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大阪市平野区|築11年サイディングのシーリングをオートンイクシードで打ち替え|高耐久シーリング材の選び方と全工程

BEFORE 施工前
施工前の外壁。築11年の窯業系サイディングで塗膜の色あせは軽度、目地のシーリングが硬くなっていた状態
AFTER 施工後
施工後の外壁全景。アイボリーの窯業系サイディングとこげ茶のアクセント壁を塗り替え、目地はオートンイクシードで打ち替えた大阪市平野区の2階建て住宅


施工前の外壁。築11年の窯業系サイディングで塗膜の色あせは軽度、目地のシーリングが硬くなっていた状態
施工前の外壁。築11年の窯業系サイディングで塗膜の色あせは軽度、目地のシーリングが硬くなっていた状態
打ち替えに使用した高耐久シーリング材オートンイクシードの缶
打ち替えに使用したオートンイクシード。2つの液を混ぜ合わせて使うタイプの材料です
スレート屋根の高圧洗浄。表面に付着した汚れと苔を洗い流している様子
屋根の高圧洗浄。塗料を密着させるため、表面の汚れと苔をすべて落とします
窯業系サイディング外壁の高圧洗浄。旧塗膜表面のチョーキング粉と汚れを落としている様子
外壁の高圧洗浄。旧塗膜表面の粉化した層を落としてから塗装に入ります
雨樋まわりの高圧洗浄。樋の内部に溜まった土砂や落ち葉も洗い流している様子
雨樋の内側まで洗浄。足場があるうちにしかできない作業です
ベランダ床面の高圧洗浄。防水層を傷めないよう水圧を加減しながら洗っている様子
ベランダ床も洗浄。防水層を傷めない水圧に落として当てます
軒天と外壁の取り合い部にマスキングテープで養生を施した状態
塗り分けの境目は、養生の精度がそのまま仕上がりに出ます
シーリング工事に入る前、窓まわりの目地に沿ってマスキングテープを貼った状態
シーリングを打つ前の養生。テープの通りが、そのまま目地の直線になります
オートンイクシードで打ち替えを終えた出隅の縦目地。表面がまっすぐ均一に仕上がっている状態
打ち替え後の縦目地。オートンイクシードを充填し、ヘラで押さえて仕上げました
エアコンダクトカバーと換気フードまわりの貫通部にシーリングを施した状態
配管やダクトが壁を貫く「貫通部」。目地と同じくらい雨水が入りやすい場所です
窯業系サイディング外壁の下塗り。入隅部分をローラーで塗り込んでいる様子
外壁の下塗り。上に重ねる塗料の密着を確保する工程です
外壁の中塗り。ローラーで塗料を均一に伸ばしている様子
外壁の中塗り。同じ塗料を規定量、二度に分けて重ねます
外壁の上塗り。塗り重ねてツヤが出た壁面の様子
上塗り後。塗料が乾く前は、濡れたようなツヤが出ます
こげ茶のアクセント壁の塗装。ローラーで濃色を塗り重ねている様子
アクセントに使ったこげ茶の壁。濃色は塗りムラが出やすいので慎重に重ねます
軒樋の塗装。ローラーで塗料を塗り重ねている様子
雨樋の塗装。紫外線で硬くなるため、外壁と一緒に塗っておきます
縦樋の塗装。足場の上から刷毛とローラーで塗り重ねている様子
縦樋も同じ色で塗装。付帯部は必ず2回以上重ねます
庇(ひさし)の鉄部塗装。錆止めを塗ったうえからローラーで上塗りしている様子
庇の鉄部。錆止めを入れてから仕上げ塗料を重ねます
水切りの塗装。刷毛で細部を塗り込んでいる様子
水切りは幅の狭い鉄部。刷毛で丁寧に入れていきます
スレート屋根の重なり部分に挿入したタスペーサー。塗膜で塞がる隙間を確保している状態
タスペーサーを挿入。塗膜で塞がった水の逃げ道を確保する部材です
スレート屋根の塗装。ローラーで青色の塗料を塗り重ねている様子
屋根の塗り重ね。1枚ずつローラーを往復させて塗り込みます
スレート屋根の塗り重ね。ムラを消しながら青色を均一に仕上げている様子
塗り重ねの2回目。色ムラを消しながら均一にしていきます
塗装が完了した青色のスレート屋根の全景
屋根塗装が完了。スレートの重なりも一枚ずつ塗り込んでいます
施工後の外壁全景。アイボリーの窯業系サイディングとこげ茶のアクセント壁を塗り替え、目地はオートンイクシードで打ち替えた大阪市平野区の2階建て住宅
施工後の外壁全景。アイボリーの窯業系サイディングとこげ茶のアクセント壁を塗り替え、目地はオートンイクシードで打ち替えた大阪市平野区の2階建て住宅

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「見積書の、シーリングのところだけ他社さんと金額が違うんです」

大阪市平野区のお客様から最初にいただいたご質問は、この一言でした。ハウスメーカーの10年点検をきっかけに「どうせ直すなら早めに」と数社へ声をかけられた段階でのお問い合わせです。築11年の窯業系サイディング。壁の色あせはまだ軽く、遠目には傷んでいるようには見えません。それでも目地に指を当てると、シーリングははっきりと硬くなっていました。

金額差の正体は、シーリング材の種類でした。当社の見積書に書いてあったのはオートンイクシード。オート化学工業が製造している、高耐久タイプのシーリング材です。一般的な変成シリコーン系よりも材料の単価が高く、その分だけ見積もりの数字が上がります。

「良いものを入れておきました」で済ませたくなかったので、なぜこの材料を提案したのか、そしてこのお家に本当に必要なのかを、その場で一つずつご説明しました。この記事は、そのときお話しした内容と、実際の3週間の工事記録をまとめたものです。

外壁塗装・屋根塗装・シーリング打ち替え・ベランダ防水トップコートまで含めて、同等の内容を現在の価格でお見積りすると187万円前後(税込)になります。全23枚の写真とあわせてご覧ください。

工事データ

施工エリア 大阪府大阪市平野区
築年数 11年
建物 2階建て戸建て住宅/窯業系サイディング+スレート屋根
劣化状況 塗膜の状態は比較的良好。目地のシーリングに硬化あり
施工内容 外壁塗装/屋根塗装/シーリング打ち替え/ベランダ防水トップコート
使用材料 シーリング:オートンイクシード(オート化学工業)
外壁:KFワールドセラグランツW
屋根:KFワールドセラルーフ
工期 3週間
保証 外壁10年/屋根10年
参考価格 187万円前後(税込)
同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。建物の大きさ・足場の条件・目地の総延長によって変動します。

オートンイクシードとは?なぜ「高耐久シーリング材」と呼ばれるのか

高耐久シーリング材の特徴として可塑剤を含まない設計、柔軟性の維持、防水性を示した図解
シーリングは外壁より先に傷みやすい防水部材です

オートンイクシードは、オート化学工業株式会社が販売している変成シリコーン系のシーリング材です。ホームセンターで売られている一般的なコーキング材と外見はよく似ていますが、位置づけとしては「外壁の目地を長くもたせること」に特化した上位グレードの材料にあたります。

打ち替えに使用した高耐久シーリング材オートンイクシードの缶
打ち替えに使用したオートンイクシード。2つの液を混ぜ合わせて使うタイプの材料です

ポイントは「可塑剤を含まない」という設計

シーリング材が年月とともに硬くなったり、やせて縮んだりする原因のひとつが可塑剤(かそざい)です。可塑剤は、材料をやわらかく保つために配合される成分。ところがこの成分は、時間が経つと材料の中から少しずつ外へ抜け出していきます。抜けた分だけ材料はやわらかさを失い、硬くなり、体積が減って縮む。これが「シーリングがやせる」「割れる」という現象の背景にあります。

オートンイクシードは、メーカーの公表資料によればこの可塑剤を配合しない設計になっており、代わりに独自成分を用いることで柔軟性を保つとされています。抜けていく成分がそもそも入っていなければ、硬化やヤセが起きにくい――というのが「高耐久」と呼ばれる理由の中心です。

実際、今回のお家でも打ち替え時に既存のシーリングを触っていただきましたが、11年経った一般的な材料はゴムというより硬いプラスチックに近い手触りになっていました。この変化が遅い、というのがこの材料に期待している性質です。

「何年もちます」とは言えない理由

ここは正直にお伝えしておきたいところです。メーカーは促進耐候性試験(試験機の中で紫外線や熱・水を集中的に当て、屋外での劣化を短時間で再現する試験)の結果をもとに、長期の耐候性を公表しています。ただしそれは試験室で得られた数値をもとにした目安であり、実際の建物で何年もつかを約束するものではありません。

同じ材料でも、南面と北面では紫外線の量がまったく違います。目地の幅、動きの大きさ、下地の状態、そして施工の丁寧さによっても結果は変わります。ですから当社では「◯年もちます」という言い方はしません。「同じ条件なら、一般的な材料より長く柔軟性を保つことが期待できる材料です」という説明にとどめています。これが誠実な線引きだと考えています。

普通のシーリング(変成シリコーン)と何が違う?

普通のシーリングと高耐久シーリングの違いを耐久性や打ち替え周期で比較した図解
材料名だけでなく、施工方法と塗料との相性まで確認します

お客様から一番多くいただく質問がこれです。整理すると、違いは大きく3つに分かれます。

1. 耐久性の考え方が違う

一般的な変成シリコーン系のシーリング材も、決して悪い材料ではありません。むしろ外壁の目地では最も標準的に使われ、実績も豊富です。ただし前述のとおり、可塑剤を含むタイプは時間とともに成分が抜けて硬化していく前提の材料です。一方でオートンイクシードは、その前提そのものを設計から外している。「劣化のスピードが遅い」のではなく「劣化の主要因を減らしている」という違いだと理解していただくのが近いと思います。

2. 価格が違う

材料の単価は、一般的な変成シリコーン系よりも上がります。シーリング工事は見積書では通常「1メートルあたりいくら」という単価で計上されるので、目地の総延長が長い家ほど、材料グレードの差が金額差として大きく効いてきます。今回のお客様が他社見積もりとの差に気づかれたのも、まさにこの部分でした。

※シーリング工事のメートル単価は、業界で一般的に言われている目安が出回っていますが、当社の見積金額を示すものではありません。目地の幅・深さ・撤去の難易度・足場の有無で変わりますので、実際の金額は現地調査後のお見積りでご確認ください。

3. 打ち替えの周期の考え方が違う

ここが実務的には一番大きな違いです。一般的なシーリング材の場合、外壁塗装のたびに目地も打ち替える、というのが標準的な進め方になります。塗り替えのサイクルとシーリングの寿命がおおむね近いからです。

高耐久タイプを選ぶと、この関係が変わる可能性があります。次の塗り替えのときにシーリングがまだ健全であれば、その回の打ち替えを見送れるかもしれない。そうなると、材料でかかった上乗せ分を、次回の工事費で取り戻せる計算になります。ただし「必ずそうなる」とは言えません。次回の判断は、そのときの目地の状態を見てから決めることになります。

なぜシーリングの寿命は、塗膜より先に来るのか

サイディングのお家を長く見ていると、ある傾向に気づきます。壁そのものより先に、目地が音を上げるのです。今回のお家がまさにそうでした。築11年で塗膜の色あせはごく軽度。それでも目地は硬化していました。

理由は3つあります。

1つ目は、シーリングだけが「動いている」から。サイディングは温度で伸び縮みします。夏の日射で温まれば膨らみ、冬の朝には縮む。その差を吸収しているのが目地のシーリングです。板そのものは動きを受け止めるだけですが、シーリングは毎日、伸ばされては戻されるという運動を繰り返しています。ゴムを何度も曲げ伸ばしすれば劣化するのと同じで、動く部材は動かない部材より先に疲れます。

2つ目は、断面がむき出しだから。塗膜は壁の表面に薄く広がっていますが、シーリングは幅1cmほどの帯として、厚みごと外気にさらされています。紫外線も雨も、この細い帯に集中的に当たり続けます。

3つ目は、そこが唯一の「継ぎ目」だから。サイディングの板自体は水を通しませんが、板と板のあいだには必ず隙間があります。その隙間を塞いでいるのがシーリングだけ。ここが切れれば、雨水は素直に内側へ入っていきます。サイディングの家はシーリングから傷むと言われるのは、この構造上の宿命によるものです。

もうひとつ、意外と意識されないのが目地の総延長です。窯業系サイディングは既製の板を貼り合わせて壁をつくるため、板の枚数だけ継ぎ目が生まれます。一般的な2階建て住宅でも、縦目地・横目地・サッシまわり・出隅入隅をすべて足すと、目地の合計はかなりの長さになります。壁の面積のうち、ごく細い帯の部分だけが防水を一手に引き受けている――サイディングの家の構造を一言で言うなら、こういうことになります。

つまり外壁塗装工事において、塗料のグレードを一段上げるのと同じくらい、あるいはそれ以上に、「一番早く傷む場所」を強化することには意味があるということになります。今回のお客様に、シーリング材のグレードだけ上げるご提案をしたのも、この考え方によるものです。

なお、打ち替えと増し打ちの使い分けや、目地の劣化サインをご自宅で見分ける方法については、こちらの記事で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。

高耐久シーリングにすると、何が変わる?

お客様にご説明したのは、次のような考え方です。

塗り替えを10年前後の周期で行うと仮定すると、一般的なシーリング材ならその都度、打ち替えが発生します。20年で2回、30年で3回。工事のたびに撤去と充填の手間がかかり、そのつど費用が乗ります。

ここで目地の材料だけ高耐久タイプにしておくと、次の塗り替えのタイミングでシーリングがまだ使える状態である可能性が出てきます。もしそうなれば、その回は外壁と屋根の塗装だけで済み、打ち替え1回分をまるごと省ける。長い目で見たときのコストの出方が変わってくるわけです。

ただし、繰り返しになりますがこれは「可能性」であって「確約」ではありません。次回の工事のときに現物を見て、切れている・やせている箇所があれば、そこは打ち替えます。「高いものを入れたから次はやらなくていい」という話ではないことは、契約前にはっきりお伝えしています。

正直に書きます。オートンイクシードのデメリットと注意点

高耐久シーリングの注意点として材料費、必要性、塗料との相性、施工管理、職人の丁寧さを示した図解
高耐久材でも、雑に施工すれば長持ちしません

ここまでの説明だけ読むと「では全部これにすればいい」と思われるかもしれません。実際にはそうでもありません。当社が現場でお伝えしている注意点を並べます。

1. 材料費が上がる

もっとも分かりやすいデメリットです。目地の総延長が長い建物ほど差は大きくなります。総額の上がり方を見て「そこまでは要らない」と判断されるお客様もいらっしゃいますし、それは十分に合理的な選択です。

2. どんな家でも必要とは限らない

これが一番大事なところだと思っています。たとえば――

  • あと10年ほどで建て替えや売却を考えているお家。20年先を見据えた材料にコストをかける意味は薄くなります。
  • 目地の総延長が短い建物。差額が小さければ迷う余地はありませんが、逆に効果として実感できる幅も小さくなります。
  • モルタル外壁のお家。目地がそもそも存在しないため、シーリングの主戦場はサッシまわりなどに限られます。
  • すでに雨漏りが起きている、板の反りが進んでいるお家。この場合、優先すべきは材料のグレードより、原因の特定と下地の処置です。

当社では、上のようなケースで一般的な変成シリコーン系をご提案することもあります。高い材料を勧めることが親切なのではなく、そのお家に合う材料を選ぶことが仕事です。

3. 塗料との相性・ノンブリード性の確認が要る

シーリングの上から塗装をする場合、材料の成分が塗膜に移行して、目地の部分だけ黒っぽく汚れが目立つ「ブリード汚染」が起きることがあります。これを防ぐのがノンブリードタイプと呼ばれる仕様です。オートンイクシードはノンブリードタイプとして案内されていますが、実際の工事では使う塗料との組み合わせを事前に確認することが欠かせません。「高耐久だから何でも大丈夫」ではないという点は、施工する側の責任として押さえておくべきところです。

4. 2液を混ぜて使うタイプ特有の手間がある

オートンイクシードは、主剤と硬化剤の2つを混ぜ合わせてから使う「2成分形」の材料です。カートリッジをそのままガンに差して打てる1成分形と違い、現場で計量して混ぜ、練り上げる工程が入ります。混ぜ方が不十分だと硬化にムラが出ますし、混ぜてから使い切るまでの時間にも制限があります。

お客様の側から見れば直接のデメリットではありませんが、その手間を織り込んだ工程を組める会社かどうかは、実は無視できないポイントです。「急いで仕上げてほしい」というご要望と、この材料の性質は必ずしも相性がよくありません。今回の工期が3週間になっているのも、こうした工程を無理なく収めた結果です。

5. 施工の丁寧さで結果が変わる

これはどのシーリング材にも言えることですが、高耐久タイプほど材料に見合った施工をしないと持ち味が出ません。既存のシーリングをきちんと撤去できているか。目地の内部が乾いているか。プライマーが全面に塗れているか。空気を巻き込まずに充填できているか。仕上げのヘラ押さえで、材料が両側の面にしっかり密着しているか。

手を抜いた工程がひとつでもあれば、材料が何であれ数年で剥離します。材料の性能は、施工の上限を引き上げるものであって、施工の不足を埋めるものではありません。

築11年でシーリングを打ち替えるのは、早すぎない?

今回のお客様も、この点を気にされていました。「まだ11年ですよね」と。

結論から言うと、サイディングのお家では11年はむしろ標準的なタイミングです。理由は前述のとおりで、目地は建物の中で最も早く傷む部位だからです。塗膜の色あせを基準に「まだいける」と判断すると、目地の劣化を見落とすことになります。

そしてもうひとつ、工事の段取り上の理由があります。シーリングの打ち替えには足場が要るということです。2階の目地を打ち替えるには足場を組まなければならず、足場は工事費の中でも小さくない割合を占めます。塗装のときには必ず足場を組みますから、塗り替えと同じタイミングでシーリングをやるのが、費用面でも合理的ということになります。

逆に言えば、「シーリングだけ気になるから、そこだけ直したい」というご相談は、足場代が丸ごと乗ってしまうため割高になりがちです。今回のように10年点検をきっかけに全体を一度に整える進め方は、無駄が少ないと思います。

平野区という土地で考えたこと

平野区は大阪市の中でも住宅と工場が近い距離で混在しているエリアで、幹線道路沿いや加美・長吉方面には工業系の用途地域が広がっています。住宅地は敷地が詰まっているところが多く、隣家との距離が近い区画も少なくありません。

こうした環境で外壁塗装をするとき、当社が気にしているのは次の2点です。

ひとつは汚れの付き方。交通量の多い道路に面したお家では、排気由来のすすや粉じんが壁に付着しやすくなります。ただし「平野区だから外壁が早く傷む」と断定できるようなデータを当社が持っているわけではありません。あくまで、現地で壁を見て判断する材料のひとつとして見ています。今回のお家は住宅地の中にあり、洗浄前の外壁は年数相応の汚れ方でした。

もうひとつは足場と作業スペース。隣家が近いと、足場を組める幅が限られ、シーリングの撤去作業のような細かい手作業がやりにくくなります。今回は幸い足場をしっかり組める条件だったため、目地の一本一本に正面から向き合うことができました。

そしてもう1点、これは平野区に限った話ではありませんが、ハウスメーカーで建てたお家の10年点検をきっかけにご相談をいただくケースが増えています。今回もそうでした。点検の結果を持ってこられて、「これは今やるべきなのか、まだ待てるのか」を第三者の目で見てほしい、というご依頼です。点検で指摘された内容を否定するつもりはまったくありませんが、同じ状態を見ても、優先順位のつけ方は会社によって変わります。複数の見方を並べたうえでご自身で決められるのが一番だと思います。

平野区での工事の進め方や近隣配慮については、地域別のガイド記事にもまとめています。この記事の下部にリンクを置いていますので、あわせてご覧ください。

施工の全工程|3週間の記録

高圧洗浄、養生、シーリング打ち替え、外壁塗装、付帯部塗装、屋根塗装の施工工程図
シーリングを先に打ち替え、塗膜で紫外線から守る流れです

ここからは実際の工事の流れです。撮影した写真のうち、この現場のものと確認できたものだけを掲載しています。なお今回は、シーリングの撤去中とプライマー塗布中の写真が残っておらず、養生・打ち替え後・貫通部の3カットでのご紹介になります。工程としては撤去とプライマーを飛ばしていませんが、記事に載せられる写真がない部分については、その旨を明記しておきます。

【1】高圧洗浄|屋根・外壁・雨樋・ベランダ床

工事はまず洗浄から始まります。塗料は汚れた面には密着しません。苔や藻、粉状に劣化した旧塗膜を落としきってから、はじめて塗装に入れます。

スレート屋根の高圧洗浄。表面に付着した汚れと苔を洗い流している様子
屋根の高圧洗浄。塗料を密着させるため、表面の汚れと苔をすべて落とします
窯業系サイディング外壁の高圧洗浄。旧塗膜表面のチョーキング粉と汚れを落としている様子
外壁の高圧洗浄。旧塗膜表面の粉化した層を落としてから塗装に入ります
雨樋まわりの高圧洗浄。樋の内部に溜まった土砂や落ち葉も洗い流している様子
雨樋の内側まで洗浄。足場があるうちにしかできない作業です
ベランダ床面の高圧洗浄。防水層を傷めないよう水圧を加減しながら洗っている様子
ベランダ床も洗浄。防水層を傷めない水圧に落として当てます

ベランダの床は防水層があるため、外壁と同じ水圧で当てると層を傷めることがあります。ここだけは圧を落として洗います。逆に雨樋の内側は、足場があるこのタイミングでしか手が入りません。土砂や落ち葉を流しておくと、詰まりのリスクが減ります。

【2】養生|塗らない場所を守る

軒天と外壁の取り合い部にマスキングテープで養生を施した状態
塗り分けの境目は、養生の精度がそのまま仕上がりに出ます

地味な工程ですが、仕上がりの印象を決めるのはここです。テープが波打っていれば、塗り上がった線も波打ちます。

【3】シーリング工事|今回の主役

シーリングの打ち替えは、既存材の撤去 → 清掃 → 養生 → プライマー塗布 → 充填 → ヘラ押さえ → テープ除去という順で進みます。撤去のときにカッターを入れる深さ、プライマーを塗り残さないこと、充填時に空気を巻き込まないこと。どれも派手さはありませんが、この積み重ねが材料の性能を引き出します。

シーリング工事に入る前、窓まわりの目地に沿ってマスキングテープを貼った状態
シーリングを打つ前の養生。テープの通りが、そのまま目地の直線になります
オートンイクシードで打ち替えを終えた出隅の縦目地。表面がまっすぐ均一に仕上がっている状態
打ち替え後の縦目地。オートンイクシードを充填し、ヘラで押さえて仕上げました
エアコンダクトカバーと換気フードまわりの貫通部にシーリングを施した状態
配管やダクトが壁を貫く「貫通部」。目地と同じくらい雨水が入りやすい場所です

見落とされがちなのが貫通部です。エアコンの配管、換気フード、給排気口。壁を貫いている部分はどうしても隙間ができやすく、しかも板の継ぎ目ではないため「目地」として意識されにくい。ここが切れていて雨水が入っていた、という現場は珍しくありません。今回も目地と同じ材料で処理しました。

【4】外壁塗装|下塗り・中塗り・上塗り

使用したのはKFワールドセラグランツW。外壁は2色構成で、メインはアイボリー系の明るい色、こげ茶をアクセントとして使っています。

窯業系サイディング外壁の下塗り。入隅部分をローラーで塗り込んでいる様子
外壁の下塗り。上に重ねる塗料の密着を確保する工程です
外壁の中塗り。ローラーで塗料を均一に伸ばしている様子
外壁の中塗り。同じ塗料を規定量、二度に分けて重ねます
外壁の上塗り。塗り重ねてツヤが出た壁面の様子
上塗り後。塗料が乾く前は、濡れたようなツヤが出ます
こげ茶のアクセント壁の塗装。ローラーで濃色を塗り重ねている様子
アクセントに使ったこげ茶の壁。濃色は塗りムラが出やすいので慎重に重ねます

【5】付帯部塗装|雨樋・庇・水切り

外壁と屋根だけを塗って付帯部を残すと、そこだけ古びて見えます。今回は雨樋・庇・水切りまで塗装しました。鉄部には必ず錆止めを入れてから仕上げます。

軒樋の塗装。ローラーで塗料を塗り重ねている様子
雨樋の塗装。紫外線で硬くなるため、外壁と一緒に塗っておきます
縦樋の塗装。足場の上から刷毛とローラーで塗り重ねている様子
縦樋も同じ色で塗装。付帯部は必ず2回以上重ねます
庇(ひさし)の鉄部塗装。錆止めを塗ったうえからローラーで上塗りしている様子
庇の鉄部。錆止めを入れてから仕上げ塗料を重ねます
水切りの塗装。刷毛で細部を塗り込んでいる様子
水切りは幅の狭い鉄部。刷毛で丁寧に入れていきます

【6】屋根塗装|タスペーサーによる縁切り

スレート屋根の塗装で必ず必要になるのが縁切りです。スレートは重なり合って葺かれており、その重なりのわずかな隙間から、内部に入った水が排出される仕組みになっています。塗装するとこの隙間が塗膜で塞がり、水の逃げ道がなくなる。結果として、雨漏りにつながることがあります。

それを防ぐために、重なり部分にタスペーサーという小さな部材を差し込み、隙間を確保します。

スレート屋根の重なり部分に挿入したタスペーサー。塗膜で塞がる隙間を確保している状態
タスペーサーを挿入。塗膜で塞がった水の逃げ道を確保する部材です
スレート屋根の塗装。ローラーで青色の塗料を塗り重ねている様子
屋根の塗り重ね。1枚ずつローラーを往復させて塗り込みます
スレート屋根の塗り重ね。ムラを消しながら青色を均一に仕上げている様子
塗り重ねの2回目。色ムラを消しながら均一にしていきます
塗装が完了した青色のスレート屋根の全景
屋根塗装が完了。スレートの重なりも一枚ずつ塗り込んでいます

屋根はKFワールドセラルーフで、鮮やかな青に仕上げました。ベランダは防水層のトップコートを塗り直しています。

費用と保証について

今回の工事は、外壁塗装・屋根塗装・シーリング打ち替え・ベランダ防水トップコートを含んだ内容です。同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安は187万円前後(税込)。保証は外壁10年、屋根10年としています。

金額は、建物の大きさ、足場を組む条件、目地の総延長、付帯部の量によって大きく変わります。同じ「30坪の2階建て」でも、隣家との距離が近くて足場に手間がかかる区画と、四方に余裕がある区画では条件が違います。この記事の金額はあくまで一例とお考えください。

よくあるご質問

Q1. オートンイクシードを使えば、次の塗り替えでシーリングは打ち替えなくていいのですか?

「打ち替えを省ける可能性がある」というのが正確な答えです。次の塗り替えのときに目地の状態を確認し、切れやヤセ、剥離が見られなければ、その回の打ち替えを見送るという判断はあり得ます。ただし目地の状態は方位や環境で差が出ますから、南面だけ打ち替えて北面は残す、といった部分対応になることもあります。点検してから決める、というのが実務的な進め方です。

Q2. 一部の目地だけオートンイクシードにする、という使い方はできますか?

技術的には可能ですが、当社ではあまりおすすめしていません。材料が混在すると、次回の点検時にどこがどの材料か分からなくなり、判断が難しくなるためです。また異なる材料同士が接する箇所では、相性の確認も必要になります。やるなら建物全体で統一するほうが、後々の管理がすっきりします。日当たりの厳しい面だけ強化したい、というご希望がある場合は、現地でご相談ください。

Q3. 前の工事で使われたシーリング材が何だったか、見て分かりますか?

外から見るだけで銘柄まで特定するのは困難です。ただし撤去してみると、手触りや切れ方でおおよその見当はつきます。硬くなってポキポキ折れるように切れるもの、逆にべたつきが残るもの、板から素直に剥がれるもの。前回の工事の記録が残っていれば一番確実ですので、保証書や見積書が残っていればお見せいただくと助かります。今回のお客様はハウスメーカーの書類をお持ちだったため、そこから遡って確認できました。

Q4. シーリングを打ち替えた直後に、雨が降っても大丈夫ですか?

充填した直後は表面が固まっていないため、雨が当たると表面が荒れたり、水滴の跡が残ったりすることがあります。そのため当社では、天気予報を見ながら打つ面と日程を組み替えています。表面が乾いたあとであれば、雨で流れるようなことはありません。工事中に急な雨が降った場合、作業を中断することがありますが、これは工程を守るための判断ですのでご了承いただければと思います。

Q5. 見積書のどこを見れば、シーリング材のグレードが分かりますか?

「シーリング工事 一式」とだけ書かれている見積書では、材料も工法も判別できません。確認したいのは3点です。(1)材料名または製品名が書かれているか。(2)「打ち替え」か「増し打ち」かが明記されているか。(3)数量がメートル単位で入っているか。この3つが揃っていれば、他社の見積書と横並びで比べられます。書かれていない場合は、遠慮なく質問してください。答えられない業者はその時点で判断材料になります。

おわりに

足場のシートが外れた日、お客様は道路を渡って少し離れた位置からお家を眺め、それからこう言われました。

「なるほど、この線が長持ちするわけですね」

指さしておられたのは、壁の色でも屋根の青でもなく、まっすぐ通った目地の線でした。見積書で「他社さんと金額が違う」と気にされていたあの一行が、工事が終わってみれば、家の中で一番先に傷む場所を守る一行だったということです。

もっとも、すべてのお家にこの材料が必要だとは思っていません。あと何年その家に住むのか、目地がどれだけあるのか、いま何が起きているのか。それによって、正解は変わります。大事なのは「高いものを入れたかどうか」ではなく、「なぜそれを選んだのか説明できるかどうか」だと考えています。

見積書のシーリングの行が気になっている方、築10年前後でそろそろかなと感じておられる方。お家の写真を送っていただければ、無料で状態を診断し、いま打ち替えるべきか、まだ待てるかを正直にお伝えします。

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