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大阪市平野区|築16年サイディングの柄を残すクリヤー塗装|できる条件とできない壁の見分け方

BEFORE 施工前
大阪市平野区 築16年サイディング外壁の施工前全景 ベージュの柄壁とブラウンのタイル調
AFTER 施工後
クリヤー塗装でタイル調の柄を残したまま仕上げた施工後の全景

「このタイルの柄だけは、消したくないんです」

大阪市平野区のお客様から最初にいただいたご相談は、この一言から始まりました。築16年の窯業系サイディング。ベージュの縦ライン柄が壁の大部分を占め、玄関まわりと建物のコーナーだけ、深いブラウンのタイル調が入っています。新築のときに悩んで決めた組み合わせだそうです。

ところが北側には苔が広がり、目地のシーリングは細かく切れかけていました。同じ築年数のご近所が次々と足場を組んでいるのを見て、「うちもそろそろか」と思われたとのことでした。塗り替えが必要なことは、ご本人もわかっておられた。迷っておられたのは、塗ったらあのタイル調が消えてしまうのではないか、という一点だけでした。

結論から書きます。この家ではタイル調の面だけをクリヤー塗装で残し、ベージュの面は通常塗装で塗り替えるという方法を採りました。26日後、足場のシートが外れた日、お客様は玄関の前でしばらく壁を見つめてから、こう言われました。

「触ってみるまで、塗ったってわからへんかった」

ただし、クリヤー塗装はどんな家でも選べる工法ではありません。選べる条件がはっきりあり、条件を外れた壁にクリヤーを塗ると、かえって残念な仕上がりになります。この記事では、その条件と限界を先に書いたうえで、26日間の全工程を22枚の写真で公開します。

工事データ

施工エリア 大阪府大阪市平野区
築年数 16年
建物 戸建て住宅(SXL/旧エス・バイ・エル)/窯業系サイディング+スレート屋根
施工内容 外壁塗装(タイル調の面=クリヤー塗装/その他の面=通常塗装)/屋根塗装/シーリング打ち替え
使用塗料 外壁(通常塗装):KFシェアルドF
外壁(クリヤー):ワールドセラグランツクリヤー(無機系)
屋根:ファインパーフェクトベスト
工期 26日
保証 外壁10年/屋根5年
参考価格 156万円前後(税込)
同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・下地の状態・クリヤーを使う面積の割合によって変動します。

「柄を消したくない」というご相談は、実はとても多い

外壁塗装のご相談で、費用の次によくいただくのが「今の外観を変えたくない」というご要望です。特に窯業系サイディングの家は、新築時に何十種類ものサンプルから選んだ柄が入っています。タイル調、石積み調、木目調、ランダムな模様。その柄こそが、その家の顔です。

ところが一般的な外壁塗装は、色のついた塗料をローラーで壁全体に塗り重ねます。塗料は不透明ですから、どんなに丁寧に塗っても柄の凹凸は残っても、色の違いは消えて一色になります。タイル調のサイディングを普通に塗り替えると、タイルの目地とタイル面が同じ色になり、遠目には「凹凸のある一色の壁」に見えてしまうのです。

この平野区のお宅も、まさにそこが心配の種でした。そこでご提案したのがクリヤー塗装です。ただし、いきなり「できます」とは言いませんでした。クリヤー塗装は、壁の状態が条件を満たしているときにだけ選べる工法だからです。まず壁を触って、条件を一つずつ確かめるところから始めました。

クリヤー塗装とはどんな塗装?普通の塗り替えと何が違う?

クリヤー塗装と色を塗る普通の塗り替えの違いを、柄を残すか隠すかで比較した図解
クリヤー塗装は、柄を残したい壁が塗れる状態かを先に確認します

色のついていない塗料で「膜」だけを足す

クリヤー塗装は、その名のとおり透明な塗料を塗る工法です。家具に塗るニスをイメージしていただくとわかりやすいと思います。色を足さないので、下地の色も柄も目地もそのまま透けて見えます。

ではなぜ塗るのか。外壁を守っているのは、サイディング本体ではなく表面の塗膜だからです。新築時の塗膜は10年から15年ほどで紫外線と雨によって少しずつ痩せ、防水性が落ち、やがて基材そのものが傷みます。クリヤー塗装は、その失われかけた膜を見た目を変えずに新しく作り直す工法です。今回使用したのは無機系のクリヤー塗料で、透明な塗料でも早期に黄変しにくいのが特徴です。

クリヤー塗装に使用した無機系クリヤー塗料の缶
使用したのは無機系のクリヤー塗料

3回塗りと2回塗り、工程の違い

通常の外壁塗装は、シーラー(下塗り)→中塗り→上塗りの3回塗りが基本です。シーラーは下地と上塗り材を密着させる接着剤の役割を持ち、無色ですが壁に吸い込まれて艶が出ます。

一方クリヤー塗装は、色を隠す必要がないぶん工程が短く、専用の下塗りと上塗りの2回塗りで仕上げます。回数が少ないと手抜きに聞こえるかもしれませんが、そうではありません。クリヤーは透明なので、塗り残しやローラー目がそのまま光り方の違いとして出てしまう。むしろ通常塗装より神経を使う作業です。

下の表に、この家で実際に使い分けた2種類の工程をまとめました。

項目 通常塗装(ベージュの柄面) クリヤー塗装(タイル調の面)
塗り回数 3回(シーラー+中塗り+上塗り) 2回(専用下塗り+上塗り)
自由に選べる 選べない(今の色のまま)
柄・目地 凹凸は残るが色の差は消える そのまま残る
既存の汚れ・傷 隠せる 隠せない(透けて残る)
選べる条件 ほぼどんな壁でも可 下地の状態が良いときのみ

クリヤー塗装ができないのはどんな壁?判断の5条件

クリヤー塗装ができる5条件として、粉、色褪せ、塗り潰し歴、ひび欠け、目地跡を確認する図解
条件を満たす壁だけ、柄を残す塗装が選べます

ここがこの記事の核心です。クリヤー塗装を検討されている方に、私たちが現場で必ず確認している5つの条件を書きます。1つでも外れていれば、私たちはクリヤーをおすすめしません。

条件1|チョーキングが出ていないこと

もっともわかりやすい判断材料がこれです。壁を手のひらで軽くこすってみてください。手に白い粉がつくようなら、それがチョーキング(白亜化)です。塗膜の樹脂が紫外線で分解し、中の顔料が粉になって表面に浮いてきている状態を指します。

チョーキングが出ている壁にクリヤーを塗ると、どうなるか。粉の上に透明な膜を作ることになるので、密着が確保できません。しばらくすると膜ごと剥がれます。加えて、粉が浮いた壁は全体が白っぽくくすんでおり、透明な塗料を塗るとそのくすみがそのまま濡れたように固定されます。柄は残っても、新品のようには戻りません。

この平野区のお宅では、タイル調の面を手でこすっても粉はつきませんでした。だからクリヤーが選べました。逆に、同じ壁でも日当たりの強い南面だけ粉が出ている家は珍しくありません。面ごとに確認する必要があります。

条件2|色褪せが進んでいないこと

クリヤー塗装は色を足しません。ということは、褪せた色は褪せたままということです。

新築時の濃紺が水色に近くなっている、深いブラウンが赤茶けている、黒がグレーに見える。こうした状態の壁にクリヤーを塗ると、確かに艶は戻り、濡れ色になって多少は深みが出ます。しかし元の発色までは戻りません。工事が終わってから「思っていたほど新しく見えない」と感じられるのは、たいていこのケースです。

目安としては、建物の北面(もっとも褪せにくい面)と南面(もっとも褪せる面)を並べて見比べて、明らかに色が違うと感じるなら黄信号です。今回の建物は玄関まわりのタイル調が庇の下にあり、直射日光を受けにくい位置だったことも幸いしました。

条件3|過去に一度も塗り潰していないこと

これは条件というより、ほぼ前提です。一度でも色のついた塗料で塗り替えた壁には、クリヤー塗装の意味がありません。すでに柄の色は塗料で覆われて一色になっているからです。その上に透明な膜を足しても、残るのは「艶のある一色の壁」だけです。

つまりクリヤー塗装は、人生で一度しか使えない選択肢です。1回目の塗り替えでクリヤーを選ばなかった時点で、その家の柄は永久に見られなくなります。「まだ早いから、次の塗り替えのときに考えよう」という判断が、実は選択肢を消す判断になっている。ここは正直にお伝えするようにしています。

逆に、クリヤーで一度塗った壁は、次の塗り替えでクリヤーも塗り潰しもどちらも選べます。クリヤーは選択肢を残す工法でもあるわけです。

条件4|ひび割れ・欠け・補修跡が少ないこと

サイディングの角が欠けている、割れて補修パテを打った跡がある、ビス穴を埋めた跡がある。こうした部分補修の跡は、クリヤーでは一切隠せません。通常塗装なら色を乗せて目立たなくできますが、透明な塗料は下地をそのまま見せる塗料だからです。

数か所の小さな欠けなら「ここは跡が残ります」とご説明したうえで進めることもあります。ただし補修箇所が壁一面に散らばっているなら、私たちは塗り潰しをおすすめします。仕上がったときに目に入るのが、残った柄ではなく残った傷のほうになるからです。

条件5|シーリングの打ち替え跡を受け入れられること

ここは見落とされがちで、しかも工事後にもっとも「聞いていなかった」と言われやすい点です。

サイディングの継ぎ目には、シーリング(コーキング)というゴム状の材料が入っています。築15年前後になると硬化してひび割れるため、通常は古いものを撤去して新しく打ち替えます。ところがクリヤー塗装の場合、この新しいシーリングの上には色が乗りません。透明な塗料は、シーリングの色をそのまま見せます。

つまり、目地のラインだけが新品の色で浮いて見えることになります。既存の壁が経年で少し落ち着いた色になっているぶん、コントラストが出ます。今回はシーリング材の色をできるだけ既存の目地に近い色で選定しましたが、それでも近くで見れば差はわかります。

この点は工事前に必ず写真をお見せしてご説明し、了解をいただいたうえで進めています。「柄が残る」ことと「新品同様に戻る」ことは違う、というのがクリヤー塗装のいちばん大事な前提です。

ヘラで均して仕上げたシーリング打ち替え後の縦目地
打ち替え完了。この打ち替え跡が残ることも先にお伝えします

築何年までならクリヤー塗装が選べる?

明確な年数の線引きはありません。同じ築年数でも、方角・立地・軒の出・使われているサイディングのグレードで劣化の進み方はまったく違うからです。ただ、私たちが平野区や八尾市で見てきた範囲での実感をあえて書くと、次のようになります。

  • 築8〜12年|もっともクリヤーが向く時期。塗膜がまだ生きており、柄も色も十分に残っています。
  • 築13〜18年|条件次第。今回の築16年はここに入ります。面ごとに状態を見て判断する段階です。
  • 築19年以上|チョーキングと色褪せが出ている家が大半で、クリヤーが選べるケースはかなり減ります。

「まだ傷んでいないから、もう少し待とう」というお考えは経済的には合理的です。ただしクリヤー塗装に限っては、待つほど選択肢が減っていくという逆の性質があります。柄を残したいというご希望がはっきりしているなら、傷みきる前に一度見てもらうことをおすすめします。

現地調査|築16年のサイディングはどんな状態だった?

条件の話を踏まえて、実際にこのお宅で何を見たかを書きます。

北面の苔は何を意味していた?

日の当たらない北面のサイディング外壁に発生した緑色の苔
北面に出ていた苔。塗膜の防水性が落ちているサインです

まず目についたのが、日の当たらない北面に広がった緑色の苔でした。苔そのものは削れば落ちます。問題はなぜ苔が生えたかのほうです。

苔は、水分が乾かない場所に定着します。塗膜の防水性が生きているうちは、雨は水滴になって流れ落ち、壁の表面はすぐ乾きます。ところが塗膜が痩せてくると、外壁が水を含んだまま長時間濡れた状態になり、そこへ飛んできた胞子が根を張ります。苔は汚れではなく、防水性が切れかけているというサインです。

平野区は工場と幹線道路が近いエリアが多く、空気中の粉じんが壁に付着しやすい土地柄です。付着した粉じんは水分を保持するため、苔や藻の足場になります。

なお、この苔が出ていたのは通常塗装で塗り替えるベージュの面でした。クリヤーを予定していたタイル調の面は庇の下で雨がかりが少なく、苔もチョーキングも出ていませんでした。

目地のシーリングはどこまで傷んでいた?

サイディングの縦目地でひび割れた既存シーリング材の寄り写真
縦目地のシーリング。表面が硬くなり、細かく切れていました

サイディング同士の継ぎ目(縦目地)に入っているシーリングは、表面が硬くなり、細かいひび割れが入り始めていました。まだ完全に切れて隙間が空いているわけではありませんが、放置すればそこから雨水が入ります。

シーリングの劣化はクリヤーを選ぶかどうかとは別に、必ず直すべき箇所です。継ぎ目から入る水は塗装では止められません。今回は縦目地をすべて撤去して打ち替えました。

サッシまわりのシーリングを撤去しないのはなぜ?

サッシまわりに打たれたシーリング材の劣化状況
サッシまわりのシーリング。ここは撤去せず上から補強します

窓(サッシ)のまわりにもシーリングが入っています。こちらは縦目地とは扱いが違い、撤去せず上から重ねて打つのが基本です。サッシまわりのシーリングは防水紙や下地に直接かかっていることが多く、無理に撤去すると内部の防水層を傷つけるおそれがあるためです。

打ち替えと増し打ちの使い分けは、部位によって正解が変わります。詳しくは平野区のシーリング工事の記事にまとめています。

スレート屋根も同時に塗り替えました

塗装前のスレート屋根 色あせと汚れが出ている状態
屋根はスレート。外壁と同時に塗り替えます

屋根はスレート瓦でした。外壁と同じく塗膜で守られている屋根材で、色褪せと表面のざらつきが出ていました。足場は外壁塗装も屋根塗装も共通ですから、同時にやれば足場代が一度で済みます

柄は本当に残る?クリヤー塗装の弱点を先に書きます

クリヤー塗装の弱点として、汚れを閉じ込める、色を変えられない、少し濃く見える、艶の選択肢が限られることを示した図解
柄を残せる一方で、今ある汚れや傷も残ります

ここまで条件の話をしてきましたが、条件を満たしていても、クリヤー塗装には避けられない弱点があります。工事の前に必ずお伝えしている4点です。

弱点1|汚れも傷も一緒に閉じ込める

クリヤー塗装の前には高圧洗浄で徹底的に汚れを落とします。それでも、塗膜の内部まで染み込んだ汚れや、素地についた薄いシミは落ちません。その状態で透明な膜をかけるので、汚れは膜の下に閉じ込められた形で残ります。色を塗り潰すならこうした汚れは消えます。ここは通常塗装の明確な利点です。

弱点2|色は変えられない

当たり前のようですが、実際にご相談の場で「少しだけ明るくできませんか」と言われることがあります。できません。クリヤーは色の選択という楽しみを完全に捨てる工法です。

逆にいうと、色選びで悩まなくてよい工法でもあります。外壁の色決めで迷われている方は平野区で映える外壁の色の記事もあわせてご覧ください。

弱点3|少し濃い「濡れ色」になる

クリヤーを塗ると、下地が塗料を吸い込むため元の色より少し濃く、深くなります。雨に濡れたときの壁の色に近い変化です。多くの場合は「深みが出た」と好意的に受け止められますが、「まったく同じ色のまま」ではないのは事実です。今回のタイル調のブラウンも、施工後は一段深い色になりました。

弱点4|艶の選択肢が限られる

色を塗る塗料には、艶あり・7分艶・5分艶・艶消しといった選択肢があります。クリヤー塗料は製品数そのものが少なく、艶の調整幅が限られます。多くは艶ありに近い仕上がりになるため、落ち着いたマットな外観がお好みの方には向きません。

また、サイディングの表面に特殊なコーティングが施されている、いわゆる難付着タイプの場合は、専用のプライマーを使わないと塗料が密着しません。現地調査でサイディングの種類を確認したうえで材料を選定します。

塗り潰す場合と比べて、費用と寿命はどう違う?

「クリヤーは2回塗りだから安いですか」というご質問をよくいただきます。答えはケースによるです。工程は1回少ないぶん手間は減りますが、クリヤー塗料そのものの単価は同グレードの色付き塗料より高いことが多く、結果として大きな差にならないことがあります。

比較項目 クリヤー塗装 色を塗り潰す通常塗装
工程 2回塗り(手間は少なめ) 3回塗り
材料単価 同グレードの色付きより高めのことが多い グレードの幅が広く選びやすい
仕上がりの均一さ 下地の状態がそのまま出る 下地の差を色で整えられる
選べる家 条件を満たす家のみ ほぼどんな家でも
次回の選択肢 クリヤーも塗り潰しも選べる 以後クリヤーは選べない

寿命は塗料のグレードで決まると考えていただくのが正確で、クリヤーだから短いという関係ではありません。今回の外壁は保証10年、屋根は保証5年でお引き渡ししました。総額はクリヤーを使う面積の割合でも変わります。この家のように一部だけクリヤー、残りは通常塗装という組み合わせもよくある形で、全面をクリヤーにする必要はありません。

全工程の記録|26日間で何をしたか

1|シーリングの打ち替え

カッターで既存シーリングの両側に切り込みを入れる打ち替え作業
打ち替えの第一歩。両サイドにカッターを入れます

既存のシーリングの両サイドにカッターで切り込みを入れます。硬化が進んだシーリングは刃が引っかかり、カッターの刃が何度も折れます。地道な作業です。

サイディングの目地から撤去した古いシーリング材
撤去した古いシーリング。土のう袋がいっぱいになる量です

切り込みを入れたらペンチで引き抜きます。この家一軒で撤去した古いシーリングは、土のう袋がぱんぱんになる量になりました。16年分がこれだけ入っていた、ということです。

新しいシーリングのラインを出すためにマスキングテープを貼る作業
テープでラインを出してから充填します

撤去後、新しいシーリングのラインをまっすぐ出すために両サイドへテープを貼り、下地との密着を確保するプライマーを塗布します。

専用ガンで変性シリコン系シーリング材を充填する作業
ノンブリードタイプの変性シリコンを充填します

専用のガンでシーリング材を充填します。今回使ったのはノンブリードタイプの変性シリコンです。ノンブリードとは、シーリングに含まれる可塑剤が塗膜に染み出して黒ずむ現象を起こしにくいタイプを指します。クリヤー塗装では特にこの選定が効きます。透明な膜の下で目地が黒く滲むと、隠しようがないからです。

最後にヘラで空気を抜きながら均し、テープを剥がして仕上げます。サッシまわりは前述のとおり撤去せず、上から重ねて打ちました。

2|高圧洗浄

高圧洗浄で汚れを落とした後のスレート屋根
洗浄後の屋根。表面が白っぽくなりました

屋根から先に洗います。上から下へ、が鉄則です。洗浄後の屋根は表面の汚れと劣化した旧塗膜が落ち、白っぽく変わりました。

サイディング外壁を高圧洗浄で洗い流している作業
外壁の高圧洗浄。クリヤー塗装の前は特に念入りに

続いて外壁です。クリヤー塗装をする面は、通常塗装の面よりさらに時間をかけて洗います。洗い残した汚れは、透明な膜の下に永久に残るからです。

高圧洗浄機はエンジンを回して動かすため、作業中はどうしても大きな音が出ます。平野区は住宅が密集した地域が多く、お隣との距離が近い現場がほとんどです。洗浄日は事前にご近所へお知らせし、時間帯にも配慮して進めています。

3|養生

窓や設備をビニルで覆う養生作業
養生。外壁を塗る数日間は窓が開けられません

塗料が付いてはいけない窓・給湯器・土間・扉などをビニルで覆います。しっかり養生するほど仕上がりは綺麗になりますが、その代わり窓が塞がれて換気ができなくなります。外壁を塗る4〜5日間は、生活面でご不便をおかけします。

4|鉄部のケレンと錆止め

シャッターボックスの鉄部に錆止めを塗る作業
鉄部はケレンのあと錆止めから

シャッターボックスなどの鉄部は、ケレンで表面を整えてから錆止めを塗ります。ケレンには錆や旧塗膜を落とす目的と、細かい傷をつけて塗料の食いつきを良くする目的があります。

5|通常塗装の面は3回塗り

通常塗装する面へシーラーを下塗りしている様子
色を塗る面はシーラーを入れてから2回塗り、合計3回塗りです

ベージュの柄サイディングの面は、通常塗装で塗り替えます。まずシーラーを下塗り。無色なので色は変わりませんが、壁が吸い込むぶん艶が出ます。

その後、中塗りと上塗りを同じ材料・同じ色で重ねます。柄の凹み部分にも塗料が入るよう、ローラーを何度も方向を変えて転がします。中塗りが完全に乾いてから上塗りに移るのが原則で、ここを急ぐと塗膜の性能が出ません。

6|タイル調の面はクリヤーで2回塗り

タイル調サイディングにクリヤーの下塗りを行っている寄り写真
タイル調の面。ローラーで下塗りを入れていきます

いよいよクリヤー塗装です。まず専用の下塗りを入れます。写真のとおり、この時点でタイルの柄と目地はそのまま見えています。

タイル調サイディングへクリヤーを上塗りしている寄り写真
上塗り。柄の凹凸に沿ってローラーを転がします

続いて上塗り。柄の凹凸に沿ってローラーを転がしていきます。透明な塗料は塗った場所と塗っていない場所の見分けがつきにくく、光の当たり方を変えながら塗り残しを確認する必要があります。職人の集中力がそのまま仕上がりに出る工程です。

クリヤー塗装後のタイル調サイディング 柄と目地がそのまま残った状態
仕上がり。タイルの柄と目地が、そのまま残りました

仕上がりです。タイルの一枚一枚の色の違いも、目地のラインも、そのまま残りました。近づいて見ると、塗る前より一段深い色になっているのがわかります。これが「濡れ色」です。

7|屋根塗装

赤みのある色に塗り替えたスレート屋根の仕上がり
屋根は赤み系で塗り替え。こちらは3回塗りです

屋根は外壁と違い、3回塗りで仕上げます。屋根には勾配があるため、職人は常に踏ん張りながらの作業になります。夏場は表面温度が上がり、冬は風が強い。外壁より過酷な現場です。

今回は赤みのある色を選ばれ、洗浄後の白茶けた屋根が見違えるようになりました。

8|付帯部塗装とタッチアップ

塗り替えを終えたシャッターボックスと軒まわりの付帯部
付帯部まで塗り終えて全工程が完了

付帯部とは、外壁と屋根以外で塗装できる箇所の総称です。シャッターボックス、雨樋、水切り、破風板など。付帯部を塗らずに外壁だけ塗ると、新しい壁の横で付帯部の色あせが際立ちます。各部材の寿命を延ばす意味もあります。付帯部は2回塗りが基本です。

塗り終えたら細かな塗り漏れをタッチアップし、清掃をして全工程が完了します。26日間の工事でした。

平野区でクリヤー塗装を考えるときに気をつけたいこと

平野区で数多くの外壁を見てきて、この地域特有の事情がクリヤー塗装の判断に効いてくると感じる点が2つあります。

1つ目は汚れの付き方です。工場や物流施設が近い一帯、そして幹線道路沿いは、空気中の粉じんや排気による黒ずみが外壁に付きやすい環境です。この黒ずみが塗膜の奥まで入り込んでいると、高圧洗浄でも完全には落ちません。クリヤーを塗れば、その汚れは膜の下に固定されます。同じ築年数でも、立地によってクリヤーが向く家と向かない家が分かれるのはこのためです。

2つ目は建物同士の距離です。平野区は住宅が密集した地域が多く、隣家との間が狭い面は風が抜けず、乾きにくいため苔や藻が出やすくなります。道路から見える正面はきれいでも、路地側の壁だけ状態が悪いというケースは珍しくありません。クリヤーが選べるかどうかは、見えている面ではなく、いちばん状態の悪い面で判断する必要があります。

今回も事前に4面すべてを見せていただき、面ごとに工法を分ける判断をしました。「全部クリヤー」でも「全部塗り潰し」でもない選択肢が、実は一番現実的なことが多いのです。

クリヤー塗装が選べるか、その場でできる自己チェック

クリヤー塗装が選べるかを、粉、色褪せ、塗り潰し歴、補修跡、目地跡で自己チェックする図解
最終判断は、現地で壁を触って確認します

専門的な機材は要りません。晴れた日の日中に、次の5つを順番に確かめてみてください。

  1. 壁を手のひらでこすって、白い粉がつかないか(つくならクリヤーは不可)
  2. 北面と南面を見比べて、色の差が目立たないか(差が大きいなら要検討)
  3. 過去に色を塗り替えていないか(塗り替え済みならクリヤーの意味がない)
  4. 欠け・割れ・補修跡が壁全体に散っていないか(散っているなら塗り潰しを推奨)
  5. 目地の色が新しくなっても構わないか(気になるなら塗り潰しのほうが満足度が高い)

1と3のどちらかが引っかかった時点で、クリヤー塗装は選べません。2・4・5は程度の問題なので、実際の壁を見ながらご相談いただくのがいちばん確実です。

塗り替えのタイミングそのものを迷っておられる方は、平野区で外壁の塗り替えどきはいつ?もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

Q1. クリヤー塗装ができるかどうか、自分で判断できますか?

ある程度までは判断できます。壁を手でこすって白い粉がつくか、過去に塗り替えているか。この2つは専門知識がなくても確認でき、どちらかに当てはまればクリヤーは選べません。逆に「粉はつかない、塗り替えもしていない」ところまで来たら、そこから先は面ごとの色褪せ具合、補修跡の数、サイディングの表面コーティングの種類といった判断が必要になります。現地調査は無料ですので、粉がつかないことを確認された段階でご相談ください。

Q2. 一度クリヤーで塗ったら、次回もクリヤーしか選べませんか?

いいえ、次回はどちらでも選べます。クリヤーの膜の下には元の柄が生きているので、次の塗り替えのときにもう一度クリヤーを重ねることも、そのとき色を塗り潰すこともできます。選択肢を残せるのがクリヤーの利点です。逆に、一度色で塗り潰した壁は二度とクリヤーに戻せません。この非対称性が、クリヤーを「早めに検討したほうがよい工法」にしています。

Q3. クリヤー塗装は普通の塗装より安くなりますか?

安くなるとは限りません。塗り回数は3回から2回に減りますが、クリヤー塗料は同じグレードの色付き塗料より単価が高い製品が多く、差し引きすると総額が大きく変わらないことがよくあります。「柄を残せて、しかも安い」という説明を受けたら、材料のグレードを必ず確認してください。安いクリヤーは早い時期に黄変したり、白く濁ったりすることがあります。

Q4. 家の一部だけクリヤー、残りは色を塗ることはできますか?

できます。今回の平野区の事例がまさにその形で、玄関まわりとコーナーのタイル調だけをクリヤーで残し、ベージュの柄面は通常塗装で塗り替えました。もともとアクセントとして柄を入れている家では、この組み合わせが最も費用対効果が高くなります。工程が2種類走るぶん段取りの管理は増えますが、追加の足場が必要になるわけではありません。

Q5. クリヤー塗装をすると汚れやすくなりますか?

いいえ、逆です。新しい塗膜ができることで表面が平滑になり、雨で汚れが流れやすくなります。ただし注意点があり、クリヤーは汚れを隠せないため、時間が経って再び汚れてきたときには通常塗装の家より汚れが目につきやすく感じられることがあります。特に濃い色のタイル調は白い水垢が目立ちます。年に1〜2回、ホースの水で壁の下部を流しておくだけでも違います。

「触ってみるまで、塗ったってわからへんかった」

冒頭に書いたお客様の言葉を、もう一度置きます。工事が終わった日、お客様は玄関のタイル調の壁を手で触って、そう言われました。手触りは新しいのに、見た目は前のまま。クリヤー塗装が目指しているのは、まさにその状態です。

ただ、この結果は「クリヤーを選んだから」得られたのではありません。この家の壁が、たまたま条件を満たしていたから得られたものです。粉が出ていなかった。庇の下で色褪せが進んでいなかった。一度も塗り潰されていなかった。補修跡がほとんどなかった。この4つが揃っていなければ、私たちは塗り潰しをおすすめしていました。

そして、その条件は毎年少しずつ失われていきます。「このタイルの柄だけは、消したくない」——同じ気持ちをお持ちの方には、傷みきってしまう前に、一度壁を見せていただきたいと思っています。手のひらで壁をこすって、白い粉がつかないうちに。

みのりペイントは大阪市平野区を拠点に、平野区・八尾市・東大阪市・松原市などのエリアで施工しています。クリヤー塗装が選べるかどうかの判断だけでも構いません。お家の写真を送っていただければ、状態を診断したうえで、クリヤーが向く家か、塗り潰したほうが満足度が高い家かを正直にお伝えします。

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