汚れ
ドローン撮影によるスレート屋根の現況。全体に色褪せと汚れ
東大阪市豊浦のツートン外壁で色を決める5ステップ。変えない部分、ベース色、アクセント色、面積効果、塗り板確認
ツートン外壁は、変えない部分から順番に絞ると失敗しにくくなります
ツートン外壁になるまでの工程。シーリング、高圧洗浄、下塗り、ベース色、アクセント色、完了検査
ツートン塗装は、色分けラインと塗り残しの確認が仕上がりを左右します
既存シーリングをカッターで撤去する打ち替え工程
既存シーリングをカッターで切り込み、撤去する
目地にシーリング用プライマーを塗布する様子
目地の内側にシーリング用プライマーを塗布
新しい変成シリコーン系シーリング材を目地に充填
新しいシーリング材を目地に充填
ヘラで押さえて仕上げたシーリング打ち替え完了の目地
ヘラで押さえて仕上げた打ち替え完了の目地
高圧洗浄で外壁の苔と旧塗膜の粉化を洗い流す作業
高圧洗浄で外壁の苔とチョーキングを洗い流す
スレート屋根を高圧洗浄している様子
スレート屋根の高圧洗浄
外壁下塗りに使用したパーフェクトシーラーの缶
外壁の下塗りに使用したパーフェクトシーラー
サイディング外壁にシーラーを下塗りしている様子
サイディング外壁にシーラーを下塗り
外壁上塗りに使用したスーパーラジカルシリコンGHの缶
外壁上塗りに使用したスーパーラジカルシリコンGH
濃グレーで外壁の中塗りを行っている様子
濃グレーで外壁下部の中塗りを行う
薄ベージュの上塗りでツートンの上部を仕上げる作業
薄ベージュの上塗りで上部を仕上げる
スレート屋根にタスペーサーを挿入し縁切りを行う工程
スレート屋根にタスペーサーを挿入し縁切りを行う
ファインパーフェクトベストで屋根を塗装している様子
ファインパーフェクトベストで屋根を塗装
塗装が完了し色つやが戻ったスレート屋根
塗装が完了し色つやが戻ったスレート屋根
破風板を刷毛で丁寧に塗装する付帯部工程
破風板を刷毛で丁寧に塗装する
東大阪市豊浦で外壁の色を決めるときの方角と見える面の考え方
日当たりと道路から見える面を合わせて、色の見え方を判断します
東大阪市豊浦 濃グレーと薄ベージュのツートンに塗り替えた施工後全景
東大阪市豊浦 濃グレーと薄ベージュのツートンに塗り替えた施工後全景

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「一色で塗り替えるのは、なんだかもったいない気がして」

東大阪市豊浦のお客様から最初にいただいたご相談は、この一言でした。築20年の窯業系サイディング。北側には苔が広がり、目地のシーリングはやせて切れかけていました。塗り替えの時期であることは、ご本人もよくわかっておられました。悩んでおられたのは、傷みではなくのほうだったのです。

それから18日後。足場のシートが外れた朝、お客様はご自宅の正面に立ち、少し離れて全体を眺めてから、こう言われました。

「同じ家なのに、輪郭がはっきりした」

この記事は、その18日間の記録です。下部を濃グレー、上部を薄ベージュ。幕板のラインで水平に切り替えたツートンです。屋根塗装とシーリングの全打ち替えを含め、同等の内容を現在の価格でお見積りすると154万円前後になります。

どこで色を切り替えるか。濃い色を上と下のどちらに置くか。色見本と実際の壁がなぜ違って見えるのか。配色の決め方と全工程を、22枚の写真で公開します。

工事データ

施工エリア 大阪府東大阪市豊浦
築年数 20年
建物 戸建て住宅/窯業系サイディング+スレート屋根
施工内容 外壁塗装(濃グレー×薄ベージュのツートン)/屋根塗装/シーリング打ち替え
使用塗料 外壁:スーパーラジカルシリコンGH
屋根:ファインパーフェクトベスト(日本ペイント)
工期 18日
保証 外壁・屋根 5年
参考価格 154万円前後(税込)
同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・下地の状態により変動します。

「色を決められない」という相談から始まりました

外壁塗装のご相談で、いちばん多く聞くお悩みは費用でも業者選びでもなく、です。この東大阪市豊浦のお宅も同じでした。

築20年、一度も塗り替えていない窯業系サイディング。新築時はベージュ系の単色でしたが、20年分の紫外線で全体が白っぽく褪せ、北側には緑色の苔が広がっていました。ご相談をいただいた時点で、お客様はすでにご自分で何社かの施工事例を見比べておられました。

そのうえでの言葉が、冒頭の「一色で塗り替えるのは、なんだかもったいない気がして」でした。せっかく足場を組んで100万円以上をかけるのだから、元と同じ色に戻すだけでは物足りない。かといって奇抜にはしたくない。周りは落ち着いた住宅街ですから、悪目立ちするのは避けたい。

そこで出てきたのがツートンです。ただし不安もはっきりしておられました。

  • 「塗り分けって、失敗している家をたまに見かける」
  • 「濃い色を選んだら、想像より暗くなったという話を聞いた」
  • 「10年以上住む家で、飽きたら塗り直せない」

どれも当然のご心配です。そして、どれも事前に理屈で潰せる不安でもあります。私たちみのりペイントは、色決めを「好みの問題」で終わらせずに、切り替え位置・明度差・面積効果という三つの物差しでご説明することにしました。

現地調査|築20年のサイディングに出ていた劣化

色の話に入る前に、まず建物の状態を正確に把握します。塗り替えの目的は見た目を変えることではなく、下地を守ることだからです。

外壁に苔が生えるのはどんな面?

北面のサイディング外壁に広がった緑色の苔
北面に広がった緑色の苔。日照と乾燥時間が短い面に集中する

このお宅で最初に目についたのが苔でした。ただし、家全体に均等に出ていたわけではありません。集中していたのは次の三か所です。

  • 北面|一日を通して直射日光がほとんど当たらず、雨に濡れたあと乾くまでに時間がかかります
  • 隣家や塀で日陰になる側面|方角としては東西でも、隣地との距離が近いと壁面が影に入り続けます
  • 地面に近い下部|雨の跳ね返りで湿気が上がり、基礎まわりからの湿気も加わります
外壁表面の苔を近接撮影 塗膜の防水性が落ちたサイン
外壁表面の苔を近接撮影。塗膜の防水性が落ちているサイン

苔が生えること自体は、コケの胞子が空気中を漂っている以上どこの家でも起こり得ます。問題は定着してしまう状態になっていることです。

新しい塗膜には撥水性があり、雨は玉になって流れ落ち、壁面はすぐに乾きます。ところが10年、15年と経つうちに塗膜の樹脂が紫外線で分解され、表面がざらついて水を保持するようになります。こうなると壁が「常に湿ったスポンジ」に近い状態になり、胞子が着地したときに根を張れてしまう。

つまり苔は汚れではなく、塗膜の防水性が切れましたという合図です。高圧洗浄で落とせば一時的にきれいにはなりますが、塗り替えなければ一年ほどで戻ります。この判断があったので、今回は迷わず全面塗り替えをご提案しました。

シーリングは「切れる前」ではなく「切れかけ」で見つけたい

劣化してやせ細った既存シーリング材のひび割れ
やせ細り、ひび割れが入った既存シーリング
サイディング目地から剥離した古いシーリング
目地の片側から剥離しはじめた古いシーリング

窯業系サイディングは板と板の継ぎ目(目地)をシーリング材で埋めて防水しています。このシーリングは外壁材より寿命が短く、一般的に10年前後で硬化・収縮が始まります。

今回確認できたのは、やせ(幅が減って両端に隙間ができている)、ひび割れ、そして片側の剥離でした。まだ完全に貫通してはいませんでしたが、貫通してから直すのでは遅い。目地から入った水はサイディングの裏側に回り、板の小口を膨らませ、断熱材や下地木材まで到達します。そこまで進むと塗装では戻せません。

そのため今回は増し打ち(上から足す)ではなく、既存を全て撤去する打ち替えを選びました。築20年であれば、ここは削るべきではない工程です。

屋根はドローンで確認しました

ドローンで撮影したスレート屋根の状態 色あせと汚れ
ドローン撮影によるスレート屋根の現況。全体に色褪せと汚れ

スレート屋根は地上から状態が見えません。今回はドローンで全面を撮影し、色褪せの進行と表面の汚れを確認しました。割れや欠けはなく、塗装で対応できる状態でした。

足場を組むのは外壁塗装のときだけです。屋根だけ後回しにすると、数年後にもう一度15万円前後の足場代がかかります。同時施工をおすすめした理由はここにあります。

ツートンの配色は、こう決めました

東大阪市豊浦のツートン外壁で色を決める5ステップ。変えない部分、ベース色、アクセント色、面積効果、塗り板確認
ツートン外壁は、変えない部分から順番に絞ると失敗しにくくなります

ここからがこの工事の中心です。外壁のツートンは、色そのものよりも「どこで切るか」「どちらを濃くするか」で仕上がりの八割が決まります。

外壁のツートンはどこで色を切り替える?

結論から言うと、建物にもともとある水平の線で切るのが原則です。候補になるのは次のような部位です。

  • 幕板|1階と2階の境に走る帯状の部材。最もきれいに切れる位置です
  • 階の境目|幕板がなくても、サイディングの継ぎ目が階の境に来ていることが多い
  • バルコニーの上端・下端|面が前に出ているので、色が変わっても違和感が出にくい
  • 庇や霧除けのライン|部分的な切り替えに使えます

このお宅には幕板がありましたので、迷わずそのラインを採用しました。幕板そのものは濃グレー側に寄せて、境界を一本の太い線として見せています。

逆にやってはいけないのが、何もない壁の途中で切ることです。塗装の境界線はどれだけ丁寧に養生しても、サイディングの目地や凹凸と一致していなければ、遠くから見たときに線がわずかに波打って見えます。人の目は水平線のズレに敏感で、これが「塗り分けに失敗した家」の正体です。

なお、幕板も階の境もはっきりしない建物では、水平ではなく面で分ける方法があります。正面だけ濃色、側面と背面は淡色、という分け方です。角(出隅)が自然な境界になるので、これも失敗しにくい手です。

濃い色は上と下どちらがいい?

初めてのツートンなら、下を濃く、上を淡く。これが最も外しにくい組み合わせです。理由は三つあります。

  1. 重心が下がって安定して見える|建物は下が重いほうが落ち着きます。上が濃いと2階部分が前に迫って見え、圧迫感が出ます
  2. 汚れが目立ちにくい|外壁の下部は雨の跳ね返りで泥はねが付きやすい場所です。濃色に置いておくほうが年数を経ても見苦しくなりません
  3. 周囲と喧嘩しにくい|住宅街では上部が空を背景にします。上を淡くしておくと、隣家の屋根や空とのつながりが穏やかになります

今回も下部を濃グレー、上部を薄ベージュとしました。逆パターンが絶対に駄目というわけではなく、意図して重厚感を出したい場合や、1階部分に大きな開口部が多くて濃色の面積が取れない場合には上濃色も選びます。ただ、それは狙ってやる配色であって、初めての方に何となくおすすめする配色ではありません。

色見本と実際の壁で色が違って見えるのはなぜ?

お客様が最も心配されていた点です。答えは面積効果という現象にあります。

同じ色でも、見る面積によって明るさの感じ方が変わります。小さな色見本では、明るい色は実際より暗く沈んで見え、暗い色は実際より明るく見えます。ところが外壁のように何十平方メートルという面積になると、この関係が反転します。

  • 明るい色は、さらに明るく・白っぽく見える|薄ベージュを選んだつもりが、ほぼ白に見えることがあります
  • 濃い色は、さらに濃く・重く見える|色見本で「ちょうどいい濃さ」のグレーは、家一軒に塗ると想像より暗く出ます

ですから色選びのときは、意図的に濃色は色見本より一段明るめ、淡色は一段濃いめに振っておくと、仕上がりが狙いどおりになります。

そして必ずやっていただきたいのが、実際に使う塗料でA4以上の塗り板を作り、それを屋外で確認することです。確認のときのポイントは三つあります。

  1. 屋外の自然光で見る|室内の蛍光灯やLEDの下では色温度が違い、必ずズレます
  2. 建物から離れて見る|手元ではなく、実際に人が家を見る距離(道路の反対側くらい)で確認します
  3. 晴れの日と曇りの日、朝と夕方で見る|グレー系は光の色に影響されやすく、曇天では青みが強く出ます

失敗しやすい組み合わせと、その避け方

ツートン外壁で失敗しやすい配色とまとまりやすい配色の比較図
濃い色は面積と配置で印象が大きく変わります

これまで見てきた中で、うまくいかないツートンにはいくつか共通点があります。

避けたい組み合わせ 起きること
明度差が小さすぎる
(中グレー×薄グレーなど)
ツートンに見えず、塗り分けを失敗した1色の家に見えます
明度差が極端すぎる
(純白×黒など)
住宅としては主張が強すぎ、周囲から浮きます
色相の系統が違う
(青みグレー×黄みベージュ)
境界で色が濁って見え、どちらの色も鈍く感じられます
3色以上を壁面に使う まとまりが崩れます。壁は2色まで、差し色は付帯部で入れます

今回選んだ濃グレーと薄ベージュは、どちらもわずかに黄みを含んだ系統で揃えています。系統を揃えたうえで明度差だけをはっきりつける。これがツートンをすっきり見せる基本の考え方です。

もう一点、意外に効くのが周囲の家並みとの調和です。東大阪市豊浦のような戸建てが並ぶ住宅地では、自分の家だけを見て色を決めると浮きます。私たちは色決めの前に、道路から見える範囲の外壁を実際に見て回りました。ベージュ系・クリーム系の多い通りでしたので、上部に薄ベージュを置いて周囲と馴染ませ、下部の濃グレーで引き締める。この配分にした理由はそこにあります。

全工程を写真で公開します

ツートン外壁になるまでの工程。シーリング、高圧洗浄、下塗り、ベース色、アクセント色、完了検査
ツートン塗装は、色分けラインと塗り残しの確認が仕上がりを左右します

1|シーリングの打ち替え

既存シーリングをカッターで撤去する打ち替え工程
既存シーリングをカッターで切り込み、撤去する

まず既存のシーリングをカッターで両側から切り込み、引き抜いて撤去します。古い材料を残したまま上から足す「増し打ち」では、下の劣化した層ごと剥がれるおそれがあります。

目地にシーリング用プライマーを塗布する様子
目地の内側にシーリング用プライマーを塗布

撤去後、目地の内側にプライマーを塗ります。この工程を省くと接着力が出ず、数年で剥離します。外からは見えなくなる部分ですが、シーリング工事の成否はここで決まります。

新しい変成シリコーン系シーリング材を目地に充填
新しいシーリング材を目地に充填
ヘラで押さえて仕上げたシーリング打ち替え完了の目地
ヘラで押さえて仕上げた打ち替え完了の目地

新しいシーリング材を充填し、ヘラで押さえて密着させながら成形します。硬化を待ってから塗装に進みます。

2|高圧洗浄

高圧洗浄で外壁の苔と旧塗膜の粉化を洗い流す作業
高圧洗浄で外壁の苔とチョーキングを洗い流す

苔、汚れ、そしてチョーキング(劣化して粉状になった旧塗膜)を高圧洗浄で洗い流します。ここが甘いと、どれだけ良い塗料を使っても粉の上に塗ることになり、数年で剥がれます。

スレート屋根を高圧洗浄している様子
スレート屋根の高圧洗浄

屋根も同様に洗浄します。洗浄後はしっかり乾燥させてから次工程へ進みます。

3|外壁の下塗り

外壁下塗りに使用したパーフェクトシーラーの缶
外壁の下塗りに使用したパーフェクトシーラー
サイディング外壁にシーラーを下塗りしている様子
サイディング外壁にシーラーを下塗り

下塗りは、劣化して塗料を吸い込みやすくなった外壁面を固め、上塗り塗料の密着を確保するための工程です。ここで下地を安定させておかないと、上塗りの色ムラや早期の剥がれにつながります。

4|外壁の中塗り・上塗り(ここでツートンになります)

外壁上塗りに使用したスーパーラジカルシリコンGHの缶
外壁上塗りに使用したスーパーラジカルシリコンGH

外壁にはスーパーラジカルシリコンGHを使用しました。ラジカル制御型の塗料は、紫外線が塗膜内部で劣化因子(ラジカル)を発生させるのを抑える設計になっており、チョーキングが起きにくいのが特徴です。今回のように濃色を使うツートンでは、退色の差が上下で出ると目立つため、色持ちの性能は特に重要になります。

濃グレーで外壁の中塗りを行っている様子
濃グレーで外壁下部の中塗りを行う

中塗り。まず下部の濃グレーから進めます。この段階で切り替え位置が壁面に現れます。

薄ベージュの上塗りでツートンの上部を仕上げる作業
薄ベージュの上塗りで上部を仕上げる

上塗り。上部の薄ベージュを仕上げます。中塗りと上塗りで二回塗り重ねることで、規定の膜厚を確保し、色ムラをなくします。

切り替え位置は幕板のラインで、養生テープを一直線に通して境界を作ります。直線がわずかでも曲がると全体が歪んで見えるため、ここは最も神経を使う工程のひとつです。

5|屋根塗装

スレート屋根にタスペーサーを挿入し縁切りを行う工程
スレート屋根にタスペーサーを挿入し縁切りを行う

スレート屋根で欠かせないのがタスペーサーです。スレートは重なり合った隙間から内部に入った水を、下へ排出する構造になっています。塗料でこの隙間が塞がると水の逃げ場がなくなり、屋根裏へ回って雨漏りの原因になります。

そこでスレートの間に部材を差し込み、隙間を確保しておく。これを縁切りと呼びます。塗った直後は美しく見えるので省略されやすい工程ですが、省くと数年後に内部から傷みます。

ファインパーフェクトベストで屋根を塗装している様子
ファインパーフェクトベストで屋根を塗装

屋根には日本ペイントのファインパーフェクトベストを使用しました。スレート屋根向けの耐候性塗料です。

塗装が完了し色つやが戻ったスレート屋根
塗装が完了し色つやが戻ったスレート屋根

塗装完了。色褪せていた面に濃色を乗せることで、外壁のツートンとも整合が取れました。屋根は地上からほとんど見えませんが、道路の反対側や2階建ての隣家からは見えます。外壁の色を決めるときは、屋根の色も一緒に考えるのが正解です。

6|付帯部の塗装

破風板を刷毛で丁寧に塗装する付帯部工程
破風板を刷毛で丁寧に塗装する

雨樋、破風板、軒天などの付帯部を塗装します。付帯部は面積が小さいぶん、色の選び方で建物全体の印象が変わります。今回は濃グレー側に寄せた色でまとめ、ツートンの引き締め役にしました。

東大阪市豊浦という土地で、色を決めるということ

東大阪市豊浦で外壁の色を決めるときの方角と見える面の考え方
日当たりと道路から見える面を合わせて、色の見え方を判断します

東大阪市豊浦は、近鉄けいはんな線の沿線に近く、戸建てと小規模な工場・作業所が混在する地域です。建て売り・注文住宅がまとまって建った時期があるため、築20年前後のサイディング住宅が近い場所に何軒も並んでいるという特徴があります。

これは色決めの点で二つの意味を持ちます。

一つは、周囲と似た色にすると埋もれるということ。同時期に同じ系統の外壁で建った家が並んでいるので、元の色に近い単色で塗り直すと、外から見て塗り替えたことすら伝わりません。実際このお客様の「一色ではもったいない」という感覚は、その通りだったと思います。

もう一つは、浮きすぎても困るということ。近所付き合いの続く住宅地ですから、通りの中で一軒だけ極端に主張する色になるのは避けたい。ここが、ツートンという選択が効いた理由です。上部を周囲になじむ薄ベージュにして、下部の濃グレーで輪郭を作る。遠目には落ち着いていて、近づくとはっきり違うという状態をつくれます。

また、この地域は交通量のある道路が近く、東大阪市全体として工場も多い土地柄です。空気中の粉じんが外壁に付着しやすい環境で、白に近すぎる色は数年で汚れが目立ちます。下部に濃色を置いた判断は、意匠面だけでなく汚れの見え方という実用面でも理にかなっていました。

完工の日

着工から18日。雨で順延した日もありましたが、大きな遅れなく足場解体を迎えました。

シートが外れた瞬間というのは、私たちにとっても毎回緊張する時間です。塗り板で確認していただいていても、家一軒に塗られた色を見るのはその日が初めてだからです。今回は特に、面積効果を見込んで濃色を一段明るめに調整していました。それが狙いどおりに出ているかどうか。

お客様は正面からしばらく眺め、それから道路を渡って離れた位置からもう一度見上げ、こう言われました。

「同じ家なのに、輪郭がはっきりした」

ツートンの効果を、これ以上正確に表す言葉はないと思います。色を二つに分けるというのは、単に賑やかにすることではありません。建物の形を、あらためて線で描き直す作業です。幕板という既存の線を活かし、下に重さを、上に軽さを置く。それだけで家の輪郭が立ち上がります。

外壁・屋根ともに5年の保証をお付けしてお引き渡しとなりました。

よくあるご質問

外壁のツートンはどこで色を切り替えるのが正解ですか?

建物にもともとある「線」で切るのが基本です。幕板(1階と2階の境にある帯状の部材)、階の境目、バルコニーの上端、庇のライン。この事例では幕板の位置でそのまま水平に切り替えました。線のないところで切ると、目地やサイディングの継ぎ目と色の境界がズレて、遠目に見たときに歪んで見えます。どうしても部材がない場合は、面ごと(正面だけ濃色、側面は淡色)で分ける方法もあります。

濃い色は上と下、どちらに使うべきですか?

下に濃い色、上に淡い色が失敗しにくい配色です。重心が下がって建物が安定して見え、雨だれや泥はねの汚れも目立ちにくくなります。この事例も下部を濃グレー、上部を薄ベージュにしました。逆に上を濃くすると建物が重く見え、2階が迫ってくるような印象になります。狙ってやるならありですが、初めてのツートンでは下濃色をおすすめします。

色見本と実際の壁で色が違って見えるのはなぜですか?

面積効果です。小さな色見本では、明るい色はより暗く、暗い色はより明るく見えます。逆に外壁のように広い面積になると、明るい色はさらに明るく、濃い色はさらに濃く感じられます。A4サイズの色見本で「ちょうどいい」と思った濃グレーは、家一軒に塗ると想像より重く出ます。対策は、実際に塗る塗料でA4以上の塗り板を作り、屋外の自然光の下で、離れた位置から見ること。室内の蛍光灯の下で選ぶと必ずズレます。

外壁に苔が生えるのはどんな面ですか?

北面と、隣家や塀で日陰になる面、それに地面に近い下部です。苔は水分が乾かない場所に定着します。塗膜が劣化して防水性が落ちると、外壁表面が水を含んだままになり、そこへ胞子が着地して根を張ります。この事例でも北側と、隣地との距離が近い側面の下部に集中していました。つまり苔は「汚れ」ではなく、塗膜の防水性が切れているというサインです。

ツートンで避けたほうがいい組み合わせはありますか?

明度差が小さすぎる組み合わせです。たとえば中グレーと薄グレーのように近い明度どうしだと、狙ったツートンにならず「塗り分けに失敗した1色」に見えてしまいます。逆に純白と黒のように明度差が極端すぎると、住宅としては強すぎます。もう一つは、色相の系統がバラバラな組み合わせ。青みのグレーと黄みの強いベージュを合わせると濁って見えます。この事例では、どちらもわずかに黄みを含んだ系統で揃えて、明度差ははっきりつけました。

色で迷っている段階でも、ご相談ください

冒頭のお客様は「一色で塗り替えるのはもったいない気がして」という、まだ形になっていない感覚から相談を始められました。そこから、切り替え位置・上下の配分・面積効果という順に一つずつ理屈を確認していった結果が、濃グレーと薄ベージュのツートンです。

色決めは感覚の作業に見えて、実際にはかなりの部分が理屈で決まります。どこで切るか、どちらを濃くするか、色見本をどれだけ振っておくか。ここさえ押さえれば、初めてのツートンでも失敗しません。

そして忘れてはいけないのが、塗装の第一の目的は下地を守ることだという点です。今回も、苔が教えてくれた塗膜の防水切れと、シーリングの劣化という二つの事実があってこその工事でした。見た目と機能は別々の話ではなく、同じ一つの工事の表と裏です。

みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、東大阪市を含む近隣エリアで施工しています。色でお悩みの段階、まだ工事を決めていない段階でも構いません。お家の写真を送っていただければ、状態の診断と、その建物に合う配色の考え方を一緒にお伝えします。

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