東大阪市加納|築13年 難付着サイディングをフッ素で塗装|剥がれない下塗りの選び方


「近所で足場が立つのをよく見かけるようになって、そろそろうちも順番かな、と思って」。東大阪市加納のお客様から最初にいただいたご相談は、そんな一言から始まりました。築13年。どこかが雨漏りしているわけでも、目に見えて塗装が剥がれているわけでもない。強いて言えば北側に少し苔が出ているくらいで、正直、慌てる状態ではありませんでした。
ところが現地で外壁に触れた瞬間、この家は普通の段取りでは塗ってはいけない家だと分かりました。濃いグレーの面だけ、築13年とは思えないつやが残っていたのです。難付着サイディング——塗料が密着しにくい特殊コーティングの外壁材でした。ここで下塗り材を間違えていたら、数年後に塗膜が面ごとめくれていたはずです。
結果として、外壁はフッ素樹脂塗料で塗り替え、専用の下塗りで密着を確保し、瓦棒屋根も同じ足場のうちに錆止めから3回塗りで仕上げました。工期は15日間、参考価格は134万円前後です。この記事は、その15日間の記録です。下地の見極めから完工まで、全工程を写真で公開します。
工事データ
| 施工エリア | 大阪府東大阪市加納 |
|---|---|
| 築年数 | 13年 |
| 建物 | 戸建住宅/窯業系サイディング外壁(一部 難付着サイディング)+瓦棒屋根(太陽光パネル設置) |
| 施工内容 | 外壁塗装・屋根塗装・シーリング補修・付帯部塗装 |
| 使用塗料 | 外壁:KFシェアルドF(フッ素/KFケミカル) 下塗り:水性パーフェクトシーラー(日本ペイント) 屋根:ファインパーフェクトベスト(日本ペイント) |
| 工期 | 15日間 |
| 保証 | 外壁10年/屋根5年 |
| 参考価格 | 134万円前後 ※同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際の金額は建物の大きさ・劣化状況・足場条件により変わります。 |
ご相談のきっかけは「周りが塗り始めたから」でした
加納は比較的新しい住宅が並ぶエリアです。同じ時期に建った家が多いということは、塗り替えの時期も揃うということ。ここ数年、近所で足場が立つ光景が増えてきて、それがきっかけでお問い合わせをいただきました。
最初にうかがったご不安は、大きく2つでした。ひとつは「本当に今やる必要があるのか」。もうひとつは「訪問営業の人が言うことがバラバラで、何を信じたらいいのか分からない」。どちらも、私たちが東大阪市でよくいただくご相談です。
私たちの答えはいつも同じで、まず建物を見せてくださいとお願いします。築年数だけで「もう危ない」とは言えませんし、逆に「まだ大丈夫」とも言えません。屋根に上がり、外壁に触れて、初めて判断できることがあるからです。この家の場合、まさにそれが結論を大きく左右しました。
現地調査で見つかった劣化
細かなクラック(ひび割れ)が出ていました

窯業系サイディングは、セメントと繊維質を板状に固めた建材です。素地のままでは水を吸うため、工場出荷の段階で表面に塗装がしてあります。この工場塗膜が効いているうちは水を弾きますが、紫外線を浴び続けると防水性が落ちていきます。
水を弾かなくなると、雨で吸って晴れで乾く、という伸縮を板が繰り返すようになります。その動きに耐えきれなくなった箇所が、細かなひび割れとして現れます。この段階なら塗装で十分に止められます。ただし反りや割れが進んで板そのものが変形してしまうと、塗装では対応できず張り替えになり、費用は塗装の3〜4倍に跳ね上がります。塗装は決して安い工事ではありませんが、張り替えを先送りできるという意味で、長い目で見ればもっとも安く家を守る方法です。
継ぎ目のシーリングが痩せて隙間ができていました

サイディングの板と板のあいだには、ゴム状のシーリング材が充填されています。この材料も紫外線で表面から硬化し、少しずつ痩せていきます。写真のように隙間が空くと、そこが雨水の入口になります。外壁の色がまだきれいでも、目地がこの状態なら塗り替えを考えるサインです。
北面には苔が出ていました

苔が生えるのは、外壁表面が湿気を抱えたままになっている証拠です。難付着サイディングは「汚れにくい」性能を持つ建材ですが、それは汚れがゼロという意味ではありません。日当たりと風通しの悪い面では、コーティングの性能が落ちてきた頃から確実に苔やカビが出てきます。
屋根はドローンで確認しました

屋根は瓦棒——金属板を縦の棒状の桟で留めていく、平屋根や緩勾配でよく使われる金属屋根でした。素材はトタンかガルバリウム鋼板のどちらかで、どちらにしても錆との勝負になる建材です。
この屋根には太陽光パネルがびっしり設置されていました。塗装できる面積は限られますが、パネルの周囲や端部は雨風にさらされ続けるため、放っておくと錆の起点になります。足場を組むこの機会に手を入れておく判断をしました。
難付着サイディングとは?普通のサイディングとの見分け方

今回の工事で、いちばん重要だった判断がここです。
難付着サイディングとは、表面に特殊なコーティングを施したサイディングボードのことです。コーティングの種類は、光触媒・親水性・無機・フッ素などいくつかあり、いずれも「汚れにくく、色あせしにくい」という性能を狙ったものです。2000年代後半以降の住宅で採用が広がりました。
現場で私たちが見ているポイントは、次の3つです。
- つやの残り方:築10年を超えているのに、光の当たり方で不自然なつやが残っている面がある
- チョーキングの有無:手でこすっても白い粉がほとんど付かない。一般的な塗膜は10年前後で必ず粉を吹きます
- 汚れ方の差:同じ家の中で、片方の面だけ雨だれ汚れが極端に少ない
この家は、白っぽいサイディングと濃いグレーのサイディングを組み合わせたツートンでした。そのうち濃いグレーの面だけが、築13年にしては明らかに光沢を保っていた。ここで「難付着だ」と気づけるかどうかが、この工事の分かれ道でした。
もうひとつ、お客様に必ずお伝えしていることがあります。難付着サイディングは「メンテナンス不要の壁」ではありません。汚れにくい、チョーキングしにくい、というだけで、劣化そのものは静かに進みます。目地のシーリングは同じように痩せますし、苔もひび割れも出ます。むしろ見た目で劣化が分かりにくいぶん、築10年前後で一度きちんと点検したほうがよい建材です。
なぜ専用の下塗りが必要?塗料が密着しない理由

難付着サイディングの表面コーティングは、汚れを寄せつけないために作られています。汚れが付かないということは、裏を返せば塗料も付きにくいということです。水を弾くフライパンに油が乗らないのと同じ理屈で、一般的なサイディング用の下塗り材を塗っても、塗膜が表面に食いつきません。
やっかいなのは、塗った直後は普通に仕上がってしまう点です。見た目にはきれいに色が乗る。不具合が出るのは1年後、2年後、あるいは3年後で、そのときには面ごと塗膜がめくれます。テープを剥がすように、下地のコーティングを境にきれいに剥離するのです。こうなると部分補修では直らず、全面を剥がしてやり直すしかありません。
だから難付着サイディングには、専用の下塗り材を使います。今回選んだのは日本ペイントの水性パーフェクトシーラー。難付着タイプの下地にも対応した下塗り材で、コーティング面と上塗り塗料のあいだをつなぐ役割を担います。

上塗りには、KFケミカルのKFシェアルドFを選びました。フッ素樹脂の塗料です。シリコンより単価は上がりますが、耐候性の差ははっきり出ます。もともと汚れにくい高性能な外壁材を使っている家に、10年で色あせるグレードの塗料を乗せてしまうのはもったいない。足場を組む回数をこの先何回減らせるかで考えると、フッ素は十分に元が取れる選択です。外壁10年保証をお付けしています。

屋根には日本ペイントのファインパーフェクトベストを採用しました。こちらはラジカル制御型で、屋根という過酷な条件でも色と艶の持ちが良い塗料です。金属屋根なので、下塗りは錆止めから入ります。
施工の全工程

1. シーリングの打ち替え

まず既存のシーリング材を撤去します。カッターで両サイドに切り込みを入れ、ペンチで引き抜きます。写真で青い部材が見えていますが、これはバックアップ材といって目地の奥に入っている下地です。これが見えるところまで撤去できていれば、古いシーリングが残っていない証拠になります。中途半端に古い材料を残したまま新しいものを重ねると、そこから剥がれてきます。

撤去した目地の両サイドにマスキングテープを貼り、仕上がりのラインを真っすぐ出します。そのうえで専用のプライマーを塗布します。プライマーは新しいシーリング材と下地を接着させる役割で、これを省くとどれだけ良い材料を使っても数年で剥がれます。独特のきつい匂いがしますが、乾けば収まります。

使う材料はノンブリードタイプの変性シリコンです。ブリードとは、シーリング材の中の可塑剤が経年で表面に染み出し、目地の上の塗膜が黒く汚れてくる現象のこと。安価な材料では起こりやすく、せっかく塗り替えた外壁に黒い筋が浮いてきます。私たちが打ち替えにノンブリードタイプしか使わないのは、この一点のためです。

充填したあとはヘラで押さえ、内部に空気が残らないようにします。マスキングテープを剥がして完了です。
2. サッシ廻りの補修(ここは撤去しません)

外壁の目地と違い、サッシ廻りのシーリングは撤去しません。増し打ちで補修します。
理由は下地の構造です。サッシ廻りには奥にスポンジ状のバックアップ材が入っており、シーリング材がそれと一体化していることがあります。無理に撤去するとスポンジまで引き出してしまい、かえって雨水の通り道を作ってしまう。戸建てで雨漏りがもっとも起きやすいのは、外壁と窓・玄関などの「取り合い」部分です。ここは触りすぎないことがリスク管理になります。
3. 高圧洗浄


シーリングを十分に乾燥させてから洗浄に入ります。順番は必ず上から下へ。屋根の塗装もあるので、この現場は屋根から洗いました。洗浄が甘いと、汚れや苔の上に塗料を乗せることになり、密着が落ちます。地味な工程ですが、塗膜の寿命に直結します。
4. 外壁の下塗り(難付着対応シーラー)


いよいよ下塗りです。シーラーは無色なので、塗っても色は変わりません。塗り残しが目視で分かりにくい工程なので、面ごとに区切りながら順序を決めて進めます。ここを丁寧にやることが、この工事の成否そのものでした。
5. 外壁の中塗り・上塗り

中塗りから色が乗ります。白っぽく見えている部分が、中塗りを終えた壁です。

上塗りは中塗りとまったく同じ材料・同じ色で塗ります。同じ色を重ねるということは、塗り残しが色の違いで判別できないということです。だからこそ、面の区切りと順序を決めて慎重に作業します。下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りで、ようやく設計どおりの膜厚になります。
6. 屋根の錆止め・塗装

瓦棒は金属屋根なので、下塗りには錆止めを選びました。写真の白っぽい箇所が錆止めを入れたところです。金属の塗装で錆止めを省くと、上塗りがどれだけ高性能でも下から錆が持ち上がってきます。


錆止めが乾いてから、外壁と同じく中塗り・上塗りの合計3回塗りで仕上げます。太陽光パネルの下は塗れませんが、周囲と端部はしっかり塗り込みました。屋根には5年保証をお付けしています。
7. 付帯部塗装と仕上げ

付帯部とは、外壁と屋根以外で塗装できる箇所の総称です。雨樋、シャッターボックス、水切り、庇など。ここが塗られていないと、外壁がどれだけきれいでも仕上がり全体が締まりません。付帯部を終えたら清掃とタッチアップを行い、塗装工事は完了です。
東大阪市加納という土地で、私たちが気にしていること

加納は東大阪市の東部、恩智川や第二寝屋川に近い平坦な住宅地で、比較的新しい戸建てが並ぶエリアです。だからこそ、この地域には特有の事情があります。
ひとつは、築年数が揃っているということ。同じ時期に開発された区画では、外壁の傷み方も同じように進みます。近所で足場が立ち始めたら自分の家も同じ時期だと考えていい、というのは実は理にかなっています。
もうひとつは、難付着サイディングが多い年代の家が集中していること。特殊コーティングのサイディングが普及したのは2000年代後半以降で、いま築12〜18年を迎えている家がちょうどその世代です。加納で外壁塗装を検討されている方は、自分の家がそのタイプかどうかを最初に確認してください。ここを飛ばして工事に入ると、数年後の剥離という形で必ず表に出てきます。
そして、東大阪市は訪問営業の多いエリアでもあります。私たちは大阪市平野区に拠点を置いており、加納までは車で20分ほど。飛び込みで回るのではなく、点検のご依頼をいただいてから伺うようにしています。
完工の日
15日間の工事を終えて足場を解体した日、お客様が最初におっしゃったのは「思っていたより色が濃く見えるね」という感想でした。同じ色でも、足場とメッシュシート越しに見るのと、遮るものがなくなってから見るのとでは印象が変わります。日が高くなるにつれてつやが出てきて、そこでようやく「ああ、こんなに違うのか」と笑っていただけました。
この家の外壁は、塗り替えの前も決してぼろぼろではありませんでした。近所の人が見ても、まだ塗らなくていいのでは、と思われたかもしれません。それでも私たちは、この家は今が適期だったと考えています。ひび割れが塗装で止められる段階にあり、シーリングが痩せきる前で、金属屋根に錆が出る前だったからです。手遅れになる前に手を打てた工事は、写真のインパクトこそ地味ですが、いちばん費用対効果の高い工事です。
よくあるご質問
難付着サイディングかどうか、自分で見分けられますか?
完全に判断するのは難しいですが、目安はあります。築10年前後なのに表面につやが残っている、手で触ってもチョーキング(白い粉)がほとんど付かない、雨だれの汚れが少ない。この3つが揃うときは難付着タイプの可能性が高いです。ただし同じ家でも面によって建材が違うことがあるので、最終的には建築時の仕様書と現地での確認を合わせて判断します。私たちは無料の現地調査でここまで見ます。
普通の下塗り材で塗ったら、どうなりますか?
その場では問題なく塗れてしまうのが厄介なところです。不具合が出るのは数年後で、面単位でぺろりと塗膜がめくれたり、テープを剥がすように剥離したりします。こうなると上から塗り足しても直りません。全面を剥がしてやり直すことになり、費用も工期も最初の工事以上にかかります。だからこそ下塗り材の選定は最初の一回で外せない工程です。
難付着サイディング用の下塗りにすると、費用は高くなりますか?
下塗り材そのものの単価は一般的なシーラーより上がります。ただ工事全体で見ると差は数万円の範囲に収まることがほとんどで、総額を大きく押し上げるものではありません。剥離してやり直すリスクと比べれば、確実に安い保険です。お見積りでは下塗り材の商品名まで明記しますので、何にいくらかかっているか確認していただけます。
瓦棒屋根も外壁と一緒に塗ったほうがいいですか?
足場を組むタイミングが揃うなら、一緒にされることをおすすめします。屋根だけ後から塗ると足場代がもう一度必要になり、その分だけ割高です。瓦棒はトタンかガルバリウム鋼板の金属屋根なので、錆が出る前に錆止めを入れておくと寿命が伸びます。ただし屋根の状態によっては塗装ではなくカバー工法が適切な場合もあるので、調査のうえで正直にお伝えします。
屋根に太陽光パネルが載っていても塗装できますか?
できます。この工事もパネルが屋根の大部分を覆っている状態でした。パネルの下や周囲は塗れないため、塗装できる面積は減ります。その分は正直にお見積りへ反映します。パネルを一時的に外して塗る方法もありますが、脱着費用と電気工事が別途必要になるため、費用対効果を見てご相談のうえ決めています。
「そろそろかな」と思ったら、それが適期かもしれません

最初のご相談は、「近所で足場が立つのをよく見かけるようになって」という一言でした。慌てるほどの状態ではなかったけれど、現地で触ってみて初めて、この家は下塗り材を間違えてはいけない家だと分かった。難付着サイディングは、そういう建材です。見た目がきれいなことが、そのまま「まだ大丈夫」を意味しません。
15日間かけて、専用の下塗りで密着を確保し、フッ素樹脂塗料で外壁を、錆止めから3回塗りで屋根を仕上げました。参考価格は134万円前後。これから10年、この家は塗り替えのことを考えなくて済みます。
東大阪市加納で、あるいは東大阪市のどこかで「そろそろかな」と感じておられるなら、まず一度見せてください。今すぐ塗るべきか、まだ数年待てるか。私たちは、どちらの場合も正直にお伝えします。
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