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施工事例紹介

東大阪市吉田|3階建て・隣との隙間が狭い家の外壁塗装|狭小地の足場はこう組む

BEFORE 施工前
東大阪市吉田 築18年3階建て 外壁塗装前の建物全景
AFTER 施工後
東大阪市吉田 3階建て住宅 外壁塗装・屋根塗装完了後の全景


東大阪市吉田 築18年3階建て 外壁塗装前の建物全景
東大阪市吉田 築18年3階建て 外壁塗装前の建物全景
窯業系サイディングの反り・浮きを下から見上げて確認した様子
下から見上げると、平らに見えていた壁面の一部が浮き上がっているのが分かります。ボードの反りです。
目地シーリングが割れてバックアップ材の青が見えている状態
シーリングが裂け、内側の青いバックアップ材が露出しています。これは防水シートではありません。
外壁の縦目地シーリング全体の劣化状況
縦目地全体の状態。表面が硬化し、弾力を失っています。
くさび式足場と単管足場の違い(狭小地での使い分け)
隙間が狭い現場では、単管足場が生きます
3階建てと2階建ての外壁塗装の違い
階数が増えると、変わるのは面積だけではありません
密集地での飛散防止と近隣配慮のポイント
「シートを張れば安心」ではありません
既存シーリング材をカッターとペンチで撤去する作業
両サイドにカッターを入れ、ペンチで既存シーリングを引き抜きます。増し打ちではなく打ち替えです。
目地の両サイドに養生テープを貼りプライマーを塗布する工程
テープを真っすぐ貼り、プライマーを塗布。この直線が仕上がりの見え方を決めます。
新しいシーリング材を充填しヘラで押さえる打ち替え作業
新しいシーリング材を充填し、ヘラで空気を抜きながら成形します。
シーリング打ち替え完了後の目地
打ち替え完了。縦目地に加え、サッシまわり・軒との取り合い・幕板上部まで補修しました。
屋根のトップライト(天窓)周りのシーリング補修
屋根のトップライト(天窓)。下からは状態が確認できない部位です。
トップライト(天窓)周り施工後の状態
ガラスとサッシの取り合いのシーリングを補修した後。次に触れるのは10年後です。
3階建て外壁の高圧洗浄作業
外壁の高圧洗浄。密集地では水しぶきの飛散に最大限の注意を払います。
苔が付着したモニエル瓦屋根の高圧洗浄前
洗浄前の屋根。手前に緑色の苔がびっしり出ています。
モニエル瓦屋根の高圧洗浄後、苔と汚れが落ちた状態
洗浄後。モニエル瓦はスラリー層まで落とし切らないと、数年で塗膜ごと剥がれます。
外壁塗装1回目、下地に合わせたフィラー・シーラーの塗布
下塗り。2階・3階のリシン面には白っぽいフィラーを使用しました。
外壁塗装2回目、KFシェアルドSiの中塗り
中塗り。KFシェアルドSi(KFケミカル)で塗り重ねます。
外壁塗装3回目、ローラーによる上塗り仕上げ
上塗り。密集地のため吹き付けではなく全面ローラーで施工しています。
外壁塗装完了後のサイディング面
外壁塗装完了。18年分の劣化がリセットされました。
モニエル瓦屋根の塗装、ローラーと刷毛の併用
屋根塗装。平らな面はローラー、段差や瓦の合わせ目は刷毛に持ち替えます。
屋根塗装完了後のモニエル瓦
屋根塗装完了。地上からは見えない部位ほど、工程写真でご報告します。
水切りなど鉄部のケレン作業(付帯部塗装の下地処理)
付帯部の下地処理。鉄部はペーパーやヤスリでケレンしてから塗装します。
水切り・付帯部の塗装作業
水切りなど付帯部の塗装。外壁がきれいになるほど、この部分の差が目立ちます。
3階建て・狭小地の外壁塗装で費用が決まる要素
費用は「階数」ではなく、この5つで決まります
東大阪市吉田 3階建て住宅 外壁塗装・屋根塗装完了後の全景
東大阪市吉田 3階建て住宅 外壁塗装・屋根塗装完了後の全景

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「隣の家との隙間が、大人が横向きでやっと通れるくらいしかないんです。そもそも足場って組めるんでしょうか」

東大阪市吉田にお住まいの施主様から最初にいただいたご質問は、色でも塗料でもなく、これでした。築18年の3階建て。同じ住宅地でぽつぽつと塗り替えが始まり、そろそろかなと感じてはいたものの、両隣がぴったりと迫っている自分の家で工事ができるのか、そこが分からないまま何年か過ぎてしまった——そんなお話でした。

結論からお伝えすると、足場は問題なく組めました。両隣との狭い隙間にもきちんと足場を立て、外壁も屋根もシーリングも、一面も飛ばさずに仕上げています。工事中に近隣トラブルもありませんでした。この記事は、その2週間の記録です。

狭小地・密集地の外壁塗装で本当に難しいのは、実は塗装そのものではありません。足場の組み方と、近隣への段取りです。そこをどう考えて、どう手を打ったのか。全工程を写真で公開します。

工事データ

施工エリア 大阪府東大阪市吉田
築年数 18年
建物 3階建て戸建て/窯業系サイディング外壁・モニエル瓦屋根(両隣との離隔が非常に狭い立地)
施工内容 外壁塗装・屋根塗装・シーリング打ち替え・付帯部塗装
使用塗料 KFシェアルドSi(KFケミカル)
工期 2週間
保証 5年
工事費用 現地調査後にお見積り

「うちは敷地が狭いから無理」と諦めていませんか

施主様からご相談をいただいたきっかけは、ご近所でした。同じ住宅地の何軒かが立て続けに足場を組み、きれいになっていく。築18年という数字も頭にあって、「うちもそろそろだろう」とは思っていた。けれど、動けなかった。

理由は敷地でした。両隣の建物との隙間がとにかく狭い。ご本人ですら、家の側面や裏面にはほとんど回り込んだことがないとおっしゃっていました。日常的に目に入るのは玄関側とガレージまわりだけ。裏側がどうなっているのか、見たことがない。

これは狭小地のお宅で本当によくあることです。そして厄介なのは、普段見えない面ほど劣化が進んでいるという点です。北面や隣家に挟まれた面は日が当たらず乾きにくく、湿気がこもります。にもかかわらず、住んでいる方が一番気づきにくい。

さらに施主様の場合、「そもそも工事が物理的にできるのか」という不安が加わっていました。ここが一番のブレーキになっていたと思います。実際、私たちのところにも「隙間が狭くて他社に断られた」「見に来てもらったけど返事がない」というご相談は珍しくありません。

ですので現地調査では、まず先に足場の可否をはっきりさせることにしました。劣化状況の説明より前に、「組めます」か「組めません」かを言い切る。ここが決まらないと、お客様は次のことを考えられないからです。

現地調査で何を見た? 3階建ての「見えない面」に劣化は隠れる

足場計画の目処を立てたうえで、建物の状態を見ていきました。特に時間をかけたのは、普段誰も立ち入らない側面と裏面です。

チョーキングが出ていなくても、劣化していないとは限らない

窯業系サイディングの反り・浮きを下から見上げて確認した様子
下から見上げると、平らに見えていた壁面の一部が浮き上がっているのが分かります。ボードの反りです。

施主様のお宅の外壁は、窯業系サイディングボードでした。日本の戸建てで最も採用数の多い外壁材です。原料はセメントと繊維質を混ぜて固めたもので、素地そのものは水を吸います。だから工場出荷の段階ですでに塗装がされていて、その塗膜が防水の役目を担っています。

サイディングの塗り替えサインとして有名なのがチョーキングです。壁を手でこすると白い粉がつく、あの現象。ただ、今回のボードはチョーキングが出にくいタイプでした。手でこすっても粉がほとんどつかない。ここで「まだ大丈夫」と判断してしまうと読み違えます。

そこで別の見方をしました。壁を正面から見るのではなく、下から見上げるのです。写真のように低い位置から目線を上げると、平らに見えていた壁面の一部が、わずかに浮き上がって見える箇所がありました。ボードの反りです。

窯業系サイディングは表面の塗膜が劣化すると水を吸い込みはじめ、吸った側と吸っていない側で伸び縮みが変わり、じわじわ反っていきます。反りが進むとボードが自分の変形に耐えきれず割れる。そうなると塗装では収まらず、張り替えになります。張り替えの費用は塗装の3〜4倍が目安です。

今回は反りが部分的に見られただけで、割れや欠損はありませんでした。だから塗装でのご提案ができた。ここは正直に申し上げて、あと数年放置していたら判断が変わっていた可能性があります。

目地に見える「青いもの」は防水シートではありません

目地シーリングが割れてバックアップ材の青が見えている状態
シーリングが裂け、内側の青いバックアップ材が露出しています。これは防水シートではありません。
外壁の縦目地シーリング全体の劣化状況
縦目地全体の状態。表面が硬化し、弾力を失っています。

次に見たのが目地、つまりサイディングボード同士の継ぎ目に充填されているシーリング材です。

シーリング材はゴムのような弾性のある素材で、二つの役割を持っています。ひとつは雨水と湿気の侵入を止めること。もうひとつは、温度で伸縮するボード同士がぶつかって欠けないようにするクッションです。

ただ、ゴム質なので紫外線に弱い。年数が経つと表面から硬くなり、弾力を失って、最後は裂けます。写真のように割れが深くなると、内側から青い材料が顔を出します。

この青いものについて、現場でよくこう聞かれます。「あれって防水シートですよね? 見えていてもすぐには雨は入らないでしょう?」

いいえ、違います。あれはバックアップ材といって、シーリングが目地の三面すべてに接着してしまわないよう(三面接着になると伸縮に追従できず切れやすくなる)にあらかじめ入れてある詰め物です。防水性能はありません。

つまり青が見えている状態は、防水層が一枚残っているのではなく、防水の役目を担っていたシーリングがすでに切れているということ。強い雨が横から吹きつければ、その隙間から水が回り、内部の透湿防水シートや躯体を傷めていきます。ここまで来たら、そろそろ手を入れる時期です。詳しくは東大阪市のサイディング・シーリング対策もご覧ください。

隣との隙間が狭くても足場は組める?

くさび式足場と単管足場の違い(狭小地での使い分け)
隙間が狭い現場では、単管足場が生きます

ここからが、この現場の本題です。

まず結論として、隣家との隙間が狭くても、足場はほとんどの場合組めます。ただし「どんな足場を、どう組むか」を現場ごとに設計し直す必要があります。カタログどおりの組み方をそのまま持ち込もうとすると「入りません」となる。それだけの話です。

狭小地では、くさび式ではなく単管足場が生きる

一般的な住宅の外壁塗装で使われるのは、くさび緊結式足場(いわゆるビケ足場)です。部材を差し込んでハンマーで打ち込むだけで組め、作業床が広く、安全性も作業効率も高い。まっとうな業者なら第一候補にする足場です。

ただ、くさび式には弱点があります。幅を必要とすることです。ブラケットに踏板を掛ける構造上、外壁面から一定の離隔を取らないと成立せず、実務上はおおむね50〜60cmほどの余裕が欲しい。狭小地ではここで詰まります。

そこで登場するのが単管足場です。単管パイプとクランプを組み合わせて現場で自由に寸法を決められるため、隙間の実寸に合わせて設計できます。踏板の幅を絞ったり、支柱の位置をずらしたり、途中で足場の形を変えたりといった融通が利く。組むのに手間と時間はかかりますが、狭小地ではこちらが正解になります。

私たちの現場では、正面や道路側など余裕のある面はくさび式、隣家に挟まれた狭い面は単管という混成の組み方をすることがよくあります。全面を単管にすると作業効率が落ちて工期に響くので、狭いところだけ単管で通す。この使い分けができるかどうかが、狭小地を受けられる業者かどうかの分かれ目だと思っています。

もうひとつ、どうしても足場が入り切らない極端な部分では、抱き足場(建物の両側から支柱を立てて渡す組み方)や、部分的な脚立作業に切り替える判断もあります。ただしこれは安全性が落ちる方向の選択なので、範囲を最小限に限定して、その面だけ職人を増やして短時間で終わらせます。

3階建ての外壁塗装は2階建てと何が違う?

3階建てと2階建ての外壁塗装の違い
階数が増えると、変わるのは面積だけではありません

施主様のお宅は3階建てでした。2階建てとの違いは、単に「高いぶん面積が増える」だけではありません。

ひとつめは足場の総重量と転倒モーメントです。高さが増えるほど風を受ける面積が増え、足場が受ける水平力も大きくなります。3階建ての足場は建物側にしっかり固定する必要があり、壁つなぎ(アンカーや窓枠を利用して足場と建物を結ぶ部材)の本数を増やします。狭小地では隣家側に控えを出せないので、この壁つなぎの計画がとりわけ重要になります。

ふたつめは資材の上げ下ろしです。塗料も洗浄機のホースもシーリング材も、3階まで人力で上げます。隙間が狭いと台車も入らないので、動線をどう取るかを組む前に決めておかないと、工事中ずっと非効率を引きずります。

みっつめは高圧洗浄の水と塗料ミストの飛距離です。高い位置から水を当てるほど、風に乗って遠くまで飛びます。2階建ての感覚で近隣対策をすると、必ず苦情になります。

よっつめは費用です。足場代は面積だけでなく段数で増えます。3階建ては2階建てより足場費用が上がる。これは避けられません。

隣家の敷地に足場をかける場合、どうする?

狭小地でよく起きるのが、支柱の一部がどうしても隣家の敷地に入ってしまうケースです。数センチであっても、他人の土地です。

このとき私たちが必ず行うのは、着工前のご挨拶で、口頭ではなく図を見せて説明することです。「少しお邪魔します」では相手は判断できません。どの位置に、何本、どのくらいの期間立つのか。撤去はいつか。地面に養生を敷くのか。ここまで具体的に見せると、たいていは快く了解をいただけます。

逆に、断られたときにどうするかも決めておきます。敷地に入れないなら入れないで、抱き足場や部分的な単管で処理する。「隣が了解しなかったから工事できません」は業者の逃げだと考えています。

あわせてお伝えしているのが、隣家側のエアコン室外機、物置、植栽、駐車中のお車です。足場の支柱が当たる位置に物があれば、一時的な移動をお願いすることになります。これも着工の直前ではなく、余裕をもって相談します。

飛散防止シートは「張れば安心」ではない

密集地での飛散防止と近隣配慮のポイント
「シートを張れば安心」ではありません

足場の外周には飛散防止のメッシュシートを張ります。塗料のミストや洗浄水が外に飛ぶのを抑えるためのものです。

ただ、密集地では張り方に注意が要ります。隙間が数十センチしかない面にシートを密に張ると、風の逃げ場がなくなって足場が煽られることがあります。また隣家の窓を完全に塞いでしまえば、その方の生活が2週間暗くなる。

ですので現場では、隣家の開口部の位置を見ながら、張る範囲と重ね方を調整します。塗装工程が終わった面から順にシートを外していく、という進め方をすることもあります。シートは「安全のため全部覆う」ものではなく、飛散を止めつつ生活を邪魔しない落としどころを探すものだと考えています。

密集地の塗装で近隣に迷惑をかけないために

この現場で私たちが一番気を使ったのは、実は塗る作業ではなく、音と水でした。

外壁塗装で最も音が出るのは、①足場を組むとき、②足場を解体するとき、③高圧洗浄のとき、の3つです。足場は金属部材を打ち込むので響きますし、高圧洗浄はコンプレッサーを回すので低い運転音が続きます。

そこで足場の組立・解体と高圧洗浄は、日曜・祝日を避けて平日に行うのを原則にしています。休日に家にいらっしゃる方が多い日を外すだけで、印象がまるで変わります。

水については、この現場ならではの対応がありました。左隣のお宅のベランダが、施主様のお宅の壁とほとんど接するような近さにあったのです。高圧洗浄では水しぶきが必ず舞います。もしその日に洗濯物が干されていれば、確実に汚れます。

ですので洗浄の前日に左隣のお宅へ伺い、「明日は洗濯物を外に干さないでください」と直接お願いしました。当日、ベランダには何も干されていませんでした。ご協力に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。

塗装工事は、施主様だけで完結する工事ではありません。両隣、向かい、裏。工事期間中はその全員の生活に入り込みます。先に伝えるか、後から謝るか。この差が近隣トラブルの有無を決めていると、私たちは思っています。

全工程の記録

シーリング打ち替えに3日かけた

既存シーリング材をカッターとペンチで撤去する作業
両サイドにカッターを入れ、ペンチで既存シーリングを引き抜きます。増し打ちではなく打ち替えです。

足場が組み上がったら、最初の工程はシーリングの打ち替えです。塗装より先です。順番を逆にすると、新しい塗膜の上からシーリングを打つことになり、後々の剥離につながります。

縦目地は、既存の劣化したシーリング材の両サイドにカッターを入れ、ペンチで掴んで引き抜きます。これが打ち替え。上から新しい材料を重ねる「増し打ち」とは別物で、目地の場合は原則として打ち替えです。古いゴムを残したまま上に載せても、下の層から切れていくからです。

目地の両サイドに養生テープを貼りプライマーを塗布する工程
テープを真っすぐ貼り、プライマーを塗布。この直線が仕上がりの見え方を決めます。

撤去したら、目地の両サイドに養生テープを真っすぐ貼ります。この直線がそのまま仕上がりの見え方になるので、ここは急ぎません。テープを貼ったらプライマー(接着剤の役割をする下塗り)を刷毛で塗布します。プライマーを省くと、どれだけ良いシーリング材を使っても数年で界面から剥がれます。

新しいシーリング材を充填しヘラで押さえる打ち替え作業
新しいシーリング材を充填し、ヘラで空気を抜きながら成形します。
シーリング打ち替え完了後の目地
打ち替え完了。縦目地に加え、サッシまわり・軒との取り合い・幕板上部まで補修しました。

プライマーが乾いたら新しいシーリング材を充填し、ヘラで押さえて内部の空気を抜きながら成形します。ヘラを当て終わったらすぐにテープを剥がす。材料が硬化してから剥がすと縁が引きちぎれます。

今回は縦目地だけでなく、サッシまわり、外壁と軒の取り合い、そして幕板の上部まで補修範囲に入れました。幕板は外壁の途中に水平に回る装飾材ですが、上端が水平面になっているぶん水が溜まりやすく、雨漏りの入口になりやすい部位です。

この下地処理だけで3日かかっています。正直、ここを省けば工期は縮みます。ただ、せっかく足場を組むのならという考えでやっています。足場は工事のたびに費用が発生します。次に足場を組むのは10年後かもしれない。その10年を持たせるための3日です。

天窓(トップライト)は塗装のときにしか触れない

屋根のトップライト(天窓)周りのシーリング補修
屋根のトップライト(天窓)。下からは状態が確認できない部位です。
トップライト(天窓)周り施工後の状態
ガラスとサッシの取り合いのシーリングを補修した後。次に触れるのは10年後です。

施主様のお宅の屋根には、トップライト(天窓)がありました。

天窓は、下から見上げてもまず状態が分かりません。屋根に上がって初めて、ガラスとサッシの取り合いのシーリングが痩せていたり、割れていたりするのが見えます。そしてそこから入った水は、天井のごく限られた一点にシミを作ります。原因が天窓だと気づかれないまま、何年も進行することがあります。

今回は取り合い部のシーリングを上から補修しました。天窓は塗装工事のタイミング以外でわざわざ足場を組んで手を入れることがまずない部位なので、現地調査では天窓の有無を必ず確認するようにしています。あれば、その時に直す。次の機会は10年後です。

高圧洗浄 ― モニエル瓦は「スラリー層」を落とし切る

3階建て外壁の高圧洗浄作業
外壁の高圧洗浄。密集地では水しぶきの飛散に最大限の注意を払います。
苔が付着したモニエル瓦屋根の高圧洗浄前
洗浄前の屋根。手前に緑色の苔がびっしり出ています。
モニエル瓦屋根の高圧洗浄後、苔と汚れが落ちた状態
洗浄後。モニエル瓦はスラリー層まで落とし切らないと、数年で塗膜ごと剥がれます。

洗浄は業務用の高圧洗浄機で行います。汚れや旧塗膜の粉が残ったまま塗ると、どれだけ良い塗料を使っても本来の密着と耐久が出ません。ここは時間をかけます。

今回の屋根はモニエル瓦でした。セメント系の瓦で、表面に「スラリー層」と呼ばれる着色スラリーの層が製造時に形成されています。

モニエル瓦の塗装で最も多い失敗が、このスラリー層を残したまま塗ってしまうことです。塗膜自体はしっかり付いていても、その下のスラリー層ごとベロッと剥がれてくる。数年で再工事になります。だから洗浄の段階でスラリー層を徹底的に落とし切る必要があります。モニエル瓦は「塗る技術」より「落とす技術」の屋根材です。

写真の洗浄前は、手前に緑色の苔がびっしり出ています。洗浄後は下地の質感が出ているのが分かると思います。

外壁の3回塗り ― 1階と2・3階で下塗りを変えた理由

外壁塗装1回目、下地に合わせたフィラー・シーラーの塗布
下塗り。2階・3階のリシン面には白っぽいフィラーを使用しました。
外壁塗装2回目、KFシェアルドSiの中塗り
中塗り。KFシェアルドSi(KFケミカル)で塗り重ねます。

外壁は3回塗りです。ただ今回は、1回目(下塗り)の材料を階によって使い分けました。

2階・3階部分はサイディングボードの上にリシンが吹き付けられていました。リシンは砂粒状の凹凸がある仕上げで、表面積が大きく吸い込みも強い。ここには白っぽいフィラーを使いました。フィラーは肉付きがあり、微細な凹凸やヘアクラックを埋めながら平滑にする下塗り材です。

一方、1階部分にはリシンの吹き付けがありませんでした。ボードの意匠がそのまま出ている面です。ここに肉厚のフィラーを塗ると柄が潰れてしまうので、透明なシーラーを使いました。

この使い分けは職人の感覚ではなく、塗料メーカーが出している仕様書に沿った判断です。塗料には必ず取扱説明書にあたる仕様書があり、「この下地にはこの下塗りを、何回、何時間の乾燥時間で」と規定されています。下塗りを間違えると、上に乗る塗料がどれだけ高性能でも密着が出ず、性能を発揮できません。塗装で一番失敗が起きるのは仕上げではなく下塗りです。

外壁塗装3回目、ローラーによる上塗り仕上げ
上塗り。密集地のため吹き付けではなく全面ローラーで施工しています。
外壁塗装完了後のサイディング面
外壁塗装完了。18年分の劣化がリセットされました。

2回目・3回目はKFシェアルドSi(KFケミカル)で仕上げました。3回目は仕上げなので、塗り残しや透けがないかを確認しながら進めます。

塗装方法についても、この現場ならではの判断がありました。材料や立地によっては吹き付けで施工することもありますが、今回は全面ローラーです。理由は単純で、両隣が近いからです。吹き付けはミストが飛びます。密集地でミストを飛ばせば、隣家の外壁や車に付着します。ローラーは手間がかかりますが飛散がほぼありません。

吹き付けとローラーに優劣はありません。近隣への配慮を優先した結果、ローラーになったというだけです。

屋根塗装 ― ローラーと刷毛を持ち替える

モニエル瓦屋根の塗装、ローラーと刷毛の併用
屋根塗装。平らな面はローラー、段差や瓦の合わせ目は刷毛に持ち替えます。
屋根塗装完了後のモニエル瓦
屋根塗装完了。地上からは見えない部位ほど、工程写真でご報告します。

屋根も外壁と同様に3回塗り重ねます。モニエル瓦は厚みがあり、瓦同士が重なる段差と隙間ができる形状です。平らな面はローラーで効率よく、段差や瓦の合わせ目は刷毛に持ち替えて塗り込みます。

屋根は地上からほとんど見えません。だからこそ「どう施工したか分からないので写真をください」と施主様からよく言われる部位です。私たちは工程写真を記録し、ご報告するようにしています。

ちなみに、着工前の屋根の状態確認にはドローンが使えるようになりました。以前は梯子をかけて登るしかなく、それ自体が危険な作業でした。地上から安全に屋根の全景を見られるようになったのは、大きな進歩だと思っています。

付帯部 ― 外壁がきれいになると、ここが目立ちはじめる

水切りなど鉄部のケレン作業(付帯部塗装の下地処理)
付帯部の下地処理。鉄部はペーパーやヤスリでケレンしてから塗装します。
水切り・付帯部の塗装作業
水切りなど付帯部の塗装。外壁がきれいになるほど、この部分の差が目立ちます。

最後が付帯部です。水切り、破風板、幕板、雨樋、シャッターボックスなど、外壁・屋根以外の部位を指します。

鉄部はいきなり塗らず、ペーパーやヤスリでケレン(サビや旧塗膜を削り落として下地を整える作業)を行ってから塗装します。この一手間を省くと、サビが下から浮いてきて塗膜を押し上げます。

塗装は、面積のある箇所はローラー、ローラーが入らない狭い箇所は刷毛。地味な作業ですが、面積の大きい外壁より付帯部のほうが時間がかかることがよくあります。

そして付帯部には、必ず事前にお伝えすることがあります。塗れる素材と、塗らないほうがいい素材があるということです。鉄部や塩ビ・プラスチックは問題なく塗れます。しかしアルミやステンレスは塗料の密着が悪く、無理に塗ると後から剥がれてかえって見苦しくなる。だから塗らない判断をする箇所があります。これは手抜きではなく仕様です。着工前の打ち合わせで、塗る箇所・塗らない箇所を必ず確認しています。

付帯部を仕上げ、全体の確認と清掃をして、塗装作業は完了です。

3階建て・狭小地の外壁塗装、費用はどう決まる?

3階建て・狭小地の外壁塗装で費用が決まる要素
費用は「階数」ではなく、この5つで決まります

この工事の金額は非公開とさせていただいていますが、「3階建てで狭小地だと高くなるのか」というご質問は非常に多いので、費用がどう決まるのかという考え方をお伝えします。

外壁塗装の見積もりは、大きく分けて次の要素で構成されます。

  • 足場費用:架面積(建物の外周×高さ)で計算します。3階建ては2階建てより単純に段数が増えるため、ここは確実に上がります。
  • 足場の難易度:狭小地で単管足場を使う場合、部材点数と組立の手間が増えます。くさび式なら半日で組める規模でも、単管なら1日以上かかることがあります。
  • 塗装面積:外壁・屋根・付帯部それぞれの実面積。
  • 下地補修の量:シーリングの打ち替え延長、クラック補修、ボードの反りや欠損の有無。これは建物の状態次第で大きく変動します。
  • 塗料のグレード:シリコン・ラジカル・フッ素・無機で単価も耐用年数も変わります。

つまり「3階建てだからいくら」「狭いからいくら」と一律に決まる金額は存在しません。同じ3階建てでも、シーリングの延長が2倍違えば見積もりは変わります。

逆に言うと、現地を見ずに電話やメールだけで金額を言い切る業者には気をつけてください。特に狭小地は、実際に隙間の実寸を測り、足場の組み方を決めなければ足場代が出せません。正確な金額は、必ず現地調査のうえでお出しします。調査・お見積りは無料です。

なお、東大阪市での費用相場や見積書の見方については、東大阪市の外壁塗装 費用相場と見積書の読み方で詳しくまとめています。金額の妥当性を判断されたい方は、そちらもあわせてご覧ください。

東大阪市吉田はなぜ隣との距離が近い家が多い?

東大阪市吉田は、近鉄奈良線の沿線にあり、大阪市内へも奈良方面へも出やすい住宅地です。私たちが現場で感じるこのエリアの特徴は、宅地の区画が細かいことです。

東大阪は住宅と町工場が混在しながら発展してきた土地柄で、まとまった敷地が少しずつ分割されて住宅地になっていった経緯があります。結果として、間口が狭く、隣家との離隔がほとんどない敷地が数多くあります。そして限られた敷地で床面積を確保するために、上に伸ばす=3階建てという選択をされたお宅が多い。今回の施主様のお宅も、まさにその典型でした。東大阪市全体の外壁塗装事情については東大阪市の外壁塗装 完全ガイドにまとめています。

このタイプの建物は、外壁塗装の観点でいくつか共通の課題を抱えます。

  • 隣家に挟まれた面が日陰かつ通気不良になり、苔・藻・カビが出やすい
  • その面は住んでいる方の目に触れず、劣化の発見が遅れる
  • 3階建てのため足場費用が上がり、心理的に工事を先延ばしにしやすい
  • 工事の際、両隣・向かいへの配慮が必須になる

この4つが重なると、「気づいたときには塗装では収まらない」という最悪の順路に入ってしまいます。だからこそ、狭小地のお宅ほど定期的に業者の目を入れる価値があると考えています。ご自身で裏面を確認するのは、物理的に難しいのですから。

完工の日

足場を解体した日のことを覚えています。

メッシュシートが外され、単管が一段ずつ下ろされて、2週間ぶりに建物の全体が姿を現しました。施主様は道路の反対側まで下がって、しばらく黙って見上げておられました。

そして、こうおっしゃいました。「裏側、どうなってました?」

ご自身が18年間、一度もまともに見たことのなかった面です。私たちは工程写真をお見せしながら、裏面のシーリングがどうなっていたか、洗浄でどこまで落ちたか、3回塗り終えてどう仕上がったかをご説明しました。施主様は写真を一枚ずつ確認して、最後に「これで安心して住めます」と言ってくださいました。

狭小地の工事で私たちが本当にお渡ししているのは、きれいな外観だけではないのだと思います。見えなかった部分が、今どうなっているか。それを知ってもらうことまでが仕事です。

そして、この工事が無事に終わったのは、両隣のお宅をはじめとする近隣の皆様のご協力があったからです。洗濯物を控えてくださったこと、お車を移動してくださったこと。密集地の塗装は、施主様と職人だけでは成立しません。

よくあるご質問

隣の家との隙間が50cmもありませんが、足場は組めますか?

多くの場合、組めます。一般的なくさび式足場は50〜60cm程度の余裕が必要ですが、単管パイプとクランプで現場合わせに組む単管足場なら、より狭い隙間にも対応できます。実際にこの東大阪市吉田の現場も、両隣との隙間が非常に狭い3階建てでしたが、全面に足場を架けて施工しています。ただし隙間の実寸と隣家の状況によって組み方が変わるため、必ず現地で採寸させてください。写真だけでの判断はいたしません。

足場が隣の家の敷地に少し入ってしまう場合、どうすればいいですか?

着工前に業者からご近所へご挨拶に伺い、足場の位置・本数・設置期間を図で示してご説明します。口頭の「少しお邪魔します」ではなく、具体的な内容をお見せすると、ほとんどのケースでご了解いただけます。万一お断りされた場合も、抱き足場や部分的な単管で建物側だけで組み上げる方法があります。「隣が了解しないと工事できない」ということはありませんので、ご安心ください。

3階建ての外壁塗装は、2階建てよりどのくらい費用が上がりますか?

一律の割増率はありません。足場費用は建物の外周と高さから算出する架面積で決まるため、階数が増えれば足場代は確実に上がります。加えて狭小地で単管足場を使う場合は組立の手間が加算されます。ただし総額は塗装面積・下地補修の量・塗料グレードでも大きく変わるため、「3階建てだから何割増し」という計算はできません。正確な金額は現地調査のうえでお出しします。調査とお見積りは無料です。

隣の家が近いのですが、洗浄の水や塗料が飛んで迷惑をかけませんか?

飛散防止のメッシュシートを足場の外周に張り、密集地では塗装を吹き付けではなくローラーで行うことで飛散をほぼ抑えられます。ただし高圧洗浄の水しぶきは完全にはゼロにできないため、事前に近隣の方へ洗浄日をお伝えし、その日は洗濯物を室内に干していただくようお願いしています。この現場でも、隣家のベランダが至近だったため前日に直接お願いに伺いました。段取りで防げることは、段取りで防ぎます。

工事中の騒音が心配です。何日くらいうるさいですか?

音が大きいのは、足場の組立日・解体日・高圧洗浄日の合計3日程度です。それ以外の塗装作業日はほとんど音が出ません。この3日については日曜・祝日を避けて平日に設定し、事前に近隣の方へ日程をお伝えするようにしています。工期2週間のうち、ご近所に音でご負担をかけるのは限られた日数だとお考えください。

「うちは無理だろう」と思っている方へ

狭い敷地の外壁塗装で、隣家との隙間、足場の種類、資材の搬入経路を確認する図解
普段見えない面ほど、湿気で劣化していることがあります

施主様の最初のご質問は、「隣との隙間が狭いけれど、足場は組めるのか」でした。

2週間後、答えは建物そのものが示してくれました。組めます。しかも、隣家に挟まれて18年間誰も見ていなかった面まで、きちんと洗って、シーリングを入れ替えて、3回塗って仕上げられます。

狭小地・密集地だからと工事を諦める必要はありません。必要なのは、その隙間の実寸に合わせて足場を設計し直すことと、両隣に先回りして段取りを伝えることだけです。技術の問題であり、配慮の問題であって、できない理由ではありません。

東大阪市吉田をはじめ、隣家との距離が近いお宅の施工は数多く手がけてきました。「この敷地で本当に工事ができるのか」という段階のご相談で構いません。まずは現地を見せてください。組めるか組めないか、その場ではっきりお答えします。

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