大阪市平野区加美東|築13年サイディング外壁+屋根をフッ素で塗装|フッ素塗料の耐用年数は本当に長い?


「高い塗料にする意味、ありますか」
大阪市平野区加美東のこのお宅で、現地調査の帰りぎわにいただいた質問です。お客様は普段から外壁をじっくり見る習慣はなく、近所の同じ築年数のお宅が工事をしているのを見て、うちも一度見てもらおうか、という軽い気持ちで声をかけてくださった段階でした。
見積書に並ぶ塗料のグレードは、業者にとっては当たり前の選択肢でも、初めて塗り替えをするお客様にとっては値段の違う横文字が並んでいるだけです。シリコンとフッ素で数十万円変わると言われても、その差額が何を買っているのかが分からない。だから「意味はあるのか」という問いになります。
この記事は、その質問に対する私たちの答えをそのまま記録したものです。結論から言えば、このお宅ではフッ素を選びました。ただし「フッ素なら得だから」という理由ではありません。塗膜の寿命より先に来るものが何か、足場を何回払うことになるのか、その二つを計算した結果としてフッ素になりました。
工事データ
| 施工エリア | 大阪府大阪市平野区加美東 |
|---|---|
| 築年数 | 13年 |
| 建物 | 3階建て戸建て住宅/窯業系サイディング+カラーベスト(化粧スレート)屋根 |
| 施工内容 | 外壁塗装(フッ素)/屋根塗装/シーリング打ち替え/付帯部塗装 |
| 使用塗料 | 外壁:KFシェアルドF(フッ素樹脂塗料) 屋根:ファインパーフェクトベスト(日本ペイント) 軒天:ケンエース(日本ペイント) シーリング:変性シリコン系ノンブリードタイプ |
| 工期 | 3週間 |
| 保証 | 外壁10年/屋根5年 |
| 参考価格 | 143万円前後(税込) 同等の内容を現在の価格でお見積りした場合の目安です。実際のお見積りは足場面積・下地の状態により変動します。 |
「高い塗料にする意味はある?」という質問から始まりました
塗り替えのご相談で、塗料のグレードは必ず話題になります。そしてほとんどの場合、お客様の頭の中には二つの考えが同時にあります。
- 「どうせ足場を組むなら、長持ちするものにしておいたほうがいい気がする」
- 「でも、そんな先のことを今お金で買う必要があるのだろうか」
この二つはどちらも正しい直感です。そしてどちらが正しいかは、家によって変わります。塗料のカタログには耐用年数が書いてありますが、そこに書かれているのは塗膜そのものの寿命であって、あなたの家の寿命でも、シーリングの寿命でもありません。
だから私たちは、グレードの話をする前に必ず二つのことをお聞きします。ひとつは「この家に、この先どれくらい住む予定か」。もうひとつは「次に足場を組むのはいつになりそうか」。この二つが決まらないと、フッ素が得なのか無駄なのか判断できないからです。
加美東のお客様のお答えは明快でした。建て替えの予定はなく、ご家族がこの先ずっと住み続ける前提。3階建てで足場代がかさむことも、見積書の内訳を見て理解しておられました。この時点で、話の方向はかなり絞られます。
現地調査|ドローンが見つけた3階屋根裏のシーリング破断
グレードの話に入る前に、まず建物の状態を正確に把握します。3階建てのため、屋根と最上部の外壁は地上からの目視ではほとんど確認できません。そこでドローンを飛ばして撮影しました。

写真を見ていただければ分かるとおり、シーリングが完全に切れて5mmほどの隙間が開いていました。ここは西日が一日じゅう当たる面です。紫外線量が最も多い場所から劣化が始まるのは、外壁塗装の現場では例外がありません。
この隙間からは雨が外壁材の裏側まで入ります。サイディングは板と板の継ぎ目をシーリングで塞ぐことで防水しているので、シーリングが切れた時点で防水層としては破れている状態です。地上からは絶対に見えない場所で、これが13年で起きていました。

外壁面には全体にチョーキングが出ていました。塗膜の樹脂が紫外線で分解され、顔料が粉になって表面に浮いてくる現象です。この状態になると塗膜の撥水性が失われ、サイディング自体が雨水を吸うようになります。実際、雨染みの跡がはっきり残っていました。

目地に沿って黒い筋が出ているのもお分かりいただけると思います。これはシーリング材に含まれる可塑剤(柔らかさを保つための成分)が表面に染み出し、そこに粉じんが吸着したものです。ブリード汚染と呼ばれ、これもシーリングの劣化サインのひとつです。

屋根はカラーベスト(化粧スレート)。全体に色あせが進み、防水性が落ちている状態でした。外壁のために足場を組むなら、同じ足場で屋根も塗ったほうが総額は確実に安く済みます。この判断が、後のグレード選びにも効いてきます。
塗料のグレード別に、耐用年数はどれくらい違う?

ここからが本題です。塗料は樹脂の種類でグレードが分かれ、耐候性と価格がほぼ比例します。一般的に言われている目安をまとめます。
| グレード | 耐用年数の目安 | ㎡単価の目安(材工) |
|---|---|---|
| アクリル | 約5〜7年 | 1,200〜1,600円 |
| ウレタン | 約7〜10年 | 1,700〜2,200円 |
| シリコン | 約10〜13年 | 2,300〜3,000円 |
| ラジカル制御型 | 約12〜15年 | 2,500〜3,300円 |
| フッ素 | 約15〜20年 | 3,500〜4,800円 |
| 無機ハイブリッド | 約18〜25年 | 4,000〜5,500円 |
※上表は業界で一般的に言われている目安であり、当社の見積金額を示すものではありません。実際の単価は塗装面積・下地の状態・付帯部の量によって変わります。
グレードが一段上がるごとに耐用年数が3年前後、単価が数百円ずつ上がっていく。ざっくり言えばそういう並びです。30坪程度の一般的な住宅で外壁面積を150㎡とすると、シリコンとフッ素の差額はおよそ20万〜25万円になります。
耐用年数は「メーカーの促進試験に基づく目安」です

ここは正直にお伝えしておかなければいけないところです。カタログの耐用年数は、メーカーが実施した促進耐候性試験の結果から導かれた推定値です。キセノンランプなどで強い紫外線を人工的に当て、塗膜がどれだけ光沢を保てたかを測り、実環境の年数に換算しています。
つまり、実際にその年数を屋外で経過させて確認した数字ではありません。だから同じフッ素塗料でも、実際にもつ年数は建物の条件で大きく変わります。
- 方角:南面と西面は北面より紫外線量が多く、劣化が数年早く出ます
- 立地:海沿いの塩害、幹線道路沿いの排気ガス、工場地帯の粉じんは塗膜を痛めます
- 下地:下地が動く(クラックが入る、板が反る)と塗膜は先に割れます
- 施工:規定の膜厚が確保されていなければ、どんな高級塗料も性能は出ません
ですから私たちは「フッ素だから15年絶対にもちます」という言い方はしません。条件が良ければ15年前後を期待できる塗料であり、条件が悪ければもっと早く劣化することもある——これが誠実な説明だと考えています。今回の保証を外壁10年としているのも、期待値ではなく私たちが責任を持てる範囲で線を引いているからです。
「長持ちする=得」とは限らない、三つの理由

フッ素は確かに長持ちします。それでも私たちは、すべてのお客様にフッ素をおすすめするわけではありません。理由は三つあります。
1|次に塗るまでに、この家をどうするつもりか
いちばん大きいのはこれです。フッ素の15年という数字が価値を持つのは、15年後もその家をご自分たちで使っている場合だけです。
たとえば、10年以内に建て替えを検討している。お子さんが独立したら売却して住み替えるつもりがある。相続の話が具体的に進んでいる。こうしたケースでは、フッ素の差額20万円は使い切れずに終わります。売却する場合、外壁がフッ素で塗ってあることが査定額に20万円分反映されるかというと、正直そこまでの評価はされません。
そういうお客様には、私たちはシリコンやラジカル制御型をおすすめします。今の見た目を整え、あと10年程度の防水性を確保するのに十分だからです。「良いものを勧めない」ことも仕事のうちだと思っています。
2|シーリングや下地の寿命は、塗膜より先に来ることがある
これが見落とされやすい論点です。サイディング外壁の防水は、塗膜だけで成り立っているのではありません。
板と板の継ぎ目を埋めるシーリング材の寿命は、一般的な変性シリコン系で10年前後です。高耐久タイプでも15年程度。つまりフッ素塗膜が20年もったとしても、シーリングは途中で切れます。加美東のお宅で13年目に5mmの破断が見つかったのは、まさにこの寿命差の現れです。
さらに、サイディングの板そのものにも寿命があります。反り、割れ、釘の浮き。ここまで来ると塗装では対応できず、張り替えやカバー工法の領域に入ります。
ですから、下地の状態が悪い建物にフッ素を塗るのは順番が違います。塗膜だけが長生きしても、その下が保たなければ意味がない。下地の補修に予算を回して塗料をシリコンにする、という判断のほうが正しい場面は現実にあります。
3|総額を決めるのは「足場を何回払うか」
そのうえで、フッ素が明確に有利になる条件もあります。足場です。
外壁塗装の見積書のなかで、足場の仮設・解体はおおむね15万〜25万円を占めます。塗装面積が同じなら、この費用は塗料のグレードとは無関係に、工事のたびに毎回かかります。
仮に今後30年その家に住むとして、シリコン(12年周期)なら3回塗ることになり、足場代は3回分。フッ素(16年周期)なら2回で済み、足場代は2回分。この一回分の差、およそ20万円が、そのままフッ素の差額とほぼ拮抗します。
そして加美東のお宅は3階建てです。3階建ての足場は2階建てより高く、面積も増えます。ここで足場を一回減らせる意味は、2階建てより大きくなります。
もうひとつ、足場を組むたびに発生するのはお金だけではありません。足場が立てば近隣へのご挨拶が必要ですし、2〜3週間は洗濯物を外に干せず、窓も自由に開けられません。回数が減るということは、その生活の負担も減るということです。
このお宅でフッ素を選んだ理由
以上を踏まえて、加美東のお宅でフッ素を選んだ根拠を整理します。
- 建て替え・売却の予定がなく、この先も住み続けられる → 長期の耐候性が使い切れる
- 3階建てで足場コストが高い → 塗り替え回数を減らす価値が大きい
- シーリングを全面打ち替えする → 下地側の防水も同時にリセットできる
- サイディング本体に反りや割れがなく、塗装で十分対応できる状態 → 下地が塗膜に先立って壊れる心配が小さい
- 加美東は工場と幹線道路に近く、粉じんが多い → 汚れにくい塗膜の価値が高い
逆に言えば、このうちひとつでも条件が違えば結論は変わっていました。たとえばサイディングに反りが出ていたら、まずその補修に予算を配分したはずです。フッ素という答えは、この建物とこのご家族の事情から出てきたものであって、どの家にも当てはまる正解ではありません。
外壁にはKFシェアルドF、屋根には日本ペイントのファインパーフェクトベストを使用しました。屋根をフッ素にせずラジカル系のシリコングレードにしたのは、カラーベスト自体の耐用年数と塗膜の耐用年数のバランスを考えた結果です。屋根材そのものが先に限界を迎える可能性がある以上、屋根だけ塗膜を突出させても釣り合いません。
全工程を写真で公開します
1|シーリングの打ち替え
足場を組んだあと、最初の工程はシーリングです。塗装より先にやります。理由は、シーリングの上から塗装することで、シーリング材の表面も紫外線から守れるからです。

既存のシーリングをカッターで切り込み、すべて撤去します。増し打ち(古い上から重ねる)ではなく全面打ち替えです。破断していた箇所だけでなく、まだ切れていない目地も含めて全部やり替えます。今切れていない目地も、あと数年で同じ状態になるからです。

撤去後、目地の両側にマスキングテープを貼って養生し、専用のプライマーをハケで塗布します。プライマーはシーリング材とサイディングを接着させる下地材です。ここを省くとシーリングが数年で剥がれます。

乾燥後、シーリング材を充填します。使用したのは変性シリコン系のノンブリードタイプ。先ほどの現地調査写真で目地に沿って黒い汚れが出ていましたが、ノンブリードタイプは可塑剤の染み出しを抑えた材料なので、同じ汚れ方をしにくくなります。

ヘラでなでるようにして材料を目地の奥まで行き渡らせます。マスキングをしているおかげで、はみ出しを気にせず外壁面と同じ厚みまで打設できます。シーリングは厚みが確保されてはじめて、伸び縮みに追従できる弾力を持ちます。

マスキングを剥がすと、まっすぐ均一な目地になります。窓廻りや軒天との取り合いも含め、すべての目地が作業範囲です。
2|高圧洗浄

洗浄は屋根から始めて下へ向かいます。汚水が上から下に流れるためです。屋根は普段目にしない場所ですが、洗い始めると驚くほど黒い水が出ます。

外壁は垂直面なので屋根ほど汚れは溜まりませんが、粉じん、排気ガスのカス、鉄粉などが確実に付いています。加美東は工場と幹線道路に近く、大阪市内でもこうした微細な汚れが付きやすいエリアです。
洗浄を省くとどうなるか。塗料が密着せず数年で剥がれる、ムラになる、性能が発揮されず傷みが早まる。いくらフッ素を塗っても、この工程を飛ばした瞬間に耐用年数の話は成立しなくなります。工事中は窓の戸締りと洗濯物の室内干しをお願いすることになりますが、そのお願いに見合うだけの意味がある工程です。
3|外壁の下塗り

塗装1回目は下塗りです。シーラーと呼ばれる下地材を塗ります。白濁した液体ですが、乾くと透明になるのでこの段階では色は付きません。
シーラーの役割は三つ。密着性を確保すること、下地の吸い込みを止めて表面を固めること、細かいひび割れを埋めること。上に塗るフッ素がどれだけ高性能でも、この土台がなければ本来の性能は出ません。
4|外壁の中塗り

2回目で色が入ります。塗りたては濡れた質感で、艶が強く出ます。今回の外壁は模様が細かいため、ローラーを壁に押し込むように塗り込む必要があり、見た目より力を使う作業でした。

今回はベランダの外側だけ濃い色に切り替えました。外から見たときの表情を変えつつ、ベランダの内側は落ち着いた白系のままにしています。洗濯を干す毎日の場所なので、部屋側から見える色は静かなほうがいい——そういう考え方です。塗り分けの詳しい話はここでは踏み込みませんが、外向きと内向きで色を変えられることは知っておいて損はありません。
なお、塗料の色が変わっていく様子をお客様が直接ご覧になる機会は実はあまりありません。飛散防止の養生をしているうえ、お客様が玄関から出入りされるときは作業を止めるためです。今回は水性塗料でしたので、万一体に付いても水で落ちます。
5|外壁の上塗り

3回目の上塗りは、中塗りの翌日に行いました。色はすでに付いているので見た目の変化は小さいですが、この工程の目的は膜厚を確保することです。
塗料はメーカーが定めた膜厚があってはじめて設計どおりの性能を発揮します。カタログの耐用年数も、その膜厚が確保された前提の数字です。2回塗りで済ませれば材料費も手間も減りますが、それは耐用年数を削ることと同じ意味になります。塗り忘れや色ムラを確認しながら、全面に規定量を塗り切ります。
6|屋根の下塗りと縁切り

屋根も下塗りからです。日本ペイントの「ファインパーフェクトベスト強化シーラー」を使用しました。高い付着性と表面の補強効果を併せ持つ下地材で、色あせて脆くなったカラーベストの表面を固める役割があります。

次が縁切りです。カラーベスト屋根は、瓦と瓦の重なりにわずかな隙間があり、そこが入り込んだ雨水や結露水の逃げ道になっています。塗装するとこの隙間が塗料で塞がってしまうため、専用部材を差し込んで隙間を確保します。
この工程を省くと、屋根の内部に水が滞留して野地板を傷めます。見えない場所の作業なので手抜きが起きやすい工程でもあります。屋根に微細なひび割れがあった箇所は、その場でシーリング材を充填して補修しました。
7|屋根の中塗り・上塗り


屋根も外壁と同じく3回塗りです。中塗りの段階では色は付いているものの膜厚が薄く、艶はまだ浅い状態。上塗りを重ねると一気に艶が出ます。晴れた日中は屋根面が水のように光ります。
8|付帯部

外壁と屋根が終わると付帯部です。雨樋、水切り、シャッターボックス、エアコンのダクト、軒天。まずペーパーやすりで表面を目粗しして、塗料の食いつきを良くします。
鉄部は錆止めを下塗りしたうえで中塗り・上塗りの計3回。雨樋は2回塗りです。エアコンのダクトは一度取り外してから塗装しました。軒天には日本ペイントのケンエースを使用しています。軒天は湿気が抜けないと内部を傷めるため、透湿性のある専用塗料で塗り分けます。
付帯部の色は、家全体の雰囲気を崩さないよう既存に近い色を選ぶことが多いです。今回は劣化していたエアコンダクトのジャバラも、サービスで交換しました。
艶を残すか消すか|汚れの付き方が変わります
塗料を選ぶときにグレードと並んで決めるのが艶です。艶あり、七分艶、五分艶、艶消し。ここは好みの問題だと思われがちですが、耐用年数と汚れの付き方に直結します。
艶があるということは、塗膜の表面が平滑だということです。平滑な面は汚れが引っかかりにくく、雨で流れ落ちやすい。逆に艶消しは、塗料に艶消し剤を混ぜて表面をわざと微細に荒らしているので、そこに汚れが留まります。同じ塗料でも、艶消しにすると耐候性がやや落ちるのはこのためです。
加美東を含む平野区加美エリアは、工場と幹線道路が近く、空気中の粉じんが多い土地柄です。落ち着いた質感を求めて艶消しを選びたくなるお気持ちはよく分かりますが、この環境では数年で汚れが目立ち始めます。今回のお宅では艶を残す仕上げにしました。フッ素の耐候性を活かすうえでも、この選択のほうが理にかなっています。
ただし艶ありは、新築時のようなピカピカ感が強く出るのも事実です。落ち着かせたい場合は、艶消しではなく七分艶あたりで折り合いをつけるのが現実的な着地点になります。
フッ素が向く家・向かない家

ここまでの内容を、判断できる形にまとめます。
フッ素が向く家
- この先15年以上、住み続ける予定がはっきりしている
- 3階建て、または旗竿地・狭小地など足場コストが高くつく立地
- 下地(サイディング本体)が健全で、塗装で十分に対応できる
- 同じ工事でシーリングを全面打ち替えする
- 工場地帯・幹線道路沿いなど、汚れやすい環境にある
- 足場を組むたびの生活の制約を、できるだけ減らしたい
フッ素が向かない家
- 数年以内に建て替え・売却・住み替えの可能性がある
- サイディングの反り・割れ・釘の浮きが進み、下地の補修が先に必要
- 雨漏りの原因が未解決のまま残っている(塗装は雨漏りを止める工事ではありません)
- 予算に限りがあり、塗料に回すより下地補修や屋根に回したほうがいい
- 賃貸物件で、回収期間を短く見積もる必要がある
下二つは特に大事です。限られた予算のなかで塗料のグレードを上げるという判断は、他のどこかを削る判断でもあります。下地補修を削ってフッ素にするのは、順序が逆です。
完工|「高い塗料にする意味はありますか」への答え
着工から3週間。足場が解体され、シートが外れました。茶系だった外観は濃い色に変わり、ベランダの外側で表情が切り替わる仕上がりになりました。
冒頭の質問に戻ります。「高い塗料にする意味、ありますか」。
私たちの答えはこうです。意味があるかどうかは、塗料ではなく家の側で決まります。フッ素という塗料そのものに得も損もありません。この先どれくらい住むのか、足場を何回組むことになるのか、下地は塗膜より長く保つのか。その三つが揃ったときにだけ、差額の20万円は投資になります。揃わなければ、それはただの20万円です。
加美東のこのお宅では三つとも揃っていました。だからフッ素をおすすめし、実際にそう施工しました。もし条件が違えば、私たちは迷わずシリコンをおすすめしていたと思います。
そして最後にもう一度お伝えしておきます。フッ素を塗ったからといって、15年間なにもしなくていいわけではありません。シーリングは塗膜より先に動きますし、屋根材そのものにも寿命があります。10年目あたりで一度点検を受けていただくこと——これが、せっかく選んだフッ素を最後まで使い切るための条件です。
みのりペイントは大阪市平野区を拠点に施工しています。まだ工事を決めていない段階でも、「うちはフッ素にする意味があるのか」だけを聞きに来ていただいて構いません。建物を見て、正直にお答えします。
よくあるご質問
フッ素塗料の耐用年数は、必ず15年もちますか?
いいえ、保証できる数字ではありません。カタログの15〜20年という数値は、メーカーが人工的に紫外線を照射する促進耐候性試験を行い、実環境の年数に換算した目安です。実際の年数は、方角・立地・下地の状態・施工品質で大きく変わります。西面や南面は北面より数年早く劣化しますし、粉じんの多い環境や塩害地域ではさらに短くなります。当社が外壁の保証を10年としているのは、期待値ではなく責任を持てる範囲で線を引いているためです。
フッ素で塗れば、次の塗り替えまで何もしなくて大丈夫ですか?
いいえ、点検は必要です。塗膜が健全でも、シーリング材の寿命は一般的な変性シリコン系で10年前後と塗膜より短く、先に切れることがあります。また、屋根材そのものの割れやズレ、板金部分の釘浮きなど、塗装とは別の劣化も進みます。目安として塗装から8〜10年経過した時点で一度点検を受け、部分補修で済むうちに手当てするのが、結果的にいちばん費用を抑えられる進め方です。
シリコンとフッ素では、実際いくらくらい差が出ますか?
一般的な目安として、㎡単価でおよそ1,000〜1,800円の差になります。外壁面積150㎡なら15万〜27万円程度です。ただしこれは業界一般の相場感であり、当社の見積額を示すものではありません。実際の金額は塗装面積、下地補修の量、付帯部の点数、足場面積によって変わります。判断のポイントは差額の大小そのものより、その差額を回収できる年数まで住み続けるかどうかです。
フッ素で塗ると、次の塗り替えのとき塗料が乗りにくいと聞きました。本当ですか?
フッ素塗膜は表面の平滑性が高く撥水性も強いため、そのまま塗り重ねると密着しにくいのは事実です。ただし対処法は確立しています。次回の塗り替え時に、目粗し(表面を細かく荒らす下処理)を行ったうえで、フッ素対応の下塗り材を使えば問題なく塗装できます。塗り替えができなくなるわけではなく、下処理の手間が一段増えるとご理解ください。見積もり時にその工程が入っているかは確認する価値があります。
屋根と外壁で塗料のグレードを変えてもいいですか?
問題ありません。むしろ合理的な場合が多いです。今回の工事でも外壁はフッ素、屋根は屋根用のシリコン系塗料と分けています。屋根はカラーベストなど屋根材そのものに寿命があり、塗膜だけを長寿命化しても釣り合わないことがあるためです。逆に金属屋根で下地が健全な場合は、屋根こそ紫外線を最も浴びる面なので上位グレードにする意味が出てきます。どちらを厚くするかは、建物ごとに屋根材の状態を見て決めるのが正解です。
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